是枝裕和のレビュー一覧

  • そして父になる
     突然、小学校入学直前の我が子が、別の子どもと入れ替わっていたと知ったら、親はどうするのでしょうか。

     前半は、きめ細かく、2つの家庭の心の動きを描写します。主人公は、自分自身も継母に馴染めなかった経験があり、父親に対して、今も強いわだかまりがあります。

     そんな自分とこれまでの我が子との関係、...続きを読む
  • 公園対談 クリエイティブな仕事はどこにある?
    映画監督と電通のディレクターの仕事論なんてよその世界の戯言、くらいに思いつつ手に取ったがなかなかに味わい深かった。仕事の先にあるものを見る、要は自分の仕事の社会的な意義やインパクトを意識して仕事をするということ。たしかに発想に「社会」が入ってくることで仕事は変わる。これは社会に出たての若い子たちには...続きを読む
  • 雲は答えなかった 高級官僚 その生と死
    エリート官僚の自殺を、その人生を丹念に追うことで描いた作品。

    主人公(山内さん)は、官僚として出世をしていく中で、だんだんと理想やポリシー、優しさは、力を失っていき、むしろ邪魔になる。駆け引き、政治力などのバランスをいかに要領よくとれるか、いかに現実的に時に冷酷に現実と向き合い、自分のエゴを通せる...続きを読む
  • 海街diary
    よかったぁ。
    鎌倉の古い一軒家に住みたくなった。
    映画も観たけど、映画で泣いたシーンで同じとこで泣いた。
    幸がすずを高台に行って抱きしめるシーン。
    幸ねえって呼んでるのかと思ってたけど、シャチねえだったんだ。(いつも長女らしく怒ってるから)
    この配役も絶妙に合っていた。(母親役の大竹しのぶは微妙だっ...続きを読む
  • 歩くような速さで
    小さい頃の写真がめっちゃ可愛い。
    今の面影ものこしつつ可愛い幼子が。
    あっちゃんって子と仲良しだったんだね。

    著者の映画もエッセイもドキュメンタリーも皆好き。
    初めて撮った映画”ワンダフルライフ”スルーしてしまったけど、今度ちゃんと観てみよう。
  • 海街diary
    結構良かった。じんわり温かくなるような、思わず微笑んでしまうような。
    異母妹っていじめられる対象に挙げられがちだけど、4人だったからかな、すずの歳が離れてるからかな、ずっと前から妹だったかのように受け入れられて、やさしく時に厳しく。
    自分の居場所があるってだけで幸せだなあ。

    映画も観てみたい。
  • 雲は答えなかった 高級官僚 その生と死
    今は「そして父になる」などで有名な映画監督、是枝裕和の原点は、フジで放映されたドキュメンタリー番組「しかし…福祉切り捨ての時代に」(1991)。
    この本は、この番組を詳細に描いたものだ。
    水俣病に関わった厚生労働省の高級官僚、弱者を前に常にひたむきに真摯に向き合った男が、その経歴ゆえに省の中で上りつ...続きを読む
  • 雲は答えなかった 高級官僚 その生と死
    人間らし過ぎて、自分に葛藤してしまった山内さん。
    その山内さんを通して、白黒ではない人間の生き方に触れ、
    自分のやり方を掴んでいった是枝さん。
    ノンフィクションとはいえ、作り手のフィルターが掛かってしまう以上、フィクションだという姿勢ながら、
    その文章は冷静で、どちらの肩を持つでもない真摯な目で事項...続きを読む
  • 歩くような速さで
    『そして父になる』の監督のエッセイ集。血かともに暮らした年月かというテーマは自分の子育て体験を重ね合わせたことがわかる。歩くような速さでのタイトル・どおり、気負わず思う気持ちを文章にしてあって好感が持てる。
  • 万引き家族
    言葉にするのが難しい読後感。虐待を受けて一生辛い思いを強いられることが確定している子ども。その子を誘拐して連れてきて、だから学校にも通わせず、食べる為に万引きを仕事として教える、これはアウトだろう。ただし大切に扱われ幸せに日々を過ごせる。ならこれはセーフか。どうだ。少なくともラストは泣きそうになった...続きを読む
  • 三度目の殺人
    ハッキリとした結末が分からないということで、それを良しとするか、モヤモヤするからイヤだという意見で真っ二つですね(笑)。
    小説(映画)としてならば真実を明らかにして欲しいのは読者としては当然の感想でしょうが、でも実際の犯罪で全て裁判で真実が明らかになるの?と言われれば、いまだに分かっていない事件も数...続きを読む
  • 万引き家族
    発想は好き。
    でもこれだけの着眼点があるからこそ、もっともっとと貪欲になってしまった。
    映画をみていないけれど、きっとおもしろいだろうな
  • 三度目の殺人
    映画のノベライズ本である。
    だから当然だとは思うけれど、読んでる間、頻繁に役所広司と福山雅治と広瀬すずの顔がよぎった。

    映画のノベライズ本である。
    だからなのか、小説として面白いのかは分からない。
    三隅が、僕の頭の中で、役所広司の圧倒的な演技を伴って迫ってくるからである。
    役所広司以外で、この役を...続きを読む
  • そして父になる
    血が繋がった者が家族なのか、過ごしてきた時間が家族を作り上げるのか、家族のあり方について答えのない難しい問を投げかける。話自体は淡々と進んでいく印象があり、次々にページをめくりたくなる、という感じではなかったが、後半になるにつれて良多の考え方がどんどん変わっていく感じは面白かった。
  • 映画の生まれる場所で
    やむちゃ飲茶を囲んで ははこ母娘 流れに棹さすさおさす 輪舞 古い徒弟制度と無縁に映画を作ってきて具体的に師と呼ぶべき人間が1人もいない 太秦に建てられた屋形という芸妓さん舞妓さんが共同生活を送るセットが主な撮影現場だったが 与えられたものを100%使い切ってないなという感覚 映画によって新たな概念...続きを読む
  • 万引き家族
    本当の家族ではない5人が暮らす家に、ゆりという女の子が加わって不思議な家族の生活が始まる。
    印象に残ったシーン、
    冒頭、治と祥太が買って帰る不二屋のコロッケがとても美味しそうでほのぼのした。
    ヤマトヤのじいさんの、妹にはさせるんじゃないぞのセリフにドキッとしてしびれた。
    映画を見ずに読んだのですが、...続きを読む
  • 万引き家族
    本当に全て万引きで構成されているのが面白かった。シンプルにいい話かもしれないけど、見る人が見れば気持ち悪いと思う場面もあるし、許せないと思う部分もあるかもしれない。一体何が正しくて何が間違っているかをひたすら問いかけるような作品だった。最後にやってきたのは治だろうか??
  • 三度目の殺人
    んーー。もう少しはっきりさせてほしいところが幾つかあったかな。
    重盛の娘と重盛の関係とかその後が気になるし。
    この手の内容にしては少しハラハラドキドキも足りなかった。
    ただ役所さんやすずちゃんがどんな演技でこの映画がつくられてるのかなーっていうのはとっても気になります。
  • 三度目の殺人
    映画は観ていない。
    なので、ストーリーを全く知らずに読み出したのだが。。
    展開のリズムがよいのか、スラスラ読めるし面白い。
    ただ、「で。。結局、どっちが真実なの?」と、思ってしまう。
    自分の読解力では、太刀打ちできない結末。。。
    映画を見ていたら、わかったのかしら?
  • そして父になる
    テーマは重いはずだけど描写は重苦しくなくて、読みやすかった。
    子どものときにあったことはトラウマになるけど、それを解消できたらいいな。
    2022/06/22