いぬじゅんのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
幻想的な表紙が目に止まり購入。偶然、深夜特急で同じ部屋になった5人。それぞれが悩みを抱えながら、目的地を目指す。
深夜特急という言葉だけで、旅好きには嬉しくなります。
閉ざされた空間の中でオリエンタル急行のような事件は起きませんが、お互いの悩みを打ち明けていく。
ゲイの健太の存在が、森沢明夫さんの「大事なことほど小声でささやく」に登場するゲイのマスターに似ているなと思いました。
悩みの大きさなんて人それぞれ。
大切なのは、向き合うか向き合わないか。
一期一会の出会いだからこそ、話せることもある。
家族だからこそ、話せないこともある。
話としては面白かったですが、心にストンと落ちるまで惹き込まれなかったです。 -
Posted by ブクログ
奈良県の山奥にある高校。そこは高校側が指名して入試をするという「逆指名入試」方式で生徒を招いていた。授業料などあらゆることが優遇される代わりに学校の関係者全員にコンタクトレンズ型のカメラを目に仕込み、それをリアリティ番組として放送されるという実験的な企画をしようとしていた。シーズンごとに主人公を変えて、リアルな高校生活を映し撮ろうとしたものの、次々と起きる出来事に生徒達は崩壊しようとしていた。そして、その裏側に隠された真実とは?
いぬじゅんさんというと、胸キュンラブストーリーを多く書いている印象でしたが、今回はその真反対の話でしたので驚きでした。嫉妬や浮気といった人の嫌な部分を曝け出していて、胸が痛い気持ちでいっぱいでした。
近年、よく見るリアリティショー。演出とはわかっているものの、リアルな日常を垣間見ているようで、なんでも本物に見えてしまいます。ただ、そこに出演している人達は、「役」として映されています。
この作品は、素の人物として、学生生活を送るのですが、次々とでてくる演出プラン。何が本当で、何が嘘か。そこで渦巻く感情のぶつけ合いにあまりリアリティーショーを見ない自分にとっては「どこが面白いの?」と思ってしまいました。
第三者から見たら、エキサイティングで面白いかもしれませんが、当事者にいざなってみると、24時間ずっと監視されているようで、耐えきれないなと思いました。
なぜ、このような番組が作られたのか?地元のケーブルテレビが主催して、番組を作っていくのですが、まぁ一方的すぎなやり方に「人気を勝ち取るなら、何でもいいんかい?」と思ってしまいました。
章ごとに主人公が変わっていくのですが、読み進めるにつれて、状況が重くなっていく展開になっていきます。そこでの人間の嫌な部分を抉るかのように剥き出していくので、ブラックないぬじゅんさんを垣間見たように感じました。
そして、最後で明らかになる学校の秘密。なぜ逆指名なのか?次々と出てくる真実に驚きもありましたし、「なるほど」とも思いました。
ただ、この秘密を肯定することはなかなか難しいかなと思いました。わざわざテレビで放映しなくてもいいし、番組によって起きる影響は大丈夫なの?とか思ってしまいました。
昨今、リアリティーショーで色々な被害を受けたというニュースを見ていると、果たして物語の流れとして、このやり方は良いのか?判断に迷います。
もし、自分がリアリティーショーの出演者だったら?
平常心でいられるか?ものすごく不安に駆られると思います。
ある意味「ホラー」とも感じた作品でした。 -
Posted by ブクログ
過去にひき逃げ事故に遭い、一部の記憶を失った春哉は、ある日「誰かに追われている」と突然女性から声をかけられた。そこから「運命の出会い」かのように親しくなり、いつしか恋をするようになった。その裏側で明らかになる衝撃の事実。
「冬」シリーズ第3弾ということですが、これだけでも楽しめる作品でした。突然出会った人を救ったり、恋したりとドラマチックな展開で、あまり現実的ではありませんが、誰かのために奔走する一生懸命さが伝わってきました。
でも、衝撃の事実が明らかになった瞬間、高い所から落下したような衝撃感を感じました。今までの印象が180度変わりました。
帯には「驚愕のどんでん返し、そして・・・温かい涙が溢れる」と紹介されていますが、温かい涙とは言い切れない複雑な気持ちになりました。一応、感動路線を演出していましたが、他の作家さんが同じ内容を書いたとしたら、違う解釈が生まれるかもしれません。いぬじゅんさんの場合、オブラートを包むかのような幻想的な文章だったので、明るめな気持ちにさせてくれました。
ただ、現実的にこのようなことがあったとしたら、軽く済まされて終わりというわけではないので、あまり深く刺されないなと思いました。
衝撃の真実を読み手側がどう捉えるか。賛否はあると思いますが、衝撃としては落差が半端なかったです。