福井健策のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書のテーマは大きく3つに分かれている。
ひとつは、アメリカがTPPによって目指している知的財産戦略がどういったもので、日本にどういう影響を与えうるかという解説。TPPは自由な貿易を唱っている一方で、知財については強力な権利設定がされていて、かならずしも流通を促すものではないことが指摘されている。
ふたつめは、そもそもの知財ルールの在り方について。国内で個別にルールを決めるべきか、条約によって国際的なルールを作るべきか、というのは難しい問題だけれど、自分の行動がどの国の法律によって規制されるか不透明な現状は、規制する側の態度によって大きく変動してしまう可能性ので好ましくないとは思う。
3つ -
Posted by ブクログ
題名のとおり「ネットの自由」vs.著作権の問題についてわかりやすく解説している本だ。
副題が「TPPは、終わりの始まりなのか」とあるが、TPPの米国知財条項を検証することにより、アメリカが世界に押し付けようとする内容が明らかにされてゆく。
第4章では、情報と知財のルールを作るのは誰なのかと今後、我々普通の市民がしっかりと考えて行かないととんでもない世の中になってしまうとしている。
なかなか重要な法案を世に送り出せない官僚、国会の状況、そんな中、ポリシーロンダリングにより、国際条約に依存してしまう危険性を訴えている。
アメリカの覇権と戦う姿勢を示すEU。
あまりにも脳天気な日本社会、情 -
Posted by ブクログ
ネタバレSOPA、ACTA、そしてTPPと著作権をめぐる法律や条約についての議論がたえません。本書は、それについて生じた議論やユーザー・企業らによる反応を整理したうえで、それらの法律・条約に盛られている条項が、「誰に」「どのような」メリット・デメリットをもたらすのかを、わかりやすく説明されていると思います。
この本の主張は、第3章第6節のタイトルにあるように、著作権の正解は創作モデル・収益モデルによって変わってくるということ、だからこそそのルールをつくるのが誰であるべきなのかを考えていかなければならないということだと思います。
著作権の議論はどうしても、それぞれの立場の人々が、それぞれの立場の利益 -
Posted by ブクログ
著作権を守る事を職業にしている方と、著作権で収入を得ている方の対談を綴った本。
著作権を頑なに守る事に焦点を絞っているのかと思ったら、ユーザーの視点に立って意見を述べている事の方が多く、その点にまず驚いた。
「技術が進歩するほど著作権は守られていく」「著作権の期限を伸ばすことは必ずしも創作活動にプラスにならない」「プラットフォームを握られることの怖さ」など、今まで気がつかなかった事が多く含まれていた。
また、音楽好きの自分にとって「自分たちが好きなバンドを支えているという喜びに対してお金を払っているのであり、コンテンツに対してではない」という下りにはまったくその通りだ、と感じた。
全メディアア -
Posted by ブクログ
一気に読んだ。
「著作権の世紀」もよかったけれど、こちらの本はもっとよかった。TPPであまり注目されていないが、知財の取り扱いルールをどうするかが重要なポイントだと、本書を読んで理解することができました。日本はコンテンツ大国といっていますが、まわりを見れば、ディズニーからダースベイダーからハリウッドのキャラクターをそれこそ大量消費しています。日本は「コンテンツ大国」と言っていますが、米国からのそれらに比べれば圧倒されています。そこに、米国流の知財の取り扱いを押し付けられたらどうなるか、訴訟社会の荒波をもろにかぶる形で日本のコンテンツ業界はどうなるのか、ユーザは、不安な気持ちがもたげてきます。