渡辺努のレビュー一覧
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購入済み
デフレの時代が終焉し、インフレの時代になるとの説明です。経済学の知見がなくても、解り易い説明ですが、やはりある程度の経済学の知見がある方が理解が進むと思いました。
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Posted by ブクログ
・コロナ禍の経済への影響は震災(天災→設備ダメージ→供給ショック)ともスペイン風邪(死者莫大→労働力ダメージ→供給ショック)とも似ていない
・ウクライナ戦争はインフレの追加要因ではあれど、唯一の要因ではない。肝は①サービス→モノへの需要シフト(コロナ禍まで逆だったのでモノに設備投資してこなかった)②労働力のステイホームによる供給力不足③脱グローバル化
・中央銀行は需要過多から来るインフレへの対策は持っている(金融引き締め)が、供給不足から来るインフレへの対策は持っていない。需要過多の時と同様金融引き締めして需要を下げ供給と合わせるしかない(→縮小均衡)
・欧米諸国は急性インフレにだけ対処すればいいが、日本は慢性デフレも大きな課題として残っているので、対応が難しい
・外的要因=コロナを機に、硬直している物価と賃金のサイクルを回すべき。しかし逆回転=先に物価を上げるはだめ。余剰資金を賃金に還元するとは限らないから。消費者のインフレ予想を形成し賃上げを先に起こす必要がある。 -
Posted by ブクログ
経済学全くの初心者でもスラスラ読めました。
丁寧すぎるほど解説してくれています。
-----感想-----
物価がどう変化するのかを、具体的に順序立てて解説してくれて、本当に分かりやすかった。
基本的な経済の知識はもちろん、日本と世界各国の対比、日本の現状、政府の政策の結果など、とても勉強になった。
気にならずに生活してたことが、よく見えるようになったと思う。
経済は本当に読むのが難しい、練りに練った政策も予定通りにいかないものだなーと思った。筆者の、「人が作り出したものは完璧じゃない」というのが頷ける。
ある程度の知識が入ったおかげで、日々の経済ニュースに関心を向けることができそう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまとめメモ
自分が生きてきた間、日本はずっと物価も賃金も据え置きの「慢性デフレ」状態にあった。
日本人はこの環境に慣れ、「価格を据え置くこと」が常識になり、値上げがあると批判が起こる社会になっていた。
しかしコロナや戦争といった外的ショックによって、人々の意識が少しずつ変化し、「物価が上がるのは仕方ない」という認識が広まりつつある。
この変化を契機に、物価・賃金・金利の正常化が進めば、適度なインフレ=健全な経済成長へとつながる。
政府や日銀の政策だけではなく、「物価の正常化」を支えるのは消費者自身であり、社会全体が自意識をもつことが重要。
経済を動かすのは数値ではなく、人々の「予想」や「ノルム(社会的規範)」である。日本では自粛や同調圧力が、無意識のうちに価格を抑える方向に働いてきた。
インフレ率2%の目標とは、単に物価を上げることではなく、努力や生産性の差といった「良いバラツキ」を認め、社会全体の活力を取り戻すための設定である。
異次元緩和の失敗を教訓に、政府は賃上げ政策を、日銀は金利政策を、それぞれマネーの量ではなく質に注目して設計する必要がある。 -
Posted by ブクログ
パンデミック後の世界的なインフレ発生の要因に関する著者の探求の過程がわかりやすく語られている。またそれを入口にして、物価に関して蓄積されてきた学問的な知見について紹介されている。金融政策において、需要過熱によるインフレには打つ手があるが、供給不全によるインフレやデフレにはほぼ打つ手がないこと。物価について考えるには、モノ・サービス・労働力(賃金)それぞれの需要と供給について見ていく必要があること。近年、インフレの行方を左右するのは、その時代および社会において支配的な「インフレ予想」がどのようなものであるかということ。日本では、失われた30年の間「インフレ予想」とそれが「自己実現」した結果としてデフレが続いたこと。その流れを変えたのがパンデミックであったこと。など、色々勉強になった。特に、日本の近年の物価状況について分析(第4章)が面白かった。渡辺チャートにもとづく利上げ・利下げの評価のあたりとか。
