小野塚カホリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
猟奇的で血も涙も無く、まさに特高の申し子といった男、国崎は無自覚で左翼思考の作家、白井蓮司に恋心を抱いていた。
恋心と呼ぶには幼稚な、その感情の意味がわからずに持て余す国崎は、冤罪を主張する白井を殴りいたぶりながら、己の感情の赴くままに振舞う。
笑顔がみたいのにそれを言葉にできず、する事を知らない不器用な国崎は欲しいものが手に入らなくて駄々をこねる未熟な子供のように見えた。
誰か国崎にその執着する思いの意味を、教えてあげられる人が見つかればいい。
「その人が欲しいとはどういうことなのか」
あとがきで作者が語った言葉にも深く考えさせられる。
他2編の短編集。「ぼくはね。」もいい話。
BLでふた -
Posted by ブクログ
4編からなるオムニバス形式のコミックス。
オススメは昭和初期、戦時中の2人の青年の姿を描いた『花』
一方は、いつかは日本人になれると信じた独逸と日本の混血の青年。髪の色も眼の色も日本人には程遠い。
もう一方は軍人一家の暴君で次男坊。
一方はお国の為に戦いたいのに混血の身の為それが叶わず、
もう一方は国のために何ざ働きたくないという。
この主人である透がもう、ドSである。そりゃもう気持いいくらいに。
主従関係の字の如く主×従を地でいくこのお話は私の大好物である年下攻めである。
自由奔放で意地の悪い透に、嫌がりつつも逆らえない旭。
そんな歪んだ主従関係がとても小野塚カホリらしい。