小笠原豊樹のレビュー一覧

  • 無実はさいなむ

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    久々に再読。途中まで読んだら犯人と動機を思い出した。
    資産家の義母を殺害したとして逮捕されたジャッコは、無実を主張したがかなわず獄中で死亡した。その後、ジャッコのアリバイを証明する人物が現れたことで事件は振り出しに。彼が犯人でなければ誰なのか‥
    ジャッコの冤罪が証明されたことで家族が疑心暗鬼になっていく描写がうまいのはさすがクリステイ。ノンシリーズでミステリというより登場人物の心情が読みどころだが、個人的にはこういうのも好き。

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    2020年11月16日
  • 太陽の黄金の林檎

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    レイ・ブラッドベリはSF作家なんだと勝手に思っていたけど、実際この短編集の半分以上はSFじゃなかった。ファンタジーであったりヒューマンドラマであったり、ホラーやディストピアや故事のような話もあったり…本当によりどりみどり。SFに特化してた訳ではなかったんだな。
    いくつかは面白かったけど、律儀に全部を読まなくても良かったかな、と正直感じた。
    訳語が古いせいかかなりとっつきにくかったのもある。文章が読みづらい…でも原文によるところも大きいと思う。すごく詩的な文章。情景描写の分かりやすさよりも文章のリズムや美しさを重視している気がする。
    内容自体も、うーんそこで話終わっちゃうのか、、、と感じられる作

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    2020年10月23日
  • 無実はさいなむ

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    NHKで同名の海外ドラマとして放送された作品の原作。
    殺人事件というのは往々にして、エゴイズムの塊であるが、本書はそんなエゴイズムが、悲劇を巻き起こす。

    資産家の女性、レイチェルが殺された。
    殺人犯とされるのは、彼女の養子である、今は亡きジャッコ。
    なんと、「おまえはもう死んでいる」状態の設定。
    話、終わりじゃん。

    しかし、第三者であり、本作の探偵役のアーサー・キャルガリが現れたことで、事件が蒸し返され、改めて真犯人探しが始まる。
    解説にもあるが、めでたし、な終わり方は妙な唐突感があるし、真犯人が判明するのも、なんとなく取ってつけた、感はある。
    その意味では、ドラマ版の方が、私は鮮やかで面

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    2020年03月14日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    ネタバレ

    「犬を連れた奥さん」
    最後までおじさまの魅力がピンと来ないままふわふわ読み進んで終了。

    しかしいる、いるよこういう男。「新しい、素晴らしい生活」どころか「いちばん複雑な困難な途」すら歩み切らずにサッと安全圏に帰ってまた退屈を持て余す。そういう人も始めはこういう勢いで盛り上がってるのね〜と垣間見た気分。どんどん腹が立ってきた。
    むしろ全くマイナスの感情抜きに中年の理想をきれいにまとめるチェーホフ。ご尊顔を拝するところシブいインテリで、自分の売りも分かって捨てることにも無自覚な主人公像に重なり納得してしまって悔しい。

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    2019年05月30日
  • 火星年代記〔新版〕

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    火星を舞台にした短編集で、それぞれ雰囲気はさまざまだけれど、時間的つながりのある作り。どこか文学的というか、叙情的というか。またメタファー的表現も多々。

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    2019年05月14日
  • プレヴェール詩集

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    ジャック・プレヴェールは、「枯葉」というシャンソンの作詞でも良く知られています。もの哀しいメロディーの曲で、過ぎた愛を歌い上げていますが、この詩集に収められた他の詩は、予想に反して明るい色調のものが多いです。

    例えば「なくした時間」。天気のいい日に働いていると、みんなが持つであろう気分が軽快に表現されていて、思わず微笑みました。

    また「祭」。生命の神秘と儚さが、短い詩に濃縮されています。

    詩は、詠う人の心のあり方が如実に現れるものだと思います。
    簡潔な言葉で人生のシーンをとらえてみせたプレヴェールの心は、市井で生きる人々の気持ちと同じ目線に立っていたんではないかと感じました。

    個人的

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    2018年11月18日
  • 太陽の黄金の林檎

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    SFというよりはファンタジー色の強い、教訓めいた話も多い短編集と感じた。通勤などちょこちょこ読むのに丁度よかった

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    2018年02月14日
  • 太陽の黄金の林檎

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    古典SF。
    「サウンドオブサンダー」が目的借りた。
    それは期待面白かったけど、それ以外は微妙だった。
    単に好みではなかったということかな。
    和訳も含めて。

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    2018年01月28日
  • 悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー

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    当時の背景をよく知らないとちょっとわかりにくいかもしれない。舞台で演じたらわかるのかな? という感じ。どんな舞台だったのか観てみたかった。

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    2017年12月18日
  • 火星年代記〔新版〕

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    SF。連作短編集。
    ブラッドベリのSFはどこか幻想的。
    全体的な印象として、序盤は面白く、中盤は退屈で、終盤はまた面白い。

