三木清のレビュー一覧
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三木清は先崎彰容氏の推薦ということで手に取ったが、大変良かった。
構成は、「習慣について」「怒について」など短い章に分かれている。
言われていることはヨーロッパの思想に似ているが、それを唐突に直感的に書いていて、背景と理由は説明してもらえないところが日本思想。
と思いつつ読み進めていたら、まさにその点を指して、
「確実なものの直観は…論理の証明を要しないのに反して、不確実なもの…こそ論理を必要とする」
とあっさり論じてくれた。
「感情は多くの場合客観的なもの、社会化されたものであり、知性こそ主観的なもの、人格的なものである」というのも、その言い換えである。
社会と論理から思想を導くヨー -
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【読もうと思った理由】
かなり時間は経ってしまったが、以前読んだ「行く先はいつも名著が教えてくれる」(秋満吉彦氏著)の中で、名著として紹介されていた書籍の中の一冊だ。(他の名著が気になる方は、上記書籍の感想欄に一覧を載せております)最終的には、秋満氏が名著として紹介していた12冊は、全て読みたく思っている。その中で三木清氏の本を今回選んだ理由が、もう一つある。
それは、今から約100年前の1927年、岩波書店から日本初の文庫本が出版されたんだそう。ドイツのレクラム文庫という文庫を参考にし、文庫本というスタイルを、日本で初めて発案したのが、著者の三木清氏らしい。当時、三木氏は法政大学で教鞭をと -
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ネタバレ戦前から戦中期の哲学者・三木清による23章の哲学エッセー。
「不確実なものが根源であり、確実なものは目的である。」(「懐疑について」より)。やっぱり、人の基本部分って「ゆらぎ」であるということを言っていると思いました。僕もずっとそう考えています。どこかひとつの位置に安住するものではない。できるだけ物事をしっかり見つめ、捉えていたいのならば、そうなのです。
懐疑には節度が必要である、と三木清は言う。手順を踏まず、工程を飛ばした懐疑は節度がない、といえると思います。節度のない懐疑は、独断であり、宗教化に陥り、そして情念に基づいて働く、と著者は続ける。また「真の懐疑家は論理を追求する。しかるに独 -
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薄い本なのに、読み進められないところがある。
そう思うと、あまりの言い分に首っ引きになってしまう項がある。
1つ1つのカテゴリー、例えば生や死、娯楽といった分野ごとに話をまとめてくれているので、どこからでも読むことができます。
なので、★5をつけていながら、ほとんど読み込めていないところもあります(きっと10年後にはそこに興味がいくかもしれません)
座右の書にあげたのは、かれの言い分が自分の価値観を壊してくれたからです。
特に娯楽に関する項目は、「娯楽は仕事の疲れを癒やしてくれるもの」「娯楽だけで生きていけるなら、こんなに素晴らしいことはない」と風潮していた20代、30代を笑い飛ばす。 -
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高校の現代文の教科書で「旅について」で,三木清に出会ったと思う.高校生ながらにして,とても引きつけられる文章で,国語の授業として読むものというよりも,何度も読み返して反芻したくなるものだった.
最近,岸見一郎さんがこの三木清の人生論ノートを解説する本を出したりして,もう一度じっくりと読みたくなった.色々な出版社からも出ているけれど,角川ソフィア文庫から岸見一郎さんの解説で出版されたものがあったので,購入した.
解説を読むと,より深い理解が得られる.この人生論ノートがどのような時節に書かれたものなのか.そういったことも踏まえてもう一度読み直すと,凄く攻めていることがわかる.
哲学とい