佐藤いつ子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ本の雰囲気的に、夏休みの課題図書とかになってるのかな?と思ったら、中学受験向けの模試のテスト問題になったりしてるらしい。
なるほど〜、どうりで読みやすいわけだ。
小学校高学年くらいの子ならサクッと読めてしまいそうな内容だけど、ちゃんと伏線回収の要素もあるし、本を読んで自分のことを顧みる余白もあって、とても良い小説だと思った。
私がこの本で1番好きだったポイントは、本当に嫌なやつがほとんどいないこと。(北側先生は明確な悪役って感じなので彼は除く)
たしかに、瞳子や流星など、その人の言動・行動が自然と「透明なルール」を生み出してしまう登場人物もいるが、そいつらも心の芯から悪いやつなわけではない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ季節は終わりましたが読書感想文にもってこい感強めの1冊。
進級によるクラス替えきっかけで、クラスカースト高めのグループに入ってしまい、とにかく「嫌われないこと」「ハブられないこと」に心を砕きまくることになる主人公の優希。中2女子。
大体の物語では、カースト上位女子はプライド高めの嫌なヤツ率高し。
気弱な主人公は
風見鶏→勇気出す→楯突く→ハブられボッチ
この辺までを共通して辿り、反撃や懐柔などのルートを辿り、98パー
「私らしく生きていく」
にゴールするわけです。
これもゴールは一緒といえば一緒。
ただひと味違うテーマは
自分自身を縛る「透明なルール」。
その透明なルール -
Posted by ブクログ
今子どもが共感できるYAの書き手としてはトップクラスかもしれないな、佐藤いつ子さんは。
主人公は中2になったばかりの優希。友達とクラスが離れて不安だったが、一軍女子のグループに入れてもらえてホッとする。しかし、嫌われないよういつも気を遣っている。真面目な優等生だが人に心を開くのは上手くない。そんな優希が名門私立をやめて転入してきた愛と知り合って、同調圧力や自分を縛る思い込みに気づき始める。
文章が読みやすいしわかりやすい。テーマもいいし、登場人物の描き方もリアル。「オチ」があって物語としての読み応えもある。おまけに、長い読み物が苦手な今時の子どもたちにも読める短さ。
読むのが苦手でも、こう -
Posted by ブクログ
最初のシーン(モラハラ気味の父、それに気を使う母、思っていることが言えない主人公)が上手くて、良いかも!と思った。
読んでみて、とても上手い印象は変わらなかった。
が、私の好きな小説ではなかった。
思春期の登場人物たちの心の揺れを、巧みに表現した文章は、中学入試に確かに向いている。
内気だが秘めた強さを持つ主人公、積極的でコミュ力高くても実はコンプレックスを持っている女子、バスケ部のエースのように目されながら、友人の能力の方が高いことに焦りを感じている男子、何事もそつなくこなすが、夢中になれるものがない男子と、身近にいそうなキャラクターばかりで共感しやすい。
(音楽にずば抜けた才能を持つ登場 -
Posted by ブクログ
小学校時代にやった駅伝で、自分の走りを認めてくれた先生のいる中学校の陸上部で走りたい。そう思って越境入学した学校だったが、その先生は走哉と入れ違いに異動
廃部寸前の陸上部の危機は幼馴染の陸がマネージャーとして入部したことで免れたが、メンバーの少ないこの陸上部では活動も難しかった
1巻ではこんな感じのところで終わった駅伝ランナー
2巻では
陸上部を遠くから見ている少年(一心)と走哉の二人の視点で話が進む。
学年の途中で転校してきた一心は実は陸上界の注目選手。
とある事情で名門陸上部のある学校から転校してきた
走るのは好きなはずなのに、陸上は辞めたという一心
辞めたと言いながらも陸上部に絡んでく -
Posted by ブクログ
外側から見える表情からは胸の内は見えてこないんだな、という思いをすごく感じました。全体を流れる透明感のあるストーリーのおかげで、より一層、それが強調されて、胸に響きます。
胸の内を理解するために必要なことってなんでしょう。僕は、この小説を読んで、実は互いに向き合う事なんだって思いました。
この小説における晴れ舞台は合唱コンクールです。そこの成功はどこにあるのかと考えたときに、僕は思ったんです。「何を奏でるか」以上に、「一人一人の気持ちを『チューニング』できるか」の方に価値があるんだろうなと。
大人の僕らも、そうじゃないですかね。各々を尊重することから、実はその『チューニング』がで