仁木めぐみのレビュー一覧
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19世紀アイルランド出身の作家・劇作家、
童話も名高いオスカー・ワイルドの小説。
高校生の頃、旧訳を古本屋で買って
積読しっ放しだったことを思い出しつつ、
あまりに有名なため、
読まずしてオチを知ってしまっていたので避けていたが(笑)
まあまあ気に入っている光文社古典新訳文庫にて
第2刷が出たのを機に購入。
予想を遥かに上回る面白さに驚いた。
老若・美醜の問題に囚われるあまり
言動が常軌を逸していく主人公の混乱っぷりは他人事でもなく、
意外に感情移入して世界観にとっぷりハマることが出来た。
男性三人が同性愛の関係にあるのは明白なのだが、
それが罰せられる世の中だったため、
極めて婉曲かつ控え目に描かれているところが
個人的に好ましく思えるのだった。
この新訳は現代的な言い回しで綴られ、
読みやすく、お薦めしやすいが、
解説で紹介されている1950年発表の平井呈一訳の冒頭部分が
うっとりするほど色香が匂い立つような文体なので、
機会があったら読んでみたい。
尚、本書第10章以降で言及される、
ドリアン・グレイがヘンリー卿から贈られて耽読する
「悪書」はユイスマンス『さかしま』である。
[備忘]
岩田美喜「世紀末の夜の子供たち――『ドラキュラ』におけるアブジェクシオンの作用」
(東北大学英語文化比較研究会機関誌《川内レビュー》№3〈2004年〉)
ワイルドと同時代の同郷人ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』と
『ドリアン・グレイの肖像』のテーマ、モチーフの近似性を論じている。 -
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作者が緩和ケアを通して知った、死ぬ前の後悔について。
1.自分に正直な人生を生きればよかった
2.働きすぎなければよかった
3.思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
4.友人と連絡を取り続ければよかった
5.幸せをあきらめなければよかった
私はこの中でも4と5ができていないかな…と思った。
4まではよく言われるし聞いたことがあるけれど、5はできているようで実は難しい部分もある。
特に自己肯定感が低いと無意識に「このくらいで良いか」と満足してしまうことがあるなぁと感じた。
作者と患者のやり取りや描写はとても素敵だった。
作者がスピリチュアルな考えを強く持っているようで、瞑想で病気を治したという話は具体的にどんな病気で、どのような状態だったのか気になるところ。 -
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なかなか胸が悪くなるタイプの主人公。
自分で物事を考えるのでは無く、倫理観も持ち合わせず、周囲の人の勧めや助言からそのときしっくりくるものを選び行動していき、次第に身を持ち崩していく。
その退廃からくる悪相はみな肖像画が引き受けてくれるため、恐れを抱きながらも実質やりたい放題。
本人の持つ魅力と金銭力から、ほんとうになんでも思い通りになる。
社交するイギリス貴族たちも仲良くなれなそうな価値観(現代日本の庶民が読んでいるためそれはそうなのですが)で、嫌な話だなあ、、と思いつつ、絵が変貌するというホラーのようなSFのような設定も相まって、全然別次元の寓話として面白く読むことができました。
花や庭の描写が香り立つようで素敵でした。 -
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ネタバレこの本を読んで一番胸に残ったのは、
「後悔の多くは、大きな選択ではなく、小さな違和感を無視し続けた結果だ」という点でした。
世間体を気にし、期待に応え、
「自分で選んだつもり」になっていただけで、
実は恐れて何も選んでいなかった――
その言葉は、仕事でも人生でも、思い当たる節があります。
特に印象的だったのは、
「頭は答えを知らない。心は質問を知らない」
という仏陀の言葉。
合理性や正解を探し続けるほど、
本当の喜びから遠ざかっていく感覚は、
日々の仕事の中でも何度も経験してきました。
また、「働き過ぎた結果、孤独の中で死を迎える」という告白は、
決して他人事ではありませんでした。
忙しさや責任を言い訳にして、
