ギ・ド・モーパッサンのレビュー一覧

  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    救われない話だけど描写が美しい。ボヴァリー夫人は破滅していく女だったが、ジャンヌは追い討ちをかけられる女だ。俗っぽい司祭と狂信的な司祭、したたかな小作人たち。美しい自然。ペシミズムにあふれていながらも筆致は暖かい。トルストイとドストエフスキーを足して二で割った感じだ。
    ジャンヌや父親に自由主義的神学の影が見える。

    0
    2011年04月27日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    自ら人生を切り開いて自由に生きている人間なんて、本当にいるのでしょうか。ほとんどの(本当はすべてと言いたいところですが…それは断定できないので)人間は、周りの環境や他人の影響によって、常に影響され、流されながら生きているのではないでしょうか。

    だからと言って、人生というものがなんてつまらないのだろう、とか、生きる意味なんてないのではないか、と言いたいのでありません。おそらくモーパッサンも、この長編小説を書きながら、彼自身はたいへんなペシミストではあると思いますが、人生の意味や、自分の中にある生きたいという気持ちの理由を見つけようとしていたのではないかと感じるのです。

    僕はむしろ、人生のそう

    0
    2011年03月20日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    こどものころ映画で観て、そんなわけないんだけど、女だったらみんなこんな一生を送らねばならないのかと思い恐怖した。本を読んでいても映画の場面がよみがえったなあ。現代女性には耐えられないような女の生き方な気がする。

    0
    2011年09月03日
  • 脂肪の塊/ロンドリ姉妹~モーパッサン傑作選~

    Posted by ブクログ

    昔、更生用の動画(私が更生の対象だった訳ではない)に被害に遭った女性がどれだけ深刻な状態にあるかを理解させるようなシーンがあった。そこでの女性の一言に「彼らは女性を肉の塊としか見ていない!」。それを見ていた学生が噴き出してしまい、動画の意に反しそれから暫く「肉の塊」というワードが流行っていた。ユーモアには知性が必要だが、シリアスにも知性や品性が必要だった。

    で、本書は短編集で、上記を思い出したのは「脂肪の塊」というタイトルがきっかけ。調べると、おデブちゃんくらいのニュアンス。このおデブちゃんはプリティな娼婦だが、プロイセンの士官に身体を求められる。それに応じなければ、前には進めないよ、という

    0
    2025年10月16日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    あまり人生をつんでいないからわからないけど、人生ってこんなものだよな。
    ジャンヌの描写が、時を経るにつれて、すぐ数年後とかになって時間的な解像度が減ったり、過去を振り返るシーンが増えていったり、またジャンヌの目に映る景色や日常の風景も暗く薄いものとなっていくのが印象的だった。逆に、前半部分の無垢なジャンヌが人間の悪意や俗っぽさに触れていくにつれて失望していくシーンが読んでて辛くなったりすることもあったが、逆に自分がこの先こういった体験をしていくのかなとも思った。
    一般的に歳をとると人間は錆びついてきて、空虚な日々を過ごすのだなということは分かっていたが、そういった認識に現実感を与えてくれるよう

    0
    2024年02月12日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    学校卒業からの、夢の人生の始まり、自分の人生の始まり、と思いきや、あっけなく出会い結婚、人生に翻弄される貴族女性の話。

    原初のタイトルは Une vieということ。
    本当にいろいろ起きて、場面によって喜劇であり悲劇。

    主人公の女性の周りにもさまざまな登場人物がいて、その女性はそのうちの一つの生き方、そのような一つの人生についての視点として読めるのかなと思う。
    多分楽しんでいるときもあるけど、割と一貫して悲劇が印象的。女性を翻弄する人間関係とは対照的に、自然や情景の描写は、読者にも少し安らぎを与える。

    解釈によって人生は悲劇になり喜劇になり、重要なのはその人自身の解釈なのではないかと。

    0
    2023年02月03日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    「いわゆる女」の一生ではなく、「ある女」の一生。取り違えると気分を害しそう。「いわゆる貴族社会」における「ある女」の一生、という感じか。
    貴族の中で主人公の人生が、とりわけ波乱万丈、とりわけ不幸なのかどうか自分にはは分からない。ただとりわけ純粋だったのが、ある意味不幸だったのかも。
    自分も含め、今の時代日本人からは想像もつかないほどの教会の力、貴族のしきたり。固定観念や既得権の怖さを思い知る。
    はて、最後に息を引き取るとき、彼女は幸せだったのか。そこは本人にしか分からない。

    0
    2022年11月23日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    主人公ジャンヌが次々とフラグを踏んでいく様子に昼ドラ的展開を感じた…。文学作品として有名だけどテーマが大衆的なので比較的読みやすいかも。

    0
    2022年01月08日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    読み易いし読んでる間は楽しい。読み終わると、さー困った。何も書けない。ジャンヌという修道院で育った年頃の娘が早速結婚する。「純潔、無垢」とは「愚か、中身がない」ということでした。フレッシュな胡瓜は、屈辱という名の粗塩を揉みつけられ、こすられ、いい感じに、ならないんだよ。時代っちゃそうだけんども、自分の考えを持たないで、守ってもらう前提の生き方に対する、やっぱり作者のディスりなんだよな。最後に放逐された召し使いが戻ってきて、教育なんか受けてなくても、しっかり賢いんだよ。作者こそ、産まれてる時代間違えてねえ?

