小笠原豊樹のレビュー一覧

  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    リアリズム文学で知られるチェーホフの短編編集。
    どうしようもない現実や残酷な運命に翻弄される人間は、しかし、そんな厳しい世の中で、不幸と比べてあまりにも小さな希望を見つけ、それを糧に生きていく。

    チェーホフの物語は、どうしようもなく救いがなく、だからこそ私たちが共感できる部分を含んでいる話が多い。

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    2010年08月19日
  • 虐げられた人びと

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    「虐げる」側に回って醜く生きるより、彼らのように誇り高く生きたい.。神様は常に虐げられる側の人々を愛するとわかっていても、報われない現実に心が痛みます。ドストエフスキー初期の長編小説です。

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    2009年10月04日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    おもしろいと評判のチェーホフの短篇。やっぱり、おもしろかったです。
    切なくて苦くて、(優しくないのかもしれないけど)優しく感じる所がいいです。

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    2009年10月04日
  • 無実はさいなむ

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    獄中死した家族の無実を証明する人物がやって来たことから、一家の鎮まっていた生活が掻き乱される。では誰が真犯人なのか…。
    終始根底に静かな憎しみが潜んでいるような感じを受けた作品。単なる謎解きではないけれど、真実を探りながら人間の深い心理が浮き彫りにされている。

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    2009年10月07日
  • 火星年代記〔新版〕

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    ずっと気になっていなかったけど読めていなかったレイブラッドベリ。
    期待以上だった!
    次は華氏451度を読む予定。
    楽しみ

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    2026年06月22日
  • 太陽の黄金の林檎

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    各話に一つずつ描かれた挿絵が、この短編集の素晴らしさを底上げしていると思うんですよね…。

    SFとしてもファンタジーとしても完璧な、ブラッドベリの全魅力を注ぎ込んだような文句無しの名作「霧笛」から始まる短編集。

    ブラッドベリの短編集は「結局何が言いたかったんだ…?」という抽象的なお話も一定数含まれているのですが、この作品はそういう成分が薄めだと思います。

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    2025年06月26日
  • 火星年代記〔新版〕

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    ネタバレ

    80年前に書かれたという作品。まだ火星というものが詳しく知られなかった頃に書かれたと思われるので、実際の火星をイメージして読むと混乱してしまう。ただしそれ以外はかなり面白く、人間のあらゆる側面が面白おかしく、そして少しだけ悲しく描かれている。個人的にだけれども、作者本人のキリスト教の、キリスト自身に対する解釈が凄く面白かった。

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    2025年04月27日
  • 火星年代記〔新版〕

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    ネタバレ

    レイ・ブラッドベリで最初に手に取ったのが「とうに夜半を過ぎて」で、それはうまく良さを掴みきれず挫折してしまったのですがこれは面白く読めました。
    著者はこの作品がSFと言われるのは疑問だと序文で書いているとおり、火星を舞台にした哲学的なファンタジーと言われるとこの小説の雰囲気にしっくりくる。
    でもこの幻想的で詩的な中に人間のリアリティがしっかりとある。宇宙旅行が自由になり人間たちは火星へそれぞれ色々な目的で旅行や移住するようになる。その結果、火星の元からあった文明はすべて破壊され、さらに地球では核戦争が起こり火星も地球をも壊してしまうという人間の悲しい罪深さが描かれている。
    この小説の核となる7章目の「月は今でも明るいが」はとてもメッセージ性が強く心に残る話だった。
    話の中で火星人が、「なぜ生きるのか」という疑問について“考えても答えが得られず、忘れることにした。動物は生に疑問を持ったりしない。生きている理由が生そのものであり、生そのものが答えである。”とあって、私の中で何か腑に落ちた感じがする。

    小説の中で、 夏、夜、月、シェリー酒という単語がとても多く出てくる。著者の好きなものなんだろうな

    「パパはね、地球人の倫理や、常識や、良い政治や、平和や、責任というものを探していたんだよ」
    「それ、みんな地球にあったの?」
    「いや、見つからなかった。もう、地球には、そんなものはなくなってしまったんだ。たぶん、二度と、地球には現れないだろうよ。あるなんて思っていたのが、馬鹿げていたのかもしれないな」