    「地球の人々」での火星人とのコンタクトの結末は、とてもユニーク。
    「第三探検隊」も、そう来たか!、という結末の切れ味。
    「月は今でも明るいが」では、スペンダーの思考に考えさせられる。

    終盤は、「オフ・シーズン」から面白かったと感じる。
    「沈黙の町」は、火星に残された人間の哀れな希望が悲しい。
    「長の年月」はセンチメンタル。これがベストか。
    「優しく雨ぞ降りしきる」は、無人の廃墟で健気に働く機械が虚しい。
    「百万年ピクニック」では、最後に僅かな希望があって、少しだけ救わ

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    2016年12月30日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    ロシアの文学には、どこか惹かれるものがあります。でも、いつも半分も理解できた気がしません。多分、時代背景や文化や、価値観が、現代の日本人とはかなり違っているので、その辺りをよく分かった上でないと理解できないのかと思います。
    チェーホフの短編は、人間のあらゆる面、美しさも、醜さも、滑稽さも掬い取って、ごちゃ混ぜに織り上げたようです。貧しい、辛い人生には心からの同情を、醜悪な、滑稽な人々にもひとさじの憐れみをもって描いているところに、単なる風刺小説でない、ヒューマニズムを感じます。

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    2016年04月21日
  • 刺青の男

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    刺青のある男との出会いというプロローグとエピローグの間に18のSF短編。
    凝縮された短い文章の中で、読者の想像力が試される作品。

    宇宙に進出しているような未来が舞台で、ロケットが多く出てくる。
    科学技術が発展しているものの、現代と比較するとベクトルの向きが微妙にズレているのを感じるのはやはり20世紀半ばあたりの作品だからだろうか。

    全体的にディストピア風味だが、希望の光が見える作品もある。
    そして子供最強(笑)

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    2016年03月19日
  • 人間

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    またしてもスケールの大きな長編詩。

    社会と戦い、恋に破れ、ピストル自殺した自分へのレクイエム。数千年の歳月を経て、復讐するため天上よりナイフを手に舞い戻るも、「あの男」は居らず、焦がれたはずの恋人も、知らない女。虚しく、切ない。

    それにしても若くて自信満々でこんなに魅力的なのに、なんで彼女でなければならないのか。「後悔するような選択をしてしまう人は詩人の才能がある」という文言を実感させるようなマヤコフスキーであった。

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    2015年05月17日
  • 悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー

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    小笠原豊樹氏翻訳のマヤコフスキー叢書2冊目。
    言葉の使い方が魅力的で、青年マヤコフスキーに会いたくなってしまうのは小笠原豊樹さんの力も多分にあると思う。
    「詩人ヴラジーミル・マヤコフスキー」が主人公の不条理劇。
    戯曲の出来としては……?

    2014年8月 売却

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    2014年08月03日
  • 太陽の黄金の林檎

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    一昨年亡くなったレイ・ブラッドベリの短編集。
    SFと言うよりは、寓話集のような物語集である。
    個人的には、「日と影」、「草地」、「歓迎と別離」などがよかった。

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    2014年09月11日
  • 太陽の黄金の林檎

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    不思議な読後感の短篇集。だからなんなんだというお話(自分にはピンと来なかったということ)や、少しお説教臭さを感じるお話もあったり。
    その中で気に入ったのは下記タイトル。

    ・霧笛…”奴はまた百万年も待つだろう”
    ・四月の魔女…魔女の少女の可愛い恋のお話
    ・人殺し…わかる。あらゆる音が気に障る時がある。どこに行っても聞きたくもない音楽や放送を聞かされる。人びとがひっきりなしに今の自分を相手に実況する「無線腕時計」はまるでスマホのようだ。
    ・山のあなたに…字の読めない女性の歓びと哀しみ。字は世界だ。

    小笠原豊樹・訳

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    2014年01月25日
  • ナボコフのロシア文学講義 下

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    なにしろ議論が小説の細部にまで及ぶので、自分の読んだことある小説についての論だけつまんで読んだ。というわけでトルストイの「アンナ・カレーニン」はお預け。
    トルストイには芸術家の顔と説教者の顔とがある。ふむ。

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    2014年01月11日
  • 無実はさいなむ

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    ネタバレ

    なんてこったー!から落ち着くべき所へ落ち着く手腕が相変わらずすごい。
    殺されたお母さんが「死との約束」のお母さんとかぶる。
    ぱっと見は違うんだけどねぇ。怖さの質がそっち方面。

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    2013年05月13日
  • 虐げられた人びと

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    公爵の息子アリョーシャ、適当すぎ。ナターシャもワーニャも人良すぎ。ネリーの存在が強いインパクトありました。

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    2013年01月20日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    かわいい女:オーレンカの夫に対する従順な姿勢と、付き従う対象(夫)を失った時の虚無のような態度が印象的だった。そして、立場の違いが人格をも変えてしまうという事実が面白かった。

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    2012年11月04日