本当は大切にできたはずの時間を後回しにしていないか――
静かに問い返されているようでした。
この本は「もっと自由に生きろ」と煽る本ではありません。
むしろ、
自分に正直でいる覚悟を持てるか
そこを淡々と、しかし容赦なく突きつけてきます。 -
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訳者の後書きや章の「その後」を最初に読んで筆者がヘルパーになるまでの過程と学んだことのまとめを読んでから気になる章を読んだ方が良いと感じました。
(筆者がヘルパーになるまでが長く感じたため。)
筆者は10年間銀行員の仕事につき、同じ事を繰り返す日々に嫌気がさして、自分のことを知らない場所へ興味を持った地域へ憧れて旅を繰り返した。時に危険な目に遭いそうになりながらも行く先々で様々な人に会い、様々な仕事をその都度もらいノマド生活や時には人から部屋を貸して貰い生活する。住み込みで緩和ケアの介護の仕事に出会い、やりがいを感じ患者と関わりながら人生の教訓を学んでいく。その後前々から創作活動を通じて生きていきたいことを実現してゆく。
この本を読んで祖父母が亡くなった当時の自分の心境を思い出せて良かった。また旅人に憧れのある自分にとっては放浪生活を好んでいた筆者が歳をとるにつれて住居が欲しくなる心境に興味を持った。移動したくなるたびに居所を移すのではなく、どこかに本拠地をかまえて、そこからあちこち旅をしたいと考えるようになることは歳をとることで体力の衰えや、安定を求めるようになるのだろうなと思い、自分のライフプランの参考になった。
看取った患者の中で30代のアンソニーの話で置かれた環境が向上や変化のチャンスが得られなくし、挑戦する意欲を失わせる事例が心にきた。失敗というのは、成功するかどうかで決まるわけでも、何に挑戦するかで決まるわけでもなく、何かをはじめれば、それでもう成功で何かに挑戦し、人生を良くしようという意欲を持ち続けることが大事だ。
他人にも自分にも優しくなろう
私たちは みな 素晴らしい。
微笑みとともに知り、生きましょう -
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ネタバレ文学を読もうと思い名前を聞いたことがあった本書を手に取りました。本書はちょっと昔のイギリスの金持ちの若者がひょんなことで堕落し、最終的に悪の方面に転落しきって亡くなるという小説です(あまりにも雑な要約)。
元来真面目(あるいは無垢?)であった主人公のドリアンは、画家のバジルを通じて知り合ったヘンリーに唆されどんどんよくない方向に進んでいきます。ヘンリーの人間像が非常にいい感じで、哲学的でなんだか深そうなよくわからないことを滔々と喋り続けるわけです。現代日本人である私の感覚からすると、ある種の魅力はあるにせよ関わってはいけないタイプの人間に感じられます。思うに、いい大人であれば本書が出版された当時からそう思っていたのではないでしょうか(事実、作中でもわりと他の人物は適当に褒めて聞き流しているっぽさもある)。しかし主人公のドリアンは無垢であるため、言葉を真に受けてどんどん享楽的な考え方に陥っていきます。
本作の魅力はいくつもあるように思いますが、まず第一にドリアンがどんどん堕ちて行って人間性が変わっていくさまが生々しいことがあると思います。生活の様子が浮世離れしていることとは対照的です。また、作中の人物が語る美や人生についての長演説も、読むのに体力が必要ですが妙に引き込まれる魅力があります。文学や音楽、神話などから引用して自説を語る場面が多くありますが、これも本書のペダンティックな雰囲気に寄与しているように思います。
偉大な名作にこういうことを言うのは憚られますが、読みにくいと感じる点もあります。ヘンリーがよくわからないことをひたすら喋る部分を読むのはしんどく感じることもあります。終盤ではドリアンまで似たようなこと喋るようになります。序盤の展開のゆっくりさも若干もどかしく思います。また、ある章から急に時間が進んで堕落が急に進んでいるので、過程がわかりにくく急だなとも感じます。 -
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存在は知っていたけれど、舞台ミュージカル「ワイルド・グレイ」を観ることにして、ようやか手に取った1冊。
美貌の青年ドリアン、ドリアンに魅了される画家バジル、ドリアンが魅了されていくヘンリー卿。「美」とは?「若さ」とは?
