渡辺努のレビュー一覧

  • 物価とは何か

    Posted by ブクログ

    ​昨今、なにかと「物価」が話題だ。しかし、そもそも物価とは何なのか、どう決まるのか。デフレやインフレは具体的に何が悪いのか。分からないことだらけである。
    そんな疑問を解消するため、本書を手に取った。

    ​本書は、「物価は『蚊柱』である」という例え話から始まる。
    商品一つ一つの値動きはバラバラだが、遠目に見るとひとつの塊としての動きが見えてくる。個別の動きには理由がつけられても、全体としての「物価」の動きを説明するのは非常に難しい。この「蚊柱」の比喩は、物価の掴みどころのなさを実によく表している。

    ​本書を通じて理解できたのは、インフレ以上にデフレへの警戒が必要だという点だ。
    デフレはインフレ

    0
    2025年11月21日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    日本の物価は30年上がらなかったという特異な状況がなぜ起こったのか?について、考察されており、大変参考になりました。

    日本でデフレがこんなにも長くなったのは、みんなが物価は上がらない!と信じたからという根拠は、とても面白かったです。まさにそうだと思いました。

    「近年、物の値段が上がり、生活が大変だー!」ということだけが強く言われますが、賃金上昇が伴えば、物価上昇等は悪いことではなく、正常な状態に戻っているんですよー!と書かれており、全くその通りだと思いました。

    インフレになると現金の価値が下がるなど色々な変化があり、各自で対策は必要だと思いますが、経済が活性化していくことは、決して悪いこ

    0
    2025年11月09日
  • 世界インフレの謎

    Posted by ブクログ

    インフレやデフレの仕組みが今までよく分かっていなかったが、内容が分かりやすく初めて経済って面白いなと思った。いつものスーパーで野菜の値段が高くなってたら別のスーパーに……とか結構どこの家庭もやってることだと思うけど、日本特有だったことにびっくりした。

    0
    2025年11月01日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    ・経済学初心者だけれど、組立や1つ1つの説明がとても分かりやすいお陰で読みやすかった。経済学の面白さが分かった。
    ・最近どんどん物の価格上がってくな…と物価上昇に関してネガティブな印象しかなかったけれど、物価増→賃金増の健康なインフレに転換する、慢性デフレ脱却のための第一歩だと分かると受け止められる。
    ・最低賃金制度、独禁法、下請法等がインフレデフレの管理ツールだという見方さえ理解していなかったから目から鱗でなるほどと思った。

    0
    2025年09月21日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    経済学素人の私には、難しいところもあったが、大半はわかりやすく、最後まで読み切った時には、もっと経済のことを知りたいと思える本だった。

    日本人の自粛文化が、失われた30年を作ってしまったのか〜と思うと、ザ日本人の性格を持ち合わせている私からすると、なんとも言えない気持ちである。

    0
    2025年09月20日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    渡邊努書籍3作目。『物価とは何か』の衝撃からもう著者の一般書は追っかける習慣となっている。

    今回は今まさに直面している日本インフレ化を紐解く。
    人生まるっとデフレで過ごしてきた私としては、今まで経験したことのない局面で期待と不安が入り混じる。そんな私に本書は今後の道筋と予測を丁寧に解説してくれる。

    しかし、「97年労使密約」とか2002年「トヨタ・ショック」による賃金据え置きは今から振り返ると愚策であるが、当時は真っ当な議論だったのだろう。でも、もう少しインフレ基調に舵を切れなかったもんかねと訝しむ。
    なぜ慢性デフレがここまで長期化したか。その理由も本書には書かれている。

    一番心に刺さっ

    0
    2025年09月14日
  • 物価とは何か

    Posted by ブクログ

    「物価とは蚊柱である」。この概念を元に読み進めることで、物価という身近でありながら具体的にはよくわからないものについて初心者でもわかりやすく理解できる。特に物価が人々の予想に基づくことで、自己実現的に変動するというのは、集団における部分と全体の非結合性を表していると感じた。

