ギ・ド・モーパッサンのレビュー一覧

  • 女の一生

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    ネタバレ

    開高健「任意の一点」という小説や三原順「ロングアゴー」を思い出した。

    叔母のリゾンが物語を通じて何度も現れる。ジャンヌは、最初は「かわいそうなリゾンおばさん」と見下していたのに、一緒に息子ポールに奉仕するのようになり、最後にはなぜ自分は愛されないのかとリゾンのように堕ちていくのが面白かった。
    同時に、常にリゾンの影がちらつくことで「ジャンヌは自分を不幸だと思っているが、リゾンより不幸ということはないでしょう」と読者に思い出させようとしているのかと思った。それはロザリがジャンヌを農民よりマシという趣旨のことを言って叱咤するのと同じ効果があるのかもしれない。

    ジャンヌも男爵もロザリも善良ではあ

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    2015年12月13日
  • 女の一生

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    なんという素晴らしい小説!世間知らずのお嬢様だったジャンヌが少女のまま眠りにつきふと我に返ると人妻になっていた、など表現が素晴らしく、自然描写も素晴らしい。結婚してケチな本性を現す夫や、逆に金遣いが荒くジャンヌにたかる最愛の息子の対比。あんなにも情熱的に恋したのに夫の本性を知り、現実を知り、冷めていくジャンヌの心理の変化。新訳で読みやすかったのかもしれないけど非常に良かった。この物語は冷めた両親と弟の放蕩ぶりをモデルに書かれたらしい。2012/405

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    2015年04月22日
  • 女の一生

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    恵まれた境遇で育てられた娘ジャンヌが、希望と期待を抱いて愛した男性のもとへ嫁ぎ結婚生活が始まる。しかし皮肉にも、そこから彼女の転落人生は始まった。

    リアリズム文学の名作として挙げられる本作ですが、これが『女の一生』であったら人生に匙を投げたくなります。
    女癖の悪い夫、心を通わせた友人、そして最愛の息子にさえ…。題名は『裏切り』でも良いのではと思うほどジャンヌには苦闘と絶望の日々が押し寄せます。薄幸な彼女がそれでも周囲に期待し、夢破れ打ちひしがれる姿に、もう可哀想すぎて読んでいられないと暗い気持ちになるか、悲劇のヒロインと化した主人公に好奇心すら湧き読み進めるかは読者によって異なるかと思います

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    2015年04月21日
  • 女の一生

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    ありふれた人生の惨めさ、滑稽さ。年齢をとってから読むと、それは笑えるし心安らぐし、救われる気がするから不思議だ。

    人生に夢見ていた主人公が現実に打ちのめされていく。しかし自分は不幸だと考える主人公だけでなく、登場人物すべてが現実の中でみっともなさを晒しながらも、それでも何とかギリギリ現実社会の中に踏みとどまって夢を抱き続けるのだ。
    自然主義文学の代表作と評されているが、リアリズムとは堅苦しいものではなく、現実社会の中でお互いに恥らいを持って知らないふりを決め込んでいる、人間のみっともなさをさらりさらりと描いてくれるのだ。
    良いことでも悪いことでも、何かが自分の前で起こるのは不幸ではない。それ

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    2011年05月10日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    最初のあたりは、主人公ジャーヌの少女的な表現の連発にちょっと読むのが大変でしたが、
    そこを越えるとわかりやすい描写でするすると読むことができました。

    全体の3/4くらいまでは、主人公ジャーヌに対して気の毒に思いながらも、
    「全てに対して受身だから、どんどん悲惨な状況になっていってしまっている。幸い資産家の娘なのだし、あまりにも最悪なジュリアンには見切りをつけて、次の幸せを探すべきでは?」と、行動を起こさないジャーヌに対しての怒りもありました。

    でもよく考えてみると、この時代、離婚などは有り得ないことで、
    そもそもそれを考えのひとつに入れられるようには教育されていなかったのだろうと気づき、深

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    2012年08月31日
  • 女の一生

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    フランス文学らしいフランス文学。文字通り哀れな女の一生を描いている。面白い。登場人物も作者も違うのだが、雰囲気が「ボヴァリー夫人」と似ている。

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    2009年10月04日
  • 女の一生

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    山本有三の『女の一生』と読み比べた。どちらも素晴らしい。女の一生には儚い美しさや悲しみが伴っている。恋愛。愛した人の裏切り。出産。子どもの成長と母からの独立。女であるということは、どういうことなのだろうか。女の一生とは、女とは何かを確認していくプロセスなのかもしれない。確実に私もその道を歩いてる気がする。

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    2009年10月07日
  • 女の一生

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    結構感動した
    作者は男なのに女の人生、考え方みたいな表現が緻密で美しいと思った
    原題はune vie で別に女の一生という意味ではない

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    2025年09月24日
  • 女の一生

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    海をはじめとする美しい自然の描写と、冷静すぎるほどの人間の描写が印象的。
    この本に出てくる程では無いにせよ、男性特有の冷たさは心当たりある人も多いのでは。しかし女性においてもジャンヌの母も浮気していた様に、結局は人間ってこんなものだよね…という話をジャンヌの目を通じて語っている。
    ジャンヌもそんな風になるかなと思っていたら純粋なままで、最後は彼女の欲しがっていた女の子を抱いて物語が終わる。
    リゾン叔母さんは可哀想で、それゆえの歪んだ部分も見えてとても好き。何か問題起こすかなと思っていたら、そのまま亡くなってしまった。

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    2025年08月30日
  • 脂肪の塊/ロンドリ姉妹~モーパッサン傑作選~

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    ロンドリ姉妹。
    そうくるか。

    脂肪の塊ってよくそんなタイトルつけたな。
    マダムエドワルダを思い出した。
    もし、プールドスュイフの立場だったらどうしたかな。

    雨傘
    コメディ?
    つぎはぎだらけの同じ傘を役所へもってくるので、オレイユは同僚たちの笑いの種に。

    これは、ゴーゴリの外套のようだな。同僚の持ち物にそんなに関心もつかな?


