佐藤高子のレビュー一覧

  • オズの魔法くらべ

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    ネタバレ

    冒頭の作者の前書きが1919年という血生臭い第一次世界大戦を経た世界に病に苦しむ作者から送られた物語であることを思い出させる。
    ストーリーはキキ+ラゲドー、トロット+キャプテン・ビル、ドロシー+魔法使いの3つのグループを追いながら一つの流れに集約されていく。キキ+ラゲドーのシンプルな悪い心が魔法の力を使って決して愚かではない森の獣達をそそのかしていく過程は時代の暗喩なのかもしれない、などという考察はあまり意味がないかな。ちょっとした緊張感、機転で話がどんどんと展開していき楽しく読める。最後にはラゲドーが悪意に満ちた放浪から解放されたようで嬉しい。ガラスのネコの扱いやピンクのネコもそうなんだけど

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    2025年09月20日
  • オズのブリキの木樵り

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    ネタバレ

    割と一直線めのロードトリップ的ストーリーはシンプルだけど、昔のエピソードが繋がる感じととポリクロームの軽やかな愛らしさ、ミセス・ユープのエピソードのちょっとした緊張感、もう一人のブリキ人間の出現とその過程で生み出された寄せ集め人間のホラー感、かかしと木こりのなんとなしに滲み出る性格の歪さが味わい深い。これまでシリーズを読んできていればとても楽しめる。

    以下備忘的あらすじ。

    暇を持て余すブリキの木こりとかかしのもとにウートが現れ、木こりの薄情さを非難して元恋人ニミー・エイミー探しの旅が始まる。

    一行はルーンの国で大暴れし、ユープの城でミセス・ユープの魔法により動物に変えられるも脱出。ジンジ

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    2025年09月13日
  • オズの消えたプリンセス

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    サスペンス風味があってこれまでのオズの物語と少し違う雰囲気で面白い。カエルマンという身も蓋も無い名前の新キャラをはじめとして多彩なキャラたちもそれぞれいい味を出している。途中までは表紙の目つきの悪い鳥は何?って感じだけどなるほどねという感じ。グリンダをも困らせる悪役ウグはなんか知的な悪役でこれもいい味。クマ・センターのラベンダー・クマとピンクのコグマもなんか不思議。ピンクのコグマはチクタク以上にすごいマシン。そしてスクラップスの陽気さがとても良い。ドロシー、ベッツィ、トロットのアメリカから来た少女たち3人組が揃い踏みだけど変なキャラたちに囲まれるとドロシー以外はやはり目立てないな。あと急にトト

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    2025年09月14日
  • オズのチクタク

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    ネタバレ

    なんかこれまでの作品と少し雰囲気が違うところがあって面白い。少しだけではあるけど作者がメタに作品に関わるところとかドロシーやオズマとは性格の違うベッツィやポリクローム、アン女王などの個性豊かな女性たちとか(薔薇のオズガ姫はあまり活躍しないけど)。訳者あとがきにもあるけど過去作との矛盾上等で筆のノリで書いているようなところも感じられる。ポリクロームとモジャボロはオズへ続く道で会ってるのに初対面になってるとか、モジャボロの愛の磁石が磁石なのにちゃんと見せなければ効果がないとか。ノーム王はエメラルドの都で記憶が消えて悪人でもなくなったはずなのに前以上の悪人になって再登場とか。
    でもそんな細かいことは

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    2025年09月03日
  • オズのつぎはぎ娘

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    「エメラルドの都」のような少し凝ったストーリーではなくオズらしい直線的な話ではあるけどつぎはぎ娘のキャラが魅力的。不運なオジョがおじさんを救うためにわかっていながら犯した「犯罪」に対するオズマをはじめとした周囲の対応のちょっとした緊張感、かかしが同類のつぎはぎ娘にデレデレとなる滲み出る人間性(?)やガラスのネコの人を寄せ付けない気取った性格など脇を固めるキャラの個性も楽しめる。オズマの出自にもかかわる「いのちの粉」の前日譚のピースが埋まるのも良い。最後はそりゃそうですよねというオズの王道のエンディング。

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    2025年08月31日
  • オズのエメラルドの都

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    ハヤカワ文庫で原作の順番を変えて優先的に日本語訳が出版されたこの作品。確かに間に挟まれた「オズの不思議な地下の国」「オズへつづく道」と比べると面白い。この作品ではおおよそ最初から最後まであからさまな悪役としてのノーム王とその仲間の悪意が継続する。やはりそういう面があると物語としての緊張感が出てくるのだろうな。この前の2作品は困難を与えるキャラクターは出てくるもののすぐに解決する話の連続で優しみに溢れるサイドの部分が多かったのがやや冗長に感じられるところはあった。オズの世界にはこの様な悪意は余りないとすればオズの世界に住むことが楽しいことなのかどうかわからなくなってくるが。
    これまでのオズシリー

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    2025年08月30日
  • オズのオズマ姫

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    ドロシーとヘンリーおじさんのオーストラリアへの船旅は当時のカンサスの農民からしたらそれ自体がおとぎ話。ノーム王の宝からエヴの王族たちを救い出す件はオズの物語の中で一番好きな場面。

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    2025年08月23日
  • オズの魔法使い

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    ちゃんと再読したのは四十数年前の小学2年生くらい以来かもしれない。その後もオズシリーズはハヤカワ文庫で追っていてオズのリンキティンクまでは新刊で読んでいたけどその後は読めていなかったのでここでシリーズ全巻再読しようと思っている。
    新井苑子さんのイラストが改めて素晴らしいな。今の時代だともっと多様性がある様に書かなければ、みたいになりかねないけどオズだけではない外国自体への憧れを感じさせるイラスト。
    最後のドロシーがカンザスの草原に帰ってくる場面を描いたイラストは初めて読んだ小学生の時にドロシーたちの長い旅路の物語が終わる寂しさを感じた夜の2段ベッドの上段オレンジ色の薄暗い電球の中でお話に夢中に

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    2025年08月14日
  • オズの魔法使い

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    ウィキッドの原点。
    オリジナルを知っておくことで楽しさが数倍違う。
    にしてもグリンダって南の魔女だっけ?

