【感想・ネタバレ】熱風のレビュー

あらすじ

【第48回講談社児童文学新人賞佳作受賞作】「こいつにだけは絶対に負けたくない!」テニスの練習試合で他人を見下すような態度の対戦相手・順一を見て、中学2年の孝司は無性にそう思った。ところが、ある大会で2人はダブルスを組むことに。ハンデがあり、性格もプレーも正反対な彼らは、不器用ながらも、本気でぶつかり合う。そんな中、大会前にある事件が起こり……。一途な情熱を鮮やかに描く、第48回講談社児童文学新人賞佳作受賞作。

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Posted by ブクログ

「テニスボールを追いかけている時だけは熱くなれる」

テニスというスポーツに魅せられた中学2年生の孝司と、ダブルスでペアを組むことになった中山。
性格もプレーも正反対な二人は反発し合うが、次第に自分の内面をさらけ出し、本気でぶつかり合う。

二人にはそれぞれハンディがあり、それによる学校生活での苦悩も多く、親ともギクシャクする毎日だ。
思春期ならではの不安定な精神状態が丁寧に描かれていて、彼らの苦しさや、自身でも手に負えないほどの荒れた感情が胸に刺さる。

そんな二人を決して甘やかさず、厳しく指導する安田コーチの愛情もひしひしと伝わってくるし、
同じテニスチームの坂井さんというオジサマが本当に優しい人なんだ。
孝司の気持ちに寄り添って、的確なアドバイスをくれる。
あぁ、私もこんなカッコイイ大人になりたいなぁ、と思ってしまう。


児童文学ではあるが読み応え充分で、大切なことをストレートに伝えてくる作品だった。

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2024年09月14日

Posted by ブクログ

テニスを通じてお互いを理解するきっかけをつかんだ中学生2人のお話し。福田センセイの作品に共通しているのが、人物や場面の描写の自然さ。本作でも、登場人物を素直に受け入れることができました。

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2021年07月13日

Posted by ブクログ

聴覚障害を持つ主人公と、原因不明の脱毛症の少年がテニスでダブルスを組むというお話。

主人公のお家はコンビニで両親は朝から晩まで働き詰め、かつ、主人公が耳が聞こえないこともあり、会話もなかなかできず、ぎこちない親子関係。
主人公は
・自分が両親の役に立てていない
・迷惑をかけている(将来自分に店を残すために無理してコンビニを続けている)
・両親は健常者の子供を羨んでいる
と思い込んでいたけれど、
ちゃんと両親は主人公のことを愛していて、そしてコンビニで働くのも好きだからであって、でも不器用で伝えられていないだけ、という感じ。

一方、脱毛症の少年も
・両親が離婚(少年は、自分の脱毛症が原因だと思い込んでいる)
・母親が放任&世間の目を気にして少年の脱毛症を隠そうとする
ことに悩み、必死に頭を隠したり、いじめられてもやり返せなくなってしまう。→みじめ。

そんな二人と、少年をいじめる奴らが
テニスを通じて本気でぶつかり合っていく物語。
ーーーーーー
印象的なところ
聴覚障害者の苦しみ(周りの状況が分からず、みんなの話についていけない疎外感や、それに対する諦め)が表現されてて、自分の想像が全然及んでいなかったことに気付かされました。

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2023年06月04日

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