    散歩


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    2025年01月26日
  • 女の一生

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    ネタバレ

    修道院寄宿学校を出たばかりの少女がすぐに恋に落ち結婚するお話。浮気をする(当時の19世紀フランスでは当然)旦那が死んでも幸せにはなれず、子供のみが生きがいとなる。甘やかして育てた子は最後まで自分の元には残らず絶望した日々を一度は追い出された女中ロザリが手助けしながら歳をとっていく。

    19世紀フランスでの中層階級以上における浮気は当たり前であるという背景を念頭におくと読みやすいかもしれない。

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    2024年10月30日
  • 脂肪の塊/ロンドリ姉妹~モーパッサン傑作選~

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    モーパッサンの代表作だが、文章にあまり馴染めなかった。海外の古典作品を楽しむには、背景知識が欠かせない。

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    2024年01月05日
  • 女の一生

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    順風満帆な貴族の娘のジャンヌ。彼女の幸せな少女時代とそこから転落していく人生がひたすら悲惨だった。だからこそ、物語を締めくくる最後のセリフは悲しみを乗り越えていくジャンヌと読者の胸に希望を灯す美しいものだった。

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    2023年04月22日
  • 墓

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    異常なほど感受性が強く、人生のひとこまひとこまに対し、人の何倍も何十倍も強烈な印象を抱いてしまうのでしょうか。
    運命というか定めというか、星の巡り合わせというか、この主人公も、この主人公を生み出した著者も、一般人には想像がつかない内面の持ち主ですね。切ない物語です。

    #切ない #シュール #ダーク

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    2023年02月16日
  • 脂肪の塊/ロンドリ姉妹~モーパッサン傑作選~

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    モーパッサンの中短編集。
    風刺が効いている作品あり、なんとも言えぬひねりの効いた作品あり、コメディタッチな作品ありという感じ。
    現代においてストレートにウケるとは思わないけれど、ストーリーの捻りによって生み出される効果の面白さみたいなものを求めていたのだろうか。
    表題作の「脂肪の塊」は中産階級や聖職者に対する風刺であり、娼婦への差別への批判でもある。またロンドリ姉妹はコメディというか、男性に都合のいい女性を描いているように思えるけれど、どのような効果を狙ったのかはよくわからない。
    まだ自分はモーパッサンの面白さをつかみかねている。

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    2023年02月07日
  • 寡婦

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    派手さはないけれど、これはホントなのかなと思う、地味にびっくりした作品でした。ホントでも、虚構でも、このストーリーを描いた作者の一途さに感心の一言です。

    #ダーク #シュール #切ない

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    2023年02月04日
  • 初雪

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    翻訳が古いのですが、しみじみ情緒ある短編でした。
    どんな作家も短編を書き、それぞれ情緒はあるものですが、モーパッサンという作者の作品はどんなジャンルのものであっても、どれも私にはふしぎに響きます。特に奇をてらったものでなく、作者としてはあるがまま、感じるままに描いているのでしょうが、なぜかひかれるものがあります。

    #感動する #切ない #深い

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    2023年02月03日
  • 脂肪の塊/ロンドリ姉妹~モーパッサン傑作選~

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     1877年から1884年にかけての作品を収めた短編集。
     なるほど、この「新訳」はとても読みやすい。新潮文庫のモーパッサン訳はやはりもう古びてしまっているのか・・・。日本語の世界がどんどん「簡単な」方向に推移してきたのだということを再確認した。
     中編「脂肪の塊」は遥か昔読んだものだが、中身を全く覚えていないので面白く読んだ。ここでの人びとの娼婦に対する酷薄さは、集団心理に由来するものだろう。
     エミール・ゾラは常に「破滅」への執拗な意志を持っているが、モーパッサンはそれほどでもない。同じように世間に対してペシミスティックな思いを抱いていたかもしれないが、モーパッサンには人情への肯定的な部分

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    2023年01月15日
  • 女の一生

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    これ結構あるあるだったのかな…とおもうとガーンとなるが、
    まあこのくらいてんこ盛りじゃなくても、要素要素はいまでも見聞きするか…

    結婚した女の一生に起こる最悪のあるある詰め放題パック300ページどん!!!!

    逆にこれの反対をいけばめちゃくちゃ幸せになれそうとさえ思える

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    2022年11月11日
  • 脂肪の塊/ロンドリ姉妹~モーパッサン傑作選~

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    ネタバレ

    この作品を読むと、地元の同級生たちや、過去のバイト先にいたような、無責任で身勝手な人々のことを思い出す。

     この話の舞台は、普仏戦争でプロイセンに敗北した1871年のフランス。プロイセン軍が戦勝国としてルーアンの町を占拠しているなか、知り合いのドイツ人士官のつてを辿り、町から出る許可を取りつけた人々が4頭立ての大きな乗合馬車を確保。メンバーは、10人。
    ワイン問屋を営んでいる、悪知恵が働くお調子者のロワゾーとその妻。
    紡績工場を3つ所有している錦糸業界の重鎮にして県議会議員のカレ=ラマドンとその妻。
    ノルマンディー地方でも屈指の名門に属しているブレヴィル伯爵夫妻。
    修道女ふたり。
    民主主義者

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    2021年12月30日