飴村行のレビュー一覧
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2017年、19冊目は、約1年半振り『爛れた闇』以来の飴村行。120p前後の中編2本収録。
水銀のエンゼル:チョコボールのCM、「銀のエンゼル」のパロディー的タイトル(?)。医大を中退した藤村晃介は、新人作家。やっと、仕事が軌道に乗り始めたために上京。その住まいの隣には、偶然にも彼のファンの女性が住んでいた。
路地裏のヒミコ:大学卒業後も、ネオモラトリアムな生活を送る大輝。大学からの彼の友人でミュージシャン志望の茂夫。二人は25年前、預言者として地域のカリスマであった「ヒミコのオッサン」の、その後を追いかけるようになる。
飴村行と言えば、『粘膜』シリーズ。そこで見せた、エロ、グロ、暴力、冒険の飴村流エンターテイメントは今回抑えめ。逆にコミカルな部分が前面に出ている印象。どちらかというと『爛れた闇』の感触に似ている。『粘膜』シリーズ好きには正直、物足りない。逆に、飴村行入門編にはイイかも、といった感じ。
個人的に一番残念なのは、2本ともクライマックスでヒネって、オチ。このヒネり方、オチのパターンがあまりに近すぎるコト。その辺考慮して、ギリギリ★★★☆☆。 -
Posted by ブクログ
期待したほど面白くなかった~!!!
でも、あとがきを先に読んじゃったのが敗因かもw
いろいろと過酷でシュールな体験をしているけど、作風自体は高校生の時から出来上がっていたようなので、それとは関係ないらしいw
それにしてもなー・・・同じ年代で、そう遠くもない場所に住んでいた人がこんな体験をしているとは驚きである。
確かに、現代版「蟹工船」と言ってもいいかもーww
とか書いてるうちに、もういっぺん読み返したら面白いかも・・・という気分になってきた。
そうだ、きっといろんな注釈があったから気が散ったのかもしれない。うーん、なんか面白かった気がしてきたぞ。
もいちど読んじゃおっかな~~www -
Posted by ブクログ
粘膜シリーズ肆作目。初の短編集。全伍編。
前参作の前日譚「鉄血」「凱旋」。
『粘膜兄弟』と並行する『極光』。
新キャラ(?)機動斥候兵が登場する(初の?)絶望系「肉弾」。
時系列的に「肉弾」に続き、『粘膜蜥蜴』~『粘膜兄弟』の爬虫人活躍の「石榴」。
粘膜シリーズ参作を読んだ方々には違和感なく受け入れられるだろう世界観の中で描かれてます。
個人的には、ミステリー的テイストもある「石榴」が一番好きかな。
この流れで、銀座のカフェーで実はゆず子と蘭子が…。とか、死体置場の徳一とヘモやんの倒錯者二人の間柄は…。みたいなの期待しちゃうのは自分だけ?
短編集だけに、ちょっと性急なものや、もっと膨らませて欲しかったものもあるのが★に影響。しかし、テンポも良く、充分コレもあり。 -
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飴村行流エンターテイメント、粘膜シリーズ三作目。
今回は恋愛エッセンスや、宗教感まで持ってきた。
そして、シリーズ、壱作目『粘膜人間』の吉太郎様。弐作目『粘膜蜥蜴』のナムール国の爬虫人、病院の死体置き場の徳一。と点が線となった。なので、通して読むことをお勧めします。
『粘膜蜥蜴』第参章の雪麻呂と富蔵の漫才然とした会話が、今回はツッコミ磨太吉、中ボケ矢太吉、大ボケヘモやんで展開される第壱章。
同じく『粘膜蜥蜴』同様、南国ナムールで展開される、冒険活劇的第弐章。
そして、クライマックス、第参章。
文章のドライブ感とでも言うべき、テンポの良さは相変わらず抜群。450p超も何のその。さらに、今回はヘモやん筆頭に、亀吉等々登場キャラ、それぞれの個性が素晴らしく立っている。
★評価がイマイチ伸びなかったのは、コレまでの破天荒とも言える程の展開があまり感じられなかった。そして、オチが個人的好みで前作を越えられなかったかな?の二点によるもの。
情報によると粘膜シリーズ、次作はスピンオフ的短編集とか?!また、近いうちに、手を出しちゃうんだろぅな……。 -
Posted by ブクログ
約2年ぶりに味わう飴村節。『爛れた闇の帝国』では、ひたすらにグロい粘膜シリーズとは一線を画した進歩性を示した。中編2編という構成だが、長いインターバルを経て、今回はどんな狂気を見せてくれるのか。
「水銀のエンゼル」。医大を中退後、紆余曲折を経て作家デビューした男。隣りの部屋に住む女性に作家であることを知られ、ファンだと告げられる。ほどなく、2人は男女の仲に…って、飴村作品にしては普通すぎる設定。当然修羅場が待っているはず。
順調に愛を育むわけがない。一通の手紙から、男の学生時代の苦い記憶が蘇る。渋々彼女のアドバイスに従うと…あれれ??? 予想外の展開に。どんな決着をするのかと思ったら…。一般読者には十分に嫌な結末だし、男同様に僕はお人よしでしたとも。でもね、現実世界を一歩もはみ出していなくて、飴村ファンとしては大いに不満だ。
その反動というわけでもないだろうが、現実世界をはみ出したのがもう1編の表題作「路地裏のヒミコ」。新宿区にある窪地。地下鉄の駅から近く、アクセスも治安もいいこの土地の因縁とは…。窪地という設定がいいよねえ。
ミュージシャン志望の悪友は、ある人物に心酔していた。自信満々のアルバム曲目に、彼は呆れたとは言えないのだった。いいじゃなーい、意味不明なのが飴村作品の持ち味だ。そして、意味不明なりに筋が通っているのが、飴村行の飴村行たる所以。
深追いしたばかりに彼を待ち受ける運命とは。一般読者なら本を投げつけそうだが、飴村節に毒された読者には滑稽でしかない。一応謎が説明されていて、ミステリーの体裁にはなっているのだが。彼にとって、どちらの選択がよりましだったのか。
意識したのかどうか、グロ描写は少ない。それが悪いわけではないし、「らしさ」は感じられる。それでも、粘膜シリーズのぶっ飛び具合と比較すると、何だか小粒になってしまった感が否めないのだった。完成度という点でも『爛れた闇の帝国』には及ばない。
飴村行の狂気は、こんなものではないはずだ。読まなきゃよかったと心底後悔するような作品を、飴村ファンは待っている。