カール・マルクスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
資本主義は、資本を蓄積することにより成功を収めるが、資本の蓄積は労働者の搾取によって生じていると批判している。資本家は資本を増大させることを目的とし事業を行っているという分析は的確であると思う。産業革命後のイギリス労働者が、いかに悲惨な生活を強いられていたかを理解した。また、これは江戸から明治期に来日した欧米人の数多くの手記の内容とも一致する。
ソビエト崩壊後のマルクスの評判は悪いが、資本主義について的確に理解しその重要性をわかった上で批判を展開しており、決して浅はかな論理ではないことが理解できた。
「生産過程をたんに継続するだけで単純再生産を行っているならば、遅かれ早かれ一定の期間の後には、すべての資本は必然的に蓄積した資本に変容する。貨幣形態をとるかどうかは別として、他者の不払労働を体現したものに変容するのである」p24
「価値の増殖を狂信的なまでに熱愛する資本家は、人類を生産のための生産へと容赦なく駆り立て、社会的な生産力を強制的に発展させ、物質的な生産条件を強制的に創出させる。こうした物質的な生産条件のみが、あらゆる個人の自由で完全な発展を根本原理とする高度な社会形態の現実的な土台となり得るのである」p78
「競争のために資本家は、自分の資本を確保するためには、資本をたえず増強せざるをえなくなる。そして資本を増強するには、資本を累積的に蓄積するしかないのである」p79
「蓄積のための蓄積、生産のための生産。この公式によって古典派経済学は、ブルジョア時代の歴史的な使命を表明したのである」p83
「奴隷が許されない自由な国民における最も確実な富は、労働する多数の貧民が存在するということである」p138
「マンチェスターの保健衛生官のリー医師が確認したところでは、この都市の有産階級の平均寿命は38歳であるが、労働者階級の平均寿命は17歳にすぎない。リバプールでは前者が35歳、後者が15歳である。特権的な階級の寿命は、恵まれない同胞市民たちの二倍以上になる」p203
「(ランカシャーの状況)栄養失調が病気を引き起こし、さらに悪化させている事例が無数にある。このことは貧民の医療に詳しい人であれば、誰もが認めることだろう。忘れてならないのは、食物の欠乏に耐えるのは極めてつらいことであるため、ふつうは食物の大幅な不足は、それに先立つさまざまな欠乏の後に初めて現れるということである。栄養失調が衛生面で大きな問題となるはるか以前に、その家庭からあらゆる物質的な快適さが失われていることだろう。衣類や燃料は、食物が不足するよりも前から、さらに不足していただろう。居住空間は切り詰められ、病気の発生や悪化の原因となっているだろう。清潔さを保つのは贅沢なこと、あるいは困難なことになっているだろう。それは衛生警察がもっとも成果を上げていない地区であり、もっとも水捌けが悪く、交通が不便で、汚物が溢れ、給水がもっとも困難か、もっとも行われていない地区だろう。都市においてはもっとも日照が少なく、通気が不足した地区だろう。貧困が食糧不足にまで至ると、こうした衛生上の危険にさらされるようになるのは避けられない。このように貧困が、怠惰によって生まれた自業自得なものではないことを考えると、はなはだ胸が痛む。実際のところ都市労働者たちは、わずかな食べ物を手に入れるために、限度を超えるまで働かされる(サイモン医師)」p234 -
Posted by ブクログ
これも政治学のゼミで読んだものです。
今まで読んだ本の中で1位か2位を争うぐらい
難しい本でした…読むのに本当に一苦労しました(・ω・;)
で、そんな難しい本なのに
この本の3~5章の内容を
まとめて発表する担当になってしまって。
もう本当に泣きそうなぐらい大変でしたが
逆に深く読むことによって内容がわかるようになり、
その後はとても楽しく読むことができました。
一番有名な文章はこちら。
