渡辺努のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今読むべき良書。わかりやすく、新書ながら学びも多い。
パンデミックによる消費者・労働者・企業の3つの行動変容が世界インフレの原因という解明が前半。
後半はデフレの続く日本経済の現状と処方。デフレ脱却は、消費者の物価上昇予想と労働者の賃上げがポイントと説く。安倍政権のトリクルダウン理論への言及もわかりやすい。(賃金解凍スパイラルの回転方向が逆だったので、デフレ脱却のスパイラルが起きなかった)
この本の出た2022/10時点では物価上昇の気配は出始めたが、賃上げ動向は不明だった。2023春は物価上昇は大勢となり、春闘も賃上げの流れとなり、著者の説だと日本もついにデフレ脱却へのスパイラルが始まるは -
Posted by ブクログ
◯巨額の債務があるにもかかわらず、貨幣の魅力が決済サービスのみに由来するという伝統的な考え方に固執しているという点で、日本とブラジルは同じ間違いを犯している(34p)
◯Xが低すぎる場合には、臨界点を超えると対応不能であり、その予想を潰せません。この意味で、中央銀行が物価をコントロールする能力は、インフレとデフレで非対称なのです。(112p)
◯価格据え置きの常態化は、現場の技術者から前向きな商品開発に取り組む機会を奪うというかたちで、社会に歪みを生んでいるのです。(283p)
◯緩やかな物価下落は、日本企業から価格支配力を着実に奪っていくこととなりました。(287p)
★語り口が丁寧 -
購入済み
デフレの時代が終焉し、インフレの時代になるとの説明です。経済学の知見がなくても、解り易い説明ですが、やはりある程度の経済学の知見がある方が理解が進むと思いました。
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Posted by ブクログ
・コロナ禍の経済への影響は震災(天災→設備ダメージ→供給ショック)ともスペイン風邪(死者莫大→労働力ダメージ→供給ショック)とも似ていない
・ウクライナ戦争はインフレの追加要因ではあれど、唯一の要因ではない。肝は①サービス→モノへの需要シフト(コロナ禍まで逆だったのでモノに設備投資してこなかった)②労働力のステイホームによる供給力不足③脱グローバル化
・中央銀行は需要過多から来るインフレへの対策は持っている(金融引き締め)が、供給不足から来るインフレへの対策は持っていない。需要過多の時と同様金融引き締めして需要を下げ供給と合わせるしかない(→縮小均衡)
・欧米諸国は急性インフレにだけ対処すれば -
Posted by ブクログ
経済学全くの初心者でもスラスラ読めました。
丁寧すぎるほど解説してくれています。
-----感想-----
物価がどう変化するのかを、具体的に順序立てて解説してくれて、本当に分かりやすかった。
基本的な経済の知識はもちろん、日本と世界各国の対比、日本の現状、政府の政策の結果など、とても勉強になった。
気にならずに生活してたことが、よく見えるようになったと思う。
経済は本当に読むのが難しい、練りに練った政策も予定通りにいかないものだなーと思った。筆者の、「人が作り出したものは完璧じゃない」というのが頷ける。
ある程度の知識が入ったおかげで、日々の経済ニュースに関心を向けることができそう -
Posted by ブクログ
ネタバレまとめメモ
自分が生きてきた間、日本はずっと物価も賃金も据え置きの「慢性デフレ」状態にあった。
日本人はこの環境に慣れ、「価格を据え置くこと」が常識になり、値上げがあると批判が起こる社会になっていた。
しかしコロナや戦争といった外的ショックによって、人々の意識が少しずつ変化し、「物価が上がるのは仕方ない」という認識が広まりつつある。
この変化を契機に、物価・賃金・金利の正常化が進めば、適度なインフレ=健全な経済成長へとつながる。
政府や日銀の政策だけではなく、「物価の正常化」を支えるのは消費者自身であり、社会全体が自意識をもつことが重要。
経済を動かすのは数値ではなく、人々の「予想 -
Posted by ブクログ
パンデミック後の世界的なインフレ発生の要因に関する著者の探求の過程がわかりやすく語られている。またそれを入口にして、物価に関して蓄積されてきた学問的な知見について紹介されている。金融政策において、需要過熱によるインフレには打つ手があるが、供給不全によるインフレやデフレにはほぼ打つ手がないこと。物価について考えるには、モノ・サービス・労働力(賃金)それぞれの需要と供給について見ていく必要があること。近年、インフレの行方を左右するのは、その時代および社会において支配的な「インフレ予想」がどのようなものであるかということ。日本では、失われた30年の間「インフレ予想」とそれが「自己実現」した結果として
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Posted by ブクログ
分かりやすい本、という感想を見たのだけれど、前提知識がなさすぎる自分には、正直難しかった。
日本のゆるやかなデフレの話は、実感もあって面白かったかも。
→デフレが定着すると、少しの値上げでも顧客が逃げてしまうのではと企業は恐れ、原価が上昇しても価格に転嫁できない状況。企業は前に進む力を失い、行き着く先はコストカット、後ろ向きの経営。
新商品(世代交代)の値戻し、ステルス値上げといった変則的な値上げが生まれている。
この本が書かれたのが2022年で、今は、その時よりは値上げが行われているような気もするけれど、今はインフレなのだろうか。
物価の動きには、人々の予測とノルムが関係してくるという