あらすじ
なぜ日本だけデフレは慢性化したのか? なぜ慢性デフレは突然終わり、インフレが始まったのか? 異次元緩和はなぜ失敗したのか? そもそもインフレやデフレはなぜ「悪」なのか?
・日本の慢性デフレは現代経済学の大きな謎
・デフレとインフレの統一理論とは?
・カギを握る人びとのインフレ予想
・従来の経済学の常識が成り立たなくなった
・腕力から便乗へ。植田・日銀で大きく変化した政策手法
・日銀の政策金利は、2027年末には2%を超えるところに到達すると予測される
・日銀は人びとが望むだけマネーを供給すべき
多くの謎に包まれた日本のデフレとインフレ。従来の経済学の常識を超え、大胆な仮説で日本経済の謎を読み解く。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本の物価は30年上がらなかったという特異な状況がなぜ起こったのか?について、考察されており、大変参考になりました。
日本でデフレがこんなにも長くなったのは、みんなが物価は上がらない!と信じたからという根拠は、とても面白かったです。まさにそうだと思いました。
「近年、物の値段が上がり、生活が大変だー!」ということだけが強く言われますが、賃金上昇が伴えば、物価上昇等は悪いことではなく、正常な状態に戻っているんですよー!と書かれており、全くその通りだと思いました。
インフレになると現金の価値が下がるなど色々な変化があり、各自で対策は必要だと思いますが、経済が活性化していくことは、決して悪いことではないと思います。
現状維持の意識が高すぎ、変化を恐れると、景気が停滞するので、「安い日本のままがいい!」というのは、ちよっと違うかな思いました。
Posted by ブクログ
・経済学初心者だけれど、組立や1つ1つの説明がとても分かりやすいお陰で読みやすかった。経済学の面白さが分かった。
・最近どんどん物の価格上がってくな…と物価上昇に関してネガティブな印象しかなかったけれど、物価増→賃金増の健康なインフレに転換する、慢性デフレ脱却のための第一歩だと分かると受け止められる。
・最低賃金制度、独禁法、下請法等がインフレデフレの管理ツールだという見方さえ理解していなかったから目から鱗でなるほどと思った。
Posted by ブクログ
経済学素人の私には、難しいところもあったが、大半はわかりやすく、最後まで読み切った時には、もっと経済のことを知りたいと思える本だった。
日本人の自粛文化が、失われた30年を作ってしまったのか〜と思うと、ザ日本人の性格を持ち合わせている私からすると、なんとも言えない気持ちである。
Posted by ブクログ
渡邊努書籍3作目。『物価とは何か』の衝撃からもう著者の一般書は追っかける習慣となっている。
今回は今まさに直面している日本インフレ化を紐解く。
人生まるっとデフレで過ごしてきた私としては、今まで経験したことのない局面で期待と不安が入り混じる。そんな私に本書は今後の道筋と予測を丁寧に解説してくれる。
しかし、「97年労使密約」とか2002年「トヨタ・ショック」による賃金据え置きは今から振り返ると愚策であるが、当時は真っ当な議論だったのだろう。でも、もう少しインフレ基調に舵を切れなかったもんかねと訝しむ。
なぜ慢性デフレがここまで長期化したか。その理由も本書には書かれている。
一番心に刺さったキラーワードは慢性デフレ下における「ステルス賃上げ」。これ、社内でも幾人か見受けられるし何なら自分もどれだけ労働生産性高めても賃金一律だし、上手くさぼって業務こなてけばよいかってマインドに陥ることが多分にある。末路は競争力のない企業が横行する未来の無い社会。これが一番怖い。
過去の書籍と地続きになっているので未読の方はぜひ手に取って欲しい。(シリーズ物の小説な感じ)
しかし本書が著者現時点の最高到達点であるはずで、このエッセンスを感じるだけでも価値は高い。現在自分がまさに体験している経済動向のなぜ?を紐解きたいという方は、本書からでも!私は次回作が待ち遠しい。
Posted by ブクログ
前著で「ノルム」という用語が登場しましたが、それは渡辺先生が海外の研究者への説明に苦労してひねり出した用語であることが本書で明かされました。
「ノルム」は、特定の界隈でバズワードのようになっており、私も経済現象を「ノルム」でうまく説明できると思っていたのですが、はしごを外された思いです(苦笑)。
