有島武郎のレビュー一覧
-
古典文学の有島武郎の著書である。
小さき者へ、は、我が子たちへあてた手紙であり、その昔の様子を想像するに難くない。
いつの世も、夢半ばにして諦めることを選択せざるを得ない人がいる。生まれ出ずる悩みとはまさにそれを物語っている。
明治文学の真髄であり、難解ではあるが、奥深く味わいある内容である。Posted by ブクログ -
「小さき者へ」
我が子への愛や願いがひしひしと伝わってくる、のにな・・・
「生まれ出づる悩み」
野心を抱き、他を犠牲にするには、あまりにも優しすぎる「君」。
才能あるよ、諦めないで、などと言うのは簡単だ。背中を押してやった、なんて自己満足に浸ることもできる。
それをしない「僕」も、やはり自分の生き...続きを読むPosted by ブクログ -
小さきものへの感想
失いそうになって初めて、大切なものに気づき、守ろうとした。しかし、その失われそうになっていたものは、自分にこれから守るべきものを与えてくれていたことに気がついた。それらをこれから守るという自分自身への決意表明のようなお話。
生まれ出づる悩みの感想
自分の希望する道へ進むことができ...続きを読むPosted by ブクログ -
有島武郎の顔と作品とのギャップがよく顕れた文庫でした。
小さき者へは、イメージ通りのインテリなパパ。他人の娘の立場からすると、どんな感想も陳腐というか安くなるというか。
生れ出づる悩みはカインの末裔寄り。北海道の冬の描写の真に迫ることよ、こんなキレイな顔して…って感じ。
私はこの作品をひたすら「芸術...続きを読むPosted by ブクログ -
実家にある亡き父の本棚から、何となく持ち出してきた1冊。
偶然にも父の命日に読んでしまい「はっ」とさせられた。
父さんの子として生まれてこれたことに感謝。
私のために必要なものをたくさん遺してくれてありがとう♪Posted by ブクログ -
小僧と神様 志賀直哉 日本文学館
武者小路実篤と共に学習院で学んだと言う
とても繊細な人だったらしい
小説の神様と呼ばれてもいたようだが
夏目漱石とは別の文体で
言葉使いが違うせいか馴染めない所も多く
「小僧と神様」と「雪の遠足」を読んで閉じた
どちらも寂しい話で尻切れとんぼであるところが気になっ...続きを読むPosted by ブクログ -
大正時代の作品だったため読みにくい表現もあるかなと思って読み進めるも、表現もくどい言い回しはなく読みやすかった。
『生れ出づる悩み』家業の漁業を手伝うために漁夫として故郷で奮闘するも、絵を描くことも諦めきれない若者が題材。
著者がその若者から夜通し聞いた話を元に書いた苦悩の日々から、若者の煩悶とした...続きを読むPosted by ブクログ -
未来ある子ども達へのエール「小さき者へ」、芸術の崇高さを理解しつつも余りに厳しすぎる漁師の生き方とのギャップに苦しむ一人の男を描いた「生れ出づる悩み」。どっちもストレートでなかなか良い。後者は美しくも畏れを抱いてしまう自然描写が見事。Posted by ブクログ
-
小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。しかし恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。Posted by ブクログ
-
ちょっと私には合わなかった…
生まれ出づる悩み、も、後半、振り落とされた感じ。
解説で、英語のような書き方?とあったので、そのせいなのかもしれない。Posted by ブクログ -
木本の想像以降が少し読みにくい小説ではあった。想像とは何か、同感とは?生と死、芸術と生活との関連など、問題は多岐にわたる。問題点としては、谷崎の『金色の死』とも重なる作品でもあったと思う。Posted by ブクログ
-
『小さき者へ』は、母を亡くした子供に対して、
母親の愛情を説き、生きることを肯定的に描く作品。
自身の父として愛情を持って生き抜くことの決心も窺える。
『生まれ出づる悩み』は老齢の主人公と青年の交流から、
主人公がその青年の生活と夢(芸術家)の葛藤を空想し、
その青年にエールを送る内容の作品。
ど...続きを読むPosted by ブクログ -
久しぶりに温かくて、やさしくて、愛情に満ち溢れた文章に出会うことが出来た。
これはお父さんのバイブル、というよりも大事な人を持つ全ての人々のバイブルになりえるだろう。
愛の影には残酷な出来事がある。故に愛は深く、豊かなものになってくのだろう。
押し付けない愛。それが有島の子供に対する愛なんだと感...続きを読むPosted by ブクログ