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    2025年03月16日
  • オズの魔法使い

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    ネタバレ

    この年にして初めて読んだんだけど、読みやすくて良かったです
    カンザスの乾いた感じの描写が良かったかな
    ブリキの木こりの生い立ちがグロくてビビった

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    2024年09月04日
  • オズの魔法使い

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    何度も読み返す一冊。 最近長男がはまったようで。 感想はまだ聞けてない。 先日オズの最初の戦いを見に行ったけど、ウィット感がそのまま。

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    2018年12月17日
  • 所有せざる人々

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    読み終わってしばし呆然。ずっしりと重い課題と、ひとかけらの希望を飲み込んだような気分。SFという括りを超えた名作だと思う。
    ウラスとアナレスの双子星が舞台。ウラスは自然豊かで長い人類の歴史を持つけれど、競争主義社会で貧富の差がどうしようもなく広がっている。対するアナレスは荒涼とした植民星で、人々は協力し合い、飢えと闘いながら必死で生きている。一見すると共産主義礼賛のように捉えられてしまうのか、発表当時は作者の政治的思想に対して様々な批判があったらしい。私には、現代の政治的イデオロギーなどを超えた、普遍的な問題提起だと感じた。もっとも作者は、問題提起など全く意図していなかったらしいけれど。
    主人

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    2018年09月02日
  • 所有せざる人々

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    ル・グィンらしい名作 
    表紙   8点辰巳 四郎
    展開   8点1974年著作
    文章   9点
    内容 830点
    合計 855点

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    2016年02月10日
  • オズの魔法使い

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    子供時代の思い出の本を再読。
    有名なのはこの1作目ですが、実はオズ・シリーズって凄く長くて、
    著者・ボーム氏によるものだけで14冊、
    他にも26冊(!)も他の方の書いたものもあるそうで!

    今はほとんど絶版になってますが、このハヤカワ文庫から
    このボーム氏の14冊は全て和訳されていて、
    (訳者・挿絵全てこの本と同じ方です)
    当時何冊か読みましたね。

    大人になって読み返しても凄く良かったので、
    他のもまた読みたいな。
    他のはかなり現在読むのが難しいですが;

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    2013年08月31日
  • 所有せざる人々

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    共産主義社会を思わせる世界の荒涼とした惑星アナレスと、現代の資本主義社会や地球環境をほとんど写したかのような惑星ウラス。
    この二つの惑星を舞台に、アナレス出身の科学者、主人公シェヴェックという個人の人生と社会、人々との関わりを重厚なスケールで描いた一冊。この本そのものが膨大な思考実験であり、なおかつ一人の男の物語としても一級品で読みごたえ抜群。

    所有せざる人々の住むアナレスと、所有主義者(プロバタリアン)の住むウラス。
    アナレスに生まれたシェヴェックがウラスに出発するに至るまでと、ウラスに到着後の人生が交互に描かれていくが、どちらの惑星でも個人というよりも社会そのものがシェヴェックに苦難の道

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    2013年06月05日
  • 所有せざる人々

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    ネタバレ

    ジョン・レノンが『イマジン』の歌詞の三番で「少し難しいかもしれないが想像してほしい」と歌った"所有のない世界”を実現した惑星アナレスから、資本主義と社会主義が対立しながらも美しい繁栄を謳歌する惑星ウラスに降り立った孤独な物理学者の物語。
    無政府主義を現実のものとしたアナレスでも、最後の障害は「人々の慣習にすがる態度」だった、というのが衝撃的だった。
    しかし、ほんの小さな希望が、長い、長い旅を終えて、アナレスに帰還する宇宙船の中、遠く離れた、古い歴史を持つ恒星系セインから来たひとりの下士官によってもたらされる。
    彼は命の危険があり、二度と戻ることができないかもしれないアナレスへの同行を

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    2012年11月02日
  • オズのかかし

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    キャプテンビルとトロットがオズに初入国!にいたるまでの冒険譚。ひさしぶりに読みましたが、結構面白かったです。結末のもっていきかたはいつもどおり。

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    2011年07月16日
  • オズのリンキティンク

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    定番のオズシリーズとはちょっと異なるものらしいだけに、面白く読めました。しかし結末はおきまりのパターンなので、大人としてはちょっと物足りない気も・・・。

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    2011年07月16日
  • 所有せざる人々

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    ハヤカワ文庫SFシリーズで「ヒューゴー賞 ネビュラ賞」受賞とあるのだから [SF]に分類してもいいのだが・・・・

    未来の宇宙空間にある「所有のない共同体」の詳細が読み取れる。

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    2010年12月28日
  • 所有せざる人々

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    小説とは人間を描くものである、というル・グィンの言葉通りの本。
    主人公シュヴェックを語るためにアナレスとウラスという二つの世界があり、本書が存在する。
    個人的には彼の親友であるベダップが凄く印象的でした。終始一貫してシュヴェックの視点で語られる物語において、例外的にべダップが語る場面が存在するからでしょうか。
    彼が持ち得ない(という言い方はこの本だと不適切ですが)「それ」に対する気持ちにシンクロしてしまってしょうがなかったです。彼の話が読みたい。
    あと姉妹短編の「革命前夜」も読み返さなきゃ。

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    2011年05月26日