鈴木芳子のレビュー一覧

  • 幸福について

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    人は意識せずとも他人と比べ、未来を憂い、今を見ず感じず、他人や過去未来をばかりを見て比較し、不安や不幸の迷路に陥ってしまう。本著で気付けることは、他人や実体の無い過去や未来を憂うことを止め、私たちが「今、生きている」という実感と、様々な視点を本などから学び、多様な経験を通して内面を豊かにすることで、孤独や不安や他者との比較や不幸に迷路に迷わず、今、私が感じている充実感と私だけの本来の幸福に気付くべきだと示唆している。
    不安や心配も社会通念上の幸福は「迷妄(幻想・錯覚)」と説き、私も同意する。
    私たちは常に誰かが作った幸福の尺度の中で生きている。常に比較し疲弊し摩耗している。自分の声を聞く必要が

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    2025年07月25日
  • 読書について

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    全体を通して批判的な文章なのだが、文章力強くエネルギーに満ち溢れていて一種の爽快感となっている。
    本書内でも語られている通り比喩表現が秀逸で哲学書をあまり読まない自分でも比較的読みやすかった。
    「著述と文体について」は当時のドイツ文学界に対する批判が延々と綴られているので現代に読む自分としては冗長に感じる部分もあるがそれだけ感情がこもっているとも受け取れる。
    現代においても学ぶところの多い名著。

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    2025年06月10日
  • 幸福について

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    私にとってショーペンハウアーはド定番なのだが、時々読み返したくなる。心が弱っている時とか、素朴な視点で状況を見直すのに最適だからだ。つまり、そういうタイミングなのだというバロメーターにもなる。食べたいものは身体が欲するもの。読みたいものも然り。実際に弱っている訳ではなく、単に関西と関東を行ったり来たりで疲れているだけだが。尚、本を開いたまま、気付くと駅から駅に瞬間移動している不思議。

    ー 人間は知的教養よりも富を得ることに千倍も一生懸命だ。すでに持っている富を増やそうと、休む暇もなく多忙をきわめ、朝から晩までアリのようにせっせと働く、なんと大勢の人がいることだろう。そういう人は富を増やす方法

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    2025年04月11日
  • 読書について

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    読書をしている人間なら、必ず一度は読むべき作品。

    読書は自分で考える力を衰えさせるという言葉は、自分の胸に深く突き刺さった。ただ、彼の言葉を引用している時点で、私は自分で物を考えられてはいないのかもしれないが。

    昨今読書の有用性ばかり主張されるが、今の世の中には悪書が蔓延っている。だからこそ、読むべき本は選ばなければならない。

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    2025年04月11日
  • ネコのムル君の人生観(下)

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    昨年上巻を読んで、気づけば半年が経っていた。

    ネコのムル君が筆を取るときに音楽家クライスラーの伝記を下書きとして使い、出版社にそのまま送ってしまったため、ムル君の話とクライスラーの話が交互になって出版されたという設定の本。

    下巻は若者から成熟期に至るまでのムル君の人生が綴られている。
    学生連合に参加するようになって以前の品格がなくなったと人間様から言われたり、犬族が集まるパーティに参加したりと、世界を広げていくムル君。
    そしてその間に挟まるクライスラーの伝記。正直最初は読みにくかったけど、ムル君の話とリンクするところもあってだんだん慣れてくる。
    あとは所々に編集者のツッコミがあり、「ネコ君

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    2025年03月27日
  • 幸福について

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    この本には、劇的な事は何も書かれてはいない。しかし、彼が語るある程度幸福で生きるための方法は、現代の私達に深く突き刺さる。分かるのは、いつの時代でも人間は、退屈と他人に悩まされるという事だ。

    私も人生に対してあまり期待をせずに、明るく、健康で生きてゆきたいと思う。内面の富を大切にしろという彼の言葉が、今の私には突き刺さった

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    2025年03月19日
  • 読書について

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    「読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ」はよく引用される箇所だが、それ以外にも「良書を読むための条件は、悪書を読まないことだ。なにしろ人生は短く、時間とエネルギーには限りがあるのだから。」だったり、「読書と同じように、単なる経験も思索の代わりにはなれない。」だったり、ギクリとする記述が多く見られる。その他にも古典や原著を勧めていたり、多読を批判していたりと、著者の読書についての独特の見解が読む者の心に突き刺さる。果敢に読書に取り組んできた自分にもこれらの言葉は突き刺さり、繰り返し問いかけた。読書できているのか、と。読む者に問いかける切れ味抜群の言葉たち。読書する

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    2024年12月24日
  • 幸福について

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    厭世世界をどう生き抜いて幸福である事を実感するか、又は真の幸福とは?について書かれていた。
    他者からの印象を気にせず、たまには独りの時間をどっぷりと楽しみ、その孤独な時間を愛せる者は真の幸福を知っていると説く。
    外的刺激は殆どがまやかしと幻想。
    そこから少し離れられるか、そうでないか。
    喧騒と社交、対人関係を好む者は時を前借りしていて、そのツケは50代から支払う事になる。
    時の前借りとはとても残酷だと思ったし、そうならない為に今をより幸福な、今風に言えばストレスフリーな生き方をする事を勧められている。
    ストレス…現代にはストレスの要因になるものばかりで頭が痛くなるが、これを最小限に排除して生き

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    2024年09月30日
  • 読書について

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    読書とは、他人の掘った溝に水を流すようなものです。
    作られた溝に水を入れ、思考の川を作ることです。
    才能ある人によって作られた溝は、きれいな流れの川になります。
    ですが自分の川ではない。

