小笠原豊樹のレビュー一覧

  • 無実はさいなむ
    久々に再読。途中まで読んだら犯人と動機を思い出した。
    資産家の義母を殺害したとして逮捕されたジャッコは、無実を主張したがかなわず獄中で死亡した。その後、ジャッコのアリバイを証明する人物が現れたことで事件は振り出しに。彼が犯人でなければ誰なのか‥
    ジャッコの冤罪が証明されたことで家族が疑心暗鬼になって...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    レイ・ブラッドベリはSF作家なんだと勝手に思っていたけど、実際この短編集の半分以上はSFじゃなかった。ファンタジーであったりヒューマンドラマであったり、ホラーやディストピアや故事のような話もあったり…本当によりどりみどり。SFに特化してた訳ではなかったんだな。
    いくつかは面白かったけど、律儀に全部を...続きを読む
  • 無実はさいなむ
    NHKで同名の海外ドラマとして放送された作品の原作。
    殺人事件というのは往々にして、エゴイズムの塊であるが、本書はそんなエゴイズムが、悲劇を巻き起こす。

    資産家の女性、レイチェルが殺された。
    殺人犯とされるのは、彼女の養子である、今は亡きジャッコ。
    なんと、「おまえはもう死んでいる」状態の設定。
    ...続きを読む
  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    「犬を連れた奥さん」
    最後までおじさまの魅力がピンと来ないままふわふわ読み進んで終了。

    しかしいる、いるよこういう男。「新しい、素晴らしい生活」どころか「いちばん複雑な困難な途」すら歩み切らずにサッと安全圏に帰ってまた退屈を持て余す。そういう人も始めはこういう勢いで盛り上がってるのね〜と垣間見た気...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    火星を舞台にした短編集で、それぞれ雰囲気はさまざまだけれど、時間的つながりのある作り。どこか文学的というか、叙情的というか。またメタファー的表現も多々。
  • 火星年代記〔新版〕
    SFというよりSF風の物語です。
    火星を舞台にした年代記という発想も、ページを追うごとに未来になっていくという構造も、いまだに新鮮です。

    しかし、一部のレビューでも指摘されているように、やや中だるみがあるように感じられました。一種の連作短編集なので、あまり面白くないと感じた短編があると中だるみがあ...続きを読む
  • プレヴェール詩集
    ジャック・プレヴェールは、「枯葉」というシャンソンの作詞でも良く知られています。もの哀しいメロディーの曲で、過ぎた愛を歌い上げていますが、この詩集に収められた他の詩は、予想に反して明るい色調のものが多いです。

    例えば「なくした時間」。天気のいい日に働いていると、みんなが持つであろう気分が軽快に表...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    タイトルは知っているが読んだことのない本ということで手に取った本書。SFと思って読み進め、ファンタジーなのだと気が付きました。自分にとっては火星を舞台にしたファンタジーです。互いの距離、隔たりについて考えさせるファンタジーでした。そして、時代を感じさせるかと思いましたが、全然新鮮さのあるストーリーで...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    SFというよりはファンタジー色の強い、教訓めいた話も多い短編集と感じた。通勤などちょこちょこ読むのに丁度よかった
  • 太陽の黄金の林檎
    古典SF。
    「サウンドオブサンダー」が目的借りた。
    それは期待面白かったけど、それ以外は微妙だった。
    単に好みではなかったということかな。
    和訳も含めて。
  • 悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー
    当時の背景をよく知らないとちょっとわかりにくいかもしれない。舞台で演じたらわかるのかな? という感じ。どんな舞台だったのか観てみたかった。
  • 火星年代記〔新版〕
    SF。連作短編集。
    ブラッドベリのSFはどこか幻想的。
    全体的な印象として、序盤は面白く、中盤は退屈で、終盤はまた面白い。

    「地球の人々」での火星人とのコンタクトの結末は、とてもユニーク。
    「第三探検隊」も、そう来たか!、という結末の切れ味。
    「月は今でも明るいが」では、スペンダーの思考に考えさせ...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    鋭い文明批判が満載で、思わず付箋を貼りながら読んだ。半面それらが率直に綴られすぎというか、説教臭く感じられるところも少々。
  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    ロシアの文学には、どこか惹かれるものがあります。でも、いつも半分も理解できた気がしません。多分、時代背景や文化や、価値観が、現代の日本人とはかなり違っているので、その辺りをよく分かった上でないと理解できないのかと思います。
    チェーホフの短編は、人間のあらゆる面、美しさも、醜さも、滑稽さも掬い取って、...続きを読む
  • 刺青の男
    刺青のある男との出会いというプロローグとエピローグの間に18のSF短編。
    凝縮された短い文章の中で、読者の想像力が試される作品。

    宇宙に進出しているような未来が舞台で、ロケットが多く出てくる。
    科学技術が発展しているものの、現代と比較するとベクトルの向きが微妙にズレているのを感じるのはやはり20世...続きを読む
  • 人間
    またしてもスケールの大きな長編詩。

    社会と戦い、恋に破れ、ピストル自殺した自分へのレクイエム。数千年の歳月を経て、復讐するため天上よりナイフを手に舞い戻るも、「あの男」は居らず、焦がれたはずの恋人も、知らない女。虚しく、切ない。

    それにしても若くて自信満々でこんなに魅力的なのに、なんで彼女でなけ...続きを読む
  • 悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー
    小笠原豊樹氏翻訳のマヤコフスキー叢書2冊目。
    言葉の使い方が魅力的で、青年マヤコフスキーに会いたくなってしまうのは小笠原豊樹さんの力も多分にあると思う。
    「詩人ヴラジーミル・マヤコフスキー」が主人公の不条理劇。
    戯曲の出来としては……?

    2014年8月 売却
  • 太陽の黄金の林檎
    一昨年亡くなったレイ・ブラッドベリの短編集。
    SFと言うよりは、寓話集のような物語集である。
    個人的には、「日と影」、「草地」、「歓迎と別離」などがよかった。
  • 太陽の黄金の林檎
    不思議な読後感の短篇集。だからなんなんだというお話(自分にはピンと来なかったということ)や、少しお説教臭さを感じるお話もあったり。
    その中で気に入ったのは下記タイトル。

    ・霧笛…”奴はまた百万年も待つだろう”
    ・四月の魔女…魔女の少女の可愛い恋のお話
    ・人殺し…わかる。あらゆる音が気に障る時がある...続きを読む
  • ナボコフのロシア文学講義 下
    なにしろ議論が小説の細部にまで及ぶので、自分の読んだことある小説についての論だけつまんで読んだ。というわけでトルストイの「アンナ・カレーニン」はお預け。
    トルストイには芸術家の顔と説教者の顔とがある。ふむ。