大島豊のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・蝶々、黎明に落ちて
・船を造る者たち
・包嚢(ほうのう)
・星々は待っている
・形見
・哀しみの杯三つ、星明りのもとで
・魂魄(こんぱく)回収
・竜が太陽から飛びだす時
・茶匠(ちゃしょう)と探偵
今まで読んだことのないタイプの作品でした。
シュヤ宇宙という、独自の世界を舞台にしているのですが、それぞれの作品に関連性はありません。
アジアを彷彿させる大家族主義、先祖崇拝、長幼の序、親孝行、輪廻転生、観音信仰等、私たちにも身近なそれらが、シュヤ宇宙に住む彼らの日常に深く影響を与えている。
しかし人々は死んでも、その記憶はデータ化されその多くは子どもに受け継がれる。
多くの御先祖様と実 -
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ハードSFの巨匠ホーガンが90年代に書いたVRものSF。原題「REALTIME INTERRUPT」よりも邦題「仮想空間計画」のほうが内容をイメージしやすくてわかりやすい。
閉じ込められた仮想現実(VR)から脱出するという、今やありふれた話ではあるが、、ホーガンらしく科学的な検証や企業政治のゴタゴタ、丁寧な人間心理の描写などが緻密に書かれているためか、今読んでも古さを感じない。
舞台は2010~2022年となっており、記憶を思い出すように過去と現在の主人公が交互に描かれて進行し、失った記憶の謎でつながっていく流れが面白い。VR内と現実に時間の速度差があるあたり、マトリックスというよりはインセプ -
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時の他に敵なし。じゃ敵は時か。
国家的プロジェクトとしてタイムマシンで200万年ほど過去に戻り、原生人類ホモ・ハビリスの調査の任にあたった「ぽく」、アメリカ空軍下士官ジョシュア・カンパは、そこでヘレンと名づけたハビリスの女性と恋に落ちるという話。タイムマシンはバスの中に設えられ、「むこう」では空間に穴が空くというドラえもんのタイムマシン方式で、そこから吊り台で過去の世界に降りる。ヘレンのいるハビリスの群れに受け入れられようと奮闘する姿が描かれる一方で、ジョシュア自身の生い立ちがカットバックされていく。
彼はスペイン人の唖の娼婦の息子として生まれたが、恐らく父はアメリカ軍の黒人兵。スペイン -
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ネタバレ二階堂奥歯さん「八本脚の蝶」に収められていた書評で本書を知り、読みました。
製造された少女たちは注文者の望みどおりにカスタムメイドされ、愛玩の後に引き払われ、使えなくなるまでとことん使い尽されてポイ…それをするのはもちろんMAN。
女性が男性に身体改造されて隷属している世界。フィクションだから極端で酷く悪趣味(そこはかとなく漂うマンガチック…)だけれど、「男性が女性の身体について定義する」というのは現実世界でも起きていることだな…と、読み進めていく裏で考えていました。
女性も一枚岩ではない。でも、新しい世界への柔軟性は高い。
隷属を是としない。考える。カスタムしてまで支配する世界は極端だけれ -
J・J・アダムズ / チャーリー・ジェーン・アンダーズ / トバイアス・S・バッケル / ベッキー・チェンバーズ / ヴィラル・カフタン / ジョゼフ・アレン・ヒル / アダム=トロイ・カストロ&ジュディ・B・カストロ / キャロリン・M・ヨークム / アラン・ディーン・フォスター / カール・シュレイダー / A・マーク・ラスタッド / ショーニン・マグワイア / アリエット・ド・ボダール / リンダナガタ / ユーン・ハ・リー / カット・ハワード / ジャック・キャンベル / カメロン・ハーレイ / ダン・アブネット / 赤尾秀子 / 新井なゆり / 市田泉 / 大島豊 / 小野田和子 / 金子浩 / 小路真木子 / 中原尚哉 / 原島文世 / 細美遙子3.3 (3)
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作者はフランスとヴェトナムの血を持つフランス人。
9編の中・短編集は、いずれもネビュラ賞・ローカス賞などを受賞した作品で、同一の世界観の舞台をもとに、本編以外にも数多くの作品が世に出ている。
物語の世界では多分にアジア的な要素を盛り込んで、独特の舞台を作り上げているが、どこか、欧米人が抱く日本像の映像化された作品を見た時と同じ歯がゆさを感じるのも、奇妙な味わいの要素として、プラスに働いていると思うこともできる。
どう解釈すればいいのかわからない単語が、何の解説もなくやってきては消えていくことも、なじんでくれば、この不思議な物語の本質の中に浸かることになる。
ヴェトナムは、過去から中国王 -
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人類(human)=男(man)である価値観の下、女は男の所有物である「モノ」としてしか生きることを許されない未来。とあるコンクリートの島において、顧客たる男の欲望に基づき遺伝子改変と肉体改造を経て「製造」されるカスタムメイド・ガールたちの体験を描く物語。常人の二倍以上の大きな青い目を持つ素直なジェイド、六つの乳房に加えて顎にも乳房を持つ優しいハナ、獣の毛皮と獣性を併せ持つ勝気なマリ、金持ちの煙草入れとして乳房を引き出しに改造された高慢なキャシィ・・・彼女たちが「出荷」された後の過酷な顛末とは?