    ブラッドベリの小説を何作か読んで思ったのは詩的な表現が多すぎてストーリーの輪郭がぼやけていること。恐らく原文では意味が二重にかかっていたり韻を踏んでいそうなところが多々あり、翻訳がかかると良さが活かしきれていないんじゃないかと思う。全ての翻訳小説にはそのデメリットがあると思うが、ブラッドベリの場合は特にそんな風に感じる。
    それを味わいと受け取れるか、分かりにくくて読みづらいと受け取るか。私自身何作かは読みづらくて挫折したものもあるけどこの作品はまた読み返したいと思える比較的初心者にも親しみやすい作品だと思う。

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    2025年03月27日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    やはりチェーホフはおもしろい。
    特になにか劇的なことが起きたりするわけではないけど、内面の描写がうまかったり、なぜだか心に残る場面が多かったりする。

    「イオーヌイチ」は最初は男のほうが求婚してたのに何年か後には立場が逆転していく様や、良いと思っていたものが急に色褪せてみえてなにがよかったんだろうこんなもの……と思ってしまう様が実生活でもまぁあるよねと思えたし、人生の虚しさや呆気なさも感じられてよかった。

    「往診中の出来事」は下記のリーザの台詞がとても印象に残った。
    『孤独な人間は本をたくさん読みますけど、人と話したり、だれかの話を聞いたりすることは少ないから、人生が神秘的に見えます。孤独な人間は神秘主義者で、いもしない悪魔の姿を見たりするんです。』
    工場から聞こえてくるデル……デル……という音も印象的。

    「かわいい女」はかわいいというよりかわいそうという風にもみえた。
    自分の意見を全く持たず、身近にいる愛してる人からの受け売りの知識でしか会話することができない。
    『じゃ私、なんの話をすればいいの』という台詞がささる。こういうタイプの人は現代でもいるよなぁ。

    「谷間」と「いいなずけ」については、以前読んだ岩波文庫の『ともしび・谷間 他7篇』の方に感想を書いたのでここでは割愛。どちらも好きな作品。

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    2025年02月21日
  • 太陽の黄金の林檎

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    引き込まれる。恐ろしくて、不快だが、どんどん読み進めてしまう。想像力を掻き立てる強烈な皮肉。「鉢の底の果物」が良い。狂気。

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    2025年01月24日
  • 火星年代記〔新版〕

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    「とやかくいわないでください。知りたいとは思いませんから」って、この本の冒頭の作者自身のけっこう長い“まえがき”。

    自分的には“童話的SF”または“SF的童話”なんだけど。

    確かに、グリムもアンデルセンも擬人化してるんだから、火星を地球化したからといって“サイエンス・フィクション”であるかどうかが議論されることは、ナンセンスだよねって、思うし。

    それにしても、長めも短め(たった1ページのもある)もごちゃごちゃなんだけど、なんとなく時系列であることがわかり、且つ、つながっているんだなぁって、感じる。
    前半の火星人とのやりとりも良いけど、特に、この短編集のなかではやや長めの「月は今でも明るいが」と「長の年月」、ラストの「100万年ピクニック」で、しっかりとメッセージもあって、やっぱり「ブラッドベリ的」に面白かった。

    満足です。

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    2024年11月29日
  • プレヴェール詩集

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    この詩集は、プレヴェールの主要著作のうちの四つから、60篇余りを訳者が選り抜いて訳したものです。

    プレヴェールはシャンソンの名曲『枯葉』の作詞家で他にもシャンソンの名曲をいくつも出がけており、他方、『天井桟敷の人々』や『霧の波止場』などの古い映画で脚本を担当した人です。まったく知らなかったのですけど、フランスの国民的詩人だそう。1900年生まれ、1977年没(ついでながら言うと、僕が生まれた日の二日前に亡くなっていました)。読んでみて、わかるなあ、というタイプの詩はとてもおもしろかったです。

    エンタメ的な柔らかくて甘い口当たりを期待してはいけません。とっつきやすい言葉が並んでいても、一文や単語同士の距離感による効果によって、読者が感じるものは、もっと尖ったものになっていると思います。

