小笠原豊樹のレビュー一覧

  • 虐げられた人びと
    日曜の午後、急にドストエフスキー読みたい!気分になって一気読み。今まで読んだ彼の作品のどれよりも読みやすかった。それに、主人公(語り手)を素直にかっこいい!と思ってしまった。今まで読んだ彼の作品は、どれも、「自分にもこういう弱い部分がある」と共感しつつ、親しみは持ちたくなかった。(持てない、ではない...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    胃の中に蝶々、心臓が早鐘みたいになって、早く次の頁を読みたいのに、読み終わるのが勿体無くて仕方ない気持ちになった。

    色鮮やかで、湿り気のあるブラッドベリの文章を、これまた美しく仄かな湿度を含んだ言葉で紡ぎ訳してくれた小笠原豊樹氏の翻訳が大きかったと思う。

    個人的に翻訳ものは、翻訳者との相性が多分...続きを読む
  • 刺青の男
    「今夜限り世界が」こんなに静かな終末ものを読んだことがない。遠い宇宙を夢見る心と、足元の地球をしっかり踏みしめて愛する心と、ブラッドベリにはその二つの心が難なく共存している。
  • 無実はさいなむ
    冒頭から怪しい様子で、これから殺人が起こると思った。
    主人公が向かったのは、2年前に殺人事件が起こった家。そこに住む子供のいない夫人が殺されていた。夫人は、戦争孤児を引き取り夫と共に暮らしていた。解決していた事件が冤罪だったことによる家族のもつれを描いている。最後まで犯人はわからず、読み応えありでク...続きを読む
  • 無実はさいなむ
    アガサクリスティーの代表作『そして誰もいなくなった』が家庭内で起こる。人々の疑心暗鬼が良く描かれている。犯人はいつものごとく予想外。
  • 虐げられた人びと
    一気に読みました。星50ぐらいつけたいです。特に中盤ぐらいまでは。終盤ちょっと失速?と思いましたが、最高です。こんなの読んでたら気が狂いそう…。
  • 太陽の黄金の林檎
    素晴らしい。
    何という美しさ、何という陰鬱さ。

    収録作品の中でも圧倒的に知られていると思われる「霧笛」。声高に作品テーマを語ることのないブラッドベリにしては珍しい、込められた寓意を明確に文章で説明している、ある意味「わかりやすい」作品です。が、だからと言って物語が陳腐化しないのがブラッドベリの底力...続きを読む
  • 刺青の男
    ベラッドペリの短編集だが、ただの短編集ではない。
    ストーリー全体が男の刺青上で展開しているという構造を持つことで、奥行きが増す。かと思いきやそうでもない。各話のストーリーと、刺青上で展開することの関係性が希薄。
    要するに千夜一夜物語。

    別の本で読んだ話も(万華鏡)。

    あいかわらずの火星人登場率。...続きを読む
  • 太陽の黄金の林檎
    奇抜な着想と幻想的な雰囲気と詩的な文体と主人公の心情や思惑がジワッと滲み出る会話や行動の記述が相まって読中読後にえも言われぬ感慨を与えてくれる作品が多かった。
    「霧笛」、「目に見えぬ少年」、「二度とみえない」、「発電所」、「日と影」、「草地」、「歓迎と別離」が特にジワジワと心に響いた。
    今後、何度も...続きを読む
  • 虐げられた人びと
    10点つけたい。

    読んでる間も読み終わった後もずっと胸が痛い。
    ちょっとすごすぎてまだ感想が出てきません。
    エレーナ!!;;
  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    谷間。もう少し救われないかと思う。少しずつ、少しずつ、さみしくて辛い。どんより、どんより初冬の小道をテコテコ行く感じ。なんにも変らない、ありそうな範囲でしか事は起こらない。なのにちょっとの温もりが、しんみり迫ってくるようで。
  • 無実はさいなむ
    ある人物が、無罪であるということは、
    別の人物が、有罪である可能性があるかもしれないということだ。

    ある人物が、無罪であるということは、
    よい知らせだと思い込んでいることがある。

    利害関係者にとっては、利は害と背中合わせである。
    利があるところには、かならず害もあるのだということが、本...続きを読む
  • 虐げられた人びと
    一つの長大なメロドラマである。小説を読むことの――ここしばらく味わっていたのとは別の種類の――楽しさを、思い起こさせてくれた。これまで読んできたようなロシア文学に特有の退屈さ・冗長さ(地主階級や小役人による殆ど無内容としか思えぬ埒の開かないお喋りの如き)は些かも感じられず、物語が実に力動的に展開する...続きを読む
  • 刺青の男
    ブラッドベリの短編集ではこれが一番好き。「万華鏡」をはじめて読んだ電車の中、涙と鼻水が溢れそうでやばかった。
  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    リアリズム文学で知られるチェーホフの短編編集。
    どうしようもない現実や残酷な運命に翻弄される人間は、しかし、そんな厳しい世の中で、不幸と比べてあまりにも小さな希望を見つけ、それを糧に生きていく。

    チェーホフの物語は、どうしようもなく救いがなく、だからこそ私たちが共感できる部分を含んでいる話が多い。
  • かわいい女・犬を連れた奥さん
    おもしろいと評判のチェーホフの短篇。やっぱり、おもしろかったです。
    切なくて苦くて、(優しくないのかもしれないけど)優しく感じる所がいいです。
  • 無実はさいなむ
    獄中死した家族の無実を証明する人物がやって来たことから、一家の鎮まっていた生活が掻き乱される。では誰が真犯人なのか…。
    終始根底に静かな憎しみが潜んでいるような感じを受けた作品。単なる謎解きではないけれど、真実を探りながら人間の深い心理が浮き彫りにされている。
  • 火星年代記〔新版〕
    ・あらすじ
    2030年代の火星に地球から探検隊がやってくる。
    地球からの移住者、火星人たちの文明と滅亡が書かれた火星が舞台の短編オムニバス小説。

    ・感想
    海外SF小説が好きなYouTuberさんがレイブラッドベリを紹介した動画をみて興味を惹かれ購入。
    超超有名なディストピア小説「華氏451度」はず...続きを読む
  • プレヴェール詩集
    プレヴェールを味わうには、わたしの中身がまだ追いついてないな、と感じた。
    知識不要だよって言いながらずっとにこにこして手をこまねいてるけど、わたしがその世界に入り込めない感じ。

    p.23「劣等生」
    p.178「祭」
    p.210「とかげ」
    p.96「夜のパリ」
    三本のマッチ 一本ずつ擦る 夜のなかで...続きを読む
  • 無実はさいなむ
    一族の汚名を雪いだはいいものの、それによって歯車が大きく狂い、様々な苦悩を生んでしまう。
    Ordeal by Innocence というタイトルがそれをよく表している。
    レイチェルによって「人為的な方法によってつくられた」一家。レイチェル自身は本当の家族になれると信じて疑わなかったのだろう。でも、最...続きを読む