木村友祐のレビュー一覧
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ネタバレああ、共感とまではいかないが、主人公の悶々とした心のウチは分かるような気がする。
信頼してた人達に手のひら返しされ、自分とは正反対の兄弟に好き勝手やられて、言われても逆らう事もできずに…終盤のチェーンソーの件は、ツリーハウス全部燃やすくらい大暴れしたら良かったのに。
でも、一つ思ったのは、兄さんが、薄っぺらい人間だったのは、主人公にとって救いだったのかな?とも思ってみたり。
だってあの兄が、ちゃんと地に足をつけて、まともな人生歩むような人だったら、亮介の悶々はこんなもんじゃなかったのでは?
あと、東北弁は馴染みが無いからサッパリわかりませぬ。
まあ、これは彼らが、逆に九州弁サッパリわからな -
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なんというか…
表題作「幼な子の聖戦」はさすが芥川賞候補、
表現が繊細だな、とは思うものの
かといって主人公に感情移入できるか、と言われると
肯定できないなぁ…と感じます。
併録「天空の絵描きたち」
こちらはテーマが破滅だとか裏切りだとかの
「幼な子の聖戦」(個人的見解)とは違い、
中心にあるものが「恋愛」なので感情移入は多少容易ですが、
主人公らがビル拭き
(題名にもなる通り、こちらがおそらくメインテーマ)
という一般からすると
少し特殊なものであるため、場面の理解がしにくい…。
実際、おそらく清掃業界でしか聞かないような名詞が続出。
状況説明などはかなり細かいものの、やはり理解しづらい。 -
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八戸出身の著者が、八戸を舞台に、登場人物たちに八戸弁で語らせた八戸フリークな物語だ。第33回すばる文学賞を受賞している。
全体を通して八戸弁で語られているためか、とても感情移入した。ツリーハウス以外の周りの景色などは、実在の八戸そのままであり、読みながら実際の映像が脳裏に浮かんできた。
自分には兄弟がいないので、もし兄なり弟がいたら、こんな確執も生まれるのかなと思うと、ちょっとゾッとした。でもこんな心理描写ができるところが「現代の太宰治か」といわれるところなのかもしれない。
最近、地元紙のデーリー東北で木村友祐氏による「空飛ぶ鉄犬」という小説の連載が始まった。これもまたファンタジ -
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ネタバレ青森八戸
服飾の専門学校を中退し
就職することもなくほぼバイトみたいなもんで生活する亮介
兄の慎平は破天荒で感情的で自由奔放で
農業を継ぐわけでもなく都合のいいようにふらふらしている。
兄の紹介で親方の趣味の延長みたいな
ツリーハウスを建てるのを手伝う日々
兄弟。
同じ腹から生まれてきても、考えも性格もまったく違う。
気が合わない他人となら、簡単に距離を置いて接しなければいいだけなのに
血がつながっているということだけで、簡単にそうもいかなくなる。
いつだってヘリコプターにつるされた「おれ」がやってくる。
もろくて孤独で危うい日々。
暗い話かと思えどそう -
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兄弟間の確執…とまでは行かないものの、微妙な溝とか苛立ちとか葛藤とかがリアルに描かれていた。
そこに職場の上司でもあり物語の軸になる人物でもある『親方』が絡んできて、表紙の愛らしさからは想像もつかないドロドロした展開に。東北弁のおかげか筆致のおかげか、テンポよく読めたのであまり気分は悪くはならなかったけど。そんな中、香子ちゃんの存在が救いだった気がする。
とにかく主人公の兄(ついでに言うと親方も)は私の大嫌いなタイプで、彼の言動にはいちいち虫酸が走った。こういう人、私ダメだわ〜。何が半農半X(エックス)じゃボケ。
とにもかくにも、これから先、主人公が思う人生を謳歌できればいいなと願う。大成する -
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25歳の亮介は東北南部の実家の農家を手伝いながら、“親方”の元でツリーハウス造りの手伝いもしていた。いつかはファッションデザイナーになるという夢を持ちつつ。そこへ、スローライフ、自給自足と唱える兄が帰ってきた。兄と父、兄と弟の関係に不穏な空気が漂い始める。
どこでオススメだった本だったか忘れちゃったけど、表紙のかわいさに騙された。なんか冒頭の一文から最後まで鬱々とした閉塞感ただよう話だったな。肉親間の容赦ない諍いって、やりきれない。最近読み終わった本って、こんなんばっかり・・・。それに、私って最後がはっきりしてない話は好きじゃないんだと思う。で、どうなったの?って気持ちが悪くなる。その中で唯 -
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亮介は、デザイナーを目指しながらも、じいちゃんの農業も手伝い、「親方」のもとでのツリーハウス作りのバイトにも精を出す毎日。 が、そりのあわない人気者の兄・慎平の帰ってきて、日常の均衡が崩れはじめる。 兄ばかりがもてはやされ、自分をわかってもらえない苛立ち、兄の命令に逆らえない葛藤。 第33回すばる文学賞受賞作。 だけど、私は、この後の亮介の行く末こそを読みたいな。 亮介、どう生きていくの? ここでやめないでよ、木村さん。 「現代の太宰?」と帯の惹き句にあるけれど、おおげさにすぎないかなあ。 もう少し他の作品を読んでみないとわからないけどね。