鈴木芳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私の語彙力では言い表せなくて申し訳ない。
凄く面白く読んでしまった…
『若きウェルテルの悩み』では、ウェルテルよりゲーテの文章や感覚が若い!!
この著書は壮年期くらいだろうか?
バッディール建築に魅せられる様子が、もう「ここツッコみたい」となったしまい…
でもさすがそんな品のない文章は書かず、完成されていないものすら、彼の完成ではキラキラしているのだ、と。
ゴンドラで船頭さんたちが歌を歌って近況報告(やら情勢報告やら)してる場面は、最初面白く読んだが、
これ、識字率や情報弱者の視点から見ると、こうして日常のあれこれを知れるのって実は貴重なのでは…
学術的な読み方ではないため、参考 -
Posted by ブクログ
本書は散漫な読書や軽薄な文筆に対する罵詈雑言集だ。
ショーペンハウアー曰く、
・紙に書き記された思想は、砂地に残された歩行者の足跡以上のものではない。なるほど歩行者がたどった道は見える。だが、歩行者が道すがら何を見たかを知るには、読者が自分の目を用いなければならない。
なるほど、読書は受動的な行為であると考えていた私にとって耳が痛い言葉だ。
・真の思索家タイプや正しい判断の持ち主、あるテーマに真剣に取り組む人々はみな例外にすぎず、世界中いたるところで人間のクズどもがのさばる。クズどもは待ってましたとばかりに、例外的人物の十分に熟考した言説をいじくり回して、 せっせと自己流に改悪する。 -
Posted by ブクログ
「自分の頭で考える」「著述と文体について」「読書について」の3章から成っているが、1,3章と2章で全く印象が異なる。
1,3章は現代にも通ずる鋭さがある。読書は他人の思索の過程をなぞる行為にすぎないという視点は秀逸。まぁ、何も考えないで生きてるよりは読書をする方が100倍マシであると思うけど。
しかしながら、2章が酷い。言ってることは「格式高い昔の文法を大事にしようね。端折るのはダメ。」ということだけなのに、それになんと106ページも費やしている。彼は「ドイツ人の文は曖昧で、入り組んだ長い挿入文が満載」と述べているが、ここまで綺麗なブーメランは見たことがない…
それでも歴史的大著であることは -
Posted by ブクログ
前から読みたいと思っていた本
なんと新訳が出ていて嬉しくなりました
1819年に書き始めたとのこと
なんてことでしょう日本は江戸時代
登場人物の背景は確かに時代を感じさせますが
ムルくんの可愛い猫たる姿はまったく時代を感じさせない
あげようと思ってくわえたニシンを運んでいるうちに食べてしまったり、先生の机の上をグジャグジャにしてしまったり、恋敵に叩きのめされたり
もう目に浮かぶ!
そしてムルくんの書く小説の愛くるしい登場人物たち
まだ半分ですが、読んでよかった!早く続きを!
が、腰を据えて読まないと内容が入ってこないので何日かかかるだろうな -
Posted by ブクログ
読書と著述について、一般に「善い」とされるそれら営為を改めて振り返り、愚鈍な手法について強い主観で批判した本。
ショーペンハウアーを読むのは初めてだったけど、最初から最後まで口が悪すぎて終始笑いながら読めた。ページをめくる度に新しい悪口が出てくる。
「読書」は著者の思索をなぞるだけであり、まず自身の思考軸を持ち、それを補するものとして接しない限りは空虚な営為だという批判が主。特に多読や流行り物を批判する。
これは昨今、web上でインフルエンサーの意見を多量摂取し、それをなぞった主張するだけの人へも同じ批判となるだろう。
流行りのビジネス書を何冊も読むより、現代まで残っている古典書をマイペー -
Posted by ブクログ
哲学書の中ではかなり読み易い部類に入るだろう。全く哲学に触れてこなかった人や中学生くらいでもこれは読めると思うし、衝撃的ながらも「確かに」と首肯してしまう内容になっている。
「読書について」とあるが、ショーペンハウアーはその冒頭で「読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ。他人の心の運びをなぞっているだけだ」とバッサリ断じてしまう。しかしよくよく考えると確かにその通りなのだ。読書とは他人の思考をなぞる行為でしかない。下手な自己啓発本を礼賛する行為に嫌悪感を感じるのはそれが先鋭化されているからかもしれない。
とはいえ、ショーペンハウアーは読書そのものを否定している訳で -
Posted by ブクログ
すごく読みやすくて面白かった
読書が好きな人は共感する部分が多いのではと思う
人生の質は経験の数ではなく精神的充足の密度で決まると思っているけど、その根底を言語化してくれていて頭の中がスッキリした感覚
自分含め、皆が周りでなく自分自身を変えることに意識が向けば、少なくとも今より精神的に豊かな世界になるんじゃないかな
✏人が直接的に関わり合うのは、みずからが抱く観念や感情や意志活動だけであって、外的な事柄は、そうした観念や感情や意志活動のきっかけをつくることで、その人に影響をおよぼすにすぎないからである。
✏現在と現実の客観的半面は運命の手に握られており、それゆえ変化しうる。いっぽう主観的 -
Posted by ブクログ
ロシアの大文豪トルストイに、
多くの人間たちの中でももっとも天才的な人物だと確信すると言わせたドイツの哲学者ショウペンハウエル。
今から150年ほど前、当時の一般的な常識であった、人生とは幸せになるためのものという前提を根底から覆し、人生とは困苦であり退屈であるのだから、いかにその災難から逃れられるかが、幸福を握ると喝破した。
アリストテレスの「賢者は快楽を求めず、苦痛なきを求める」という文言こそが生きる知恵の最高原則だと講ずる。
引用される人物
ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ホメロス、セネカ、キケロ、シェイクスピア、ゲーテ、スピノザ等
古代ギリシャ、古代ローマ、中世ヨーロ -
Posted by ブクログ
読書という姿勢について哲学的視点から読み方と良書の選び方を勧め単に読むことで情報を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えながら思索し、批判的姿勢、疑問、問いを浮かべながら読むという行為をすることを推奨している。
本に限らず、動画やSNS等で様々な質の悪い誰が言ったのかもわからない情報や誤情報で溢れている。本でも同じことを情報への向き合い方について本著は示すものだ。100年前の書物であるが、良書とは何か、悪書とは何かを自分自身で吟味すると良いだろう。
著者が推奨する良書というのは時代を超えて価値を持つ本というものは、古典のように、長く読み継がれた理由があるもの。短命な流行書ではなく、世代を超えて