小笠原豊樹のレビュー一覧

  • 太陽の黄金の林檎

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    散文詩のような「山のあなたに」を読むために購入した一冊。
    「四月の魔女」はあまりにも美しいファンタジー。そして本領発揮の本格SFの表題作も感動。
    ブラッドベリは言葉の選び方が巧みで物語に引き込まれる。

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    2014年11月20日
  • ナボコフのロシア文学講義 上

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    ナボコフはぼくにとって躓きの作家だ。
    文学の鑑賞のしかたがきっと根本的に違うから。

    彼の主義主張はざっとこんな感じだと思う。

    ・文章はぶつ切りにして顕微鏡の下に晒せ
    ・描写の緻密さ・特異性こそ至高
    ・会話文がおおい俗な小説は犬にでもくれてやれ
    ・「感傷性」と「感受性」を区別すべし→青臭い感情移入は唾棄すべきだ

    ナボコフはこの上巻ではゴーゴリを絶賛し、ツルゲーネフは情状酌量、ドストエフスキーに至っては「嫌い」とはっきり断言している。
    現代の評価からすればむしろ逆の結果……というのは言わずもがなだが、それだから彼の評価はあてにならないということにはならない。

    おそらく彼の文学観は主流ではな

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    2014年01月11日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフの短編7編を収録。
    どの作品もロシア革命少し前に執筆されたものだけあって、貧しく虐げられた農民・使用人の描写と働かなくてよい階級への批判、将来は誰もが少しだけ働き、皆で豊かな生活を送れる社会がやってくるという理想願望の主張といった思想がところどころ散りばめられ、当時の風潮がみて取れる。
    自分としては、『中二階のある家』のリーダや『谷間』のアクシーニヤなど、主張の激しい美人が活躍する短編が面白かった。(笑)また、『イオーヌイチ』や『いいなづけ』のように結婚へのあこがれが一転、独り立ちへと心情の変化を描く短編も皮肉に富んでいて物語としては楽しめた。特に『イオーヌ

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    2013年12月27日
  • 太陽の黄金の林檎

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    古今東西、ファンタジーとSFの様々な1シーンを切り取った22の短篇集。
    『歩行者』『人殺し』『サウンド・オブ・サンダー』『歓迎と別離』が好み。

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    2013年09月25日
  • 火星年代記〔新版〕

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    SF小説の名作で、ブラッドベリの代表作がこの『火星年代記』です。
    その名の通り、火星での様子・出来事を年代順に語る様式の作品。
    短編はおおむねそれぞれが独立した形でありながら繋がっていたりもし、
    連作短編SF小説と言えそうです。

    ネタバレになるので、中身に触れないように説明するのは難しいのですが、
    いろいろな要素が詰まった、つまり、いろいろなジャンルの話がありながらも、
    どれも火星を舞台にしていて、その時系列で話が進んでいくことによる
    統一感、筋の通った感じのある短編集。

    僕の読んだバージョンは「定本」というもののようで、
    この作品は発刊された時には1999年から始まった物語だったそうなの

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    2025年06月23日
  • 太陽の黄金の林檎

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    実家にあって、昔よく読んだ本。30年ぶりくらいのご対面となる。まったく記憶になかった作品も読み進むうちに思い出されてきて、子どもの頃の自分に出会ったような気分になった。
    はっきり覚えていたのは「サウンド・オブ・サンダー」と「金の凧・銀の風」。ストーリーがはっきりしていて小学生にもわかりやすく、印象的だった。全体にストーリー以外のところに魅力がある作品が多く、当時はこの思想や余韻を味わいつくすことはできなかっただろうと思う。
    「歓迎と別離」は、12歳の外見のまま歳をとらない男の話。これ、高橋留美子は読んでるかな?

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    2013年02月15日
  • 太陽の黄金の林檎

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    幻想的な作品が多い、良質の短編集でした。それぞれの話が固有のトーンを持っていて、退屈することなく22編を味わうことができました。レイ・ブラッドベリは初めて読んだのだけど、世界観は理解しやすく、描写は美しくて好きな作家になりました。
    特に好きだった作品は「霧笛」「四月の魔女」「目に見えぬ少年」「二度と見えない」「サウンド・オブ・サンダー」です。表題作は、完成度が高いというよりは、彼の作風がよく現れているという点で優れた作品だと思います。

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    2012年12月02日
  • 刺青の男

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    『黒いカーニバル』からの『刺青の男』
    やっぱり(?)幻想的に不幸や切ない世界がある反面
    「ロケット」のような描かれた当時の夢と、
    素敵な「ささやかな人物」(解説より)の夢見る
    庶民の未来の世界もある。
    想像の世界の彩りと闇と現実の世界に潜む彩りと闇を
    (訳しているかたがたの努力があるとしても)
    不思議で美しい表現で投げかけている短編集。

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    2012年10月02日
  • 太陽の黄金の林檎

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    表題作、太陽の黄金の林檎は、物語としてはニ流。粗筋だけ聞かされてもなんのことやらだろう。
    ただし、表現と描写が卓越している。これはかなりの力業で、レイ・ブラッドペリだから書けた作品。なので、表題作なんだろう。

    はしばしから奇妙な味がする。

    頑固親父の主張が通る、という話が数編。結構面白くて中々痛快。

    解説が2006年となっていて、どういうことだと思って見ると、この本が2006年出版の同作の新装版。
    いくら追悼とは言え、2006年出版の本の新装版を出さなくてもよかったんじゃ?

