福田隆浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スポーツを極める人が全て人格高潔になるわけではないけれど、スポーツマンが勝利のみ追い求めているその瞬間だけは侵し難く神聖な時間なんだと思う。
その時間が、苦しみを抱えた二人の少年を通して描かれることでさらに純化されてたとえようもなくまばゆくて、ひたすら酔わされた。
悩み苦しみぶつかり、色々なものを抱えているのに多くを自分の胸にとどめたまま、最後はどこかあっさりと別れようとしているところは中学生らしく思えて、作者の巧さが見える気がする。
テニスが書かれている名作として紹介されたのだけど、テニスシーンはもちろん、小説として本当に良かった。外で読むんじゃなかった。涙が止まらなくて不審がられたよ…。 -
Posted by ブクログ
重度の知的障害のある5年生すずちゃんの内面の独白と、支える家族や先生の、連絡帳やブログなど文章で状況を浮かび上がらせ話は進んでいく
このようなテーマは初めてだったので新鮮
そして軽く衝撃。
例えば若い頃初めてダイビング体験をした時、目に見えるところだけが海ではなく、見えなかったその下こそこんなにも世界が広がっていたんだ!と体感した時(知識としてはあったんだけどね)その類の感じ。
わかってる、相手の気持ちになってということもなるべく良心的に行いたい、でもやっぱり表面しか見ていなかった、と思ったり。
新しい視点のきっかけを得られたかもしれません。
読み終わってタイトルに唸る。
講座課題図書 -
Posted by ブクログ
「テニスボールを追いかけている時だけは熱くなれる」
テニスというスポーツに魅せられた中学2年生の孝司と、ダブルスでペアを組むことになった中山。
性格もプレーも正反対な二人は反発し合うが、次第に自分の内面をさらけ出し、本気でぶつかり合う。
二人にはそれぞれハンディがあり、それによる学校生活での苦悩も多く、親ともギクシャクする毎日だ。
思春期ならではの不安定な精神状態が丁寧に描かれていて、彼らの苦しさや、自身でも手に負えないほどの荒れた感情が胸に刺さる。
そんな二人を決して甘やかさず、厳しく指導する安田コーチの愛情もひしひしと伝わってくるし、
同じテニスチームの坂井さんというオジサマが本当に