げみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「香り」で謎解き、というのが面白い。
鎌倉を舞台に、香りに鋭敏な少女が身近な謎に関わっていくシリーズ、1作目です。
高校生の咲楽香乃は、香り専門店『花月香房』の店主の孫で、土日は店にも出ています。
香乃には、香りで人の感情を感じとる不思議な能力があるのですが、そのためにいろいろあって親元を離れ、祖母と暮らしていました。
大学生の雪弥は、土日はバイトに来ている大学生。
二人は子供の頃からの付き合いで、香乃の想いは伝えられないまま、静かに時を育んでいます。
店に来た人のために尽力していると、特殊な能力を生かすことが出来る場合もあります。
感情がわかるだけで、すべてが見えるわけではないのですが。 -
Posted by ブクログ
高橋さんの話が本当に良かった!いつもにこにこ笑っているけどその裏にはいろんな事情を抱えていて、でも周りの家族や友達がいたから笑ってられるんだと思いました。それと同時に雪弥さんが高橋さんのことを誤解というか、こういう人だと知らず知らずのうちに決めつけてしまっていたことで受けるショックも大きかったんだろうなと思います。それでも雪弥さんが高橋さんの友人でいたことは大きかったと思います。いつも笑っていられる人は強い人。
それと文化祭の染師の方の話がぐっときました。花はまだ咲かなくても茎にはその色が詰まっていることは初めて知ったし、希望ある言葉だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ集英社オレンジ文庫創刊時から
「下鴨アンティーク」とともに
このシリーズも愛読してきました。
この2つのシリーズには
共通点があります。
古都を舞台にしていることと
ラブストーリーが主軸とはいえ
日本人があまり知らない伝統文化と
主人公の異能が大切な役割を果たす
ミステリーの要素が色濃いこと。
モチーフやストーリーなどは
かなりラノベ寄りかもしれません。
でも お香や着物への向き合い方が
真摯で素晴らしいと思います。
取材の綿密さとその扱い方は
どちらも作品の風格を醸しています。
鎌倉香房は 特に雪弥の人柄が
作られてきた背景が複雑で
その謎を追うだけで十分に面白い。