越智睦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
嘘と隠し事のてんこ盛り。彼と彼女にこれから何が起こるのか…これぞサスペンス #彼と彼女の衝撃の瞬間
■あらすじ
イギリス郊外の森で、女性が殺される事件が発生した。TVニュースの女性記者であったアナは、事件の取材で犯行現場に向かっていた。
一方、地元警察のジャックは、森で捜査の陣頭指揮をとる。彼は殺害された女性を見て思った。昨晩一緒にいた女だと…
■きっと読みたくなるレビュー
これぞ怒濤のサスペンス!面白いっ
次々と展開される場面描写が面白くて、どうやっていくのか気になる気になる。各章の最後の一文で、えっ?!といった、読者を決して休ませてくれない書きぶりが見事!
主人公二人の嘘と隠し事が読者を翻弄させて、なにが真実なのかよくわからない。しかし話の筋は通っていて、この二人の関係性ならそうなるよな~という納得感も高いんですよね。
関係者たちも嫌味っ気が多い人たちばかりで、しかもプロットやセリフ回しが鬼ウマイ。家族、同僚、友人、恋人、誰も彼もが犯人に見えてくる。
とにかく全編通してヒリヒリ感が絶え間なく押し寄せる。熱い呼吸がすぐそこで聞こえてくるようなんです、これは怖い!
そしてミステリーとしても、かなり強烈です。
ぜひ最後まで読んで、あなたも「衝撃の瞬間」を味わってください。
■本作の推しポイント
本作は人の苦悩を文学的な表現で綴るのが大変お上手。
一連のエピソードをもとに、人生の悩みを深く深く考察して哲学的な表現が多いです。特に年齢を重ねている私には、共感できる文章がいっぱいありました。
誰しも嘘、隠し事は持っている。
人は後悔したくない、弱いからこそ、薄っぺらい希望で上塗りして生きているのだ。
確かに、ひとりきりで現実を直視するには厳しすぎる世の中ですよね。支え合うことができる大切な人を見つけられることこそ、人生の幸せだと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『彼と彼女の衝撃の瞬間』のアリス・フィーニーの最新作(といっても昨年7月刊行ですが)。
今回も”彼”(相貌失認という障がいを持ち、顔を見てもそれが誰かわからないアダム)と”彼女”(その妻アメリア)+1(謎の女ロビン)の交互モノローグで展開されていく緊迫感溢れるサスペンス。
ただ、今回序盤は事件らしい事件は起きない。
結婚生活に行き詰まりを感じている2人は、何とかその閉塞感を打ち砕こうと”彼女”の職場のクリスマスくじで当たった週末の旅行に繰り出し、そこで見舞われる災難(吹雪、やっと辿り着いたチャペルを改装したと思われるうすら寒い宿泊施設、そこで起きる不気味な事象の数々)が展開されていく。
間に挟み込まれる、どうにも真意を掴みかねる意味深な2人の思惑と、12年前から1年毎に2人の結婚記念日にしたためたとされる”彼女”からの秘密の手紙。
すれ違いを重ねながら根底にある愛情でどうにか12年の月日を繋ぎ止めてきたように見える”彼”と”彼女”のように見えるが、果たしてこの物語の行きつく先は。。。
前作のような殺人事件ありき、犯人はどっちだ!?的なノリではないので、リーダビリティが低めで正直前作は越えられていないかなぁという感想。
それでも最後には明かされる各々の秘密に紐づく意外な真実がもたらす結末は”なるほど”のはまり具合。
原題は『Rock,Paper,Scissors』。
物語中、”彼”の著した作中作のタイトルとしても登場するキーワード。
必ず”彼”が紙を出し、”彼女”がハサミを出す、という暗黙の合意を続けてきた中で、”彼女”が勝ったら結婚生活を終わりにするという賭けの場面に”彼”は勝とうと”彼女”は負けようと石のあいこで始まる勝負の場面には、前後の展開は置いておいて「されど夫婦」の愛情の形を見た気がしてぐっとくるものがあった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ彼(ロンドンから車で2時間の英国の典型的な町、ブラックダウンのジャック警部)と彼女(幸運が重なりBBCキャスターの座を手にしていたが、産休明けの正職復帰により一夜にしてリポーターへ格下げされたアナ)+1の交互モノローグが織りなすページ捲りが止まらなくなる秀作サスペンス。
