村上靖彦のレビュー一覧
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ケアといってもいろんなケアの場があり、この本でも医療者による患者への、介護職による利用者へのとか、子どものケアをしている人とか著者の長年の研究をもとにしたケアの場面から見えてくるものが紹介され、ケアに含まれるさまざまな要素が示唆される。
ケアとは何かと説く本をこれまでにも何冊か読んできて、そのたびに感じこの本を読んでも感じたことなんだけど、かなり意気込んで読み始めるんだけど途中でわからなくなっちゃうんだよね。興味ありながらもケアの場にどっぷり身をおいていないので実感が伴わないのか、哲学的な話になっていくと理解できなくなってしまうのか……とにかく残念なことよ。
とはいえ、この本を読みながら思った -
Posted by ブクログ
ヤングケアラー当事者の声を丁寧に掘り下げた一冊。
読むのが苦しくて、何度も挫折して、ようやく読み終えました。
ヤングケアラーと呼ばれるご本人に世界はどのように見えていたのか、ご本人の言葉からだからこそ湧き上がる感覚、浮かび上がってくる情景があり、読むことができて本当によかったです。
記号としてのヤングケアラー。
ヤングケアラーとネグレクト、どちらの視点から見るか。
社会の中で起きていることとしてみていくことなど、わかりやすくまとめられていて、ヤングケアラーの理解と整理の助けになりました。
ヤングケアラーの統計やデータを見るというマクロな視点と、個別に詳しく見ていくミクロな視点と。
両方の -
Posted by ブクログ
ここ数年来に知られるようになった「ヤングケアラー」。何冊か類書を読んでいるが、本書はその中でも異色というか、深く問題を掘り下げ、またヤングケアラーだった人、サバイバーと言ったらよいのか、その人たちからの聞き取りをまとめたものなので、実情がより具体的であり、またその支援も具体的である。事例の方々は、よくこんな過酷な状況を生き抜いてきたなという人たちばかりである、本書に登場する人達は、西成にある「こどもの里」に関わっている人たちであり、こどもの立場に立って、包摂する場があったからこそ今があると言って良いと思う。全国津々浦々なかなかこのような場はないと思うが、参考にはなる。また子供への支援ではあるが
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自分自身では本年最高の読後感であった。現場の声から本質を捉えていく方法論で紡いでいく本書であるだけに力があるものだと思う。まずケアのゴールからであるが、「当事者が自身の<からだ>の感覚を再発見し、自らの願いを保てる、そのような力の発揮を目指すことこそがケアのゴールだ」で始まり、以下コミュニケーションを取る、小さな願いと落ち着ける場所、ということでACPにも言及。「いるつら」でも有名になった、存在を肯定する、「居る」を支えるケア、死や逆境に向き合う、「言葉にならないこと」を言葉にする、最後にケアの行方、当事者とケアラーのあいだで、ピアについて言及して締める。言葉にならないことを言葉にすることがそ
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困難な状況の中で孤立している母親への手当てと、つながりの再構築への道のりが丁寧に描かれています。
グループワークを行う機会の多い私にとって、参加者目線の言葉と、ファシリテーターの言葉と、観察者としての筆者の言葉の重なりが、とても参考になりました。
ホールディングという観点からグループワークの「場」を見つめてみた経験がなかったので、興味深く、ぐいぐい引き込まれました。
他者の語りを聴くこと。自分のことを語ること。
ホールディング。グループとのつながり。グループとの響き合い。
この世界の中に、自分の居場所を見つけ出すこと。
「孤立していたときの過去が世界の中に位置づけられることで、未来の行 -
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「治癒とは…創造性の回復(である)。創造性は困難な現実への適応を可能にするだけでなく、それ自体として健康であるという感覚を生むからである」という箇所にしびれました。なるほど!
この本は現象学という分野から治癒について述べているのですが、現象学にも哲学にも縁遠い私には、1つの文章だけに注目すると、書いてある意味がさっぱりわからないことが多かったです。でもがんばって読み進めていくと、なんとなく全体としては少しだけ(雰囲気だけ)わかったような気がしてきて、だんだんおもしろくなってきました。
次は同じ著者の「レヴィナス 壊れものとしての人間」に挑戦します! -
Posted by ブクログ
「数値と客観性への過度の信仰」(p.11)によって、見過ごされ、切り捨てられる事実があることに焦点を当て、結果として自分たち自身が不幸になっていく「社会の弱い立場の人に厳しくあたる傾向」(同)の背景にある思想、どうやってその思想から脱却するか、ということについて述べられた本。初めは科学的思考への過信に対する警鐘を鳴らす、的な本かと思ったが、結果としては哲学の本だった。「決して既存の科学そのものを批判する意図があるわけではない」(pp.174-5)ということは何度も繰り返されるが、その上で、「競争と勤勉さという社会規範」(p.174)をあまりに忠実に信仰することの危険性について指摘し、「一人ひ
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福祉に携わると、制度の隙間にはまってしまうケースによく遭遇する。本書でも冒頭で言われているが、典型例に当てはまらないため、類型化してパターンで振り分けることができないのだ。というか、そもそも福祉は人のためにあるものなので、人の持って生まれた性格から家庭環境や経験、その時の社会のあり方や変化など、ありとあらゆる背景が存在する「人」を、典型例に落とし込むことなどどだい不可能なのだ。そこに制度というものの大いなる課題が存在する。その課題をカバーするために支援者がいるのだが、その支援者たち、もしくは当事者たち7人が、隙間に落ちてしまう子どもや支援について語ったのが本書である。
だからいちいち腑に落ちる -
Posted by ブクログ
教育の現場に当てはめて考えながら読んだ。
「そこにいる存在」がケアの第一歩というのが自分の教育観と重なった。教員として、子どものために何ができるか考え、関わり続ける訳だが、何よりもまずは子どもたちと一緒にその場にいることが重要だと思う。
ケアの現場でも相手のために自分を犠牲にしてまで働くことがあり、その結果精神的に辛い状況になることがあるという。いつのまにかケアをする人がケアをされる側になっているということだ。
これは教育現場でも同じことが言えるだろう。
教員も子どもたちを支えようと一生懸命になりすぎて、自分を見失い、休職したり、退職したりすることがある。
そんな時に、誰しもそういう弱さがあ