本書の終盤では、日銀券(現金ですね)に付利し、場合によってはマイナス金利をつけることによって、デフレ・インフレをコントロールするアイディアが語られます。
現金の名目的な価値は変動しない、というのは、それこそ「ノルム」のようになっていると思いますので、実現までのハードルは高いと思いますが、「ノルム」も不変ではありませんので、いつかは実現するのかもしれません。
その実現の鍵は、CBDB(中央銀行デジタル通貨)であり、本書でもCBDBに一定の資産的裏付けを持たせることが想定されていますが、暗号資産(仮想通貨)のように価値が乱高下することがないのかどうか、一抹の不安を覚えるところです。
Posted by ブクログ
噛んで含めるように物価の考え方を説明してくれる。読んでいる間はなんとかついていきたいと思って読んでいるけど後になるとわからなくなることが多いなあ。
2025年4月現在世界を混乱に落とし込んでいるアメリカの関税はどんなメカニズムで物価に長期的な影響をあたえるんだろう。
丁寧に読み直したい。
Posted by ブクログ
デフレと日銀の緩和政策の振り返りがメイン。長年続いたデフレの原因の一つとして、コロナ下での自粛と自粛の解消に時間がかかってしまったことを例に挙げ賃上げ自粛、値上げ自粛などの日本の強いノルムを挙げている。
ところでノルムってなんだろ。
あと賃上げ、値上げが当たり前になって強いノルムとなってしまうと、そのうちまた世界一の物価と賃金の国になりそう。
Posted by ブクログ
人生の大半を「失われた30年」と言われるデフレ社会(ノルム)の中で生きてきて、価格は据え置かれることが当たり前という肌感覚が染み付いていた。
コロナ禍やウクライナ侵攻等の劇薬の副作用なのか。消費者・労働者・企業・政府・日銀等、各プレーヤーのマインドが変化し、「正常」な「賃金・物価スパイラル」がとうとう起動し、インフレが到来しようとしている。日銀による数多の異形の金融政策(バズーカ砲)をもってしてもことごとく空砲に終わっていたのに。
現在(2024.12.31時点)日本社会に起きていることは、途轍もなく劇的な変化だと感じる。
アタマと心に染み付いたデフレマインドをリセットし、緩やかなインフレこそが正常とマインドセットした上、社会生活を送っていかなければならない。
我が国におけるデフレの経緯とメカニズム、インフレの「そもそも論」を分かりやすく腹落ちするまで具体的に解説してくれる本書は、まさに必読書です。
デフレの真のヤバさを喝破していたグリーンスパン氏の慧眼に言及されている。デフレの弊害は物価や賃金が上がらないという外形的な事象に留まらない。前向きなマインドが縮小しコストカットが支配的になること、活力が失われ、生産性向上やイノベーションの動機付けがなくなること。そのことに無自覚なままゆっくり蝕まれていくことが本当に恐ろしいこと。
こんな社会を当たり前のものとして違和感なく受容し、生きてきた「デフレ社会の申し子」である我々。
賃金・物価の緩やかな上昇が期待される中、日銀による金利の引き上げが行われ、経済が正常化するとしたら、思考の切り替えをベースに更なる前向きな努力が、生き抜いていくためにマストと感じる。
自分の中で日々なんとなくモヤモヤしていた要素が繋がり始めるような感覚を得られた。とても有意義な読書体験でした。
Posted by ブクログ
2016年以降の国債の実質価格の急上昇がデフレ脱却できなかった大きな理由の一つ。
なぜ国債価格の急上昇が起こったのか。
①物価の上昇が止まってしまったため。
②国債の名目価格が上昇したため。
なぜこの二つが起きたのか
2016年はマイナス金利政策を始めた。
国債金利がマイナスになるということは、政府に利得が発生し、その利得によって財政収支が改善することで国債の魅力が高まる。
その結果、国債から商品への需要シフトがとまり、資金が再び国債へと向かうようになったため、国債実質価格が急上昇した。
ではどうすればよかったのか。
シムズいわく日銀のマイナス金利は間違っていない。
マイナス金利によって発生する政府への所得移転を帳消しにする新たな財政支出や減税を実施し、財政収支の改善を止めるべきというのが彼の処方箋。
なぜインフレ率は0%ではなく2%を目指すのか。
①名目賃金の低下を受け入れるのに労働者が難色を示す、そのために名目賃金が下がりにくいから。(名目賃金の下方硬直性)
