【感想・ネタバレ】白鯨 (下)のレビュー

あらすじ

巨大で獰猛な白いマッコウクジラ“モービィ・ディック”に復讐を果たすべく、過酷な航海を続ける捕鯨船ピークォード号は、ついに目標の白鯨を発見。船長エイハブと乗組員たちによる、熾烈な戦いの結末とは。

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Posted by ブクログ

命知らずの船長(エイハブ)と共にする水夫たちの物語です。著者のメルビィルはこの本を通して勇ましい魂の生き様と物語に見える崇高な理念を持って生きる人間の生き様とは?と言うことを旧約聖書に見える言葉を通して訴えているように感じます。この白鯨は大変文学作品としては名作品で名高いものであり人として失敗や過ち、危険を恐れずして突き進む魂の勇壮な生き様とはこの様なものですよ、偉大な魂は不滅だ、と言うことを物語を通して教えているように感じます。

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2021年11月06日

Posted by ブクログ

言わずと知れた名作、同時に難解との評がつきまとう。よって気難しい文体を知らず知らず想像していたのだが、読み始めて早々、むしろ饒舌な文体に面食らった。
しかし確かに捉え所がない。現代の読者からすると、ド頭から「食人種」のあまりに不適切な描き方にやや閉口し、同時にその現実味のなさから写実的に受け止めることをやめてしまう。そのため中盤以降に怒涛のように展開される捕鯨や海洋についての蘊蓄は「本当か〜?」との思いで漫然と頁を繰るだけになってしまう。そうこうしているうちに対峙する白鯨との闘いそのものは、存外あっけない。
なんとなく、狐につままれたような気持ちで本を閉じた。この作品は、何を伝えたかったのか?途中から作風が変わりすぎではないか?ただ確かに印象的ではあった。まだ私は、鯨の巨体に銛を一本突き立てただけで、この作品を咀嚼するには何本も突き立てて仕留める必要があるのかもしれない。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

冗長さが全体のクオリティを下げているような気がするが,書記を疑わせるような記述は現代にも繋がっていると思う。

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2022年10月05日

Posted by ブクログ

大好きな歴史漫画『風雲児たち』にて、漂流していたジョン万次郎一行を救出した捕鯨船のことをふと思い出した。作者のみなもと太郎氏曰く、欧米のクジラ漁は燃料に使われる鯨油(げいゆ)確保のためだけで、日本のような肉目的ではなかったという。
今ではその史実を棚上げ、わが国の捕鯨を批判する傍らで本書を米文学の名著だともてはやす。こればかりはアメリカという国がよく分からん…笑
まぁ何だかんだ言って夏っぽい作品だし、同名のジェットコースターがあるくらいスペクタクルっぽいし…ということで、世間の夏休みに便乗して自分も航海に出た。

主人公イシュメールが、宿屋が満室だったため先客で銛手(もりうち)のクィークェグと相部屋&添い寝することになるという何ともマニアックな始まり方。それもさることながら、クィークェグが未開の民族の出であり捕鯨船の乗組員という設定が刊行当時(1851年)にしては斬新すぎる気がして、著者はどうした弾みでそれを考えたのか至極気になった。乗組員でもあった著者の経験に基づいている…とでも言うのだろうか?

「鯨捕りには威厳がない?俺たちの職業の威厳は神そのものが証明されるところだ」

彼らが乗船する捕鯨船ピークォド号の乗組員らは皆個性的で、人種もバラバラ。見方によっては人種の垣根をも越え、白鯨"モービィ・ディック"を狩るという目標に一丸となっているようにも捉えられる。厳密には"モービィ・ディック"に片足を奪われたエイハブ船長の、個人的恨みにより一丸と「させられている」わけだが…

イシュメールの語りの中には逸話や詩、海洋学チックな講義が多数導入されており、非常に読み辛かった。(ある読書ブログには「なかなか読破できないことで有名」と書かれている…)
結局モービィちゃんを追って世界中をまわっているのだと思えば、幾分か気持ちが楽になる笑 3日にわたる最終決戦も海戦さながらの迫力だったし、何だかんだでそこは「海洋冒険巨編」だと言える。

ちょこっと身近な歴史に触れられたのも収穫だった。年代的に日本の開国前だが、米捕鯨船は日本近海まで来ていたらしい。(作中でも「北海道(マツマイ)」等の地名が見受けられる) 領海の概念はなかったのか怪しいところだが、そのおかげでジョン万次郎らを見つけやすかったのかも。

約8割が蘊蓄なのに名著と呼ばれる理由はよく分からんが、一般人が見ることのない光景を描き切ったところにあるのかもしれない。体内から取れるわずかな鯨油のために命を賭す過酷な現場を読者に知って欲しかったのだろうか。
(他の出版社は知らないが)あとがきも付いていない言葉の海にいては知る由もない。

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2022年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

非常に読みづらかった。ほとんどが本筋と直接関係がない鯨や捕鯨についての薀蓄となっており肝心の白鯨との対決は最後のわずか三章のみ。
どこかでこの作品が世界文学の名作の1つに挙げられている理由が、文字通り世界規模のスケールで物語が展開しているからだという評を見たことがあるが、たしかに多数の人種と国、地域にまたがる話であった。だが、せっかく主人公と冒頭で仲良くなったクィークェグも、中盤以降は出番がほとんどない。伏線というわけではないのか?ただエイハブ船長が終始信頼を寄せていた(と思われる)のは、銛手や拝火教徒たちといった「異教徒」たちであった。少なくとも彼らは書かれた内容において白人と同等に扱われていた。
膨大な鯨の薀蓄以外に関しては、破滅へと争い難く向かっていく指向性をだんだんと目立たせていく書き方は見事なものだと思われた。それは他船との交流であったり、狂気の代弁者エイハブ船長と理性の防波堤?スターバックとの対話・対照で描かれていたりした。
エイハブは隅から隅まで狂気に侵されているというよりは、ある程度それを確信的に、打算的に動いている感があった。というのは、彼は自分の乗組員たちを悲劇に巻き込んでしまう必要があったからである。スターバックは、白鯨を追うことが破滅へと確実に向かうこと、陸を2度と見れないことを意味すると感づいていたにも関わらず、また他の乗組員もさながら我が国が勝ち目のない戦争に誰も賛成しないままに突入したように、結局は悲劇から逃れられない運命にあった。
人間対自然の構図と言ってしまえば短絡的に過ぎるかもしれないが…。
全般的に捕鯨船の用語・知識に彩られていて、明確にイメージを描きながら読み進めることが難しい時もあった。それでも作者が豊富な経験と聖書その他の読書に裏付けされた知識を持っていることがよくわかったし、仰々しいような、叙事詩的な表現や描写、台詞回しも含めまさに壮大な物語であったことは間違いないと感じた。

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2017年08月15日

Posted by ブクログ

銛手のカッコ良さが際立つ。
危険を背に生きる姿は現代で言うところの
戦闘機乗りのようだ。
また、異戦士としての魅力もある。
侍、忍者、インディアン。
独自の世界観、倫理感。良いです。
本として内容の伝わりづらさがあるので
挿絵が少しでもあると良いのだが。
マッコウ鯨、セミクジラの姿かたちを
文章で読んでもまったく伝わらない。
wikiの併読を推奨。絵で見た方が分かりやすい。

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2016年06月26日

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