    また、詩作というものはだいたいそういうものが多いですけれども、消費耐久性の高い感じがあります。何度読んでも味わいが褪せにくい。そして、その意味の飛躍に憧れながら読んでいると、何かが解放されていくような読み心地になりました。

    死や殺し、暴力などがけっこうよく出てくるのだけれども、それらがないとこれらの詩は、茫洋としてしまうのかもしれない。表現における暴力は、それはそれでなにかを解き放つようです。なにを解き放っているのか? よく考えると、それは「生」なのかもしれない、と思えてくる。

    「朝寝坊」という詩なんかはわかりやすくておもしろい種類の作品でした。「庭」という詩は、永遠の一瞬という言葉がでたあとに、パリのモンスリ公園でのくちづけがでてきます。「永遠の一瞬」と「くちづけ」これはイコールでつながりますよね。ウディ・アレン監督によるパリを舞台としたタイムトラベル映画である『ミッドナイト・イン・パリ』でも、主人公とヒロインがくちづけをしたとき、「永遠を感じた」というセリフがあったような覚えがあります。プレヴェールのこの「庭」が元ネタだったらおもしろいです。



    あと、「はやくこないかな」という詩。このなかでの一節が個人的に笑えたので、引用しておきます。

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    はやくこないかな しずかな一人ぐらし
    はやくこないかな たのしいお葬式
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    →まったくそうだな! と思ってしまいました、不謹慎ながら 笑



    訳者解説部にある、若きプレヴェールを評した、生涯の仲間となるデュアメルの言葉も引用しておきましょう。
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    「その驚くべき個性、ありとあらゆる因襲や権威にたいして反抗的な、絶えず沸騰している精神、そのすばらしい喋り方」(p273)
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    →活気ある精神、エネルギーに満ちて、なにかを創造するに違いない人、といった感じがします。



    最後に、訳者・小笠原豊樹さんがプレヴェールの詩についてやさしく解説してくれているところを引用します。第二次世界大戦後に出版された詩集『ことば』などは、フランスで大ベストセラーとなったそうです。それをふまえて。
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    プレヴェールの詩を読んで味わうには、なんらかの予備知識や、専門的知識や、読む側の身構えなどがほとんど全く不必要であるからです。プレヴェールの詩はちょうど親しいともだちのように微笑を浮かべてあなたを待っています。それはいわば読む前からあなたのものなのです。(p281)
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    2024年06月29日
  • 火星年代記〔新版〕

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    レイ・ブラッドベリ(1920~2012年)は、米イリノイ州生まれ、高校卒業後に新聞の販売をしていたときに書いた作品(共作)でプロ作家となったが、1950年の『火星年代記』で名声を得、1953年に代表作『華氏451度』を発表した。作品にはファンタジックな雰囲気の短編集が多く、幻想作家として不動の地位を築いた。
    『火星年代記』は、米国のSF関連雑誌「ウィアード・テイルズ」等に発表された短編群に、書き下ろし作品を加えた、26の独立した短編を連ねて一つの長編とした作品である。年代記の題名の通り、1950年出版のものは、個々の短編に1999年1月から2026年10月までの年月が付され、その順の構成になっていたが、1997年に発表された改訂版では、前書きを新たに書き下ろし、いくつかの短編を入れ替えた上で、全ての短編を31年遅らせて2030年1月から2057年10月の年月が付されている。
    大まかなストーリーは以下である。
    火星には既に火星人が文明を築いており、地球から派遣された当初の調査隊は全滅させられてしまうが、第4次調査隊が到着したときには、火星人は地球人が持ち込んだ感染症で絶滅していた。その後、地球人は続々と移住していくが、彼らは過去の火星人の文明には全く関心を示さず、地球・アメリカと同じ街を作り、同じ生活を送った。一方、地球では核戦争が勃発し、それを火星から眺めていた人々は、大半が地球に戻り、ほんの一部が火星に残ったが、地球は滅亡し、火星に残った人々も消滅する。そうした中で、僅か二つの家族だけが地球を脱出することに成功し、誰もいなくなった火星で、新たな火星人としての一歩を踏み出す。
    私は最近まで、いわゆるSF(&ファンタジー)はほとんど読まなかったが(ディストピア小説でもある『華氏451度』は随分前に読んだ)、最近、有名な作品はひと通り触れておこうと思い立ち、『星を継ぐもの』、『渚にて』、『火星の人』、『あなたの人生の物語』等を読み、本書もその流れで手に取った。
    それらを次々に読んでみてわかるのは(今さらだが)、一口にSFと言っても様々な作風があることだが、本書は、科学的根拠を重視するハードSFとは一線を画す、メッセージ性が強い寓話的な作品である。
    ストーリー全体を、地球を旧世界(ヨーロッパのような)に、火星を新世界(アメリカのような)に置き換えて読めば、人類(主として西洋人)の歴史と現状を強烈に風刺しており、更に、我々の未来に強い警鐘を鳴らしていることは明らかなのだ。
    本書が書かれたのは第二次世界大戦直後で、それから既に70年以上が過ぎている。しかし、今読んでも古さは感じられないのだが、それは、裏を返せば、70年を経てなお人間も社会も文明も大きくは変わっておらず、本書のメッセージが引き続き有効だということなのだ。我々は滅亡・消滅を免れることができるのか(或いは、我々が「新たな火星人」になることができるのか)、今一度考えるきっかけにしたい作品と思う。
    (2024年6月了)

