げみのレビュー一覧
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ネタバレ二つの世界に生きる香奈多(かなた)と瑚子(ここ)。
香奈多が語るパートと、瑚子が語るパートが交互に出てきて物語が進んでいくが、どこかちぐはぐな印象を受ける。
展開するごとに、その謎が判明していくのだが、過去の話の伏線回収と、これからの二人の未来の話のどちらもが温かくてホッとした。
かなしいことがあっても、かなしいだけで終わらせない。そんな決意が二人の中に共通している。
それは香奈多のお母さんの言葉でもある。
「かなしいのは、いっしょにいられたことが幸せだったからなんだって。だからさだからさ、そのかなしいのは、パパが最後にくれたプレゼントなの。すっごく大切にしないといけないものなんだって。」
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日本のアンデルセン小川未明
脳出血のため死去
享年79歳(文豪きょうは何の日?より)
ラフカディオ・ハーンの指導を受けたとか
実は、長い間、日本のおばあさんをイメージしていた私には新鮮だった
畳に煎餅座布団で針仕事みたいな
ランプにロッキングチェアーで編み物
そうですね、これが正解です
とはいえ美しいげみさんの色彩に 共感覚で文字に色が見えると思うほど
“戸口から花園へ”緑の葉の頃
月夜の晩、針仕事のおばあさんのところにめがね売がくる とてもよく合うめがねを選んでくれる
次に足を怪我した女の子 実は胡蝶
裏の花園に案内するも消えている
傷ついた胡蝶はおばあさんの一人の夜を彩る
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ネタバレ話が簡潔にまとめられていて読みやすかった。
イラストレーターによる絵が本文のように、繊細で美しく描かれていたため、情景をイメージしやすかった。
近代文学を最後まで読み切ることは、今まで大変だったが、これは短時間で読めるため、シリーズになっている他の本も読んでみたいと思った。
気持ちに余裕がない時、何となく現実逃避したくなったり、妄想が止まらなくなったり…
また現実から引き戻された時の胸が苦しくなる感じが、細かく表現されていた。
画集の上に檸檬を置き、因縁の場所が爆発されるという妄想(?)は、うんざりしている現実が吹き飛んでしまえばいいのにという主人公の思いを表現していてすごいなと思った。
ま -
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室生犀星文学忌、犀星忌。
1918年の作品
小景異情 その2
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
この作品は、高校のたしか2年の現代国語の授業で扱われた。そして当時から詩は苦手という意識と たぶん教師にもそれを見抜かれていた事実。
まず、この詩は何処で読まれたかという問いに早々に一番に当てられた。
当然、あほ丸出しで「みやこ?」と答え、その後の授業は集中的な指導をいただき散々なものになった。
そうです、彼は故郷金沢で読んだ故郷との訣別の詩なのです。当時は、今のような情報はなく、国語便覧あたりが重要情報源。養子先の孤独な幼児期だの妾の子だの知り得るのはハードルが高かった -
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ネタバレ自分の理解力がないからかもしれないが、なぜ小娘が蜜柑を投げる必要があるのか、さっぱり分からなかった。
弟に分かれを告げるなら、家で蜜柑を渡せばよかったのでは? 弟が隣町にいるとかで家で普段会えないからそうせざるをえなかったの? 踏切に来てと伝えたのは手紙? 印象的にするためにわざわざそういうシチュエーションを作った? 蜜柑って当時、高価なものだったの? 周りにすみませんとも何も言わずに窓を開けて煙で車内をモクモクにしてたけど、もっと乗客が多くても同じ事をしたの? こんな疑問がわんさか湧いてきて、主人公とは違い、私は小娘に対する嫌悪感を払拭することができなかった。
しかし、それを差し置いて -
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ネタバレ病気になると趣が変わることはとても共感できました。
ほんの些細な小さなモノに感動や美しさを感じる事ができるようになること、つまりそれは、それだけ自分も儚く小さな存在になってしまった事を自覚したときではないかと個人的に考察します。それまで好きなものは、自分に自信があるからこそ、まだまだ自分が健在だからこそ扱えるものばかりで、命短くなった今、それらを扱える力がもうなく、むしろ、無機質なモノや儚く綺麗なモノに感動を覚えるようになったと感じました。
追求されたことは「無」。その無の頂点が主人公にとっては爆破であったから、ああいった想像をしたのかもしれないです。
個人的には、額に檸檬をあて檸檬の存在を -
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この本は、ブク友の間で流行ってた本だって今頃になって手に取った作品。村山早紀さんの短編3つに、げみさんのイラストのコラボ作品。大人の絵本って感じでサクッと読んでみました。
シューマンのピアノ曲「トロイメライ」は聞き覚えのある曲で学校の下校時に流れていた記憶です。
この曲が始まると「下校時刻になりました。生徒はすみやかに下校してください」ってアナウンスが未だに脳内再生されるフェードアウトを促す曲でした。
人の想像力は現実と溶け込んでどれくらいの割合なら非現実の世界を違和感なく受け入れることができるのか。幻想だと気づいていても、心地よく注がれるワインのように受け容れていつの間にか夢見ごこちにな