トム・デマルコのレビュー一覧
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「ソフトウェア開発上の問題の多くは技術的というより社会学的なものである」という一文に激しく同意。ソフトウェアには人の働き方の変革を後押しする力があり、AIがコードを書いてくれる時代になったとはいえ、それを作り上げるのは依然人の仕事である。そうなれば社会学的なアプローチに触れないわけにはいかない。
本書は一般論的なHRMを学んだエンジニアリング組織のマネージャーが次に読むべき本として素晴らしい内容にまとまっている。一般論とソフトウェア開発の現実とのちょうど中間地点の程よい抽象度。
日本のソフトウェア開発プロジェクトの現場では、冒頭に挙げた「社会学的」な課題解決アプローチが欧米のそれよりも未発達ら -
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そもそもシステム開発プロジェクトにおけるリスク管理とは何なのか、から具体的なハウツーまでコンパクトにまとめられており、非常に有益に感じた。
特にリスクを分析していく過程で「誰が負うべきリスクなのか?」は重要な観点に思えた。なぜなら「誰が」の選択肢が観点として無いまま分析を進めると、結果自身が負えるリスクしか直視しない(手に負えないリスクは無視する)という行動を度々目にするから。
しかし、理屈をわかっていてもうまく実践されないのがリスク管理の常だが、これも随所に引用されるウィリアム・キングドン・クリフォードの「信念の倫理」を使ってうまく解説してくれる。
曰く、信念こそが人がリスクから目を背ける理 -
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本書籍は,仕事でのソフトウェア開発にまつわる,技術面よりは,それ以外の側面での,様々な事について書いています.読者層は,リーダー級のプログラマや技術職のマネージャ,経営者向けかなと思います.
本書籍は,初版は1987年のようで,33年過ぎた2020年時点では,本書籍で書いていることは,いくつかはテクノロジーが解決できているのもあると思いますが,多くは未解決と思います.
前述のとおり,本書はリーダ,マネージャ,経営者向けかなと思いますが,プログラマが自分自身の職場,または参画している(参画してきた)プロジェクトに,漠然とした疑問を持った時に読むのも良いと思います.
プログラマが,自分の居場所を良 -
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ソフトウェア開発をやっているとほとんどのパターンに見覚えを感じる。
特に印象深いパターンは
・マニャーナ:スケジュールの期限が長すぎると切迫感が無く仕事が進まない
・幸福礼賛会議:士気が高いように見せることが、個人の成績評価を大きく左右する
・ベンチに人なし:組織をスリム化しすぎて、重要なメンバーが一人欠けたら破綻する
など。他のパターンもとても風刺が効いている。
この本を読んでからは、
「あのチームは幸福礼賛会議の匂いがする」
「このスケジュールの切り方だとマニャーナに陥るかもしれない」
などと、パターン名で状況を振り返ることができやすくなった。 -
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ほぼ全面的に同意できる内容だった。
・考える暇があったら仕事しろ?
・残業なんかくそくらえ
・早くやれとせかされれば、雑な仕事をするだけで、質の高い仕事はしない
・パーキンソンの法則は、ほぼ確実にあなたの部下には当てはまらない
・プログラマーはただ、仕事をするために身を隠す
・机の前に何時間座っていたかはどうでもいいことで、全神経を集中して仕事に取り組んだ時間が重要
・etc.
これらにピンとくるなら、読んでみて損はないと思う。
驚くべき点は、この本の初版が発行されてから既に30年が経っているという事だ。
もう一つの驚くべき点は、日本では今なお実現している企業はごく少数だという事だ。
一応 -
Posted by ブクログ
冒頭に書かれている「実際のところ、ソフトウェア開発上の問題の多くは、技術的というより社会学的なものである」と書かれているとおり、人をどう活かすか、どのようにしたら活かせるか、いいチームを育てていくか、などなどについて書かれた本。 初版が1989年に書かれているということだけど、残念ながら今も人を交換可能なパーツとしてとらえ、プロセスで縛ればうまくいくという仕事の進め方をしているところが存在しているのではないかと思う。 中堅ソフトウェアエンジニア+ソフトウェアマネージャは読んでおくべき1冊であると思うけど、読んで何も変わらなければ先は暗闇でしかない。 ということで、とりあえず周りの人には薦めてお
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Posted by ブクログ
二十歳過ぎぐらいの時にサラっと読んだ記憶があるが、その時はまるでピンと来なかった一冊。あれから十年近く経った今読むと、その理解度は(良くも悪くも)格段に上がったのは経験が無駄にはなってないという事だろうか。
本書を読んで最も驚く部分は、最近よく聞かれるホラクラシーだとかリモートワークだとかHRTだとかサーバントリーダーシップみたいな概念がまるっきり全部記載されている事だ。この本は約30年前に原著が出版されており、今回読んだ3版で追加されたのは最後の6部だけなので、持ち出す事例や訳のモダンさは変わったかもしれないが、そのエッセンス自体は変わってない事が伺える。この現実を噛みしめると、ソフトウェア -
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【目的】 ソフトウェア開発の問題における社会学的側面に注目し、どのようにマネジメントすべきかの指針を与える。
【収穫】 いかに人のやる気を引き出し、力を発揮してもらうか、ということがマネージャーの果たすべき役割と理解できた。
【概要】 ■プロジェクトにおける問題の本質: 技術的な問題というより、人がに関する問題、すなわち社会学的なものが多くの原因である。
■生産性に関する錯覚: 生産性=利益÷コスト。コストは、退職者の補充にかかるコストも含まれるべき。長時間残業やプロセスの機械化により生産性を上げたとしても、それで人が退職すれば、実際の生産性は下がる。また、人のやる気やコミュニケーションを -
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ネタバレソフトウェアの開発組織に見られるパターンを、良いパターン、悪いパターン含めて小粋なタイトルで類型化。業務改善するにも、まずは現状を正確に把握することが大事なので、ソフトウェア開発以外でもチームで作業している業務の方なら何らかの気付きが得られるんじゃないでせうか。
例えば、一つ目のパターン、"アドレナリンジャンキー"。
「次から次へと緊急のプロジェクトがやってくる。誰もが猛烈に忙しい。それも、いつも。...多くのアドレナリン中毒組織は、何かにつけ顧客サービス倫理を持ちだす。切迫した事態に対応することを、みごとな機動力と勘違いしているのだ。...これこそがアジャイルと思って -
Posted by ブクログ
ネタバレ買ってつんどくでした。
次に読んだときは,101の法則は読み飛ばしていました。
3度目に書評を書こうと思って読んだら、予想以上に面白かった。
最初の失業する人を、スパイが掠うという設定から度肝を抜かれました。
最後に幸せになる(ハッピイエンドな)ところがすごくよかったと思いました。
ソフトウェア開発者が幸せになるための一つの筋書きとして面白いと思います。
教訓はあくまでも読み取るもので、教えてもらうものではないかもしれません。
作業書(ワークブック)形式にして,経験だけ書いて,
教訓を各自で考えてみる形式にすると面白いかもしれません。
その後で,著者の教訓とのずれの原