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    2024年06月19日
  • 火星年代記〔新版〕

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    火星への移住を試み、実際に移住し、最終的に手放すまでの時代を生きた人達の心情に寄り添ったオムニバスストーリー。なんですが、本作の火星は呼吸もでき、地球からの物資持ち込みも容易な設定なので(設定というよりは当時はそういう場所として想像されていたんだと思いますが)、当時の欧米から見た、地球上にある未開の地との交流といった体で読んだ方が楽しめるかもしれません。

    どれも詩的な表現に富んだ素晴らしい短編ばかりでしたが、中でもお気に入りは「第二のアッシャー邸」「火星の人」「長の年月」の3編。特に「火星の人」は居なくなった人を求める人間の心情を繊細に描きながら、ラストの「かんぬきをかけた」という言葉で締める表現があまりに綺麗で、そのやるせなさに心が震えました。

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    2024年05月30日
  • 火星年代記〔新版〕

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    ブラッドベリ初読みでした〜。

    地球から火星への植民という、作品全体を貫くひとつの設定。それを繰り広げられるSF連作短編集。
    いちおうSFだけれど、人間模様や風景の描き方がかなり幻想的で詩的で叙情的。幻想小説といった方がしっくり来る。

    火星人も出てくるのだけれど、そのイメージが序盤と終盤ではけっこう違う。後半では火星人は、エルフや何か人外の架空生物のよう。
    年代を追うごとに火星や地球人を取り巻く状況が変化してゆくので、続きが気になりつい読んじゃう。

    【ネタバレあり】
    全体の大きな破滅の中にも一縷の希望があるという終わり方が『華氏451度』を彷彿とさせる。といっても、原作は未読で映画だけ観て抱いた印象なので、積んである原作も読みたい!

    時代とともに改変されたとのことなので、旧版もいつか読みたい(別宅にある)。元は1999年から始まる設定だったらしい。時代が作品を追い越してしまうというのはSF作品の宿命だよなあと思う。どれくらい先を「未来」と考えるか、だね。

    途中で聖職者が出てくるのが、いかにもアメリカSFという印象。SFは私は原作を読んだ数より映像作品を観た数の方が多いんだけど、必ず神父さんや牧師さんが出てきて、未知の現象への彼らの解釈を拠り所にする人々が描かれるよね。日本に置き換えてみると坊さんとか神主さん的存在なんだよなと思うと不思議な気がしちゃうよね。

    噂に違わぬ詩的で叙情的な世界観でした〜。もっと読みたい!!次はやっぱり『華氏451度』かなあ

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    2024年05月26日
  • 火星年代記〔新版〕

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    2030年代の火星に地球から探検隊がやってくる。
    地球からの移住者、火星人たちの文明と滅亡が書かれた火星が舞台の短編オムニバス小説。

