福井健策のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨今、ネットの普及で今まで敷居が高かった作品の発表が容易にできるようになり、ネット上には素人、セミプロのさまざまな漫画、小説、映像、音楽等の作品が溢れていて、初音ミクなど独自のムーブメントを起こしているものもある。
今後コンテンツで飯を食える人は非常に少なくなるので、一握りのプロ以外は兼業で作品を作っていけば良いというのが岡田斗司夫の考えである。確かにCDやDVDとか買わなくなったし、雑誌や本も売れてないもんなあと納得する部分が多かった。
両名ともコンテンツを愛している人たちなので、著作権を守ろうとする利権者のちからが強くなり過ぎたら、面白いコンテンツが生まれなくなることを憂いていて、その部分はすごく共感できた。
本が対談形式なので、堅い内容でもすごくわかりやすかった。 -
Posted by ブクログ
この本は、評価経済社会を唱える岡田さんと著作権の第一人者の福井弁護士ががっぷり四つに組み合って著作権について語り合う対談本です。著作権入門とありますが、堅苦しいところは全くなく、岡田さんの鋭い「書生論」に対して、福井弁護士が真剣に向き合って回答を出そうとする中で、デジタル化が進展する中で機能不全を起こしている今の著作権の問題点と今後進んでいくであろう姿がおぼろげに見えてきます。特に、岡田さんのぶっ飛んだ発想が面白いです。私的複製が許される範囲として、'自分自身や家族が使うため'という法律上の解釈を逆手にとって、養子を1万人取ったらどうか、などという意見を突然持ち出して、福井弁護士が目を白黒させたり…。
結局、岡田さんも福井弁護士も、よりよいコンテンツが出てきて欲しい、そのためにコンテンツ制作者が生きるために収益を還元する仕組みが必要だという点では同じ考えですが実現する方法論が異なります。岡田さんは、コンテンツそのものから金を得るのは無理、作品の利用はフリーにして評価経済などで作者を支えていく仕組みを別に作るべきだという考えですし、福井弁護士は従来の延長線上で、流通の中からうまく作者に利益が還元される仕組みを作っていこうと考えています。互いに考えは違うものの、相手の言うことを理解しようとする姿勢があるため、とても読みやすくまとまっています。 -
Posted by ブクログ
18歳と書いてあるけど中学生でも読めそう。
わかりやすい。
ただ、入門書という性質上、目新しいことはほとんどないので大人はあまり楽しめないかも。
(※と思ったけど、他の人のレビュー読んだら、知らないことも多かったと書いてあったので大人でも楽しめるらしいです!:追記)
あたしにとって目新しい情報だったのは、著作権の譲渡は文書を交わさなくてもOKってところくらい。
あと、著作権法の条文と合わせてみると条文に対する忠実さよりもわかりやすさ重視って感じがする。
とくに著作権の解説は、条文だと「〜の権利を専有する(=権利者だけが〜できますよ)」と権利者の立場から書かれてるけど、この本では「〜はしちゃダメと言える権利」と解説されていて、利用者による権利の侵害に焦点化されていたのが印象的。
著作権「法」の入門書ではないし、学術書ではないので、それでもいい気もするけど、個人的にはやっぱり、条文を紹介した上で、それはすなわちこういうことを意味するという一文が欲しかったなぁと思う。
引用ってそういうものだと思うし。
引用の解説をしてる本で引用を省略するのはちょっとずるい。
とはいえ、入門書としてはいい本だし、学生に勧めるにはちょうどよい本だと思う。 -
Posted by ブクログ
本書は、著作権法の世界では第一人者である福井健策弁護士が、「高校生以上の学生や若い社会人」を主な対象として、書かれた入門書である。
著者は、この分野で数々の新書を出しているが、本書は前記のようなコンセプトや、ネットメディアでの連載記事をまとめたもの、という経緯もあってか、従来の著作に比べると、独自の見解や政策提言的な記述は控えめになっており、基本的なルールをわかりやすく説明する、というコンセプトが貫かれている。
とはいえ、「保護と利用のベスト・バランス」が大事、という視点や、「二次創作による文化の発展」へのこだわり(パロディやパブリックライセンスの話題は類書と比較しても分厚い)など、著者のリベラルな視点は随所に反映されているし、ところどころに混ざるユーモアも健在。
純粋に読みやすい、というのはもちろんのこと、身近な題材、具体的な設例がふんだんに使われていること、ネット上でも愛される人気者(失礼・・・)ながら、ネット住民の声に盲従することなく、適度なバランスを保った解説を行っていることなど、良書というだけの条件が揃った一冊だと言えるだろう。
現在の著作権制度全体を見渡すとともに、これからの制度を考える上でもよいヒントを与えてくれる本だけに、幅広い読者にお勧めしたい。 -
Posted by ブクログ
「コンテンツ」と「著作権」、この両者の結びつきが今ほど意識されている時代は無いのでは無いでしょうか。てまぁ、ワシの生きてきたこの数十年では、って意味での実感ですし、自分がそういうところで仕事をしているせいかもしれませんが。
そう、まさに仕事としても、嗜好としても、ワシにとって身近なのが「コンテンツ」と「著作権」。そのそれぞれの専門家、第一線で活躍されている二人の対談は、ひとつにはそれらの分かりやすい現状認識として、もうひとつには想定される、あるいは想定したい未来予想図の提示として、とても興味深く読みました。
突飛ながら分析の的確な岡田氏と、堅実ながら柔軟な発想の福井氏。彼らが提示する「著作権」、ひいてはクリエイターを巡る経済の再構築は、示唆的で特に面白く勉強になりました。まぁワシも、その界隈で働いてますからその提示された概念に似たものは元々理解していたが故に、腑に落ちたってところもありますが。
現状、ここで語られる未来は、絵空事でしょう。でも、絵空事が無いと実現には至らないというか、現実は変わらない。次はこれを推進、そこまで行かなくとも検討していく力が必要だと感じます。 -
Posted by ブクログ
キーワードだけはよく聞く「TPP交渉」。前政権から政権交代しても、外交交渉の重要事項としてクローズアップされています。ところが要素が余りにも多岐にわたっているため、ワシもそうですが「で、結局TPPって何?」という疑問符は多くの人が持っているところかと思います。
で、本書。そのTPPの中では要素のひとつに過ぎませんが、とても大きな意味を持つひとつである「著作権の(加盟国)標準化」について、ひとつひとつを丁寧に、日本の実情と世界の実例を踏まえて解説されていて、ワシ自身、かなりの部分でTPPの著作権分野への理解が深まりました。
表題にもありますが、TPPで提示される著作権は、過渡期でもあるネット社会と「どのようなバランスを取るか」が計られています。そしてそこはどうしても、従来の産業を重視した構造にならざるを得ません。
でも、ネットって実際「ただのインフラ」なんですよね。それ故に、従来の発想から離れた、このインフラを踏まえた制度設計が大切。果たしてTPPはそれを実現できるのか……というと、この本を読んだ上でのワシの理解は、それは難しいんだろうな、ということ。
何にせよ、そこまで(ある程度ですが)きちんと考えられ、意見を持てるようになる、という意味でも、本書は良質の教科書です。