渡辺努のレビュー一覧
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前作の「物価とはなにか」も大変面白くタメになった本であったが、こちらは今世界で起こっているインフレの解説と、本作発売時(昨年秋)の日本のデフレ状態から、どのように脱却するかの処方箋がより分かりやすく解説されている。
本作では、今回の世界的インフレが需要過多でなく供給不足にある新しい形である事が、その対策を難しくさせている事を指摘している。このくだりは中々説得力があり、これゆえに米欧のインフレは収束に手間取る可能性が高いのかもしれない。
今現在TMFを多少買っている私は損切りも検討しないといけないかもしれない。昨年秋発売時にすぐ読んでいればよかった・・泣き
日本だけインフレがおきない状態か -
Posted by ブクログ
著者がこの本の一年後に書いた本「世界インフレの謎」を先に読み、今この本に追いついた。先日受けたセミナーで、参考書の1つとして取り上げられていた。物価だけではなく経済学全体について理解を深められる本。世界インフレの謎に比べるとぐっと難し目の記述だけれど、学者が一般人の目線に頑張って合わせて書いてくれているのがよく分かる。物価の蚊柱理論は目からウロコ。
知性が集める経済学界も、まだ理解しきれていない問題がふんだんにあり、中央銀行含めトライアンドエラーを継続している状態。例えば、中央銀行が政策内容をオープンにして市場と積極的にコミュニケーション始めたのは1990年代からとごく最近。それ以前は何を考 -
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まさに「物価とは何か」に対して、日銀、大学教授、民間企業でのエコノミスト等のキャリアをバックに解説。
経済の勉強などしたことがない自分にとっては、難しくついて行けない部分があったにせよ、物価変動のメカニズム、インフレとデフレはどちらが厄介な問題か、日本の長過ぎるデフレの原因や特徴、そしてどんな解決策が考えられるか等、とても勉強になった。
以下はなるほどと思った一部。
個々の商品の価格の変動は、物価の動きとは別物で、インフレ・デフレは個々の商品の値段が上がったり下がったりするから起こる、というものではない。
物価の動きを決めているのは、貨幣への需要と、その背後にある貨幣の魅力。だから、なぜイン -
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返却期限がきたので大事なあと2章を残して返却
最近インフレとかコストアップインフレとか
やたらと使いたがる
そんな物価とは何なのかを
かなり丁寧に教えてくれる良書
安倍政権の時の3本の矢が何故
うまくいかなかったのか
よく消費税だと言われているが
政府の財政支出がもっと必要だった事がなんとなく
理解できた
何で賃金が上がらないのか
能力がないからでしょ
やっている仕事に成長力が無いからでしょ
って思っていたが間違いだったことを教えて頂いた
勉強の本なのでワクワクしながら読むことは
なかなか出来ないが良書であることは間違いない
とりあえず再度予約した
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Posted by ブクログ
コロナ感染後、ウクライナ戦争開始の時期に書かれたので若干古いところはあるが、インフレとデフレについてわかりやすく解説されている。
印象的なのは、経済というものがいかに人々の心理要因によって左右されるかということ。
今後、物価は上がるのか、景気は良くなるのかという予想が行動に反映し、経済を動かす。
バブル崩壊後、物価も賃金も上がらない、景気は良くならないという予想のもとに動いてきたのが日本経済であり、その停滞を招いたというのはなるほどと思わせる。
そうだとすれば、経済は自由放任ではなく、政府によるコントロールが有効であり、必要でもあるということとなる。
もう一つの感想は、これでは経済学が物理学の -
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ネタバレ物価賃金の据え置きは1990年代後半から始まった。
消費者の信念=物の値段は上がらない、と、円高で日本の給料は高い、が悪循環の始まり。コンフリクトインフレーションの逆。喧嘩両成敗の考え方。
一過性の輸入物価の値上がりが向上的な物価上昇に繋がらなかった。
低賃金の中国に対抗するには、賃金を据え置くべき、労組は賃上げを要求せず、物価も上昇せず、というスパイラルに入った。
パンデミック以前は、サービス経済化が進んでいた。パンデミックでサービスの購入が控えられた。その結果、サービスが過剰でモノが不足する状態。
サプライチェーンの混乱で、脱グローバル化が進展。インフレの要因となる。
しかし、1970年 -
Posted by ブクログ
本書の紹介文に「学者も中央銀行も読み間違えた!」とあるように、経済理論はギャンブル要素が多い。
地震、台風、洪水などの自然災害や、パンデミック、戦争などが起きる時期や規模や影響度など予測できない。
ここ数年間の世界的インフレについては、今まで頼りにしていた経済理論では説明できないらしい。
そこで、なぞの要因"ファクターⅩ"を見つけようとしたのが本書の内容みたいだ。
経済活動なんて、人の気分次第で変動するもの。
行動経済学が注目されているように、人間の欲望や思考の癖が大きく経済活動に関係していると思う。
今のインフレは、パンデミックと戦争が供給網の寸断を招いた結果のものだ