【感想・ネタバレ】資本論 経済学批判 第1巻 IIのレビュー

あらすじ

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日経BPクラシックス 第11弾
中山元新訳の『資本論 第1巻』の第2分冊は、第3篇「絶対的増殖価値の生産」の第5章「労働過程と価値の増殖過程」から第9章「増殖価値率と増殖価値量」、第4篇「相対的増殖価値の生産」の
第10章「相対的増殖価値という概念について」から第12章「分業とマニュファクチュア」までを収録。

「この第二分冊も読みどころが満載である。第5章『労働過程と価値の増殖過程』では、第一分冊の最後の章「貨幣の資本への変容」の第2節でだされた謎、「資本は流通の中で発生しなければならないし、
他方では流通の中で発生してはならない」という謎がいよいよ解かれることになる。
第8章『労働日』は、ときに細部にこだわりすぎるところもあるが、マルクスは当時の読者からこの書物が難解であるという苦情を聞かされると、第8章の『労働日』を読んでくれというのがつねだった。
この細部は、当時の読者にとっても、他人ごとではない問題だったことは、エンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』を読めばすぐに理解できることだろう。」(訳者あとがき)

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Posted by ブクログ

第1巻-Ⅱまでの1000ページを読破した。1-Ⅱでは、利益である増殖価値についてと労働について書かれている。機械化工業の創世記は労働時間が長く、労働者が酷使されていたことがわかる。子供であっても15時間以上の労働が強いられ、資本家と労働者間での争いにより、次第に労働環境が改善されていった時代背景を理解できた。
「資本家はたんに使用価値を生産するだけでなく、商品を生産することを、使用価値だけでなく「価値」を生産することを、たんに「価値」だけでなく増殖価値を生産することを強く望んでいるのである」p36
「資本家としての彼は、人間の姿をとった資本にすぎない。資本家の魂は、資本の魂である。そして資本の生の衝動はただ1つである。自らの価値を増殖すること、増殖価値を作り出すこと、資本の不変部分である生産手段を利用して、できるかぎり多くの増殖価値を吸い取ること、それが資本の唯一の衝動である」p153
「資本には、労働力の寿命には関心がない。資本が関心をいだくのはただ1つのこと、すなわち1日の労働日のうちで、労働力をいかにして最大限に活用できるかということだけである。資本は労働力の寿命を短縮させることで、この目標を実現する」p239
「熱帯地域の栽培農場では、1年で農場の総資本の額に匹敵するような収益をあげることができるため、黒人の生命はまったく容赦なく犠牲にされる。西インドの農業は、過去何世紀にもわたって、夢のような巨万の富を生み出してきたが、これこそがアフリカの数百万人もの民を食い尽くしてきた元凶である」p241
「スイスのチューリッヒ州では10歳以上の児童の労働時間は12時間に制限されている。アールガウ州では1862年に13歳から16歳までの青少年の労働時間が12時間半から12時間に短縮された。オーストリアでも1860年に、14歳から16歳までの青少年の労働時間は12時間に短縮されている。なんとすばらしい「1770年以来の進歩だろう」とマコーリーなら「感極まって」叫んだかもしれない」p255
「最初は極端なまでの違法行為(労働時間の過多)が発生するが、それが逆にきっかけとなって、労働日と休憩時間を法的に制限し、規制し、統一しようとする社会的規制が生まれることになる」p324
「標準労働日が定められたのは、資本家階級と労働者階級のあいだの長い闘争の結果としてであり、この闘争は多かれ少なかれ、潜在的な内乱として闘われたのである。この闘争は近代産業の領域で闘われるものであるから、最初の舞台となったのは、近代産業の母国であるイギリスである」p325
「量と交換価値を重視するこれら経済学者とは対照的に、古典古代の人々は質と使用価値だけに注目していた」p488

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2018年11月04日

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