小笠原豊樹のレビュー一覧

  • とうに夜半を過ぎて

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    悪くはないのだけれど、自分はやはりブラッドベリと言われると『10月はたそがれの国』、『火星年代記』辺りが好きなんだよなぁ。
    本書に収められたものもいいんだけれど、寄せ集め感が強く今ひとつのめり込めなかった。読んだ事あるものが多かった。

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    2024年05月16日
  • 火星年代記〔新版〕

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    面白いと聞いて読んだが自分にとってはあまり響かなかった。ヒューマンドラマ系のものがあまり響かないのかもしれない。

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    2024年04月21日
  • 火星年代記〔新版〕

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    ネタバレ

    評価も感想も非常に難しい。とりあえず詩人、幻想みたいな謳い文句に引っ張られると結構具体的な描写をしていて、拍子抜けするかもしれない。
    普通に人が死に、殺し、殺される。地味で淡々としているが、かなり無常でダークな作風だ。ダークといっても暗黒ではなく冷たい暗灰色といった感じ。
    かなり読むのにコツが必要で、現実的な先入見は捨てなければならない。火星と言っても当然リアルな火星ではない。しかし人の見た夢の中の火星も違う気がする。地球が見た夢の火星みたいなイメージだ。本人が神話と表現するように幽世みたいな。まあよくは分からないが。

    最初は捉え所がなくて微妙だと思ったのだが、終盤に進むにつれ文章のキレ味も増してくる。華氏451度のように文章でぶん殴ってくるような衝撃はないが、やはり表現の核も結論も変わってはいない。
    最後に収録されている『優しく雨ぞ降りしきる』と『百万年ピクニック』の表現力や抒情性はやっぱり素晴らしい。
    短編集ということだが、各話一応連続性があり、この百万年ピクニックで完成し、そういうことだったのかと納得する作りになっている。
    そして三体III下などはある意味この作品の改変バージョンであることに気付く。代表作と呼ばれる理由もそこにあると思う。埋め込まれた後続への種子が咲いたのだろう。創作を通した著者の計画は成功しているのかもしれない。
    ただ一つ、年代表記は不要だったと思う。あまりに展開が性急すぎる。

    瞬発的な面白さは無いが、徐々に良さが浸透してくるタイプで、ある時ふいに読むと波長が合って頭に入ってくる感じだ。しかしそのタイミングは分からず、読めない時は本当に読めない。読める時も作者が序文で宣言している通り、答えが明快に解るとかではなく、何かスッと感じ入り読めてくるとしか自分には表しようが無い。まあこの序文が最も意味が分からないのだが……。だから面白いという観点では評価出来ず、かなり読み手を選ぶと思う。全く読んだことがないので詳細不明だが、確かに星新一が影響を受けたっぽい作風だが、更に掴み所がなく解り難い話だと思う。キノの旅などが好きな人には刺さるかもしれない。

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    2024年02月01日
  • 火星年代記〔新版〕

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    シャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ・オハイオ』はオハイオの架空の町、ワインズバーグのことを短編小説の連なりから、どんな町なのか浮かび上がってくるという作品だった。
    『火星年代記』は序文にも書かれている通り、レイ・ブラッドベリが『ワインズバーグ・オハイオ』から影響を受けて、そのやり方を踏襲、舞台を火星に移した作品だ。
    だが描かれている世界はレイ・ブラッドベリらしく非常に幻想的で、不思議な儚さがあった。
    時代を感じさせる部分も確かにあるのだが、地球人と火星人という異種族に対する偏見や差別感なども描かれていて、今読んでも強度を感じる部分もある。

    個人的な好みとしてはいささか物足りなさも感じるが、名作なのは間違いないだろう。

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    2023年06月05日
  • 火星年代記〔新版〕

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    ブラッドベリ3冊目。前作の林檎で感じた違和感を、この直前にイーガンを読んでいたからか、更に明確に感じる部分が多々あり、それが本作にハマりきれずにいた要因です...。一部いいなって思うエピソードも勿論あったし(「火星の人」「百万年ピクニック」)、好きな華氏を彷彿とさせるエピソードも良かったんだけどな(「第二のアッシャー邸」)。やはりアメリカ中心な感じが苦手、、

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    2023年01月14日
  • 無実はさいなむ

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    ネタバレ

    アイツが犯人だと思っていた頃に戻れたら。

    ある家族のもとにもたらされた知らせ。それは母を殺したのはジャックじゃない、というアリバイの成立。ジャックじゃないなら、誰なのか。疑心暗鬼に陥る一家、犯人を探そうとする者、隠そうとする者、庇おうとする者、確実に崩壊の足音がしていた。