    瞬きよりも速くにはない、各話の扉絵に味がある

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    2012年09月22日
  • 太陽の黄金の林檎

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    レイ・ブラッドベリって、寂しい話を書く人だなぁと思っていたけれども、掌編集を読んでみると、その方向性がより際立って感じられた。望むも望まざるにも関わらず、みんな孤独で諦念と焦燥で風邪をこじらせているような、そんな印象を持った。


    SFの抒情詩人と言われるけれども、多分それは今からするとかなり古典的な文才だからだと思う。ブラッドベリはテクノロジーに興味はなかったのではないかなぁ。寓話的な物語を飾るための、SFという衣装のように感じられた。というのも、表題の『太陽の黄金の林檎』よりも、サイエンス的な要素の薄い『霧笛』や『目に見えぬ少年』のような話のほうがテンションの高さを感じるからだ。

    私の一

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    2012年09月16日
  • 虐げられた人びと

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    ドストエフスキー版ラブコメと勝手に解釈。
    こんなポップなのも書くんだと意外な一面を見た感じ。
    まぁポップとは言っても後の大作群と比べてだが。

    一見、はたから見ると呆れると言うか、現代で繰り広げられたら
    勝手にやってくれといったナターシャとアリョーシャの恋だが、
    ところがどっこい、これはただの味付けであって悲劇はその奥にある。
    大まかな流れ、作品を支えているのはもちろん二人の恋物語。
    しかしそこには、イフメーネフとワルコフスキー公爵の長年にわたる因縁。
    そしてワーニャが出逢うスミス老人の孫娘ネリーが物語の鍵を握る。

    虐げられた人々とはうまく言ったもので、
    ここでいう虐げられた人々と言うのは

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    2011年09月21日
  • 刺青の男

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     徒歩旅行中、全身に刺青のある男と出会い、一緒に野宿をすることとなるが、その夜に男の刺青の一つひとつが動き始め、短い物語を語り始める。男の刺青が語る十八の物語。
     火星人の話や、未来の装置の話など、幻想的な話が繰り広げられる。
     読み終えたあとに、なんとなく不安な感じになったり、なんとなく寂しい気持ちにさせられるような、じめっとしているわけではないのだが、かといってカラッとしているわけでもない、不思議な読後感の残る物語たち。
     ほんの少しの間だけ、火星人の町を訪問してきたような、そんな気持ちになれる物語。

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    2011年08月03日
  • 刺青の男

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    ほんとうにまだまだ読んでいない名作がたくさんあるなあ、と痛感。ここで描かれる未来はそんなに明るく希望にあふれたものじゃなくて、むしろ良くないほうに進んでいるみたい。しかもそれが今の時代にすごく似ているように私には思える。ブラッドベリ、ちょっと怖い。

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    2011年08月06日
  • 虐げられた人びと

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    面白いが、多作品に比べるとまとまりが今一つに感じる。

    途中の作者の吐露は結局どこに着地させればいいのか。

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    2010年12月28日
  • 虐げられた人びと

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    初期ドストエフスキーによる代表的長編。白痴や悪霊といった代表作に備われる背景思想は存在しないが、今まで読んだドストエフスキー作品の中でも最も重厚感のある作品だった。サンクトペテルブルグを舞台に織り成される極限の人間描写…作品背景における無思想だからこそ一つ一つの人間描写が極限なまでに精密にリアルに描かれている。
    純粋にドストエフスキーの筆力を堪能するなら間違いなくこの一書だろう。

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    2010年07月09日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    演出家の妻になると夫と共に芝居について語り、材木商と結婚すれば会う人ごとに材木の話ばかり。獣医を恋人に持てば、恋人との別れと共に自分の意見まで失くしてしまう。一人ぼっちになった彼女が見つけた最後の生きがいとは──。

    チェーホフ晩年の短中編集を収めたもので、人間が懸命に生きようとするがゆえに生じる悲劇や日常の中で起こる何気ない感動を描いている。
    本編の中で自分の心に最も残っているのは『谷間』で、一人の女性の運命の変転に初めは同情したが、最後には彼女は心優しき女性として描かれており、強く生き抜こうとする彼女の逞しさを垣間見た気がした。

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    2010年02月21日
  • 虐げられた人びと

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    大江健三郎『キルプの軍団』の主人公、オーちゃんが読んでたので僕も読んでみました。オーちゃんの言うように、ディケンズと違って暗いです。でもオーちゃんの父が言うように、なんとなくすがすがしいというか、希望があるというか、そのへんうろ覚えですが、暗いだけの小説ではないのでした!

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    2009年10月04日
  • かわいい女・犬を連れた奥さん

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    控えめに上品に適度な笑いをうまく絡ませ節度を忘れない人だったチェーホフ。そんな態度と「恋」というのは本来永遠に相容れない、はず。だから登場人物は途方に暮れる。その途方に暮れる感じがチェーホフ的。

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    2009年10月04日
  • 虐げられた人びと

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    ネリーがあまりに素直で良い娘すぎた!!ワーニャとネリーって、手塚治虫の『ブラック・ジャック』で言うところのBJとピノコみたいな感じじゃない?(かんわゆ〜★)ワルコフスキー公爵のジャイアニズムというか俺様至上主義に笑った。「すべては私のためにあり、全世界は私のために創られた。」
    よくこんなセリフ吐けるよなー。そしてマスロボーエフ脇役っぽいのに何気に一番物語の真相を握っているから凄いよね…

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    2009年10月04日
  • 無実はさいなむ

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    アガサクリスティー。愛すべき未完全作。らしい。ちょっとおしい!っていう作品。でも、これは推理小説というよりも、心理小説。ということで、まぁ、良いとしよう。犯人の動機とか、ちょっといやだけど。もうちょっと犯人にびっくりさ加減がほしかった。まぁ、推理小説=エンターティメントな私にとってはOK

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    2009年10月04日