河野純治のレビュー一覧
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政権側がどのようにアフガニスタンで戦争をしてきたのかを明らかにするルポ。戦争というものは古今東西、国がいかに国民や世界を騙せるのかにつきるのかもしれない。もちろん情報統制も戦術のひとつなので致し方ないのだが。正直なところ、米国がアフガニスタンで20年も戦争を継続していたという認識はなかった。これも情報操作のひとつだろう。米国は敗戦したと考えるのが妥当だろう。本書を読むと、米軍のアフガン撤退直後にタリバンが復権したのか理由が分かる。そして、タリバンの復権が米国のこれまでのアフガン戦争の20年を水泡に帰した重要性を理解できる。本書を読んで、現在のウクライナ戦争に頭が向く。この戦争はどこまで真実がつ
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「この写真を撮った人は自殺した」
小学校のとき、ハゲワシと少女の写真を見せてくれた先生が言った言葉は、永遠に心から離れません。
なぜこの写真を撮る前に少女を救わなかったんだと世界中から非難された、ケビン・カーター。
当時は私も非難した側と同じことを思っていました。撮っている場合じゃないだろうと。
当の本人も写真を優先させたことを後悔していたと読んで分かりました。
でも、この写真がなければ饑餓の現実は世界に伝わらなかった。重い意味を背負ったこの写真は千語に値したのだと思います。
撮っても苦しかった
撮らなくても苦しかった
まだ子供だった多感な時期にこの写真を見れたのは、ケビン・カーターさん -
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ピュリツァー賞(ピューリッツァー賞)は、新聞出版業で財を成したハンガリー生まれのアメリカ人、ジョーゼフ・ピューリツァーの遺志に基づいて、ジャーナリストの質の向上を目的に1917年に設立された。受賞対象は報道のほか、文学、音楽など、21部門に亘るが、1942年に創設された報道写真部門は、その中で最も権威ある部門のひとつである。
本書は、1942年から最新までの70年間の受賞写真を、撮影時の状況、写真への反響、写真家自身の証言、撮影機材や条件を記した撮影データ、及び同時代の出来事とともに収録したものである。(私の手元にあるのは、2011年出版の第1版なので、2011年の受賞作まで収録)
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渡米した内村鑑三は、
自身が崇拝してきたキリスト教を根幹としたキリスト教国で絶望する。
これが、キリストの教えを実践する国なのか?と。
「山にとどまる者は、山を知らない」
外へ出ることで始めて自分自身が何者かをよく知ることができると内村鑑三は言う。
がっかりした内村鑑三は、
欧米の宗教であることを根拠にキリスト教を擁護することを止めることを決意。
まさに自身の頭で考え、自身の心で感じることこそが、根拠となりうるのであって、
欧米であるという外的証拠などでは、足元はグラグラだということを痛感したからである。
内村鑑三は、正しい道徳と正しい行為のためには、身体が正しい状態でなければならな -
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強制的に改宗させられたものの、一神教の素晴らしさに心打たれた鑑三。
彼の宗教的ストイックさと、アメリカに渡って無数の宗派のどこにコミットしていいかわからずノイローゼになりながら、自らの信仰を見出していく日記に非常に共感。
どちらかというと橋爪先生の解説の辛辣さに笑ってしまったが、
明治期の新しい真理に触れた鑑三がいかに、西洋の真理と日本の真理を接木しようと格闘しようとしていたかがわかる。
ただ、神道や仏教の真の価値をー江戸、明治を経て形骸化していたとはいえー見いだそうとしない鑑三の態度にはぼくは批判的である。
まだ、日本のキリスト教は始まってすらいないのが現状であると思う。 -
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ネタバレどの写真にも強烈な印象を持ちました。浅沼稲次郎が狂信的な右翼学生山口二矢に襲撃される瞬間を捉えた、長尾靖撮影「舞台上の暗殺」、ケネディ大統領を暗殺したオズワルドが射殺される場面を撮影したロバート・ジャクソンの「全世界に生中継されたオズワルド殺害」、実写で見たこともあるエドワード・アダムズ撮影「サイゴンでの処刑」、南アフリカでの飢餓によって今にも死にそうな子供とその死をじっと待っているハゲワシの姿を捉えたケビン・カーター撮影「ハゲワシと少女」はこの写真集を見る前から記憶に残っていました。 最近の受賞作は、テロや内戦を捉えたものが中心となっています。カメラマンも命がけです。
