有島武郎のレビュー一覧

  • 小僧の神様・一房の葡萄

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    小五が読んだ。
    知らない言葉の解説が同ページ内にあるので読みやすいとのこと。

    志賀直哉の文体は簡潔でわかりやすいらしい。拒否感なく読んでくれて親はホッ。
    私自身は読んだことがないので評価はなし。
    興味を持った時に渡す本としてはこのシリーズがいいんだろうなと思っています。

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    2025年09月27日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    ネタバレ

    特に、「生れ出づる悩み」について。

    本書の表現は端的にいえば力強く鮮やかで、「板子一枚下は地獄」に表現される通りに6章の嵐の緊張感はすさまじいものであった。この場面が「肝腎の」自殺を図る場面の印象を薄めるほど(本多解説・124頁)だという説明には共感できる。その表現力が背後にあるからこそ、山に執着する「君」と重なって、自然のもつ偉大さに説得力を感じられた。

    自分のやりたいことと、現実にやらねばならないことの矛盾を抱える「君」が、行動では勇敢な姿を見せていても、内心、現実に正面から向き合っている漁夫等には疎外感を覚えている。そのような葛藤する精神を地球から「生れ出でた悩み」としているが、世界

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    2023年09月16日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

    購入済み

    とても素敵な小説です。穏やかな気持ちで読み進める中で、何回か涙が出ました。
    内容が複雑なのて、もう一度読み直します。

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    2023年01月17日
  • 一房の葡萄

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    遥か昔のうっすらと残る記憶だが、小学校3~4年の担任の先生が、国語の授業とは別に読み聞かせをしてくれたのが「一房の葡萄」だった。
    横浜の山の手が舞台であり、万国旗、西洋絵具など、異国の香り漂うのが、見知らぬ世界を覗いているような不思議な気分だった。

    子供ながらに「ぼく」のやってしまった事に罪悪感からドキドキしたし、同時に、藍色と洋紅色はとても美しい色なのだろうと想像した。
    そして先生が捥いでくれた西洋葡萄とはどんな葡萄なのだろうと想像した。
    自分が普段口にする葡萄とは違う、何か特別なフルーツに思えた。
    なにより「ぼく」に対して、いやな事をしてしまったと自分で分かっているのならそれでいいと、子

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    2022年09月02日
  • 一房の葡萄

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    有島武郎の童話集。
    文章がとにかく美しくやさしい。そしてそれぞれの主人公の置かれた状況による感情が生々しく伝わってくる描写力。
    重たいできごとは起こるが登場人物はおしなべてやさしい。
    非常に秀逸な童話集なので、もっと子どもが手に取りやすい形態で広まると良いのだけれど。
    宗教色が強い「真夏の夢」と「燕と王子」はいまひとつ。

    ◆収録作品
    ・一房の葡萄
    ・おぼれかけた兄妹
    ・碁石を飲んだ八っちゃん
    ・ぼくの帽子のお話
    ・かたわ者
    ・火事とポチ
    ・真夏の夢
    ・燕と王子

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    2022年04月29日
  • 生まれ出づる悩み

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    自分の仕事を神聖なものにしようとする作家・文学者の私は神がかりの様に夢中になって筆を運ばしていることもある。私の周囲には亡霊のような魂がひしめいtて、紙の中に生まれ出でようと苦しみあせっているのをはっきりと感じたこともあった。同じく絵という芸術を追い求める君は生きるために漁夫たちと死の側近くまで行かなければならない。悲壮だ、惨めだ。異邦人の様な気持ちで孤独と闘いながら。隣人への愛がテーマの「生まれ出づる悩み」の他、純粋な魂がテーマの「フランセスの顔」、信仰への精進にあこがれる「クララの出家」、妻への復讐の炎「石にひしがれた雑草」を収めた貴重な一冊。完成度の高い文学作品で何度読んでも新しい感動が

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    2021年05月16日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    ネタバレ

