富田彬のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ結局上下巻読むのに9日を要してしまい覚悟を決めたとはいえようやく読み終えたことにホッとする。
下巻は三女のメアリが事件を起こす事で急転直下で事態が変わってくる。エリザベスとダーシーの間でも偏見から誤解が解けてくるとその高慢さにも理由があり、また高慢ゆえに改心するとどこまでも心は打ち解けてあれよあれよという間に大団円。難しいようで読み終えてみると漫画『花より男子』の18世紀イギリス版って感じ。
まぁ、これ読み終えたらオースティンの他の作品ってどんなのがあるのかなぁって調べたら『分別と多感』とか『自負と偏見』とか見て、そっとブラウザを閉じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアガサレーズンの物語を読んだ後のまたしてもイギリス作家の物語。どうも高慢な登場人物というのはイギリス文学のマストなんだろう、知らんけど。そういやエミリーブロンテの作品も似たような登場人物が出ていたっけ...
さて、だいぶん昔から読み進めては挫折の連続だったこの本をようやく覚悟を決めて読み始めるも、人物名が名称になったり、〇〇夫人、〇〇嬢、通称と行単位で入れ替わるから誰が誰に対して誰のことを言ってるのか支離滅裂になってしまうのに慣れるのにだいぶんとかかった。上巻の半分ほど進めてきたところでようやくその癖にも慣れ始めてようやく物語の面白さが分かり始め、話の流れはほんとイギリス作家全般に同じような感じなので風土というか文化なんだろうな。タイトル通り誰もが高慢で誰に対しても偏見をもって接するのでそのやり取りやすれ違いが面白い。ベネット家の次女エリザベスの心情と葛藤がこの物語の肝なのだが、それにまとわりつく富豪で鼻持ちならないダーシー、聖職者のコリンズの性格も絶妙で言い回しはくどいものの全体的にはコメディーに近い。ベネット家の長女のジェーンが5人姉妹のまとめ役なんだけど、これまたダーシーの友人ウィカムに恋し、失恋し、ベネット家の従妹のロンドンの家でしばらく傷心を癒やしてさて、ベネット家の今後とエリザベスの怒りの矛先はどこへ?
内容も分かりやすいと言えばわかりやすいし読んでクスッとなるんだけど、なんせ読みにくい。慣れたと言っても行を読んでいるうちに次の行を見失うくらいにまどろっこっしい文脈でなかなか読み進められないのが厳しかった。 -
Posted by ブクログ
捕鯨船と鯨の生態を詳細に語る誰もが知る名作だが、かなり読みづらかったのは古い訳だからだろうか。さまざまな形容が奥深い反面長文で、主語と述語が離れすぎていて理解に時間がかかった。もちろん当方読み手の知識不足も否めないが。ふりがながなかったら読めなかっただろう漢字も多く、この頃(この文庫初版発行は昭和31年)にこの本を読んだ人たちは、こういう漢字に慣れていたのかという感慨も。
鯨が巨大であることからくる、捕鯨船のさまざまな機能と苦労、命がけの船員たちの日常、鯨を捕獲する時に、ボートの回りを並走する鮫の様子、さまざまな国や地域から集まった人々が、差別用語は飛び交うものの、案外根底では分け隔てなく接しているように感じられたのは印象的だった。 -
Posted by ブクログ
言わずと知れた名作、同時に難解との評がつきまとう。よって気難しい文体を知らず知らず想像していたのだが、読み始めて早々、むしろ饒舌な文体に面食らった。
しかし確かに捉え所がない。現代の読者からすると、ド頭から「食人種」のあまりに不適切な描き方にやや閉口し、同時にその現実味のなさから写実的に受け止めることをやめてしまう。そのため中盤以降に怒涛のように展開される捕鯨や海洋についての蘊蓄は「本当か〜?」との思いで漫然と頁を繰るだけになってしまう。そうこうしているうちに対峙する白鯨との闘いそのものは、存外あっけない。
なんとなく、狐につままれたような気持ちで本を閉じた。この作品は、何を伝えたかったのか?途中から作風が変わりすぎではないか?ただ確かに印象的ではあった。まだ私は、鯨の巨体に銛を一本突き立てただけで、この作品を咀嚼するには何本も突き立てて仕留める必要があるのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
18世紀のイギリスの片田舎を舞台に上流階級と上流中産階級のいくつかの家の間で巻き起こる、人間模様、恋愛を扱った作品。タイトルの「高慢」はミスタ・ダーシーの性格を、そしてそんなダーシーへのエリザベスの思いを「偏見」と表していると感じるが、この作品の登場人物には誰しもがもつ人の心の裏に見える高慢な心を持ち、互いに探り合っている偏見を見ることができたと感じた。当時のイギリスの気品高いそう言った作法や言葉遣いの裏に、互いに探り合ってアイロニーな含みを持たせてる点に非常に面白みを感じた。そういった、当時の上流中産階級社会規範をうつしながらも傑作と呼ばれる現代の人々にも万人ウケする恋愛小説を書き上げたオースティンはまさに英国女流文学の頂点と言われる所以だと感じる。
最初は偏見や地位によってすれ違い続けていた2人が最終的にはお互いの真の心を知り惹かれあっていく様は、近年のドラマや映画に通ずるものがあったと感じた。シンプルに面白かったです。 -
Posted by ブクログ
大好きな歴史漫画『風雲児たち』にて、漂流していたジョン万次郎一行を救出した捕鯨船のことをふと思い出した。作者のみなもと太郎氏曰く、欧米のクジラ漁は燃料に使われる鯨油(げいゆ)確保のためだけで、日本のような肉目的ではなかったという。
今ではその史実を棚上げ、わが国の捕鯨を批判する傍らで本書を米文学の名著だともてはやす。こればかりはアメリカという国がよく分からん…笑
まぁ何だかんだ言って夏っぽい作品だし、同名のジェットコースターがあるくらいスペクタクルっぽいし…ということで、世間の夏休みに便乗して自分も航海に出た。
主人公イシュメールが、宿屋が満室だったため先客で銛手(もりうち)のクィークェグと相部屋&添い寝することになるという何ともマニアックな始まり方。それもさることながら、クィークェグが未開の民族の出であり捕鯨船の乗組員という設定が刊行当時(1851年)にしては斬新すぎる気がして、著者はどうした弾みでそれを考えたのか至極気になった。乗組員でもあった著者の経験に基づいている…とでも言うのだろうか?
