渡辺努のレビュー一覧
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渡辺先生か常々話されていた「労働供給減少によるインフレ」が、日銀副総裁の「this time is different」に繋がり、利上げに踏み切ったと認識。
日本のデフレのキーワードは、30年続いた「自粛」
ノルムは渡辺先生が、海外の友人向けに使った方便。価格と賃金の据え置きは日本の社会的な規範(ノルム)。企業も労働組合もその規範に従って行動する。
日本人には超リカーディアンが多すぎる!
減税しても、将来の増税を見越して貯蓄に回してしまう。
名目賃金に下方硬直性があるので、目標インフレ率は正の値になる。2%は「置き」の問題。本来は4%くらいで良いと考えている。 -
Posted by ブクログ
昨年読んだ本だが、今年の夏祭りでフランクフルトが800円に値上げされている!と話題になっていたので再読してみた。
著者は、日経・経済図書文化賞を受賞した前作『物価とは何か』で、専門的な物価分析を鮮やかに書いた東大の経済学部教授である。
日本で物価上昇を実感し出した2022年は、ちょうどロシアのウクライナ侵攻の時期も相まって、戦争をインフレ原因とする見方が一般的だった。
しかし、欧州のインフレがじわじわ始まり出したのは2021年である。本書では戦争以外の何らかの原因を突き詰めて考察する。
前半は、米国中央銀行(FED/FRB)にとって、金融政策の検討のもっとも頼りにしているフィリップス曲線が使えなくなったために、根拠のあるインフレ予想を立てられなくなったという衝撃の事実から始まる。
後半では、日本特有の物価上昇に伴わない賃金低迷の原因・背景が非常にわかりやすく解説されている。
昨今では日本でも少しずつ「値上げ嫌い」「価格据え置き慣行」からの脱却を図る企業が増えつつある。
労働者が「賃上げ要望」を一斉にできるように、政府がいかに後押しするかが鍵となるみたい。
ーーーーーーー一以下、抜書きーーーーーーーー
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これまでの2年超にわたるパンデミック下での人々の経済行動を分析した研究が、さまざまな研究者から発表されています。それらが共通して指摘する大事なポイントは、ウイルスとの闘いにおいて、世界中の誰もが同じ行動をとってきたということです。ステイホームはその最たるものです。そして、経済再開の局面において労働者や消費者に見られる行動変容も、同様のことが言えます。この大きな特徴を言い表すキーワードが、「同期」です。
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実際には、Fedだけでなく世界各国の中央銀行が一様に後手にまわりました。そうこうしているうちにロシアがウクライナに侵攻し、世界の中央銀行は、おっとり刀で金融引き締めを行わざるを得なくなったのです。そのような事態になってしまった理由は、ふたつあります。ひとつは先ほど述べた、中央銀行の「気のゆるみ」と「過信」です。物価の問題はすでに低インフレに移行しており、高インフレはもう起こらないし、起こったとしても利上げで制圧できる、という思い込みがありました。そしてもうひとつは、研究者や中央銀行がインフレを予測する分析道具として頼りにしてきた「フィリップス曲線」が役に立たなくなったことです。
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実は、賃金が上がらない原因は、物価が上がらないことにあります。企業は、自分の売る商品の価格を上げられないので、賃金を上げてしまうと経営が成り立ちません。一方、労働者であり消費者でもある私たちにとっては、賃金が上がらない以上、価格も据え置きでないと生活が成り立ちません。このような双方の要望を満たすギリギリの妥協点として、賃金も物価もともに据え置きという状態を日本は選択してきました。この状態はそれなりに居心地がよく、だからこそ四半世紀の長きにわたってそれが続いているとも言えるでしょう。しかし、海外からインフレの波が日本にも及び物価が上昇を始めた今、この絶妙のバランスが崩れつつあります。物価は上昇、賃金は据え置きという、誰が考えても不幸な状態に突入するのか、それとも、物価も賃金も安定的なペースで毎年上昇する健全な経済へと移行するのか、日本はいま分かれ道に立っているのです。
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対照的な対策をとったスウェーデンとデンマークでしたが、結果として経済被害に大きな差は出ませんでした。国民の自主性にまかせて緩い行動規制にとどめたスウェーデンでも、厳しいロックダウンを行ったデンマークと近い割合でGDPが減少しました。これらの事実は、政府の介入の強さと経済被害の規模には関係がないことを如実に示しています。