    ●小さき者へ
    私は有島武郎のこの二つの作品から、静謐と光を感じた。表現は繊細で情景が浮かんでくる。

    「小さき者へ」は親の溢れる無償の愛が描かれている。
    印象に残った部分①
    〜お前たちは遠慮なく私を踏台にして、高い遠い所に私を乗り越えて進まなければ間違っているのだ。然しながらお前たちをどんなに深く愛したものがこの世にいるか、或はいたかという事実は、永久にお前たちに必要なものだと私は思うのだ。〜
    これだけはっきりと親を踏み台にしろと言う深い愛情表現と、生きていく上での拠り所になる、深く愛されていたという事実を伝えるための部分。

    印象に残った部分②
    お前たちの母上は全快しない限りは死ぬともお前た

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    2021年02月25日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

    一木けいさんの「1ミリも後悔しない、はずがない」から読みに来ました。

    中高生の時にじっくり読みたかったな。
    生きる指標になる一冊。

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    2018年07月11日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    ひょんなことから読んでみたんだけど正解だった。芸術について、家族についてそれぞれ作者視点から描かれている。しんみりと読んだが良かったと思う。思ってることが小説に書いてあると励まされるような気がする。そういう感じのしたいい作品だったかな。

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    2017年12月18日
  • 生まれ出づる悩み

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    ネタバレ

    自分の夢を、家族や生活のために諦めた。
    望んでいなかった未来で、別の選択肢を選んだ自分を夢想しながら、心の中では誰とも分かり合えず異邦人のように暮らしている。
    本当は分かっている、家族や生活は言い訳だと。
    自分に才能があると信じ、それに身を投じる度胸がなかったのだ。
    …決断するのは自分自身。

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    2017年11月18日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    大正時代に書かれたハナシ。
    人間愛、自然愛に溢れた2つの作品。
    私には子供がいないので想像でしか分からないが、子供がいる人には心を締め付けられる話かもしれない。小さき者へ。
    もう一つの生まれ出づる悩みの方が私にはツボ。
    絵を書く人、芸術に携わる人にはグッとくる場面がかなりあるはず。
    主人公がどうなるのか、半ば心配しながら読み進めていった。
    君と問いかけるように紡ぐ文が素敵。

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    2012年11月01日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    ネタバレ

    青空文庫。
    Eテレの「にほんごであそぼ」の「小さき者よ」の歌に心を打たれ、これが出典だと知って読んでみました。まず、自分の親に感謝の念がわき、そして自分はその親の子として、またわが子の親としてしっかりしなくてはいけないと思いました。一生懸命働こうと。
    「小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れないものの前に道は開ける。 行け。勇んで。小さき者よ。」
    「小さき者へ 十分人世は淋しい。私たちは唯そういって澄ましている事が出来るだろうか。お前達と私とは、血を味った獣のように、愛を味った。行こう、そして出

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    2012年06月14日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    ネタバレ

    『小さき者へ』は、妻を失った子供へ書かれた、筆者の複雑な心境が描かれている。
    『生れ出づる悩み』は、芸術家として生きる決心がつかず、遂にはその夢を諦めたある漁師の、芸術に対する苦悩が描かれている。

    どちらも中々暗いテーマを掲げているにも関わらず、文章に悲痛さを感じない。悩みや苦しみの中から、ほんの少しの希望を見出そうとする姿勢。人間が、自分の弱さの中から強さを見出す瞬間の苦悩が鮮やかに描写された作品であると感じた。

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    2012年01月31日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    [小さき者へ]親というものがどれほど子供を愛しているか痛いほど分かる本。自分のオヤジもこう思っているのかと思ったら、一晩泣けた。

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    2011年10月05日
  • 小僧の神様・一房の葡萄

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    作品紹介・あらすじ

    仙吉が奉公する店に、ある日訪れた一人の客。まるで自分の心を見透かすように鮨屋に連れていってくれたこの客の正体に、仙吉は思いをめぐらせ-。少年の心情を鮮やかに切り取った「小僧の神様」をはじめ、白樺派を代表する作家三人の作品を収録。