「鯨捕りには威厳がない?俺たちの職業の威厳は神そのものが証明されるところだ」
彼らが乗船する捕鯨船ピークォド号の乗組員らは皆個性的で、人種もバラバラ。見方によっては人種の垣根をも越え、白鯨"モービィ・ディック"を狩るという目標に一丸となっているようにも捉えられる。厳密には"モービィ・ディック"に片足を奪われたエイハブ船長の、個人的恨みにより一丸と「させられている」わけだが…
イシュメールの語りの中には逸話や詩、海洋学チックな講義が多数導入されており、非常に読み辛かった。(ある読書ブログには「なかなか読破できないことで有名」と書かれている…)
結局モービィちゃんを追って世界中をまわっているのだと思えば、幾分か気持ちが楽になる笑 3日にわたる最終決戦も海戦さながらの迫力だったし、何だかんだでそこは「海洋冒険巨編」だと言える。
ちょこっと身近な歴史に触れられたのも収穫だった。年代的に日本の開国前だが、米捕鯨船は日本近海まで来ていたらしい。(作中でも「北海道(マツマイ)」等の地名が見受けられる) 領海の概念はなかったのか怪しいところだが、そのおかげでジョン万次郎らを見つけやすかったのかも。
約8割が蘊蓄なのに名著と呼ばれる理由はよく分からんが、一般人が見ることのない光景を描き切ったところにあるのかもしれない。体内から取れるわずかな鯨油のために命を賭す過酷な現場を読者に知って欲しかったのだろうか。
(他の出版社は知らないが)あとがきも付いていない言葉の海にいては知る由もない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ非常に読みづらかった。ほとんどが本筋と直接関係がない鯨や捕鯨についての薀蓄となっており肝心の白鯨との対決は最後のわずか三章のみ。
どこかでこの作品が世界文学の名作の1つに挙げられている理由が、文字通り世界規模のスケールで物語が展開しているからだという評を見たことがあるが、たしかに多数の人種と国、地域にまたがる話であった。だが、せっかく主人公と冒頭で仲良くなったクィークェグも、中盤以降は出番がほとんどない。伏線というわけではないのか?ただエイハブ船長が終始信頼を寄せていた(と思われる)のは、銛手や拝火教徒たちといった「異教徒」たちであった。少なくとも彼らは書かれた内容において白人と同等に扱われていた。
膨大な鯨の薀蓄以外に関しては、破滅へと争い難く向かっていく指向性をだんだんと目立たせていく書き方は見事なものだと思われた。それは他船との交流であったり、狂気の代弁者エイハブ船長と理性の防波堤?スターバックとの対話・対照で描かれていたりした。
エイハブは隅から隅まで狂気に侵されているというよりは、ある程度それを確信的に、打算的に動いている感があった。というのは、彼は自分の乗組員たちを悲劇に巻き込んでしまう必要があったからである。スターバックは、白鯨を追うことが破滅へと確実に向かうこと、陸を2度と見れないことを意味すると感づいていたにも関わらず、また他の乗組員もさながら我が国が勝ち目のない戦争に誰も賛成しないままに突入したように、結局は悲劇から逃れられない運命にあった。
人間対自然の構図と言ってしまえば短絡的に過ぎるかもしれないが…。
全般的に捕鯨船の用語・知識に彩られていて、明確にイメージを描きながら読み進めることが難しい時もあった。それでも作者が豊富な経験と聖書その他の読書に裏付けされた知識を持っていることがよくわかったし、仰々しいような、叙事詩的な表現や描写、台詞回しも含めまさに壮大な物語であったことは間違いないと感じた。 -
Posted by ブクログ
「お前の姉さんは、失恋してるんだね。僕はめでたいことだと思っているよ。女の子は、結婚がなによりもお好きだが、たまにはちょっと失恋するのも、わるくないと見えるね。失恋すれば、なにかかにか考えさせられるし、仲間よりはなんとなく偉そうに見えるものね。お前の番はいつまわってくるのかね? いつまでもジェーンに負けていたんじゃ、お前もやりきれんだろう。さあ、お前の番だよ。メリトンには、国中の若い娘たちを失恋させるに十分なほど、士官がうようよしているよ。ウィカムさんにしといたらよかろう。快活な男で、立派にお前を捨ててくれるよ」
「どうもありがとう。でも、もっと感じのよくない男の人でも、わたしけっこうですわ。誰もがジェーンのように立派な男の人にめぐりあえるってわけじゃないんですから」
2014/05/08-05/23
2023/03/24-04/05