小笠原豊樹のレビュー一覧
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ナボコフはぼくにとって躓きの作家だ。
文学の鑑賞のしかたがきっと根本的に違うから。
彼の主義主張はざっとこんな感じだと思う。
・文章はぶつ切りにして顕微鏡の下に晒せ
・描写の緻密さ・特異性こそ至高
・会話文がおおい俗な小説は犬にでもくれてやれ
・「感傷性」と「感受性」を区別すべし→青臭い感情移入は唾棄すべきだ
ナボコフはこの上巻ではゴーゴリを絶賛し、ツルゲーネフは情状酌量、ドストエフスキーに至っては「嫌い」とはっきり断言している。
現代の評価からすればむしろ逆の結果……というのは言わずもがなだが、それだから彼の評価はあてにならないということにはならない。
おそらく彼の文学観は主流ではな -
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アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフの短編7編を収録。
どの作品もロシア革命少し前に執筆されたものだけあって、貧しく虐げられた農民・使用人の描写と働かなくてよい階級への批判、将来は誰もが少しだけ働き、皆で豊かな生活を送れる社会がやってくるという理想願望の主張といった思想がところどころ散りばめられ、当時の風潮がみて取れる。
自分としては、『中二階のある家』のリーダや『谷間』のアクシーニヤなど、主張の激しい美人が活躍する短編が面白かった。(笑)また、『イオーヌイチ』や『いいなづけ』のように結婚へのあこがれが一転、独り立ちへと心情の変化を描く短編も皮肉に富んでいて物語としては楽しめた。特に『イオーヌ -
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SF小説の名作で、ブラッドベリの代表作がこの『火星年代記』です。
その名の通り、火星での様子・出来事を年代順に語る様式の作品。
短編はおおむねそれぞれが独立した形でありながら繋がっていたりもし、
連作短編SF小説と言えそうです。
ネタバレになるので、中身に触れないように説明するのは難しいのですが、
いろいろな要素が詰まった、つまり、いろいろなジャンルの話がありながらも、
どれも火星を舞台にしていて、その時系列で話が進んでいくことによる
統一感、筋の通った感じのある短編集。
僕の読んだバージョンは「定本」というもののようで、
この作品は発刊された時には1999年から始まった物語だったそうなの -
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レイ・ブラッドベリって、寂しい話を書く人だなぁと思っていたけれども、掌編集を読んでみると、その方向性がより際立って感じられた。望むも望まざるにも関わらず、みんな孤独で諦念と焦燥で風邪をこじらせているような、そんな印象を持った。
SFの抒情詩人と言われるけれども、多分それは今からするとかなり古典的な文才だからだと思う。ブラッドベリはテクノロジーに興味はなかったのではないかなぁ。寓話的な物語を飾るための、SFという衣装のように感じられた。というのも、表題の『太陽の黄金の林檎』よりも、サイエンス的な要素の薄い『霧笛』や『目に見えぬ少年』のような話のほうがテンションの高さを感じるからだ。
私の一 -
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ドストエフスキー版ラブコメと勝手に解釈。
こんなポップなのも書くんだと意外な一面を見た感じ。
まぁポップとは言っても後の大作群と比べてだが。
一見、はたから見ると呆れると言うか、現代で繰り広げられたら
勝手にやってくれといったナターシャとアリョーシャの恋だが、
ところがどっこい、これはただの味付けであって悲劇はその奥にある。
大まかな流れ、作品を支えているのはもちろん二人の恋物語。
しかしそこには、イフメーネフとワルコフスキー公爵の長年にわたる因縁。
そしてワーニャが出逢うスミス老人の孫娘ネリーが物語の鍵を握る。
虐げられた人々とはうまく言ったもので、
ここでいう虐げられた人々と言うのは