    0
    2025年09月10日
  • 世界インフレの謎

    Posted by ブクログ

    コロナ禍-2022年ごろまでの経済趨勢をを分析する。
    過去のことであるが故に、肌感覚で感じていた日本の物価高と賃金据え置きという現象の理由が、解き明かされた。

    当時のインフレは供給不足にあり、この問題に直接対策する術を中央銀行は持ってないという事実に衝撃。あくまで、需要調整を目的とした政策金利の上下なんだな。

    名著と名高い『物価とはなにか』でも述べていたインフレの根本原因は、国民のインフレ予想という主張も改めて学ぶ。経済って血の通ってない機会的な操作に終始すると思ってたら、人間の感情に左右されるんだという意外性は、驚きである。

    あとは今回も文章の構成が秀逸。名探偵が「謎」を解き明かすため

    0
    2025年06月28日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    前著で「ノルム」という用語が登場しましたが、それは渡辺先生が海外の研究者への説明に苦労してひねり出した用語であることが本書で明かされました。
    「ノルム」は、特定の界隈でバズワードのようになっており、私も経済現象を「ノルム」でうまく説明できると思っていたのですが、はしごを外された思いです(苦笑)。
    本書の終盤では、日銀券(現金ですね)に付利し、場合によってはマイナス金利をつけることによって、デフレ・インフレをコントロールするアイディアが語られます。
    現金の名目的な価値は変動しない、というのは、それこそ「ノルム」のようになっていると思いますので、実現までのハードルは高いと思いますが、「ノルム」も不

    0
    2025年06月01日
  • 物価とは何か

    Posted by ブクログ

    経済に関するトピックをただ聞き流すだけの日々が、なぜこうなっているのか、これからどうなっていくのか、そのために何を今するべきなのかな、を考えられるような日々に変えられそう

    0
    2025年04月28日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    噛んで含めるように物価の考え方を説明してくれる。読んでいる間はなんとかついていきたいと思って読んでいるけど後になるとわからなくなることが多いなあ。
    2025年4月現在世界を混乱に落とし込んでいるアメリカの関税はどんなメカニズムで物価に長期的な影響をあたえるんだろう。
    丁寧に読み直したい。

    0
    2025年04月13日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    デフレと日銀の緩和政策の振り返りがメイン。長年続いたデフレの原因の一つとして、コロナ下での自粛と自粛の解消に時間がかかってしまったことを例に挙げ賃上げ自粛、値上げ自粛などの日本の強いノルムを挙げている。

    ところでノルムってなんだろ。
    あと賃上げ、値上げが当たり前になって強いノルムとなってしまうと、そのうちまた世界一の物価と賃金の国になりそう。

    0
    2025年02月24日
  • 世界インフレの謎

    Posted by ブクログ

    「物価とは何か」をゆる言語学ラジオで紹介していたところから、本書にたどり着いた。

    現在の物価上昇の背景、日本特有の賃金・物価事情についてかなりテンポ良く知ることができた。

    物価が上がれば金融引き締め、教科書的な理解でこれまで生きてきたが、物価上昇には需要ベースと供給ベースとがあり、今回は供給ベース(それも、要素として3つ、消費者(労働者)、企業、サプライチェーンの変容に起因)が原因となっているというのは、大変興味深く、驚きはあったものの理解は実態に合っており、スラスラと読み進められた。

    日本の労働市場、物価に関しては、エネルギーを筆頭に上昇していて、物価凍結の壁は破られている?かと思う。

    0
    2025年02月16日
  • 物価とは何か

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    物価は、蚊ばしらである。世の中に何十万と存在する個別の商品それぞれが、一匹一匹の蚊に相当する。インフレを起こす仕組みとして、まず物価がX%の率で上がると皆が予想し、その予想を踏まえて企業や店舗が値札を書き換える、その結果実際にその率Xで物価が上がる、というメカニズムが考えられる。国民に働きかける中央銀行の行為の98%はトークである。人々の予測に働きかけるわけである。貨幣量を増やすと一時的に失業率は減少するが、しばらくすると貨幣量の増加をインフレ予想に織り込むことが完了し、失業率の押し下げ効果がなくなり、失業率は元の水準にもどる。
    日本は物価が上がらない状態がかれこれ30年続いている。人々のイン

