あらすじ
この作には白樺派らしい人道主義が、一筋に個性をのばす人間への隣人愛となってほとばしっている。「クララの出家」は現世にひかれる心を感じながら、神と共にある清浄な世界に憧憬する。共に、芸術への精進、聖なるものへの登高という武郎の霊的一面を代表する注目すべき作品。他に「フランセスの顔」「石にひしがれた雑草」併載。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自分の仕事を神聖なものにしようとする作家・文学者の私は神がかりの様に夢中になって筆を運ばしていることもある。私の周囲には亡霊のような魂がひしめいtて、紙の中に生まれ出でようと苦しみあせっているのをはっきりと感じたこともあった。同じく絵という芸術を追い求める君は生きるために漁夫たちと死の側近くまで行かなければならない。悲壮だ、惨めだ。異邦人の様な気持ちで孤独と闘いながら。隣人への愛がテーマの「生まれ出づる悩み」の他、純粋な魂がテーマの「フランセスの顔」、信仰への精進にあこがれる「クララの出家」、妻への復讐の炎「石にひしがれた雑草」を収めた貴重な一冊。完成度の高い文学作品で何度読んでも新しい感動がある。40年以上前の高校時代に購入した改版16版。お気に入りの永久保存文庫本です。