福田隆浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ小6男子、シングルマザー、貧困、そして学校でも自信がなくて居場所がない。そんな主人公が教材室で謎のミイラ男と出会う。ミイラ男が特別な力を使って主人公を助けるなんてことはない。だから、リアルで、どんどん読み進めた。黒板に絵を描くシーンは圧倒的。そして事実が明らかになってからの福祉の動きや学校の動きがきれい事ではなくて胸をうった。それにしても、ミイラ男とは何者だったのか、ネタバレ感想ではあっさりと記載されているけれど、物語内ではそんなことは書かれていない。もっと違う何かだったのかもとついつい考えてしまう。苦しみを抱えつつ懸命に生きている子どもたちへ届いて欲しいと切に思った。
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Posted by ブクログ
児童書だと思って軽い気持ちで読み始めたけど、結構奥が深かった。
秋田と長崎で文通を始める6年生の2人。
母を病気で亡くしたり、父の再婚の話が出たりと思春期の女の子にとっては環境の変化が大きすぎる生活をしている秋田のホノ。
亡き母は、生きていて幸せだっただろうか?との疑問から長崎のコウへ手紙を送る。
コウも亡き祖父を素直に受け入れることができなかった自分の姿を見つめ直したり、発達障害を抱えながらも懸命に生きようとする幼なじみの奮闘を支えたりしながら心の内をホノに打ち明ける。
最後は涙が出るくらい心温まるストーリー。
少年少女の成長と、必ず誰かが味方になってくれるというメッセージが込められ -
Posted by ブクログ
ネタバレ大先輩にあたる人のイチオシの本だったけど、すごく納得できてしまった。
6年生の主人公二人は、どちらも問題を抱えている。准は離婚した父がどうやら再婚するようで、一緒に暮らす母はどこか不安定な気配。転校生の小野さんは、荒れ気味なクラスで理由なきいじめに遭っている。
偶然にも同じ作家のファンだと知ったところから、ふたりの恋が始まっていく。
ふたりの恋は、ただ一緒にいるだけで嬉しかったり、安心できたり、互いを思いやりながらも周囲の目を気にしまくったり、ピュアで、読んでいると気持ちが柔らかくなってくる。
成長していくことを不安に思うふたりに、ようやく出会えた憧れの作家は、変わることを気に病むのではなく、 -
Posted by ブクログ
スポーツを極める人が全て人格高潔になるわけではないけれど、スポーツマンが勝利のみ追い求めているその瞬間だけは侵し難く神聖な時間なんだと思う。
その時間が、苦しみを抱えた二人の少年を通して描かれることでさらに純化されてたとえようもなくまばゆくて、ひたすら酔わされた。
悩み苦しみぶつかり、色々なものを抱えているのに多くを自分の胸にとどめたまま、最後はどこかあっさりと別れようとしているところは中学生らしく思えて、作者の巧さが見える気がする。
テニスが書かれている名作として紹介されたのだけど、テニスシーンはもちろん、小説として本当に良かった。外で読むんじゃなかった。涙が止まらなくて不審がられたよ…。