    0
    2025年02月01日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    人生の大半を「失われた30年」と言われるデフレ社会(ノルム)の中で生きてきて、価格は据え置かれることが当たり前という肌感覚が染み付いていた。

    コロナ禍やウクライナ侵攻等の劇薬の副作用なのか。消費者・労働者・企業・政府・日銀等、各プレーヤーのマインドが変化し、「正常」な「賃金・物価スパイラル」がとうとう起動し、インフレが到来しようとしている。日銀による数多の異形の金融政策(バズーカ砲)をもってしてもことごとく空砲に終わっていたのに。

    現在(2024.12.31時点)日本社会に起きていることは、途轍もなく劇的な変化だと感じる。
    アタマと心に染み付いたデフレマインドをリセットし、緩やかなインフレ

    0
    2025年01月01日
  • 物価を考える デフレの謎、インフレの謎

    Posted by ブクログ

    2016年以降の国債の実質価格の急上昇がデフレ脱却できなかった大きな理由の一つ。
    なぜ国債価格の急上昇が起こったのか。
    ①物価の上昇が止まってしまったため。
    ②国債の名目価格が上昇したため。
    なぜこの二つが起きたのか
    2016年はマイナス金利政策を始めた。
    国債金利がマイナスになるということは、政府に利得が発生し、その利得によって財政収支が改善することで国債の魅力が高まる。
    その結果、国債から商品への需要シフトがとまり、資金が再び国債へと向かうようになったため、国債実質価格が急上昇した。
    ではどうすればよかったのか。
    シムズいわく日銀のマイナス金利は間違っていない。
    マイナス金利によって発生す

    0
    2024年12月28日
  • 世界インフレの謎

    Posted by ブクログ

    日本経済の長期のデフレについて、消費者目線では価格の据置を前提として賃金の上昇を我慢し、企業目線では賃金の据置を前提に価格への転嫁を控える、という点に原因を見出し、今がデフレにとどまるか脱却するかの分かれ目であり、ゆるやかなインフレ予想とその状態に対応した行動、つまり消費者が物価上昇を受け入れ企業は賃金を上昇させるということを日本人が受け入れられるかどうか、という点にその判断を委ねています。
    その意味では、デフレから抜け出すためには心理の変化も大いに必要なのかと。

    0
    2024年09月18日
  • 世界インフレの謎

    Posted by ブクログ

    勉強になりました。人々が歴史的にどう戦ってきたのかがよく分かりました。今の政府(岸田、茂木、河野)と日銀(黒田)あとトランプが経済的にどれだけ酷いかが分かります。

    0
    2024年08月18日
  • 世界インフレの謎

    Posted by ブクログ

    現在(2023年)、世界で起こっているインフレの解説書。数式はほぼなく、読みやすく、分かりやすい。著者の仮説(パンデミック→消費者・労働者の行動変容、グローバル供給網に隘路が発生→経済全体の需給が釣り合わない→世界インフレ)は、合理的であり腑に落ちた。

    0
    2024年06月08日
  • 物価とは何か

    Posted by ブクログ

    2023/04/24 読み終わった
    ゆる言語学ラジオで紹介されていたので。

    タイトルからがっぷり四つの迫力ある本だけど、中身はもっと骨太だった。高校程度の経済知識しか持っていなかった自分には目からウロコだった。

    中でも一番面白かったのは、中央銀行総裁は嘘つきが一番いいというくだり。

    情報公開なんてしたらしただけいいだろうと思っていたが、昔の中央銀行はそうではなかったということや、現在中央銀行が情報公開を積極的に行っている理由が単に公平性の観点ではないということ、この辺りが心に残った。

    きちんと読み込まないと理解が追いつかない部分もあった。何度も読んで理解したい。

    0
    2024年06月07日