    BSで一度ドラマを見たはずなのに、犯人もすっかり忘れていたおめでたい頭。なんだか坐りの悪い話。むずむずするのは、登場人物が皆「良いことをしようとしている」のに、どんどん不幸を招いているからか。クリスティーは相手を損なう善意をここまで書くのが素晴らしい。はっきり言って免罪を知らせにきたキャルガリは、この一家の問題にここまで首を突っ込む必要はない、執着しすぎではないか。殺された母レイチェルの愛情は、母の愛だったのか。メアリの、下半身の自由を失った夫への愛情は、愛情か。気持ち悪さを感じながらも、ありそうと思う。この歪んだ人たちは身近にいそう。

    人間関係のもつれだったり愛憎だったりが殺人の動機になるというなら、クリスティーが描くのは自己中心的な人間の業。ぞくっとする鋭さで読者に問いかける。それは愛なのか。愛は尊いものなのか。

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    2021年05月17日
  • 無実はさいなむ

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    久々に再読。途中まで読んだら犯人と動機を思い出した。
    資産家の義母を殺害したとして逮捕されたジャッコは、無実を主張したがかなわず獄中で死亡した。その後、ジャッコのアリバイを証明する人物が現れたことで事件は振り出しに。彼が犯人でなければ誰なのか‥
    ジャッコの冤罪が証明されたことで家族が疑心暗鬼になっていく描写がうまいのはさすがクリステイ。ノンシリーズでミステリというより登場人物の心情が読みどころだが、個人的にはこういうのも好き。

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    2020年11月16日
  • 太陽の黄金の林檎

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    レイ・ブラッドベリはSF作家なんだと勝手に思っていたけど、実際この短編集の半分以上はSFじゃなかった。ファンタジーであったりヒューマンドラマであったり、ホラーやディストピアや故事のような話もあったり…本当によりどりみどり。SFに特化してた訳ではなかったんだな。
    いくつかは面白かったけど、律儀に全部を読まなくても良かったかな、と正直感じた。
    訳語が古いせいかかなりとっつきにくかったのもある。文章が読みづらい…でも原文によるところも大きいと思う。すごく詩的な文章。情景描写の分かりやすさよりも文章のリズムや美しさを重視している気がする。
    内容自体も、うーんそこで話終わっちゃうのか、、、と感じられる作品がしばしば。
    表題作の「太陽の黄金の林檎」「雷の音」「霧笛」あたりは良かった。

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    2020年10月23日
  • 無実はさいなむ

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    NHKで同名の海外ドラマとして放送された作品の原作。
    殺人事件というのは往々にして、エゴイズムの塊であるが、本書はそんなエゴイズムが、悲劇を巻き起こす。

    資産家の女性、レイチェルが殺された。
    殺人犯とされるのは、彼女の養子である、今は亡きジャッコ。
    なんと、「おまえはもう死んでいる」状態の設定。
    話、終わりじゃん。

    しかし、第三者であり、本作の探偵役のアーサー・キャルガリが現れたことで、事件が蒸し返され、改めて真犯人探しが始まる。
    解説にもあるが、めでたし、な終わり方は妙な唐突感があるし、真犯人が判明するのも、なんとなく取ってつけた、感はある。
    その意味では、ドラマ版の方が、私は鮮やかで面白かったと思うし、登場人物たちの育ちの背景や心情が補足されていて、面白かった。
    ただ、そちらを先に見ていたからこそ、本作が分かり易かったし、読みたいと思ったきっかけであるので、優劣をつけるつもりはない。
    登場人物たちにあまり感情移入ができなかったが、自分勝手さは誰もが持つ心の動きであろう。
    母親との関係も、よく問題になる。
    愛したのに、その愛は帰ってこないし、良かれと思っても疎まれる。
    愛は自己満足に過ぎない。

    それでも、愛を持って解決したのは、著者の心のうちに、愛を信じたい気持ちがあったからではないか。
    何とも陳腐な憶測ではあるけれど、私も、それでも愛を信じたいと思う。

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    2020年03月14日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    ネタバレ

    「犬を連れた奥さん」
    最後までおじさまの魅力がピンと来ないままふわふわ読み進んで終了。

    しかしいる、いるよこういう男。「新しい、素晴らしい生活」どころか「いちばん複雑な困難な途」すら歩み切らずにサッと安全圏に帰ってまた退屈を持て余す。そういう人も始めはこういう勢いで盛り上がってるのね〜と垣間見た気分。どんどん腹が立ってきた。
    むしろ全くマイナスの感情抜きに中年の理想をきれいにまとめるチェーホフ。ご尊顔を拝するところシブいインテリで、自分の売りも分かって捨てることにも無自覚な主人公像に重なり納得してしまって悔しい。

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    2019年05月30日
  • プレヴェール詩集