    ・感想
    海外SF小説が好きなYouTuberさんがレイブラッドベリを紹介した動画をみて興味を惹かれ購入。
    超超有名なディストピア小説「華氏451度」はずっと読んでみたいと思いつつ未読なんだけど、この作品から読んでみようと思い手に取った。

    あまり事前情報を仕入れずに読み始めたので「詩的な文章」という私がもっとも苦手とする表現が多く、抽象的というか想像力が必要な作品で序盤は雰囲気を掴むのにちょっと手こずってしまった。
    でも「第3探検隊」からの「月は今でも明るいが」が良すぎて、そこからはブラッドベリの魅力を堪能しながら読むことができた。

    特に「月は今でも明るいが」がよかったなーー。
    「生きるとは」「なぜ生きているのか」という思春期に誰しもが持つ純粋で普遍的、根源的な哲学的な問いと火星人たちの結論。
    科学と宗教と芸術の哲学が生活にどのように染み渡っているか〜的な解釈が好きだった。
    物質至上主義の地球人と、執着や即物的な欲望から肉体を捨て去ることで脱却し精神世界に全振りすることで解き放たれた火星人の対比。
    先住民族の文明・文化を壊し開拓する人間の傲慢さも描かれてるけど、そういう性質は何年経っても変わらないものなんだな。

    のちに第3探検隊の面子が出て来た時と彼らの行く末も退廃的で好き。
    最後の短編「百万年ピクニック」が綺麗にこの作品を締めくくってて良かった。

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    2024年04月11日
  • プレヴェール詩集

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    プレヴェールを味わうには、わたしの中身がまだ追いついてないな、と感じた。
    知識不要だよって言いながらずっとにこにこして手をこまねいてるけど、わたしがその世界に入り込めない感じ。

    p.23「劣等生」
    p.178「祭」
    p.210「とかげ」
    p.96「夜のパリ」
    三本のマッチ 一本ずつ擦る 夜のなかで
    はじめはきみの顔を隈なく見るため
    つぎはきみの目をみるため
    最後のはきみのくちびるを見るため
    残りのくらやみは今のすべてを想い出すため
    きみを抱きしめながら。

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    2024年03月31日
  • 無実はさいなむ

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    ネタバレ

    一族の汚名を雪いだはいいものの、それによって歯車が大きく狂い、様々な苦悩を生んでしまう。
    Ordeal by Innocence というタイトルがそれをよく表している。
    レイチェルによって「人為的な方法によってつくられた」一家。レイチェル自身は本当の家族になれると信じて疑わなかったのだろう。でも、最後の各人のその後を見るに、やはりそれはうまくいかなかったということだと思う。
    慈善事業と家族の在り方、児童虐待の根深さなど昨今の社会問題に通ずるテーマが盛り込まれている。
    「そのくらいにしとかないとクリスティに殺されるよ」と多くの読者が思ったことだろう。正義を貫こうとするキャルガリが報われて何より。

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    2024年03月19日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    このところ国木田独歩とチェーホフの短編を読み返している。
    すごいなあ、ぎゅっと圧縮された人生模様、到達感、達成感の文章。

    両作者とも早世、独歩37歳(1908年)チェーホフ44歳(1904年)で、その晩年に円熟したとある。
    だからなのか?

    読み比べているのだが「いづれがあやめか、かきつばた」
    晩年の作品集は、国木田よりチェーホフがすこしはやく亡くなっているので、発表も少し早かっただろうが、国木田に影響があったのかどうか?ロシア文学と日本の文学の夜明け、明治時代にそんなにも伝わるのが早かったとしたらすごいなあ。

    ともかくも、人生の機微をもりあげ、解剖していく文章は、胸を撃つこと、なおそこに詩心を加味されて、なんとも心揺さぶられる。

    今回印象深かったのは

    「イオーヌイチ」「犬を連れた奥さん」「谷間」

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    2023年09月01日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    嫌な事は見ないふり、都合よく生きていきたいという人々を情緒溢れる美しい文章で書き上げている。

    かわいい女の主人公オーレンカのような女は、割とよくいる。
    旦那の意見=自分の意見、と心から思っている。
    うちの旦那が、うちの旦那が、とよく言うのでうちダンというニックネームをつけられる。

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    2023年08月21日