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Posted by ブクログ
分かりやすい本、という感想を見たのだけれど、前提知識がなさすぎる自分には、正直難しかった。
日本のゆるやかなデフレの話は、実感もあって面白かったかも。
→デフレが定着すると、少しの値上げでも顧客が逃げてしまうのではと企業は恐れ、原価が上昇しても価格に転嫁できない状況。企業は前に進む力を失い、行き着く先はコストカット、後ろ向きの経営。
新商品(世代交代)の値戻し、ステルス値上げといった変則的な値上げが生まれている。
この本が書かれたのが2022年で、今は、その時よりは値上げが行われているような気もするけれど、今はインフレなのだろうか。
物価の動きには、人々の予測とノルムが関係してくるという。この本には書かれていなかったけれど、メディアの影響も大きいのかな、と思ったり。
以下メモ
・2020年代初頭の菅政権は、携帯電話料金の値下げ施策に力を注ぎましたが、そのときにも、新聞等の解説では、この施策の結果CPI(消費者物価指数)が下がるという説明がされていました。
ただでさえデフレなのに、携帯電話料金の値下げでデフレを加速させるとは何事かという批判の声もありました。しかしこれは典型的な「会計理論」による誤謬で短絡的にすぎます。
携帯電話料金が下がれば、各家庭にその分だけ余裕が出てそれが消費行動の変化につながるのに、こうした時間の経過とともにゆっくり表れる効果を無視しているのです。
・時間の価値は人それぞれで、大きな格差があります。時間の価値の差が、その時間分働いて稼ぐことができる金額によって決まるとすれば、その差が大きくなるのは、現役世代とリタイア世代の間です。リタイア世代は現役世代よりも熱心に広告を見る。だから特売価格で購買できる、となるはずです。
米国の調査では、年齢が高くなるに連れて購買価格が下がっており、米国のリタイア世代は特売の情報収集に余念がなく、だから安い買い物ができる。
一方日本では、50歳を超すと購買価格が上がっているのです。
なぜ米国と異なるのかについて、いまのところ正確な理由は分かっていません。
・「景気は気から」と言われることがあります。
企業経営者や消費者が、景気は良いと思って強気で行動すれば、結果として景気が良くなる。つまり景気を決めているのは人々の気の持ちようという意味です。
これを、人々の「予想」の揺れと表現します。景気と同様に物価についても、上がるにせよ下がるにせよ、人々の予想次第です。
以下は、雑なまとめ
・賃金上昇率(インフレ率)が上がると失業率が下がる。負の相関がある。
しかし、失業率が上がるときにインフレ率も上がる場合(負の相関がない)がある。
→インフレ率は失業率以外に、インフレ予想にも左右される。
ではどのように、金融緩和をして失業率をさげて、インフレ予想をコントロールするのか。
金融政策が人々の予想に働きかけるための98%は「トーク」
金融政策として、金融緩和を行うとアナウンスするかどうかと、実際に行うかどうかがインフレ予想に影響する。
インフレかつ、失業率が変わらないという悪循環から逃れるためには、タカ派を銀行の総裁にする。
(失業率には無関心でとにかく低インフレを目指す人)
→中央銀行の独立性、政府と異なる価値基準で動けることが必要。
ゲーム理論:複数人が互いに影響しあいながら、意思決定を行う状況を数理モデルを使って分析する。
時間不整合の理論:アナウンス時点と実行時点で異なる選択をしている。
・インフレ予想はコントロールできるのか。
金融のプロの予想はコントロールできる。が、プロでない人の予想はコントロールできない。中央銀行の政策への無関心が理由。
今の課題→いかにして一般の消費者に中央銀行の声を届けるのか、いかにして予想をコントロールするのか。
合理的無関心(なぜ関心をもたないのか):人はどこにどれだけお金を使うのかと同時に、関心をどの話題にどれだけ振り向かせるのか決定している。自分の時間が有限であると認識したうえで、積極的に無関心になる。
・中央銀行への関心と物価上昇率の関係
物価の安定→中央銀行に関心が向かない。ただし、何かの外的要因(地震や感染症など)の時に、中央銀行のメッセージが全く届かなくなるのも問題。
物価の不安定→関心が向くと同時に、それが原因となって、企業経営や個人の生活が疎かになる。
・中央銀行への関心の程度はどのレベルが適切か?
