小笠原豊樹のレビュー一覧

  • 火星年代記〔新版〕

    散文ファンタジー

    不意にSF小説が読みたくなり、おすすめをググった結果出会った一冊。散文形式と、あまりに科学考証が乏しいので、読み出してすぐにどうしたものかと悩みましたが、一応読破。そんな読者にとって、SFとはスペース・ファンタジーなのだと思い至らされた一冊でした。架空の世界で、書きたい主題を取り扱うのに、「考証」が...続きを読む
  • 背骨のフルート
    ・思い出よ!集めてくれ、脳髄の広間に

    ・あそこに高くよじのぼり、疲れて、裸で待つ月、あれはぼくだ。

    いいっすなー
    ロシアっすなー
  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    「中二階のある家」のリーダと画家の会話が面白い。貧しい労働者の支援に働いているリーダに対して、そんなことではなんの解決もできないと画家。人間の価値は精神活動をすることなのだから、労働に縛られる時間を大きく減らさなければだめで、要求事項や経費を増やすのは逆効果だと。
    今の時代でも同じことと感じた。生活...続きを読む
  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    「かわいい女」、「犬を連れた奥さん」の題名は知っていたが、チェーホフだから、てっきり戯曲かと思ってた。

    短編なので、基本主人公中心の物語なのが演劇と違う処。
    「かわいい女」、「犬を連れた奥さん」は現代の日本でも成り立つような話。
    その他の短編から立ち上がってくるのは、不労所得を得ている地主や工場主...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    誰もが大人になる前に読むべき作品。人間の悲しさがクールに構えることなく描かれている。萩尾望都は別作品で題材にしていたがこれも良い印象だった。
  • 太陽の黄金の林檎
    時として太陽は一本の燃える樹木、    その金の果実は真空の中で揺れ、    その林檎をば人と重力がむしばみ、    かれらの信仰はそこかしこに発散する、    太陽が一本の燃える樹木と見えるとき……
  • 火星年代記〔新版〕
    火星という新天地への人類の憧れと挫折を浪漫たっぷりに書ききった短編集。
    もちろん火星への移住がテーマの一つであるためSF的要素は多分に含まれているのだが、
    それ以上にいわゆる人間(火星人も含む)の生き様を多面的に映すショートショートとして楽しめる。

    未知の星を巡って発達した文明に意図せず振り回され...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    SFの古典を初めて読んだ。各ジャンルのなかでSFが最も苦手である。『月は無慈悲な夜の女王』も『星を継ぐ者』も読み始めて早々と挫折した。読み終えたのは『幼年期の終わり』についで2作目!夢中で読み耽った。
    第三探検隊の隊員たちを待ち受けていたのは懐かしい故郷の街並み。とうに亡くなった父母や兄弟姉妹。こっ...続きを読む
  • 火星年代記〔新版〕
    「不気味の谷」という考え方がある。所謂ヒューマノイドが限りになく人間に近づくにつれ微妙な差異、視線だったり間だったり、そうしたものの違いが本能的に不気味に感じる現象だ。

    本作はブレッドベリの代表作であり、火星移住をテーマにしたオムニバス短編集だ。ここで描かれる世界は、他SF作品とは一線を画し、ホラ...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    とてもいい短編集でした。
    SFっぽいものや幻想っぽいお話が多く、各話ごとに雰囲気が楽しめるのがいいなと思います。
    かわいいお話が多くてほっこりしました。
  • 虐げられた人びと
    面白かったです。特に最後にナターシャが父親に許される場面がとても好き。ネリーのあまりにも救いのない悲惨な物語と、妻の怒りと、それまでの父と娘の苦しみ…これらから生まれた、必然的で無理のない、人間心理に即した許しだったと思います。
    頑なさがなにを生むというのでしょう? 残酷さばかりが蔓延るこの世界で、...続きを読む
  • 戦争と世界
    マヤコフスキー叢書4冊目にして、翻訳家・小笠原豊樹氏の生前最後に刊行された訳詩集。

    全部で5部に分かれた長篇詩で、内容はタイトルのとおり「戦争と世界」について。詩人マヤコフスキーの頭の中で繰り広げられる第一次世界大戦と、世界の和解。詩を書いた当時、この強気な若者はまだ22歳。才気溢れ熱滾る詩人は、...続きを読む
  • 無実はさいなむ
    あー!また犯人はずれたー!
    でもあのひととこのひとが結ばれるのは早い段階でわかった!クリスティはこういうのすきだよね(^^*)
    無実であることの証明は難しい。これにつきる。
  • ズボンをはいた雲
    ヴラジーミル・マヤコフスキーの詩を初体験。
    これはヤバい。そりゃかっこよかっただろう。
    腹から力任せに引き摺りだしてきた不遜な言葉達。
    4章から成る、若く、自信満々のマヤコフスキーの大声の啖呵(アジ)が聴こえる。尖っていて重く、軽々として翳があり、輝いて、突っ走っている。ニヒルに笑っている。擬人化表...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    散文詩のような「山のあなたに」を読むために購入した一冊。
    「四月の魔女」はあまりにも美しいファンタジー。そして本領発揮の本格SFの表題作も感動。
    ブラッドベリは言葉の選び方が巧みで物語に引き込まれる。
  • ナボコフのロシア文学講義 上
    ナボコフはぼくにとって躓きの作家だ。
    文学の鑑賞のしかたがきっと根本的に違うから。

    彼の主義主張はざっとこんな感じだと思う。

    ・文章はぶつ切りにして顕微鏡の下に晒せ
    ・描写の緻密さ・特異性こそ至高
    ・会話文がおおい俗な小説は犬にでもくれてやれ
    ・「感傷性」と「感受性」を区別すべし→青臭い感情移入...続きを読む
  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフの短編7編を収録。
    どの作品もロシア革命少し前に執筆されたものだけあって、貧しく虐げられた農民・使用人の描写と働かなくてよい階級への批判、将来は誰もが少しだけ働き、皆で豊かな生活を送れる社会がやってくるという理想願望の主張といった思想がところどころ散りばめられ、当...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    古今東西、ファンタジーとSFの様々な1シーンを切り取った22の短篇集。
    『歩行者』『人殺し』『サウンド・オブ・サンダー』『歓迎と別離』が好み。
  • 太陽の黄金の林檎
    実家にあって、昔よく読んだ本。30年ぶりくらいのご対面となる。まったく記憶になかった作品も読み進むうちに思い出されてきて、子どもの頃の自分に出会ったような気分になった。
    はっきり覚えていたのは「サウンド・オブ・サンダー」と「金の凧・銀の風」。ストーリーがはっきりしていて小学生にもわかりやすく、印象的...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    幻想的な作品が多い、良質の短編集でした。それぞれの話が固有のトーンを持っていて、退屈することなく22編を味わうことができました。レイ・ブラッドベリは初めて読んだのだけど、世界観は理解しやすく、描写は美しくて好きな作家になりました。
    特に好きだった作品は「霧笛」「四月の魔女」「目に見えぬ少年」「二度と...続きを読む