渡辺努のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前著で「ノルム」という用語が登場しましたが、それは渡辺先生が海外の研究者への説明に苦労してひねり出した用語であることが本書で明かされました。
「ノルム」は、特定の界隈でバズワードのようになっており、私も経済現象を「ノルム」でうまく説明できると思っていたのですが、はしごを外された思いです(苦笑)。
本書の終盤では、日銀券(現金ですね)に付利し、場合によってはマイナス金利をつけることによって、デフレ・インフレをコントロールするアイディアが語られます。
現金の名目的な価値は変動しない、というのは、それこそ「ノルム」のようになっていると思いますので、実現までのハードルは高いと思いますが、「ノルム」も不 -
Posted by ブクログ
「物価とは何か」をゆる言語学ラジオで紹介していたところから、本書にたどり着いた。
現在の物価上昇の背景、日本特有の賃金・物価事情についてかなりテンポ良く知ることができた。
物価が上がれば金融引き締め、教科書的な理解でこれまで生きてきたが、物価上昇には需要ベースと供給ベースとがあり、今回は供給ベース(それも、要素として3つ、消費者(労働者)、企業、サプライチェーンの変容に起因)が原因となっているというのは、大変興味深く、驚きはあったものの理解は実態に合っており、スラスラと読み進められた。
日本の労働市場、物価に関しては、エネルギーを筆頭に上昇していて、物価凍結の壁は破られている?かと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物価は、蚊ばしらである。世の中に何十万と存在する個別の商品それぞれが、一匹一匹の蚊に相当する。インフレを起こす仕組みとして、まず物価がX%の率で上がると皆が予想し、その予想を踏まえて企業や店舗が値札を書き換える、その結果実際にその率Xで物価が上がる、というメカニズムが考えられる。国民に働きかける中央銀行の行為の98%はトークである。人々の予測に働きかけるわけである。貨幣量を増やすと一時的に失業率は減少するが、しばらくすると貨幣量の増加をインフレ予想に織り込むことが完了し、失業率の押し下げ効果がなくなり、失業率は元の水準にもどる。
日本は物価が上がらない状態がかれこれ30年続いている。人々のイン -
Posted by ブクログ
人生の大半を「失われた30年」と言われるデフレ社会(ノルム)の中で生きてきて、価格は据え置かれることが当たり前という肌感覚が染み付いていた。
コロナ禍やウクライナ侵攻等の劇薬の副作用なのか。消費者・労働者・企業・政府・日銀等、各プレーヤーのマインドが変化し、「正常」な「賃金・物価スパイラル」がとうとう起動し、インフレが到来しようとしている。日銀による数多の異形の金融政策(バズーカ砲)をもってしてもことごとく空砲に終わっていたのに。
現在(2024.12.31時点)日本社会に起きていることは、途轍もなく劇的な変化だと感じる。
アタマと心に染み付いたデフレマインドをリセットし、緩やかなインフレ -
Posted by ブクログ
2016年以降の国債の実質価格の急上昇がデフレ脱却できなかった大きな理由の一つ。
なぜ国債価格の急上昇が起こったのか。
①物価の上昇が止まってしまったため。
②国債の名目価格が上昇したため。
なぜこの二つが起きたのか
2016年はマイナス金利政策を始めた。
国債金利がマイナスになるということは、政府に利得が発生し、その利得によって財政収支が改善することで国債の魅力が高まる。
その結果、国債から商品への需要シフトがとまり、資金が再び国債へと向かうようになったため、国債実質価格が急上昇した。
ではどうすればよかったのか。
シムズいわく日銀のマイナス金利は間違っていない。
マイナス金利によって発生す -
Posted by ブクログ
2023/04/24 読み終わった
ゆる言語学ラジオで紹介されていたので。
タイトルからがっぷり四つの迫力ある本だけど、中身はもっと骨太だった。高校程度の経済知識しか持っていなかった自分には目からウロコだった。
中でも一番面白かったのは、中央銀行総裁は嘘つきが一番いいというくだり。
情報公開なんてしたらしただけいいだろうと思っていたが、昔の中央銀行はそうではなかったということや、現在中央銀行が情報公開を積極的に行っている理由が単に公平性の観点ではないということ、この辺りが心に残った。
きちんと読み込まないと理解が追いつかない部分もあった。何度も読んで理解したい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ価格の硬直性についての理論的説明が繰り広げられた。メニューコストなのか、情報の制約なのか、、そしてしまいに出てくる日本の価格を上げられない消費者の厳しい目線というカルチャー的なもの。他の会社の価格に共鳴的に営業を及ぼすような価格支配力も失われ、、日本人は必死にコスト削減に命を燃やす、、その時間、付加価値付与に当てればいいのに!!すごく残念な気持ちになったけど、読み応え抜群です。
日本は新しい商品のうみかえで価格を上げている。そうでもしないと消費者の目が厳しい日本!ひいては儲けは賃金にもつながるのに、、。
フィリップス曲線についても教科書を超えた考察で、また勉強を重ねたら振り返って読みたい。 -
Posted by ブクログ
個人的に今まで読んだ学術書の中で1位。
歴史、経済、金融、心理学など興味あるものはかじってきた人ですが、物価という身近すぎて気にしたことがなかったのですごく面白かったです。
今日本に住んでいて、デフレと言われてはいるものの、個人の体感としては物価は上がっていると感じていました。
じゃあそのデフレって何?巷の物価上昇は何?と考えるきっかけになりました。
特に興味深かったのは、インフレ率は人々のインフレ予測によるということ。
みんながデフレになると思えば、そうなるし、インフレになると思えばそうなる。
だったら中央銀行はどうするのか。影響力を持ちたいと思いつつ、持たない方がいい。
そんな矛盾 -
Posted by ブクログ
ずっと積読リストに入れていたのだけれど、もっと早く読めばよかった、と後悔するほど面白い本でした!
本書を読むまでは、ロシア侵攻のせいで世界中がインフレになり、日本は円安の影響でそれが特に増幅されている、と思っていました。
が、そうではありませんでした。本書は過去の社会現象を振り返りながら、著者が現在の考えに至るまでの思考の軌跡を追う形で、素人にも理解が及ぶよう、世界インフレについて分かり易く丁寧に解説した本です。
経済学の勉強をしたことのない私にも感動的に分かり易くて、皆におススメしたいです。。
今回の世界インフレは、コロナの出現そのものではなく、その出現によって、人類が社会的、経済的な行 -
Posted by ブクログ
ネタバレ# 政府・日銀・民草の我々がどのようにマクロ経済を作り出しているか、学べる一冊
## 面白かったところ
- 「物価は地震に似ている」という破天荒な発見と、その裏打ちされた説得
- 財務省や日本銀行が行っているオペレーションの目的が改めて知れる点
## 微妙だったところ
特になし
## 感想
個人的に2022年に読んだ本の中で最も驚きが多かった一冊。読みやすくて面白かった。
「地震と物価のグラフや性質が似ている」なんて突拍子もないアイデアがまず面白い。
地震は頻度・規模が記録され、物価は価格更新が行われた回数(頻度)・価格変動の幅(規模)が記録される。地震は本震から時間が経つにつ