    自分で考えることは、自ら溝を掘り川を作ることです。
    苦労の多い方法ですが、完成した思考の川は自分にしっくりくるオリジナルなものになります。
    天才の作る川より不恰好であったとしても、それは自分の考えです。

    読書と考えることは似てはいますが、全くの別物です。
    自分で考える習慣を大切にしたいです。

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    2024年08月08日
  • 読書について

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    エッジの効いた言葉が軽快に続いていく。なんならこれでラップできるんじゃないかと思うくらいのディスもあったりして、マインドがラッパーと通じるような新鮮な感覚だった。
    その一方で、
    「読書は自分で考えることの代わりにしかならない」という言葉は、少し寂しいな とも思う。
    物語が読者と繋がり、一つの世界を一緒に創りあげていく面白さや、それが生活の一部となり生きる糧になることも沢山あると思った。
    ショーペンハウアーに「頭が空っぽの凡人」と形容されても、凡人が故の楽しみ方もあると思う。凡人がいるからこそ、非凡が生まれて、素晴らしい作品ができるとも思った。

    けど、こう思えることもこの本があってからこそ。や

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    2024年04月07日
  • 幸福について

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    幸福について、ショーペンハウワーの切れ味鋭い視点から述べた一冊。訳が読みやすいのと、堅苦しく感じる哲学っぽさは全くない。加えて、物事の本質を突いた内容であり、大変勉強になる。

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    2023年11月28日
  • 読書について

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    ショーペンハウアーが、無能な作家や出版社のことをめちゃくちゃに貶しててそこが面白い。主張
    は的を得ており、どれも本質的だ。

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    2023年11月09日
  • 読書について

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    耳に痛い。本を読んでも身になっていないと薄々感づいてはいた。そういうことだったのかと一撃を喰らう。
    下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるで、とにかくたくさん読めば得るものもあるだろうと読んできた。古典も新しいものもだ。欲深な私は両方を読みたい。せめてこれからは自分の頭でじっくり考えてから脳内にしまうことを心掛ける。

    間違った使い方の日本語と匿名の書き込みが溢れる今の日本をショウペンハウアーがみたら何と言うか。罵られる。

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    2023年10月25日
  • 読書について

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    ずっと読みたいと思っていた本。
    本を読むのは大好きだけど、それで満足していてはだめ。
    どんなにたくさん読んでも、自分の頭で考えずに鵜呑みにしていてはだめ。
    自分の頭で考えろ! それが大事。

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    2023年10月09日
  • 読書について

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    本を読むとは、自分の頭ではなく、他人の頭で考えることだ。

    衝撃を受けた一冊。読書は量ではなく質であると再認識させてもらった。悪書はすぐに切り捨てることも大事だと感じた。
    比喩が巧みで舌鋒鋭い批判は爽快ですらある。

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    2023年09月28日
  • 読書について

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    読書のすすめみたいなものかと思って読み始めたら「本を読むより自分の頭で考えるべき」といきなり書かれていてズシリときた。「読書していると自分の頭で考える必要がなく、他人に代わりに考えてもらえるから気が休まるのである」というあたりは本当に耳が痛い。
    とはいえショーペンハウアーだって本はしっかり読んでいるわけで、読むなら良書だけを読み、書かれた内容をしっかり反芻せよということ。
    「著述と文体」という論説では、悪書ばかりが濫造される当時のドイツ文壇の姿勢から、ドイツ人の文章の書き方自体まで、くどいほどにdisりまくっている。(本当にくどいので途中から読まなくてもいい。くどすぎるので★を1つ減らした)

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    2023年06月24日
  • 幸福について

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    この本は、「どうすれば幸せに生きられるのか?」について考察された本です。
    「その人は何者であるか!」ということが最も大事なことであり、本人の感じ方、内面こそが幸不幸を決めるものですよー❕と書かれています。
    スッと頭に入ってきて、古さを感じないで読めるので、とてもすごい本だと思います。
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

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    2022年03月18日
  • 幸福について

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    反出生主義の立場から幸福論を語るからこそ説得力があるように感じた
    最悪なこの世に投げ込まれた今、幸福の正体は「苦痛なきこと」であるという思想は、劇薬にも救いにもなる

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    2021年08月01日
  • 幸福について

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    俗な幸福論ではない。
    「人は幸福になるために生きている」というのはまやかしだという。
    幸福はむしろ人を弱くする側面もあるという。
    自分だけをよりどころに自分を育て、孤独に耐え、孤独を愛し、不幸の少ない人生を送れ、との主張を、ときにシニカルな(=現実を見据えた)筆致で綴っている。

    女性、人種、ユダヤ人、現代で言う「認知症」などへの考え方が時代錯誤なところはある。しかし、名声、名誉、過度に一般化された国民性、決闘、戦争、保険料、青年期と老年期の役割の違いなどへの言及は今も色あせない鋭さをもっている。

    日記が大事だとさらりと書かれている。

    巻末の解説が素晴らしく、理性を重視したヘーゲル哲学を乗

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    2021年05月13日
  • 幸福について

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    直接的に幸福にするのは、因果を逆に捉えがちだが「心根が明るいこと」である。「この特性は何にも代えがたい」とショーペンハウアーは語る(5%辺り)。陽気さにとって富や名声ほど役に立たないものはなく、健康ほど役立つものはない。健康第一というわけだ。

    置かれた環境下で幸福感が左右されてしまう外的要因に心惑わされることなく、内的要因に心の平和を見出そうとする考えは成熟社会の日本では一般的と言っていい(常にこれに立ち戻るのは難しいが)。「健康な身体」もそういう意味では状態に左右されてしまうので不健康であっても維持できる強固な心の平和、サンクチュアリを創造したい。

    著者によると、幸福の基礎をなすのは動物

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    2021年04月17日