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    ジャック・プレヴェールは、「枯葉」というシャンソンの作詞でも良く知られています。もの哀しいメロディーの曲で、過ぎた愛を歌い上げていますが、この詩集に収められた他の詩は、予想に反して明るい色調のものが多いです。

    例えば「なくした時間」。天気のいい日に働いていると、みんなが持つであろう気分が軽快に表現されていて、思わず微笑みました。

    また「祭」。生命の神秘と儚さが、短い詩に濃縮されています。

    詩は、詠う人の心のあり方が如実に現れるものだと思います。
    簡潔な言葉で人生のシーンをとらえてみせたプレヴェールの心は、市井で生きる人々の気持ちと同じ目線に立っていたんではないかと感じました。

    個人的に、「枯葉」の「ね、僕は忘れていないだろう(Tu vois, je n’ai pas oublié)」という件は、フランス人の心根の優しさを感じさせる部分です。

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    2018年11月18日
  • 太陽の黄金の林檎

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    SFというよりはファンタジー色の強い、教訓めいた話も多い短編集と感じた。通勤などちょこちょこ読むのに丁度よかった

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    2018年02月14日
  • 太陽の黄金の林檎

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    古典SF。
    「サウンドオブサンダー」が目的借りた。
    それは期待面白かったけど、それ以外は微妙だった。
    単に好みではなかったということかな。
    和訳も含めて。

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    2018年01月28日
  • 悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー

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    当時の背景をよく知らないとちょっとわかりにくいかもしれない。舞台で演じたらわかるのかな? という感じ。どんな舞台だったのか観てみたかった。

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    2017年12月18日
  • 火星年代記〔新版〕

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    SF。連作短編集。
    ブラッドベリのSFはどこか幻想的。
    全体的な印象として、序盤は面白く、中盤は退屈で、終盤はまた面白い。

    「地球の人々」での火星人とのコンタクトの結末は、とてもユニーク。
    「第三探検隊」も、そう来たか!、という結末の切れ味。
    「月は今でも明るいが」では、スペンダーの思考に考えさせられる。

    終盤は、「オフ・シーズン」から面白かったと感じる。
    「沈黙の町」は、火星に残された人間の哀れな希望が悲しい。
    「長の年月」はセンチメンタル。これがベストか。
    「優しく雨ぞ降りしきる」は、無人の廃墟で健気に働く機械が虚しい。
    「百万年ピクニック」では、最後に僅かな希望があって、少しだけ救われる。

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    2023年12月07日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    ロシアの文学には、どこか惹かれるものがあります。でも、いつも半分も理解できた気がしません。多分、時代背景や文化や、価値観が、現代の日本人とはかなり違っているので、その辺りをよく分かった上でないと理解できないのかと思います。
    チェーホフの短編は、人間のあらゆる面、美しさも、醜さも、滑稽さも掬い取って、ごちゃ混ぜに織り上げたようです。貧しい、辛い人生には心からの同情を、醜悪な、滑稽な人々にもひとさじの憐れみをもって描いているところに、単なる風刺小説でない、ヒューマニズムを感じます。

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    2016年04月21日
  • 刺青の男

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    刺青のある男との出会いというプロローグとエピローグの間に18のSF短編。
    凝縮された短い文章の中で、読者の想像力が試される作品。

    宇宙に進出しているような未来が舞台で、ロケットが多く出てくる。
    科学技術が発展しているものの、現代と比較するとベクトルの向きが微妙にズレているのを感じるのはやはり20世紀半ばあたりの作品だからだろうか。

    全体的にディストピア風味だが、希望の光が見える作品もある。
    そして子供最強(笑)

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    2016年03月19日
  • 人間

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    またしてもスケールの大きな長編詩。

    社会と戦い、恋に破れ、ピストル自殺した自分へのレクイエム。数千年の歳月を経て、復讐するため天上よりナイフを手に舞い戻るも、「あの男」は居らず、焦がれたはずの恋人も、知らない女。虚しく、切ない。

    それにしても若くて自信満々でこんなに魅力的なのに、なんで彼女でなければならないのか。「後悔するような選択をしてしまう人は詩人の才能がある」という文言を実感させるようなマヤコフスキーであった。

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    2015年05月17日
  • 悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー

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    小笠原豊樹氏翻訳のマヤコフスキー叢書2冊目。
    言葉の使い方が魅力的で、青年マヤコフスキーに会いたくなってしまうのは小笠原豊樹さんの力も多分にあると思う。
    「詩人ヴラジーミル・マヤコフスキー」が主人公の不条理劇。
    戯曲の出来としては……?

    2014年8月 売却

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    2014年08月03日
  • 太陽の黄金の林檎

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    一昨年亡くなったレイ・ブラッドベリの短編集。
    SFと言うよりは、寓話集のような物語集である。
    個人的には、「日と影」、「草地」、「歓迎と別離」などがよかった。

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    2014年09月11日