②名目金利がゼロより下には下がりにくいから。(金利のゼロ下限)
日本の価格の上昇率がゼロ近辺のもの(価格据え置きの品目)は1970〜1980年代にかけて高い時で約2割。1990年代の前半もまだ2割。
その後、1990年末から約5割近くの品目で価格据え置きが始まった。
賃上げの据え置きもこの頃から。
日本版デフレスパイラルさ1990年後半から。
その当時は日本の賃金がドル建てでみて世界1.2を争うほど高くなっていた。
このままでは輸出産業が中国企業に太刀打ちできなくなってしまうとの懸念から賃金の据え置きが必須との流れになった。
「総需要」=モノやサービスの「買い手」の意思決定を反映して決まるもの
「総供給」=「売り手」の意思決定を反映して決まるもの
テイラールール=中央銀行の政策金利は、経済が落ち着くべき地点(定常状態)に落ち着いている時には、自然利子率と中央銀行が目標とするインフレ率の和になる。
予測では政策金利は2027年の年末には2%に到達するとのこと。
中央銀行がマネーを増加させたときは(金融緩和した)マネー増加に伴って需要が増えるので、生産量はただちに上昇し7四半期後にピークをつける。
対してインフレ率の反応は緩慢で12四半期後にピークをつけ、20四半期ごに元の水準に戻る。つまりインフレ率の反応は3年程度で概ね終了し、5年経つと完全に終了する。
日銀の政策金利は1999年から足元までゼロ%ないしその近傍であり、人々が予想していた(インフレ予想0%)自然利子率を上回っており、それが原因で需要不足が長期にわたって続いた可能性がある。
また2022年春以降のインフレ率上昇の局面では、政策金利がゼロ近傍で据え置かれる中でインフレ予想が顕著に上昇したので、実質利子率がマイナスになった。一方、自然利子率はさほど変化しなかったのてま、実質利子率が高すぎるという状況が解消された。そのためインフレ率が上昇した。
日本のデフレ脱却のシナリオは、異次元緩和による円安を通じた輸出企業の収益好転。その収益増が賃上げにより家計に回ることがが期待されていたが、トリクルダウンは十分に起きず、消費が低迷しデフレ脱却できなかった。
対してシムズが考えている富効果チャネルは企業ではなく、家計に最初にお金を渡し、消費を喚起し(物価の上昇を起こし)デフレ脱却を図る作戦。
(物価の上昇による国債価格の実質価値の目減によって財政当局の負担は軽くなる)
マネーの中立性=貨幣量は物価水準にのみ影響し、長期的には実質GDPに影響を及ぼさない。
デフレは企業の価格支配力を失わせる。
名目GDP=一国全体の支出の金額を測る指標
実質GDP=「数量」を測る指標
GDPデフレーター=「価格」を測る指標
名目GDP=実質GDP×GDPデフレーター
Posted by ブクログ
日本の物価に関する、間違いなく良書。
なぜデフレが長らく続いたのか、デフレが何故悪いのか等、素朴な疑問を分かりやすく説明してくれている。一方で、筆者の本気モードの理論的な話にジェットコースターの様に急に突入する場面もあり、分かったような分からなかった様な、若干振り回された様な読後感もあり、星マイナス一つ。
結構、読破するのに時間もかかる。
Posted by ブクログ
経済学全くの初心者でもスラスラ読めました。
丁寧すぎるほど解説してくれています。
-----感想-----
物価がどう変化するのかを、具体的に順序立てて解説してくれて、本当に分かりやすかった。
基本的な経済の知識はもちろん、日本と世界各国の対比、日本の現状、政府の政策の結果など、とても勉強になった。
気にならずに生活してたことが、よく見えるようになったと思う。
経済は本当に読むのが難しい、練りに練った政策も予定通りにいかないものだなーと思った。筆者の、「人が作り出したものは完璧じゃない」というのが頷ける。
ある程度の知識が入ったおかげで、日々の経済ニュースに関心を向けることができそう。
Posted by ブクログ
まとめメモ
自分が生きてきた間、日本はずっと物価も賃金も据え置きの「慢性デフレ」状態にあった。
日本人はこの環境に慣れ、「価格を据え置くこと」が常識になり、値上げがあると批判が起こる社会になっていた。
しかしコロナや戦争といった外的ショックによって、人々の意識が少しずつ変化し、「物価が上がるのは仕方ない」という認識が広まりつつある。
この変化を契機に、物価・賃金・金利の正常化が進めば、適度なインフレ=健全な経済成長へとつながる。