一言でいえば、残酷な「大人の寓話」、ということになるのでしょう。
SFとしての科学的な説得力より -
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読む人によって評価が分かれるかもしれない。登場人物の置かれる立場(舞台)が、章ごとに飛んでしまうので、そこが読みにくいというか迷子になりそうなところだった。読み進めれば、これも演出の一つなのだと分かると、面白くなっていく。むしろ、舞台がコロコロ変わることによって、SF的リアルさが増す。読者が迷うというのは描写が見事だということに他ならないと感じた。物語の視点が仮想空間にあるのか、現実世界にあるのか気を付けながら読むと、迷わずに楽しめるだろう。でも作者には騙されるのだろうな。まあ騙された方が楽しいので、穿った見方をせずに素直に読めばいいと思う。
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J・J・アダムズ / チャーリー・ジェーン・アンダーズ / トバイアス・S・バッケル / ベッキー・チェンバーズ / ヴィラル・カフタン / ジョゼフ・アレン・ヒル / アダム=トロイ・カストロ&ジュディ・B・カストロ / キャロリン・M・ヨークム / アラン・ディーン・フォスター / カール・シュレイダー / A・マーク・ラスタッド / ショーニン・マグワイア / アリエット・ド・ボダール / リンダナガタ / ユーン・ハ・リー / カット・ハワード / ジャック・キャンベル / カメロン・ハーレイ / ダン・アブネット / 赤尾秀子 / 新井なゆり / 市田泉 / 大島豊 / 小野田和子 / 金子浩 / 小路真木子 / 中原尚哉 / 原島文世 / 細美遙子3.3 (3)
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J・J・アダムズ / チャーリー・ジェーン・アンダーズ / トバイアス・S・バッケル / ベッキー・チェンバーズ / ヴィラル・カフタン / ジョゼフ・アレン・ヒル / アダム=トロイ・カストロ&ジュディ・B・カストロ / キャロリン・M・ヨークム / アラン・ディーン・フォスター / カール・シュレイダー / A・マーク・ラスタッド / ショーニン・マグワイア / アリエット・ド・ボダール / リンダナガタ / ユーン・ハ・リー / カット・ハワード / ジャック・キャンベル / カメロン・ハーレイ / ダン・アブネット / 赤尾秀子 / 新井なゆり / 市田泉 / 大島豊 / 小野田和子 / 金子浩 / 小路真木子 / 中原尚哉 / 原島文世 / 細美遙子3.3 (3)
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巨大宇宙SFってなんだ? と思っていたら、スペオペでした。あとがきではスペース・オペラを連呼しているんで、禁句と言うことはないと思うが、背表紙や帯の惹句には、どこにもスペオペとは書いてない。なんとなく不思議。
で、中身の方はニュー・スペース・オペラ以降の、アクションSFが主軸。一昔前のスペオペ・アンソロジーなら、もう少しB級感というか、やさぐれた感じを出してきたような気がするが、これはこれでいい。ただ、これはお約束なのか、どれほどとんがったSFガジェットをてんこ盛りにしていても、人情とか、家族関係なんかは今と変わっていない設定のお話がほとんど。多少の違和感はある。 -
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大ベトナム帝国と紅毛(ギャラクティカ、いわゆるEU圏的勢力?)が覇を争う宇宙世紀の短編集。評価は星3つ。要約すると、
・民族的な文化描写が半端で浅い
・文章はそこそこ良い
・ドラマは70点
なせいで、逆に胃がむかむかする。
飯の話と一族祖先の話してりゃ民族描写だと思ってるんかい、と。
民族的な文化や、歴史事件を織り込んだ描写の名手といえば、ケン・リュウが真っ先に思い浮かぶ。
ついつい対比してしまうのだ。
たとえば、格言や言い回しひとつひとつに、文化は現れる。
選ぶモチーフや意匠の一つ一つに、登場人物の人格や人生が反映されているかどうか。
対比して気づくが、アリエット・ド・ボダールの本作