有島武郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『小さき者へ』は、母を亡くした子供に対して、
母親の愛情を説き、生きることを肯定的に描く作品。
自身の父として愛情を持って生き抜くことの決心も窺える。
『生まれ出づる悩み』は老齢の主人公と青年の交流から、
主人公がその青年の生活と夢(芸術家)の葛藤を空想し、
その青年にエールを送る内容の作品。
どちらもメッセージを、子供に対して送っている形をとりながら
読者に訴える作風を取っている。
『生まれ出づる悩み』のラスト。
序盤で青年の乗る漁船がひっくり返った時も
執拗に「死にはしない」という言葉を口にした青年が
自殺を考える展開になった時は驚いた。
唐突に感じるが、生活を取る人間が、芸術を志向し -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりに温かくて、やさしくて、愛情に満ち溢れた文章に出会うことが出来た。
これはお父さんのバイブル、というよりも大事な人を持つ全ての人々のバイブルになりえるだろう。
愛の影には残酷な出来事がある。故に愛は深く、豊かなものになってくのだろう。
押し付けない愛。それが有島の子供に対する愛なんだと感じた。
「お前たちは遠慮なく私を踏み台にして、高い遠いところに私を乗り越えて進まなければ間違っているのだ。然しながら、お前たちをどんなに深く愛したものがこの世にいるか、あるいはいたかという事実は永久にお前たちに必要なものだと私は思うのだ。」
また有島自身が愛する妻の死によって大きく成長した。そし