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ワシントン・ポストの調査報道記者が、2001年米国同時多発テロへの報復としてアフガニスタンへの空爆が開始されてから、2021年に駐留米軍が撤退するまでの20年間続いた「出口の見えない戦争」の実態を克明に暴き出した一冊。
同紙が独自に入手した情報からは、そもそも戦争の目的が明確にされず、特定の国に属さない一テロ組織であったアル・カーイダの撲滅がタリバーン政権の打倒と混同され、実質的にNATO軍が新たな国造りを担うも、長年の歴史や文化に敬意を払わず欧米式の復興政策を押し付けた結果、新政府や国民との関係はこじれ、新たに設立した統治機構や軍・警察は脆弱なまま、的外れな用途に注ぎ込まれた資金は汚職蔓延 -
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「あの戦争は何だったのか」
こう思わずにいられなかったのは、昨年米軍がアフガニスタンから撤退した時と本書のレビューを読んだ時だった。
ブッシュ政権が聖戦だと言わんばかりに宣戦布告、しかし泥沼化が進む割には何のゴールも見えず。政治や海外情勢に疎くても、それくらいは自分も分かっていた。
本書のタイトルはベトナム戦争に関する隠蔽資料「ペンタゴン・ペーパーズ」をアフガニスタン軍事侵攻版としてもじったもの。
アフガン版の情報開示に踏み切ったのはワシントン・ポスト紙。アフガニスタン復興担当特別監査官事務所なる組織が、戦争に関わった数百人(高官から兵士まで)に取材を行ったという情報を報道記者だった著者がキ -
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ネタバレ題名だけ知ってて読んでみたかった本。訳のおかげもあって思ったより平易で読みやすく、面白かった。
強制的な改宗から始まったものではあったが、その清廉な信仰のよろこびと苦悩、熱意には胸を打たれた。武家の息子として八百万の神と儒教思想の中で育ってきた人間が、自分の根本・世界の原理としてキリスト教を受け入れるために格闘する。ごりごりの儒教思想の御父上も改宗させたというのは本当にすごい。しかし日本では信仰の渇きを満たすことができず、アメリカにわたって様々な宗派と出会い、キリスト教国に対する幻滅も味わい、神学に疲れ、それでも自分なりの真理と呼べるものはつかみ取って帰国した。
終盤にある、真理の話がとても -
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冒険物語と言えば、一昔前までは未開の地の開拓と動物との交流と相場が決まっていたものだが、本書を読んでまず感じたのは、時代は移り変わったということである。全10話のノンフィクションのうち、3篇は紛争の地で活動する人々の話である。また、5篇は動物を扱っているが、環境破壊から動物を守ろうと闘う人々の話もある。
取材対象となる人物は人道的であるとは限らないため、感情移入しづらいこともある。正義の解釈は民族や立場によってこうも異なるものなのだろうか。また、著者によって文体もまちまちで、淡々と事実のみを記述するものもあり、気軽に冒険を楽しむという気にはなれないかもしれない。ドキュメンタリーとはそういうも -
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白状する。衝動買いをした作品である。あ、「ナショナルジオグラフィック」
は好きな雑誌だし、迫力あるビジュアルと綿密なレポートは毎号、楽しみ
にしている。
その「ナショナルジオグラフィック」が厳選したノンフィクションというだけ
で十分に魅力的ではある。だが、本書の購入動機は他にある。
表紙のカバー写真だ。アフマド・シャー・マスード。アフガニスタンの
伝説の司令官の横顔は、内容以前に私を惹きつけた。
だって、大好きなのだもの。マスードが。そして、購入してから秀逸な
ノンフィクション短編集であることに気付いたうつけ者である。
さて、内容。「極限の地からの報告」「野生動物をめぐる冒険」の2部
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