「歴史は繰り返す。一度は偉大な悲劇として。
もう一度はみじめな笑劇として。」
この本はその「偉大な悲劇」である
ナポレオンの登場と、「みじめな笑劇」である
ボナパルトの登場を比較しながら
ボナパルトの行った政治を見ていく、というもの。
いわゆるルポです。
面白かったのは、マルクスの独特な言い回し。
(まぁこれがこの本を読みづらくしている原因でもあるんですが。)
たとえば、王政派を説明するとき
「古めかしいオルレアン朝や正統王朝のお仕着せを再び身につけ,
古めかしい馬上試合を再演している。」と述べている。
だがその裏では「王家を敬礼で片付け」とあり、
王政派の行動の二面性をうまく表現できているなぁと感心。
この本におまけ(?)として載っている
柄谷行人著の『表象と反復』も面白いらしいですが
まだ読んでません。楽しみです。 -
Posted by ブクログ
岩波文庫で、二度読んだ。
平凡社で新刊が出たのでこちらも購入して読んだ。
ということは、都合3回読んだことになる。
ここに描かれるルイ•ボナパルトは階級闘争の中で偶々祭り上げられただけの平凡で馬鹿な男にすぎない。
マルクスの興味は、歴史上の登場人物には向かはない。
彼の関心は、民主主義を崩壊させた階級闘争過程にしかないからだ。
ルイ•ボナパルトという、下手をしたら江戸幕府を牛耳ってフランス帝国による明治維新を断行したかもしれない怪物に焦点を当てたのが、鹿島茂の怪帝ナポレオンだ。
この二著はセットにして読まなければならない。
1848年の革命から、1851年のルイ•ナポレオンによるクーデタまでを、何と一千年に一人の大天才(吉本隆明)マルクスが、ジャーナリストとしてルポしてくれるのだ。
こんな歴史読み物は他にない。
マルクスの著作の中では圧倒的に読みやすい。
しかし、当時の常識を前提にして、革命=民主主義の簒奪を皮肉な口調で語っているために、スラスラ読める代物ではない。
そんな時、鹿島茂の著作が力強い導き手となってくれるのだ。
鹿島茂の著作を副読本とする所以だ。 -
Posted by ブクログ
ジャーナリストとしてのマルクス、もしくはアジテーターとしてのマルクスか。筆が走るままに書いているような勢い。この人が現代にいたらツイッター中毒になっていたのでは、などと要らんことを考えてしまった。
マルクスといえばロンドンのイメージが強いので、フランスの事情になんでこんなに詳しいのだろうと思って調べたら、この時期のマルクスは一時的にパリに住んで共産主義者同盟を立ち上げたり、ほとんどフランス政治の当事者に近い立ち位置だったみたいだ。
別途、Wikipediaなどで当時のフランス史の流れは押さえつつ読んだ。21世紀の日本人に向けて書かれている訳でなく、けっこう細かい出来事をも追っているので、そうでもしないとよく分からないところがある。 -
Posted by ブクログ
【1〜4のまとめ】
意外にも、共産主義のことは書かれていません。
資本主義の問題点の指摘は当たっていると思いますが、じゃあどうすればいいかは書いていません。
1.この本を一言で表すと
・資本主義の問題点を見直す本
2.よかった点
・資本家は労働者から搾取している
→ブラック企業と言われている所では、そういう視点で見てみるのはいいかもしれない。
・植民理論
→ヨーロッパ諸国が植民地から搾取して栄えたのは指摘通り
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・資本家は労働者から搾取しているという考えではなく、労働者全員が資本家になるという考え方が必要ではないか?
また、資本家が儲けているのではなく、会社が儲けているという考えはないか?
・価格が労働時間によって決まるという考えは納得できない。農作物でも天候によって価格が変わるのでは?
・機械の導入により、貧しい者が増える、という論調は賛同できない。現代の発展を全否定することにならないか?
3.みんなで議論したいこと
・資本論は現代にどのように活かすか?