    0
    2020年01月18日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    この著作を端的に表すなら、独身の人が周りの人からなんで結婚しないの?って聞かれてうざいなと思ったら「結婚したって『女の一生』みたいになるだけだから。」と答えてもいいくらいの、暗い作品。最後のオチだって、一応絶望エンドではないけれども、いい方向に向かうのかこれ…?と疑問に思わざるを得ないような終わり方だ。
    最初の段階で、両親(特に父親)に純粋純潔に育てられて修道院を出たお嬢様、という描写でもう悪い予感しか無いと思ったが事実そのとおりに。
    だが皮肉にも、主人公の状況がひたすら暗いほうに転がっていくに従って話の内容としては面白くなっていくと個人的には思う。この当時では女の人生なんて生まれた家と配偶者

    0
    2019年12月29日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    一気に読まずにはいられなかった。
    古くて新しい。
    男というのはしようのない生き物だ。
    息子をどんな育て方をすれば、こんなになるかも納得する。

    0
    2019年08月13日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    積ん読になってて、映画化されたので、読もうと思った。

    どちらかというと★2つ寄り。

    女の一生じゃない。原題とは異なる。
    寄宿学校を出てから、40代半ばまでのジャンヌの話。

    結婚とは何なのか。
    出会ってすぐに恋に落ち、瞬く間に結婚。
    何の知識もなく、初夜で失望。

    夫の不倫。
    この夫は酷いな。最後はざまあって思ったけど。
    あの転がるところの描写は凄惨さが伝わる。一番印象に残った。

    子供への甘やかし。過干渉。親を利用する大人の出来上がり。
    子育ての失敗が跳ね返ってくる。

    不幸なジャンヌ。
    夫については同情したけど、子供についてはそりゃあ仕方ないなと思えた。明らかに甘やかしだもの。

    生き

    0
    2017年12月17日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    ずいぶん前に読んだもので、レビューをするのをすっかり忘れていた。
    本書が書かれた時代背景には、このようなことがありふれていたのだろうか?
    読んでいて暗い気持ちになった。
    人生の部分部分でどのように選択するかによって、人生は変わっていくが、そのときどう選べば良かったかなんて全く分からないものである。

    0
    2016年06月09日
  • ベラミ

    Posted by ブクログ

    某読書ブログで面白いと絶賛されていたため手に取った。
    確かに面白い。
    老人の話は心に残る内容だった。
    ただ、女性の私はベラミのとる行動が反感を覚えることばかりだったため、面白いが内容に難あり…という感想である。

    0
    2014年12月11日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    最初の結婚したところらへんまでで、何度も挫折したけど、3度目ぐらいでやっと読み切った。
    本当に昼ドラ並みのドロドロだけど、当時のフランスでは普通だったのかしら。
    概要は知っていたけど、余りにも悲惨な人生。
    救いようのない旦那と息子。
    結婚相手を選ぶには慎重になる必要があるなと感じた。

    0
    2014年09月17日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    前半退屈だったが、後半になって盛り上がったかな。女性の透明な美しさ、慎ましやかさが善良さや無知に由来するとしても一生そうあり続けるためには少なくとも良い伴侶が必要。今も昔も変わらない部分はある、けどこれで良いの??あんなに家族思いの男爵の元で幸せになれなかったベラトリエル夫人は?私生児を産み落として無理矢理結婚させられた召使のほうが幸せに見えるのは何故?本当の女の幸せとは何なんだろう…

    0
    2013年12月13日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    生まれて初めて読んだセックスシーン。今読んでもドキドキしちゃう。全然色っぽくはないんだけど、リアリズムにあふれてる。
    もう一つ好きなシーンはダンナが殺されちゃうところ。

    0
    2013年10月25日
  • ベラミ

    Posted by ブクログ

    田舎出のデュロアは元アフリカの騎兵隊下士官だったが、一旗挙げようと軍隊を辞めフランスに。しかし鉄道会社勤めでお金がなく、日々を窮していた。ある日、アフリカでの騎兵隊仲間だった新聞記者フォレストに会い、チャンスをつかむ。人一倍ハンサムなディロアは、フォレスト家に集まる上流社会の女性達に愛されて、その助けを受けながらチャンスを広げてゆく。愛と資産と名誉を求め、次々と成功の階段を上ってゆく。そのたびに女性の愛を裏切り、別の愛に求め、移ってゆく。//愛人たちとそれらの夫とデュロアの関係がとても面白い。新聞業界やフランスの上流社会のモラルと倫理のなさがリアルに描かれていて興味深い。でも、物語としては面白

    0
    2013年06月17日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    一人の女のなんとも悲しく哀愁漂う一生を描くリアリズムの名作。完璧な青写真を人生というキャンバスに描き、幸せの絶頂にあったうぶなお嬢様がある時を境に次々と幻滅を味わい転落していく様が見事に描かれている。絶望と悲嘆にくれながらも主人公には一縷の希望がまだ残されているところが逆にリアリティに富んでいるような印象を受けた。

    0
    2013年02月18日
  • 女の一生

    Posted by ブクログ

    出てくるのがダメ人間ばっかりなんだけど、それがこの作品の魅力でもある。ラストが素敵ですね。
    描かれているのは主人公の生涯の一部、20年間ほどですが、タイトル(邦題)がしっくりきます。

    0
    2012年04月06日