政府や日銀の政策だけではなく、「物価の正常化」を支えるのは消費者自身であり、社会全体が自意識をもつことが重要。
経済を動かすのは数値ではなく、人々の「予想」や「ノルム(社会的規範)」である。日本では自粛や同調圧力が、無意識のうちに価格を抑える方向に働いてきた。
インフレ率2%の目標とは、単に物価を上げることではなく、努力や生産性の差といった「良いバラツキ」を認め、社会全体の活力を取り戻すための設定である。
異次元緩和の失敗を教訓に、政府は賃上げ政策を、日銀は金利政策を、それぞれマネーの量ではなく質に注目して設計する必要がある。
Posted by ブクログ
『物価とはなにか』から新書を挟んでブラッシュアップされた内容。この期間に限らず、経済の進展と学究の振り返りという形でより鳥瞰的な内容で、前著を踏まえたうえで読むなら。
Posted by ブクログ
個別の製品の価格ではなく集合値としての物価がどう変動するか。
コロナの需給バランス 人手不足 企業の対応 などこれまで価格を上げないことが前提の動きからの変化を解説
読み切るのに時間がかかったので理解しきれていない
Posted by ブクログ
とてもいい一冊でした。分かりやすく解説されながらも、この分野は私の専門外ですので分かりませんとハッキリ伝える著者の潔さもとても好感を受ける。ただ何度も読みながら理解を深めないと一度読んだだけではまだまだ浅いな、もう一度読まないとなと思わせてくれる内容でした。
Posted by ブクログ
渡辺先生か常々話されていた「労働供給減少によるインフレ」が、日銀副総裁の「this time is different」に繋がり、利上げに踏み切ったと認識。
日本のデフレのキーワードは、30年続いた「自粛」
ノルムは渡辺先生が、海外の友人向けに使った方便。価格と賃金の据え置きは日本の社会的な規範(ノルム)。企業も労働組合もその規範に従って行動する。
日本人には超リカーディアンが多すぎる!
減税しても、将来の増税を見越して貯蓄に回してしまう。
名目賃金に下方硬直性があるので、目標インフレ率は正の値になる。2%は「置き」の問題。本来は4%くらいで良いと考えている。
Posted by ブクログ
面白かった。インフレもデフレも何が悪いのかは、聞かれるとうまく答えられないので、こうしてしっかり学べる事ができて非常に良かった。たった数千円で、日本の物価研究の第一人者の本が読めるのだから、本の魅力はそこだよなーと改めて思った。
Posted by ブクログ
返却期限がきたので大事なあと2章を残して返却
最近インフレとかコストアップインフレとか
やたらと使いたがる
そんな物価とは何なのかを
かなり丁寧に教えてくれる良書
安倍政権の時の3本の矢が何故
うまくいかなかったのか
よく消費税だと言われているが
政府の財政支出がもっと必要だった事がなんとなく
理解できた
何で賃金が上がらないのか
能力がないからでしょ
やっている仕事に成長力が無いからでしょ
って思っていたが間違いだったことを教えて頂いた
勉強の本なのでワクワクしながら読むことは
なかなか出来ないが良書であることは間違いない
とりあえず再度予約した
Posted by ブクログ
物価賃金の据え置きは1990年代後半から始まった。
消費者の信念=物の値段は上がらない、と、円高で日本の給料は高い、が悪循環の始まり。コンフリクトインフレーションの逆。喧嘩両成敗の考え方。
一過性の輸入物価の値上がりが向上的な物価上昇に繋がらなかった。
低賃金の中国に対抗するには、賃金を据え置くべき、労組は賃上げを要求せず、物価も上昇せず、というスパイラルに入った。
パンデミック以前は、サービス経済化が進んでいた。パンデミックでサービスの購入が控えられた。その結果、サービスが過剰でモノが不足する状態。
サプライチェーンの混乱で、脱グローバル化が進展。インフレの要因となる。
しかし、1970年代のインフレの経験から、インフレが猛威を振るうことにはならなかった。その結果、ペインレスディスインフレが可能になった。
日経ナウキャストで物価動向をリアルタイムで見られる。
2022年春に、消費者のインフレ予測が急上昇した。実際に値段が上がり始めた。パンデミックや戦争で、需給に変化が起きる予測ができて、仕方ないと理解した。米欧のインフレ、円安による原油高、など。