→ナラティブ経済学:人を突き動かすのは数字で表現できるような情報でなく、単純で腹落ちするストーリー。
・時代体験が予想を変える。これまでの人生でどのようなインフレ経験をしてきたか、個人のインフレ予想に影響を与える。
→インフレを知らない子供たちのいる国、日本。
・バブルの謎
バブル時、不動産や株の価格は急上昇したが、「物価」は動かなかった。バブルがはじけたときも同様。
・価格の硬直性→メニューコスト仮説
この仮説は実際の現場では支持されない。
→情報制約仮説:値段を変更しようとすると、新たな情報を仕入れねばならず、その手間は小さくない。
・説明できない価格の動き
①マクロの価格硬直性(価格の反応速度):貨幣が10%増えたとして、すべての商品の価格がその変化をおりこみ、10%あがるまでの時間
②価格更新からの時間が経過するにしたがって、直近の価格の更新頻度が小さくなる。
→商品同士の相互作用という視点がない
振り子時計の同期(全体が部分の総和でない例え)
振り子時計を壁に2つ並べて掛けて放置すると、最初はお互いばらばらに動くが、やがて左右対称になり同期が生まれる。
これは、2つの時計が設置されている板により振動が伝わり同期を引き起こす。
振り子時計は細かな部品の組み合わせでできた、まさに全体が部分の総和。ただ、2つの時計が横板でつながっているという新しいシステムの理解をするときは相互作用の意識が必要。
・日本のデフレの特徴→慢性的な緩やかなデフレ
物価が全般的に上がっている社会では値上げが受け入れられる。(消費者は価格が上がっても、その店で購入する)
上がっていない社会では、受け入れられない。(消費者は、値段が上がっていたら、他の店に行く)
みんなが一斉に値上げする必要。
目指すべき物価安定とは何か
→経済主体が意志決定を行うにあたり、将来の一般物価水準の変動を気にかけなくてもよい状態。 -
Posted by ブクログ
面白いと世評高い本。物価という難問を数式なしにわかりやすい説明に努めていることに感心した。
食料品の物価については貨幣の登場とともに政権の問題になってきたが、こんなにわかっていないことなのかと驚いた。
一言で言えば、みんなが上がると思うから上がる、上がらないと思えば上がらないという言葉に言い尽くされるのか。
そのために、中央銀行のメッセージなど苦心惨憺していることはわかるが、日銀のインフレターゲットは、そんなはずないよねと全く相手にされていないように思える。
それならば戦中にやったように、政府が直接物価に介入した方が効果的ではないか?
わからなかったのは、貨幣流通量や輸入品の値上がりなどの経済の実態と心理的なものの関係はどうなのか?
貨幣流通量が増えても心理が変わらなければ値上がりしない、ではその逆もあるのか?
最後はインフレもデフレもない社会とあるが、そこまでの書き振りは企業の活力のためにはある程度のインフレが必要ということではなかったか?
そもそもインフレもデフレもない社会って、どういう状態なのか?
前書でも書いたが、インフレとデフレは国民に等しく影響するのでなく、企業や勤労者、年金生活者では全然意味が異なる。
当然、それについての政策的観点があるべきと思うが、全く書かれてなかったのは残念。