【感想・ネタバレ】ピュリツァー賞 受賞写真 全記録 第2版のレビュー

あらすじ

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米国内で発表された優れた報道・作品に授けられる「ピュリツァー賞」。時代を映す報道写真集の決定版に、2015年までの最新受賞写真を加えた改定版。

写真部門創設の1942~2011年を収録した初版に加えて、新たに2012~2015年の受賞写真を収録。
写真だけではなく、〈撮影時のエピソード〉〈写真の反響〉〈写真が社会へ与えた影響〉〈当時の時代背景〉〈ジャーナリズムの変化〉〈写真技術の変遷〉なども解説。フォトジャーナリズムの第一線にいた専門家の筆による解説は高い評価を得ている。
受賞写真を全年にわたり収録した書籍は他になく、資料としてきわめて有用。

写真家が全身全霊をかけて切り取った1枚の写真に、時代のすべてが映し出される。

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Posted by ブクログ

「この写真を撮った人は自殺した」
小学校のとき、ハゲワシと少女の写真を見せてくれた先生が言った言葉は、永遠に心から離れません。

なぜこの写真を撮る前に少女を救わなかったんだと世界中から非難された、ケビン・カーター。
当時は私も非難した側と同じことを思っていました。撮っている場合じゃないだろうと。
当の本人も写真を優先させたことを後悔していたと読んで分かりました。
でも、この写真がなければ饑餓の現実は世界に伝わらなかった。重い意味を背負ったこの写真は千語に値したのだと思います。

撮っても苦しかった
撮らなくても苦しかった

まだ子供だった多感な時期にこの写真を見れたのは、ケビン・カーターさんの苦渋の決断があってこそでした。
亡くなって30年近く経ちますが、忘れません。

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2021年07月21日

Posted by ブクログ

ピュリツァー賞(ピューリッツァー賞)は、新聞出版業で財を成したハンガリー生まれのアメリカ人、ジョーゼフ・ピューリツァーの遺志に基づいて、ジャーナリストの質の向上を目的に1917年に設立された。受賞対象は報道のほか、文学、音楽など、21部門に亘るが、1942年に創設された報道写真部門は、その中で最も権威ある部門のひとつである。
本書は、1942年から最新までの70年間の受賞写真を、撮影時の状況、写真への反響、写真家自身の証言、撮影機材や条件を記した撮影データ、及び同時代の出来事とともに収録したものである。(私の手元にあるのは、2011年出版の第1版なので、2011年の受賞作まで収録)
本書をめくってみると、1頁1頁の重み(もちろん、本の重さではなく、内容の重さである)に手が震えるが、私としては特に2つの大きな意味を感じる。
1つ目は、私は、世界の戦地・紛争地の様子を我々に伝えてくれるフォト・ジャーナリストの活動に強い関心を持っており、これまでも、(ピュリツァー賞を受賞した3人の日本人の一人である)沢田教一を描いた『ライカでグッドバイ』(青木富美子著)をはじめ、カンボジア・アンコールワットに消えた一ノ瀬泰造や、今世紀に入っては、故・山本美香、安田純平、長倉洋海、佐藤和孝、橋本昇、川畑嘉文らの書いた本を読み、多くにおいて非常に共感を持っているのだが、彼らと同じ志を持つ世界中のフォト・ジャーナリストが撮った、数限りない写真の中の代表的なものが集められており、フォト・ジャーナリズムの集大成であるという点。
2つ目は、対象となっている写真は、ベトナム戦争、東西冷戦、アフリカの紛争、イラク、アフガニスタン等の戦争・紛争、噴火、地震、津波等の自然災害のほか、オリンピックなど、幅広いが、そこには第二次世界大戦以降の世界が凝縮されており、言わば「世界の戦後史」を表しているという点である。
頁をめくり終えて最も強く感じるのは、人間の愚かさである。多くのフォト・ジャーナリストは、戦地・紛争地で起こっている現実を知らない、或いは知ろうとさえしない、恵まれた国の人びと(我々日本人はその代表である)に対して、その様子を伝えることにより、その戦争・紛争を停止させ、延いてはそのような戦争・紛争が起こらない世界を作っていくために、自らの命を危険にさらしながら、本書にあるような写真を撮り、世界に発信しているのである(自然災害等は避けられないものであるが)。しかし、ピュリツァー賞報道写真部門ができてから70年を過ぎた今、世界の戦争・紛争は減っているだろうか。。。
本書を見て我々が本来心に刻むべきことは、今後こうした写真が撮られることがないような世界を作ることなのだ。

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2020年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どの写真にも強烈な印象を持ちました。浅沼稲次郎が狂信的な右翼学生山口二矢に襲撃される瞬間を捉えた、長尾靖撮影「舞台上の暗殺」、ケネディ大統領を暗殺したオズワルドが射殺される場面を撮影したロバート・ジャクソンの「全世界に生中継されたオズワルド殺害」、実写で見たこともあるエドワード・アダムズ撮影「サイゴンでの処刑」、南アフリカでの飢餓によって今にも死にそうな子供とその死をじっと待っているハゲワシの姿を捉えたケビン・カーター撮影「ハゲワシと少女」はこの写真集を見る前から記憶に残っていました。 最近の受賞作は、テロや内戦を捉えたものが中心となっています。カメラマンも命がけです。

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2015年10月19日

Posted by ブクログ

写真一枚でその時代の背景が分かる印象的な写真が多かった。中にはグロイものもあったりだけど、結局宗教、イデオロギー主義主張の違いからの紛争、民族問題で戦争は起こるんだなと。悲観的な写真が多いイメージだったかなぁ。

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2022年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ピュリッツァー賞受賞写真ということで、どこかで見たことがある写真が多い。故沢田教一氏など日本人カメラマンの写真もある。受賞した写真を撮ったカメラは日本製が多い。ニコン、最近だとキヤノン。ニコン(元は日本光学)は、もともと軍需産業で三菱財閥の一員。戦艦大和の測距儀も日本光学製だったはず。

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2019年03月15日

Posted by ブクログ

普段写真は見る機会がないが、一枚の画像に色々なメッセージが込められており、時代や歴史を感じられた。
写真の展覧会などにも足を運んでみようと思う

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2018年06月12日

Posted by ブクログ

フォトジャーナリズム、写真の意味について考えさせられる。
写真の持つ力(言葉よりも直接人の心に響く力がある)は、政治にも影響を及ぼす。写真によって切り取ることは、客観的な報道ではなく意図をもったものにどうしてもなる。決定的な瞬間をとることは、事件にかかわった被写体や関係者にとって失礼、暴力的なものであるかもしれない。
世の中の血なまぐささが心にズシンと響く
写真の持つ力の恐ろしさが良く分かる。

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2016年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アメリカで最も権威ある賞のひとつであるピュリツァー賞の写真部門の全年度の受賞作を収録した本。
どこかで見たことのある作品も多々あったが、その写真の撮られた背景、撮影したカメラマンの苦労、その後の人生など、解説を読むことで写真を見る目もまた変化する。
残酷で悲惨な現実のその瞬間を切り取った報道写真は、見るものの胸を打つ。
目を背けたくなるような厳しい現実も、見なくては、知らなくてはいけないのだと迫るような写真の数々にただ、圧倒され、頭が下がるだけである。

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2017年12月19日

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