その結果、春闘での賃上げ要求につながり、企業も政府の後押しもあって、応じざるを得ないことになった。
早川仮説では、1997年頃に労使の密約があったのではないか、と推察している。雇用を守り賃上げしない。トヨタショックでベアゼロ回答を行った。
最近の賃上げは、物価上昇分だけでなく、賃金水準も国際基準に追いつかなければならないという方向性と、人手不足によるもの。女性と高齢者の労働供給で、ルイスの転換点に来ている、という説。
植田総裁の物価と賃金の上昇まで金融緩和を続けるという発言と、最低賃金の1500円引き上げの方針。
総需要管理から総供給管理への転換。独禁法の適用の緩和によって、供給を増やすことができる。下請法の改正も、供給価格のコントロールの手段となる。
日銀は、僥倖を待っていただけ。ディスインフレの機械的アプローチ=何もせずに待てば自然と不況が来てインフレが収まる。バブルの逆を望んでも、バブルになるのではないか。
国債規模の正常化が始まったが、マネーストック(日銀の当座預金)は簡単には減少させられない。
ケインズ以前の古典派では、価格と賃金は瞬時に改定されるもの、との前提があった。
失業率が増減してもインフレ率は変わらない=フィリップス曲線によると、失業率げ減少すればインフレ率は上がる。日本の停滞期は、失業率が減少して需要はあったのに、インフレにはならなかった。慢性デフレを需要不足だけでは説明できないのではないか。
こんかいのグローバルインフレは、価格だけが上昇し、賃金上昇はそれに追いつくだけで、両方のスパイラルではない。
日本のデフレは、賃金が主役だったのではないか。
インフレ予測は、人生経験二左右される。利用可能性ヒューリスティック。
日本は自発的ロックダウンがおきたが、アメリカは法的拘束をしたにもかかわらず、行動は変容しなかった。
自発的ロックダウンの構造は、停滞期の賃上げ値上げ自粛と同じではないか。
シムズ理論=デフレには積極財政が有効。FTPL=物価水準の財政理論。日本人には、賃金上昇や減税は、いずれ不景気や増税で自分に返ってくる、というリカーディアンが多い。日本は財政改善を気にせず、金融政策は受動的にして、財政支配にしたほうが、リカーディアンを納得させやすい。
異次元緩和では、企業を先に潤すことが最初の起点だが、シムズ理論では家計にお金を回して消費を換気することが起点。
パンデミックで起きたことと同じ。家計にお金を配る。
FTPLは、最近のインフレの説明に有効か。
デノミとインフレは双子。一律10%値上げした価格にデノミすることとインフレは同じ効果がある。
インフレが進むと、価格のばらつきが拡大する。価格は硬直性があるため、一斉に値上げにはならない。
目標を0%ではなく2%にしているのは、価格の下方硬直性に対処するためと、ゼロ金利下限があるため。
慢性デフレから脱却してみると、いろいろ悪いところが見えてくる。物価が安定して過ごしやすい国だったが、価格に良いばらつきが生じる余地がないため、よりよいものを高く売ろうという発想がなくなる。
マネーは中立的=マネーが増加しても物価が上がるだけで、景気には影響しないはず。しかしデフレ脱却でマネーが増加すれば、景気にも変動が起きるのではないか。マネーの潤滑油効果=お金が手に入ると財布の紐は少しは緩む。価格が動く可能性が出てきたので、非価格競争ができるようになった。需要曲線の屈曲からくる価格支配力が喪失した。
デフレは、良い製品を高く売るという攻めの戦略ができないので、コストカットが主体となる=他の企業の売上減につながる。グリーンスパンはこのことに気づいていた。
異次元緩和は、マネーの供給で市場金利が下がる、総需要が増えれば物価は上がる、の2点で経路を読み違えた。
マイナス金利政策は、パンドラの箱を開けたと言われる。しかし預金金利がマイナスにならなかったことで、効果は今ひとつだった。
金利とマネーの量はコインの裏表、とすると金利引き上げ+金融緩和は成り立たないのではないか。大量のマネーストックがある中でも金利を上げる。
金融政策のトリレンマ=マネーの金利をゼロにしたままえ市場金利を動かすことはできない=ということは、マネーの量は自動的に決まる。フリードマンルール。マネーの量と同じように、マネーストックの量も制限はない。
パンデミックには、5類移行といううまい措置があったが、デフレにはそれはなかった。しかし慢性デフレのときの自粛は、パンデミックのときの自粛と似ている。