堂場瞬一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『コーチ』堂場瞬一
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1. 物語のあらすじ
この小説の舞台は警察です。
キャリアや経験、年齢も異なる3人の警察官が、それぞれ仕事で壁にぶつかっています。
* 女性刑事:女性初の管理職を目指すも、理想と現実のギャップに苦しんでいる。
* 若手刑事: 尾行中にターゲットを見失うことが増え、己の衰えを感じている。
* 若手刑事: 取り調べに苦手意識があり、捜査に行き詰まっている。
そんな彼らの前に現れたのが、本庁の人事課から派遣された、通称**“コーチ”**と呼ばれる警察官です。
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2. 本作の読みどころ
コーチは、3人の悩みや強みを事前に把握した上で、彼らの成長をサポートしていきます。
しかし、ただ答えを教えるのではありません。「決めるのは君だよ」と、常に彼ら自身に選択を委ねます。なぜなら、コーチはいつか去り、彼らは自分の力で道を切り開いていく必要があるからです。
派手なアクションや猟奇的な事件が起こるわけではありません。しかし、仕事に真摯に向き合う人々のリアルな葛藤や成長が丁寧に描かれており、読み進めるうちに彼らを応援したくなるでしょう。
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3. こんな人におすすめ
* 警察小説が好きだけど、殺人事件などの狂気的な描写が苦手な人。
* 働く人々の人間関係や内面の葛藤に焦点を当てた物語が好きな人。
この小説は、警察官という仕事を通して、私たちが日常で直面する仕事の悩みや人間関係について深く考えさせてくれます。
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4. 読後感レーダーチャート
* 物語性:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
* 緊迫感:⭐︎
* 人間味:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
登場人物それぞれの成長が深く掘り下げられており、読み応えのある物語です。
事件そのものよりも、人々の内面に焦点が当てられているため、緊迫感は控えめですが、その分、登場人物たちの心情に寄り添い、深く感情移入することができます。
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Posted by ブクログ
ネタバレ沈黙の終わり、下巻を一気に読み切りました。もう本当にね、めちゃめちゃ面白かった!
まずはとにかく、きっちりと記事が世に出て良かった!あの最後のオンライン会議で、熱くなる古山と、実にあっさりと引いた松島。いったいこの先どんなどんでん返しをしてくれることかとワクワクしました。そうか、そういう展開でしたか…地位、権力を失って手のひら返しをする奴らの醜悪ささえもすっきり気持ちよくおさまる見事な展開でした。
それから松島が膵臓がんの手術を無事に終わって良かったなぁ、と(同世代だから余計に!)思った。佐野との間柄は親密ではないけれど疎遠でなく、喧嘩別れではない終わり方も嬉しいような気がします。
「なあ、俺たちには共通点があるよな」
「ずっと現場に居続けたこと」松島は即座に答えた。
「そういうことだ。新聞記者にとって大事なのは、それだけじゃないか?」
この会話が終章で交わされたところはとても沁みました。
「でもな、俺たちはずっと、クソみたいな仕事しかしてこなかった。権力の監視がマスコミの仕事なんて言いながら、実際には権力に取り込まれていた。俺だってそうだ。長く警察庁の担当をしていたのに、サツの不祥事を抜いたことは一度もない。むしろ、週刊誌に抜かれた。あの連中の取材力は、今や新聞より上かもしれない。ただ、奴らは正義感や義務感からやっているわけじゃない。問題は金だ。でかい見出しで週刊誌が売れるかどうかだけがポイントなんだ。どんなにいいネタでも、そういう姿勢である限り、俺は週刊誌の報道は認めない。俺たち新聞記者だからこそ、できることがある-青臭いだろうが、まだ信じているんだ。それを、内輪から潰されたんじゃかなわない。お前は黙って引っ込んでろ」(下巻221ページ)
この物語の中での松島の一番の長台詞だったのではないかと思うのですが(多分)、この言葉の中に、堂場瞬一さんの新聞記者としての強烈な想いがこもっていると感じました。この熱い想いは、この言葉を聞いているわけではないけれど、きっと古山に受け継がれていくのだろうと思っています。
その古山といえば、本郷響といい関係になるなんて!…読み進んでいく中で、本郷響が古山に自身のバックグラウンドを明かしていく場面で、「もしかしたらこの2人はいい間柄になるのかな?なったらいいな」とちらりと思ったのですが、終章で本当にそうなっていたので、なんだかとても嬉しいような気がしました。ベタな展開?いやいや、そうじゃないでしょう。この展開は僕にとっては二重丸でした(安直な、わかりやすい恋愛ものが好きなのかもしれませんけれど。)
一気に読み切ってしまってなんだか勿体無いような気持ちにすらなる、とても読み応えのある物語でした。
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上下巻の上巻を読み終わったところで感想というのも中途半端なのかもしれないけれど。
