是枝裕和のレビュー一覧
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映画監督と電通のディレクターの仕事論なんてよその世界の戯言、くらいに思いつつ手に取ったがなかなかに味わい深かった。仕事の先にあるものを見る、要は自分の仕事の社会的な意義やインパクトを意識して仕事をするということ。たしかに発想に「社会」が入ってくることで仕事は変わる。これは社会に出たての若い子たちには...続きを読むPosted by ブクログ
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エリート官僚の自殺を、その人生を丹念に追うことで描いた作品。
主人公(山内さん)は、官僚として出世をしていく中で、だんだんと理想やポリシー、優しさは、力を失っていき、むしろ邪魔になる。駆け引き、政治力などのバランスをいかに要領よくとれるか、いかに現実的に時に冷酷に現実と向き合い、自分のエゴを通せる...続きを読むPosted by ブクログ -
今は「そして父になる」などで有名な映画監督、是枝裕和の原点は、フジで放映されたドキュメンタリー番組「しかし…福祉切り捨ての時代に」(1991)。
この本は、この番組を詳細に描いたものだ。
水俣病に関わった厚生労働省の高級官僚、弱者を前に常にひたむきに真摯に向き合った男が、その経歴ゆえに省の中で上りつ...続きを読むPosted by ブクログ -
人間らし過ぎて、自分に葛藤してしまった山内さん。
その山内さんを通して、白黒ではない人間の生き方に触れ、
自分のやり方を掴んでいった是枝さん。
ノンフィクションとはいえ、作り手のフィルターが掛かってしまう以上、フィクションだという姿勢ながら、
その文章は冷静で、どちらの肩を持つでもない真摯な目で事項...続きを読むPosted by ブクログ -
やむちゃ飲茶を囲んで ははこ母娘 流れに棹さすさおさす 輪舞 古い徒弟制度と無縁に映画を作ってきて具体的に師と呼ぶべき人間が1人もいない 太秦に建てられた屋形という芸妓さん舞妓さんが共同生活を送るセットが主な撮影現場だったが 与えられたものを100%使い切ってないなという感覚 映画によって新たな概念...続きを読むPosted by ブクログ