4.全体の感想・その他
・資本主義の欠点を指摘している点は理解できる所もある。だから共産主義が素晴らしい!という主張になるかと予想していたが、共産主義については一切書かれていなかった。
むしろ、指摘だけして、じゃあどうすればいいのかという事は何ら書かれていなかった。
その点は予想外だった。
(本書対象外の第二部以降に記載があるかもしれないが。)
・マルクスの見た産業革命直後の資本主義社会と、現代の資本主義社会はずいぶん異なっているはず。なので、マルクスの主張のなかでも現代で通用しない部分はかなりある。
・労働者は、資本家を批判するだけでなく、資本論のような視点と搾取されるという知識を身につけ、その上で企業から搾取されないように、自らの能力を高め、機械にはできない付加価値を産むように考えるべき。
・これから共産主義が広がるとは思えない。ただ、これから資本主義が継続されるにしても、絶えず変化であり、マルクス的視点で絶えずチェックする必要。
・理論的な内容だけでなく、産業革命直後当時の劣悪な労働環境のレポートとしての価値もある。
【4固有の内容】
資本の蓄積過程、資本家はどのようにしてうまれたか。
現代の植民理論。 -
Posted by ブクログ
機械、大工業、増殖価値、労働力価格についての部分。
「ジョン・スチュアート・ミルは「経済学原理」において「これまでさまざまな機械が発明されてきたが、これで日々の労苦が軽減された人が、一人でもいるかどうか疑問である」」p13
「大工業に特徴的な労働手段であり、体系的に発達してきた機械類は、手工業経営やマニュファクチュア経営の労働手段と比較すると、比較にならないほどの大きな価値をそなえているのは明らかである」p51
「機械類を使用する規模が大きくなると、労働日をたえず延長することが「望ましい」ことになる」p89
「木綿紡績業の飛躍的な成長によってアメリカ合衆国では木綿の栽培が促成栽培のように促進され、それとともにアフリカの奴隷貿易が促成栽培のように促進された。これは疑い得ない事実である。1790年にアメリカ合衆国で初めての奴隷人口調査が行われたときには、奴隷の人口は69万7000人だったが、1861年にはこれが400万人近くに増加していた」p184
「零落して貧しくなった両親は、子供たちをできるだけ搾り取ることしか考えていない」p241 -
Posted by ブクログ
第1巻-Ⅱまでの1000ページを読破した。1-Ⅱでは、利益である増殖価値についてと労働について書かれている。機械化工業の創世記は労働時間が長く、労働者が酷使されていたことがわかる。子供であっても15時間以上の労働が強いられ、資本家と労働者間での争いにより、次第に労働環境が改善されていった時代背景を理解できた。
「資本家はたんに使用価値を生産するだけでなく、商品を生産することを、使用価値だけでなく「価値」を生産することを、たんに「価値」だけでなく増殖価値を生産することを強く望んでいるのである」p36
「資本家としての彼は、人間の姿をとった資本にすぎない。資本家の魂は、資本の魂である。そして資本の生の衝動はただ1つである。自らの価値を増殖すること、増殖価値を作り出すこと、資本の不変部分である生産手段を利用して、できるかぎり多くの増殖価値を吸い取ること、それが資本の唯一の衝動である」p153
「資本には、労働力の寿命には関心がない。資本が関心をいだくのはただ1つのこと、すなわち1日の労働日のうちで、労働力をいかにして最大限に活用できるかということだけである。資本は労働力の寿命を短縮させることで、この目標を実現する」p239
「熱帯地域の栽培農場では、1年で農場の総資本の額に匹敵するような収益をあげることができるため、黒人の生命はまったく容赦なく犠牲にされる。西インドの農業は、過去何世紀にもわたって、夢のような巨万の富を生み出してきたが、これこそがアフリカの数百万人もの民を食い尽くしてきた元凶である」p241
「スイスのチューリッヒ州では10歳以上の児童の労働時間は12時間に制限されている。アールガウ州では1862年に13歳から16歳までの青少年の労働時間が12時間半から12時間に短縮された。オーストリアでも1860年に、14歳から16歳までの青少年の労働時間は12時間に短縮されている。なんとすばらしい「1770年以来の進歩だろう」とマコーリーなら「感極まって」叫んだかもしれない」p255
「最初は極端なまでの違法行為(労働時間の過多)が発生するが、それが逆にきっかけとなって、労働日と休憩時間を法的に制限し、規制し、統一しようとする社会的規制が生まれることになる」p324
「標準労働日が定められたのは、資本家階級と労働者階級のあいだの長い闘争の結果としてであり、この闘争は多かれ少なかれ、潜在的な内乱として闘われたのである。この闘争は近代産業の領域で闘われるものであるから、最初の舞台となったのは、近代産業の母国であるイギリスである」p325
「量と交換価値を重視するこれら経済学者とは対照的に、古典古代の人々は質と使用価値だけに注目していた」p488