転勤前日で終わる上巻は、この先古山がどんな出来事に遭遇してどんなふうに物語が流れていくのか、とても期待させてくれます。古山が新しい職場でどんな仕事をすることになるのか、そしてここまで自分が発掘して記事に書いた事件がどうなっていくのか。自分の手を離れた事件にこの先どんなふうに関わっていくことになるのか。関わりがないわけはないだろうから、そこは下巻を楽しみにします。
そしてもう1人の中心人物である松島がどうなっていくのかがとても気になります。「もう1人も死なせない」という決意はこの先の松島の行動にどう現れていくのか。それからそもそも松島自身はどうなってしまうのか?寛解している病がこのまま治ってしまうとも思えないので、この先の物語の中で松島には何某かの健康上の困難が立ちはだかるのではないかと思うのだけど、それは一体どんな状況でどのように訪れるのか。松島と同世代だからというわけではないけれど、とても気になっています。
上下巻の単行本、上巻を読み終わったのは自宅で就寝直前、手元には下巻が控えています。続きが楽しみで仕方がないこの時に、手元に下巻があって良かった。もう就寝時刻なんだけど、このまま夜を徹して読み耽ってしまいそう…下巻を開くのが楽しみです! -
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大手新聞社に勤務していた戸倉は新聞業界の不安もあり、父親が社主のローカル新聞の前崎日報へ入社する。
新しい環境と幼い頃から新聞に親しんだ戸倉は事件を追う充実感を得ていた。
ネットより手間のかかるオールドメディアと自認しながらも紙の媒体に拘る戸倉の葛藤は、弱小地方紙の人員不足もあり心身を疲労させる。
そんな時に小沼市長が3度も襲われるが…。
相変わらず新聞業界を舞台にした堂場瞬一作品にハズレなし。
新聞が持つ矜持と新聞発行の凋落による経営的逼迫は、新聞の行末に暗澹たるものを感じさせる。
戸倉が下した決断の後、彼の身の振り方に切ない思いを寄せてしまった。 -
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目次を見て、2011年が終章だったので、もしかしてこの作品にもあの大震災が関わってくるのだろうか?と思いつつ、読み終わって、そうきたか、と思ったのでした。
物語の初めに犯人がわかってしまっているので、誰が犯人なのか?わからないでドキドキするということはありませんでした。でも、果たして誰が犯人だったのかが明らかにされるのだろうか?というドキドキ感はなかなか新鮮でした。追求し切ってもらいたいような気持ちと、追求・公表してどうなるっていうんだ?という気持ちの両方が、読んでいる自分の中にあって、読み終わってから、どっちが良かったかなぁ?と考えてしまいました。 -
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一気に読み切ってしまった…なんだかね、堂場瞬一さんの描く人物って、「ちょっと不器用な男」ほど人を惹きつける何かを持っているような気がするのでした。不器用という言葉で括るのは正確じゃないかもしれないけれど、「要領よく世渡りするタイプ」は堂場瞬一さんの作品にはあまり登場しないか脇役か、または「嫌な奴」として描かれているんじゃないだろうか?
僕の勝手な思い込みかもしれない。でも結局僕は堂場瞬一さんの描く「ちょっと不器用な男」の物語が気に入っているのかもしれないなぁ、と、このお話を読み終わって思ったのでした。
甲斐昭人、設楽真琴の新聞記者コンビ(?)、神奈川県警の女性刑事・浅羽祥子の活躍を他の作品でも読めたらいいなと思います。 -
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鳴沢了シリーズ、雪虫から始まってこの久遠まで、一気に、と言って良い勢いで読み切りました。
実はたまたま「帰郷」だけ、先に読んでしまっていたのですが、読み終わってから、「これはいかん!ちゃんと全部順番に読まなければ!」と激しく思いました。前後のつながりはもちろん大切だし、読めば読むほどにこのお話の前のエピソードに引きずられる感じが強くあったので…まあ、シリーズものを読むならそれは当たり前ですよね。
堂場瞬一さんの作品は、どのシリーズも前後のつながりがとても大切だなぁ、と感じています。まあ、シリーズものはそういうものだとは思うのですが、ことさらこの前後のつながりが大切なんじゃないかと強く感じました。あたかもこの10作品全体がひとつながりになっているかのようで、どのエピソードも独立していながら独立していない。外伝である「7つの証言」はひとまず置いておくとしても、何年もの間書き下ろしで連作していかれたこのシリーズが、こんなにもしっかりと繋がり一つになっていたことに、改めて感動しました。
最初はこんな暑苦しい奴、かなわんなぁ、という感じがしていたのですが、最後まで読み切った時、とても幸せな気持ちでいっぱいになりました。これで鳴沢了シリーズ、おしまいだなんて残念すぎる!ぜひいつか、堂場瞬一作品の数々の登場人物と揃い踏みをする壮大な長編を読みたいものです。
きっといつかまた、鳴沢了シリーズ一気読み、すると思います。そうしたくなる、とても印象深いシリーズでした! -
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上手い!
参議院選挙が間近になったこの時期に読んだことで、国政や選挙のあり方など舞台設定はフィクションでも説得力ある小説だった。
国民による直接選挙での首相選挙を舞台に、現政権の新日本党の候補大曽根麻弥、前政権の民自連の首相候補の岩下安晴、インフルエンサーの城山拓己が有力候補てなる。
物語は候補者を支える新日本党のスタッフ深井珠希と、民自連の選挙局長の田代浩介をメインに話が進むので、選挙スタッフの裏側の視点から描かれるので実に興味深い策謀が繰り広げられる。
物語の帰結も納得できるものであり、堂場瞬一の政治小説の面白さを満喫した。
元首相の宮川英子の暗躍