彼と彼女のルーツとなっているスモールタウン、ブラックダウンの町で起きた連続殺人事件。
最初の被害者はレイチェル・ホプキンズ、昨夜の彼の密会相手、かつ彼女の学生時代のクラスメイト。
のっけからのっぴきらない状況に陥る彼だが、次々に起きる不可解な状況、秘密を匂わせる意味深なモノローグがぐさぐさ刺さってきて緊迫感がたまらない。
いかにもな目くらましではあるのだが、上手いこと揺れ動かしてくるので、もしかして、、、と著者に翻弄されっぱなし。
これでストレートな結末だったら肩透かしだぞ、と思ったのも杞憂で、しっかりナナメからの真相。
星5でもいいくらいかなと思ったけれど、唯一無二ではないかなかと思い星4止まり。
でも、癖ないので間違いなく楽しめる海外ミステリ。 -
Posted by ブクログ
巧いなー
この字の巧い
とっても巧いと思いました
4つの視点で少しずつ進む物語
少しずつ明かされる物語
そして驚きをもってひとつ明かされると
空いた場所に新たな謎が埋め込まれる
伏線は回収されても全くスッキリさせてくれない
相貌失認症がギミックとしてすごい生かされてる
文章で構築される隠された世界にさらに相貌失認症を加えることで二重三重の目眩ましになっている
もう匠の技をしっかりと堪能させて頂きました
でもこれサスペンスなんだよねー
気付いたんだけど自分そこまでサスペンス好きじゃないみたい
この匠の技がミステリーとしてちゃんと昇華してたら文句なく★5だったんだけど
面白いよりも巧いが先にきちゃったな -
Posted by ブクログ
実に面白いミステリーでたいへん満足した。フィニーは"twisty, turny books"が好みだと言っているそうだが、本書はツイストがひじょうに利いていてジェットコースター・ライドが楽しめる一級のエンタメになっている。
だいたいは当てにならない帯(宣伝文句)だが、本書の「驚異の一気読み、驚愕のどんでん返し!」は正にその通り。
以下、少しネタバレになるので未読の方はスルーを。
p.66にアメリアが「10年という時間は顔が記憶に残らない相手と結婚を続けるのには長過ぎる」と言っており、読み返した際に、『これっておかしいよな!』と思った(アメリアはアダムと結婚して2年しか経っていない)。しかし、終盤p.351でアメリアは「10年は、結婚生活を送るには長い時間で、アダムとロビンは自然な経過をたどったのだ」と言っており、p.66の表現は自分とアダムとではなく、ロビンとアダムのことであったことがわかる。つまり、p.66の表現は、アメリアとアダムが10年間結婚していたかのように読者に思わせる"red herring"だったわけ。アンフェアかと問われれば、「ま、セーフかな」と思う。
-
Posted by ブクログ
「彼」と「彼女」のふたつの視点で、ひとつの真実を描いていくミステリなのですが、テンポ良く意外性がぽんぽんと次から次に暴かれていくので、結構なボリュームながらも小気味いい感覚で読み通せました。
その意外性の見せ方が、切り替わる視点のタイミングで伏せていた手札をくるっと裏返すような何気なさ、さりげなさで「え、そうだったっけ?」という事実がひとつひとつ示されていくので、読み手を飽きさせない。次の「彼/彼女」の視点にすぐ進みたくなります。
その上中盤からは一気に事件がきな臭くなり、目まぐるしく状況が判明していって、そして、ミステリの醍醐味がものの見事に現れてくれます。なるほどそう来たかと。多少力業を感じはしつつも、登場人物の配置にほんと無駄がなく、とてもスマートに仕上げられたミステリで楽しめました。 -
Posted by ブクログ
帯には「どんでん返し」の文字
タイトルにも「衝撃」とある。
ある女性殺害事件について追っている
記者のアナと刑事のジャックが、交互に語っていく。
"信頼できない語り手"×2の状態
間に"犯人"視点の語りが入る。
この時点でかなりハードルが上がると同時に、読んでてとても不穏な空気感が凄い…
小さなことを無視できないし、ちゃんと事実を伝えているのかも疑わしい。
ただ翻弄されるのも楽しみつつ、負けじと途中で紙に相関図を描いて整理し、犯人を予想してみたが見事に外れた…全然違った…面白かったです。
語りのラストが毎回クリフハンガーを仕掛けてくるので、海外ドラマ好きな人にはオススメ。