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ここで重要なのは、ニュースを見て行動を変化させた一人ひとりには、直接の健康被害が起きていないことです。また、行動を変化させたのは政府に命令されたからでもありません。感染に関する「情報」を受け取って、人々は自主的に行動を変えました。つまり、情報が経済被害を生み出したのです。この「情報主犯説」こそが、パンデミックによる経済被害について、私が最終的にたどり着いた仮説です。
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賃金の面で日本が模範とすべきは、イタリアやベルギーのような国々です。つまり、実質賃金の伸び率は低いが名目賃金の伸び率は決して低くない、そういった状態を目指すべきなのです。もちろん欲を言えば、実質賃金も名目賃金もしっかり伸びている国、たとえばスウェーデンのような国を目指したいところですが、それには生産性の上昇が不可欠で、その実現には構造改革など時間をかけた取り組みが必要です。その努力を怠るべきでないことは言うまでもありませんが、その一歩手前の目標として、イタリアやベルギーを目指してはどうか、というのが私の提案です。 -
Posted by ブクログ
コロナ後に起きたインフレの原因は何か?を論じた本。
インフレは需要が供給を上回った時に発生する。コロナ後のインフレは、労働者が職場に戻らず供給が減ったことが原因と推察している。
インフレを含めた物価の安定は中央銀行が金利操作で行っているが、これは需要調整に有効だが供給能力には影響しない。そのため足元実施している金利上昇は、コロナで減ってしまった供給力まで需要を減らす縮小均衡によってインフレ解消を目指す動きとのこと。これは景気後退につながる。しかし他に手段がないため止むを得ず実施しているとのこと。
景気後退が見込まれるなら、手持ちの株は売ってしまった方が良いのかな?と思いました。 -
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前作の「物価とはなにか」も大変面白くタメになった本であったが、こちらは今世界で起こっているインフレの解説と、本作発売時(昨年秋)の日本のデフレ状態から、どのように脱却するかの処方箋がより分かりやすく解説されている。
本作では、今回の世界的インフレが需要過多でなく供給不足にある新しい形である事が、その対策を難しくさせている事を指摘している。このくだりは中々説得力があり、これゆえに米欧のインフレは収束に手間取る可能性が高いのかもしれない。
今現在TMFを多少買っている私は損切りも検討しないといけないかもしれない。昨年秋発売時にすぐ読んでいればよかった・・泣き
日本だけインフレがおきない状態からの脱却として、「物価賃金スパイラル」のモデルを通してその脱却法を本書では示している。上手くいくかどうかは私には判断できない。
ただ、この本が発売されてからほぼ一年。日本もすでにインフレ状態になっているのは間違いないように感じている。日銀は頑なにまだ2%のインフレが定着してないように言っているが、生活者の実感としては少なくとも1割は上がっているように感じる。
異次元緩和の副作用で、インフレになった時には金利の調整でインフレを抑えられない日本はどうするのでしょう。 -
Posted by ブクログ
著者がこの本の一年後に書いた本「世界インフレの謎」を先に読み、今この本に追いついた。先日受けたセミナーで、参考書の1つとして取り上げられていた。物価だけではなく経済学全体について理解を深められる本。世界インフレの謎に比べるとぐっと難し目の記述だけれど、学者が一般人の目線に頑張って合わせて書いてくれているのがよく分かる。物価の蚊柱理論は目からウロコ。
知性が集める経済学界も、まだ理解しきれていない問題がふんだんにあり、中央銀行含めトライアンドエラーを継続している状態。例えば、中央銀行が政策内容をオープンにして市場と積極的にコミュニケーション始めたのは1990年代からとごく最近。それ以前は何を考えているのか、その行動から推し量るしかなかった。そして、最終的には中央銀行の動向に対して世間が無関心になっても経済がきれいに回るのが理想的なのだと。とすれば、今はまだまだか。
東大発ベンチャーとして物価情報を市場提供しているナウキャスト社は、有望な投資先として親会社Finatext HDを見ていた。何処かで聞いた話だなと思って四季報見たら渡辺先生の名前が出ていてなるほど。世の中は面白い。