小笠原豊樹のレビュー一覧

  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    このところ国木田独歩とチェーホフの短編を読み返している。
    すごいなあ、ぎゅっと圧縮された人生模様、到達感、達成感の文章。

    両作者とも早世、独歩37歳(1908年)チェーホフ44歳(1904年)で、その晩年に円熟したとある。
    だからなのか?

    読み比べているのだが「いづれがあやめか、かきつばた」
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  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    嫌な事は見ないふり、都合よく生きていきたいという人々を情緒溢れる美しい文章で書き上げている。

    かわいい女の主人公オーレンカのような女は、割とよくいる。
    旦那の意見=自分の意見、と心から思っている。
    うちの旦那が、うちの旦那が、とよく言うのでうちダンというニックネームをつけられる。
  • 火星年代記〔新版〕
    連作短編からなる火星人と地球人の物語と聞いて、漫画「2001夜物語」のような内容を想像していたけど全く違った。話の舞台を現代に置き換えても問題なさそうな話が多いからか、あまりSFらしさは感じない。寓話的な要素や風刺的な側面もあるのに、ファンタジー小説のようにスラスラと読める作品。

    個人的に好きな話...続きを読む
  • サマードレスの女たち
    「緑色の裸婦」を読んでいたので再読です。読み直してみるとかなり昔のイメージとはかなり違っていた。第一j次大戦後の暗いイメージがこんなに強かった作品集だったのかと思うと読んだ自分の歳がかなり関係しているんでしょう
  • 火星年代記〔新版〕
    小説って芸術だなぁと思った。なかなか分かり合えない地球人と火星人にもどかしさを感じたり、地球人同士もそもそも分かり合えないもんねと落胆したり。スペンダーとワイルダー船長のくだりが素晴らしく哲学的な流れにいくのかと思いきや、大きな流れに抗えない人間らしさ。終わりはまたアダムとイブ的な未来を想像するけど...続きを読む
  • サマードレスの女たち
    都会小説と言われているようなのだけど、それがそれぞれのストーリーの舞台のことを言っているのかどうか…それとも都会小説=新しい視点的なこと?
    あとでちゃんと調べてクリアにしたいところ。

    とにかく時代を感じる(女性の扱われ方とか、本人たちの考え方も含めて)ストーリーが多かった印象。
    ただ最後の作品には...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    たしかにSFという感じはせず、どちらかと言えばファンタジーを読んでいる感じに近かった。
    だが、面白いことには変わりない
  • 刺青の男
    全身刺青の男がいる。その男の刺青にはそれぞれ18の物語がある……という短編集。
    好きな話は、万華鏡、その男、亡命者たち、狐と森、訪問者、マリオネット株式会社、ロケットあたりかな。ボリュームたっぷりで読んでいて楽しかった!
  • プレヴェール詩集
    一番好き

    夜のパリ

    三本のマッチ 一本ずつ擦る 夜のなかで
    はじめのはきみの顔を隈なく見るため
    つぎのはきみの目をみるため
    最後のはきみのくちびるを見るため
    残りのくらやみは今のすべを思い出すため
    きみを抱きしめながら
  • 火星年代記〔新版〕
    読みやすかった。火星へ人類が進出していくところは白人が、ヨーロッパからアメリカへ移動したのを下敷きにしているんだろう。
  • 無実はさいなむ
    ストーリーは5人もの養子をしたお金持ちの老婦人が殺された事件、養子の一人が逮捕有罪となり(獄死している)2年が過ぎたころ、その犯人養子のアリバイを証明する人が遺族たちの住む館に訪れて、終わったことなのにいまさらどうなのと、事件蒸し返しのさざなみが立つ。

    ミステリー的には遺産相続をめぐってではない肩...続きを読む
  • 虐げられた人びと
    ドストエフスキーって
    根源的に人間は善であるという
    圧倒的な倫理観で
    小説書ける人だったんだな。

    何に虐げられた人々なのか…
    やはり、運命に。

    久しぶりに泣いた。
    とても深入りしながら物語を読んだ。

    なんだかな、すごく良かった。
    ハッピーエンドなんだろうな、一応。
  • 太陽の黄金の林檎
    ブラッドベリの作品を読むと、どこかノスタルジックな気持ちにさせられます。寒い夜に深海からやってくる何かを描いた「霧笛」はラヴクラフトを彷彿とさせる面白さ。二つの町が競い合うように城壁の形を変えていく「金の凧、銀の風」は童話風で楽しい。少年の外見のまま年を取らなくなってしまった男の話「歓迎と別離」は、...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    読んだのが数年前なのでうろ覚えな部分もあるのですが…。
    この作品が書かれた当時は、核兵器というものがともかく驚異(今もそれには変わりませんが)だったのだなという感想を読んだ当時は強く感じました。けれど、緊急事態宣言が出ている今は、火星人が絶滅した原因が感染症だったことの方が気になります。私達もSFの...続きを読む
  • 虐げられた人びと
    1861年 40歳 第17作。

    前半は読むのが辛く、期間を置きながら、途切れ途切れしか読んでいないので、非常に時間がかかった。
    たぶん3カ月ぐらいかかったと思う。

    なぜ辛かったかといえば、単純に、話が面白くなかったからである。

    短編ならまだしも、長編小説で面白くなかったら、一気に読み通すことな...続きを読む
  • 虐げられた人びと
    虐げられて生きてきた少女ネリーをただただ可哀想に思う。
    自己中心的な青年アリョーシャ、彼に振りまわされる娘ナターシャ、そして彼らを見つめる語り手ワーニャ。
    それぞれがみな悲劇的な人生を送っていて、人物描写にかけてはやはりドストエフスキーは天才だと思い知らされる。
  • 火星年代記〔新版〕
    ほぼほぼ独立した叙情的な短編から構成されるが、タイトルの通り、火星(と地球)をめぐる小史といった流れ。

    別々に見ると毛色が違う作品群であるが、話の筋は通っており、随所に差し込まれる衝撃的な展開を動力に一気に読んでしまった。
    私が特に面白かったのは、
    『夜の邂逅』『荒野』
    いずれもイメージが美しい。
  • 無実はさいなむ
    英BBCのドラマが面白かったので、原作も読んでみようと思い手に取った。

    初期設定やフィリップが殺される部分は小説とドラマはほぼ同じなのに、結末(真犯人・動機)は全く違っていて、最後まで楽しめた。

    ドラマを見てからだと多くの場合はトリックや犯人が分かってしまっていて、面白さが半減するけど、この作品...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    1999年から31年後にされたそう。2030年からたった27年で地球も火星も滅んでしまう悲しい物語。
  • プレヴェール詩集
    岩波文庫赤

    プレヴェール 詩集 小笠原豊樹 訳

    対象や景色を細かく描写しているため、叙情詩というより 短編小説を読んでいる感じ。叙景詩というのだろうか?

    詩から物語を想像しやすい。戦後の民衆の苦悩、資本主義への批判をイメージして 詩を詠んだ。「赤い血」という表現には驚いたが、ほとばしる生命 ...続きを読む