寓話的にも読める話。
これまで思いもつかなかった視点からの見方に、ドリアンが魅了されるのがよくわかります。
ドリアンが手にした様々な美しい物の羅列のあたりは、自分の想像力が及ばないので、冗長に感じましたが、
そこを乗り越えるとミステリーのような展開になり、一気に読み進めてしまいました。
最初は客観的な書き方だったのが、美しい物の羅列の後はドリアンの心情も含めた主観に近い書き方に変化していますが、特に違和感なく読めました。
最後の方に出てきた
「洗練を身につける方法は二つ。教養と堕落」
という言葉がなぜか印象に残りました。 -
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アメリカの作家ウィリアム・リンクとリチャード・レヴィンソンの共著の長篇ミステリ作品『レヴィンソン&リンク劇場 突然の奈落(原題:Shooting Script and Other Mysteries)』を読みました。
ウィリアム・リンクとリチャード・レヴィンソンの共著は、昨年3月に読んだ『刑事コロンボ サーカス殺人事件』以来なので約1年振りですね。
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『刑事コロンボ』をはじめとする数々の推理ドラマで世界中を魅了した名コンビは、戦後アメリカ黄金時代のミステリー雑誌を飾った短編作家でもありました。
その貴重な作品をお届けする〈レヴィンソン&リンク劇場〉完結編!
長年勤めた会社を退職する男の最後の計画とは? 妻を殺した夫が落ちた罠とは?
極寒の米軍施設で兵士が知った犯罪とは?
人生のさまざまなシーンで起こる多様な事件をあざやかに描きだし、予想外の結末に導く手練の技を、ぜひご堪能ください。
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アメリカのミステリ専門誌『アルフレッド・ヒッチコック・マガジン』等に1959年(昭和34年)から1966年(昭和41年)に発表された短篇を収録し、2022年(令和4年)に刊行された作品です。
■ミセス・ケンプが見ていた(Suddenly, There Was Mrs. Kemp )1959/川副智子 訳
■生き残り作戦(Operation Staying-Alive)1959/仁木めぐみ 訳
■鳥の巣の百ドル(The Hundred-Dollar Bird’s Nest )1959/上條ひろみ 訳
■最後のギャンブル(One for the Road )1959/中井京子 訳
■記憶力ゲーム(Memory Game)1959/小堀さとみ 訳
■氏名不詳、住所不詳、身元不詳(No Name, Address, Identify)1961/高橋知子 訳
■ちょっとした事故(Small Accident)1961/木村二郎 訳
■歴史の一区切り(The End of an Era )1962/後藤安彦 訳
■最高の水族館(Top-Flight Aquarium )1962/後藤安彦 訳
■ロビーにいた男(The Man in the Lobby )1966/川副智子 訳
■解説 二杯目もアメリカン~レヴィンソン&リンクの短篇世界 小山正
予想外の結末に導く手練の技が見事に発揮された作品ばかりで愉しめましたねー 面白かったし、1篇が20ページ程度なので、とても読みやすかったですね……そんな中で特に印象に残ったのは、、、
妻を自殺に見せかけて殺すことに成功した男に脅迫者から電話が掛かってくる……脅迫者と殺人者の攻防の果てに思わぬ切り札が示される『ミセス・ケンプが見ていた』、
贅沢な生活を夢想する貧乏医師……ついつい犯罪に手を染める決断をしてしまう人物の皮肉な結末を描いた『鳥の巣の百ドル』、
抜群の記憶力を持つ男……肝心な時に実力を発揮することができない男の悲哀を描いたコントのようなオチの『記憶力ゲーム』、
自動車にはねられて記憶喪失になった男……唯一残された手掛かりはポケットに残された医師の名刺と1,000ドル紙幣をもとに自分の過去を探ろうとする『氏名不詳、住所不詳、身元不詳』、
15年間勤めた会社を退職する男が、彼に残された誰にも言えない大仕事を仕上げようとする……伏線の張り方と意表な展開が愉しめる『歴史の一区切り』、
の5作品かな……好みの作品ばかりで気軽に読めて満足必至の逸品揃いでしたねー この作品の前に『レヴィンソン&リンク劇場 皮肉な終幕』という作品が刊行されているようなので、こちらも読んでみたいな。