    *****

    わけあって志賀直哉の「小僧の神様」が読みたくて書店に行った。本当は岩波書店から出版されている旧かなづかいの一冊が欲しい、なんて大それたことを思っていたのだけれど、残念ながら書店の検索機に引っ掛からず。たった一冊引っ掛かったのがこの「少年少女日本文学館」シリーズの中の一冊だった。対象年齢がいくつなのか分からないけれど、僕は多分「少年

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    2024年09月20日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    子どもが生まれたので、改めて読みたくなって。
    以前は私が子どもの立場だったため、私のこれからの人生へのエールだと感じた。今は親の立場で、幼子を残して逝く無念や、子どもへの想いに共感する。
    エールを受け取る側から送る側へと立場が変わり、そうして世代が繋がっていくのだと実感する。私はもう「小さき者」ではないのだ。何となく寂しくもあり、嬉しくもある。

    行け。勇んで。小さき者よ。

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    2024年01月28日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    この本は、私の親友の愛読書の一つであると言う理由で読み始めた。
    順番は逆に、生まれ出づる悩み、から読み始めた。

    以前、網走監獄を訪れて、そこから北海道開拓史に興味を持ち、その生活の厳しさを考えたことがあった。その時に感じた寒さ、厳しさは今のような明るく、本州からの避暑地と言ったイメージとはかけ離れた物であった。漁夫の家族として生まれた男、しかし、お金がないにも関わらず恐らくは画家としての才能を持ち合わせた男の、生まれ出づる悩み。

    昔の文章なので読みにくい。しかし、表現の美しさは私のような者にも伝わる。

    この時代ほどではないにしろ、生まれた場所によって生きる選択肢を制約されることはよくある

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    2022年12月30日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    絶望と少しの希望。
     希望の裏には常に絶望や不安の影が見える。北海道の冬の寒さと暗さを引きずっているかのような一貫した陰鬱さがあるのだ。
     冒頭に筆者は母を亡くした子供達に対して「お前たちは不幸だ」と言い切る。私はこの「不幸だ」という言葉が子どもたちではなく筆者が自分自身に向けた言葉に思えてならなかった。彼は子供のことを思っているように見えて常に自分の不幸を気にしているのではなかろうか。作品の最後には子供の背中を押すような言葉がある。ほとんど確定した自分の死を念頭に、残される子供への遺言を残しているかのようだった。

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    2022年11月25日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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    明治〜大正時代の小説家、キリスト教人道主義、白樺派の文学者であった、有島武郎の小作品。
    『小さき者へ』は妻の死後に幼い子どもたちへ書いた手紙のような短い小説。亡くなった母の想いや、恵まれた生まれ、父である武郎のさまざまな反省などを伝え、母を失い不幸ながらも愛ある生を受けた子どもたちを祝福し勇気づける小説である(天空の城ラピュタの『君をのせて』でいうところの「父さんがくれた熱い想い、母さんがくれたあの眼差し」と似たような感じの内容と思って差し支えない)。

    誰か大切な人の想いを背負うことや、世間から見れば小さな出来事を深く掘り下げ感じ入ること(有島は、人生に深入りすることと呼ぶ)は、人が生きてい

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    2022年07月04日
  • 小さき者へ・生れ出づる悩み

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     ちょっとセンチメンタル過ぎると思ったが、静かな中にも力があり、美しい文章。大正時代の文学。この時代の文章に接するのは幸せだ。

     『小さき者へ』
     妻を病気で亡くした後、残された幼い子供たちへ語りかける手紙のようなもの。以下は、心に響いた文章の抜粋。
    抜粋1 
    私が今ここで、過ぎ去ろうとする時代を嗤い憐れんでいるように、お前たちも私の古臭い心持ちを嗤い憐れむかもしれない。わたしはお前たちのためにそうあらんことを祈っている。お前たちは遠慮なく私を踏み台にして、高い遠い所に私を乗り越えて進まなければ間違っているのだ。

    抜粋2
    お前たちが一人前に育ったとき、わたしは死んでいるかもしれない。一生懸

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    2021年08月22日