木村友祐のレビュー一覧

  • 幼な子の聖戦
    40代の村議の男を主人公に、青森の小さな村で起きた村長選挙を描く。
    「おれ」の情けない様子にハラハラしながらも、
    どこか笑ってしまう。
    併録されている『天空の絵描きたち』も良かった。
    ガラス清掃会社で「窓拭き」の仕事を受け持つ安里小春(あさと・こはる)と社員たちの職人としての誇りが描かれている。
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  • 幼な子の聖戦
     表題作がめちゃくちゃ面白い。村長選で暗躍する主人公の気持ちがあちこちに行ったり来たりする感じがとてもリアルで面白い。また主人公がヘタれなようでいて、したたかなものが根底にあって頼もしい。

     目当てだった収録作『天空の絵描きたち』は登場人物があまり活き活きとしたものと感じられなかった。女性を主人公...続きを読む
  • 海猫ツリーハウス

    地方舞台の青春小説の傑作

    八戸を舞台に、南部弁丸出しで、青春まっただ中の若者の苦悩を描いています。
    そうそう、こんな鬱屈を抱えながら、田舎でくすぶっている若者っているよなあ、自分もそうだったなあ、と共感することしきり。
    家族の中でも居心地悪いし、兄弟で比べられるし、田舎の人間関係もけっこう複雑で、悩みは深まるばかり。
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  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像
    読み進めていくうちに息苦しく怖くなってきた。今の日本も着実にこのようになっていくんではないかと予感させるフィクションであるのにノンフィクションのような小説。昔から格差を作り上にいる人達は下のやつらを蔑み搾りとり優越感に浸る。そういう事は行われてきたけど、平等を謳う今のこの世もまたそこに戻っていくのだ...続きを読む
  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像
    途中で近未来小説と気が付く。ロヒンギャの書き方とかちょっとうーんというところもあるけれど。若い世代の人なんだろう。最後のイメージは私には説得力があり美しかった。
  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像
    この本を読んで可哀そうな人たちだと思える人は、曇りなく自分の人生を歩んでいる人々なんだろう。僕はこれを読んでいて不安で不安で仕方が無かった。住む所も家族も居るけれど、持ち家とはいえ借金は払っていかなければいけないし、日々の生活で掛かるお金はびっくりするほど掛かっている。昔よりも明らかに贅沢な生活をし...続きを読む
  • 幼な子の聖戦
    芥川賞候補となった幼な子の聖戦は地方の村長選挙をモチーフにした作品。南部弁が入り混じり、声にだして読みたい作品だった。田舎の選挙なんてこんな感じで工作やお金のやり取りがあるんだろうなというリアルな雰囲気が良かった。また人妻クラブなんて言葉も出てきて、官能小説ではないものの、こんな下世話な部分もありな...続きを読む
  • 海猫ツリーハウス
    25歳の亮介と、地元コミュニティで人気者の兄・慎平。
    ふたりのヒリヒリとしたやりとりに心がざわつく。
    ファッション・デザイナーを目指し、
    実家の農業を手伝い、
    「親方」の元でツリーハウス作りをする亮介の努力を
    慎平はなぜ認めず、貶めるようなことを言うのだろう。

    p111
    ―兄弟だからだ―
    p112...続きを読む
  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像
    「野良ビトに缶を与えないでください」
    一気に増えたホームレス対策として掲げられた看板。

    P106
    「おれらもう、人扱いされてねぇんだな」

    嫌なものは見ないようにして、楽しいことだけに目を向け
    日々を過ごせるのなら、その方がいい、と思ってしまう。
    でも、この本を読むと、いろいろ問われている気がする...続きを読む
  • 野良ビトたちの燃え上がる肖像
    コミュニティーが喪失した社会では、ひとりひとりの行動の身勝手さがエスカレートして、自分以外の人に攻撃的になり破壊していく。
    そんな社会はすぐ近くまで来ているのかもしれない。
  • 聖地Cs
     八戸市出身の若手作家(1970(昭和45)年生まれの46歳)木村友祐氏の最新作を読んだ。最近地元紙のデーリー東北にも、前々作の2012年(第25回三島由紀夫文学賞の候補となった)「イサの氾濫」と共に紹介されていたので、それに続けて読んでみた。(2009年には「海猫ツリーハウス」(既読)で「第33回...続きを読む
  • 聖地Cs
    ブンガクなんだろう。きっと。
    かなりストレートにボワンとしたゴワンとしたものを放り投げてくる。
    読み易くすいすい読めるけど、時々立ち止まって「ナニナニ?」と反芻する。
    想像以上に入りやすく、想像以上に色々思い巡らした。
  • 聖地Cs
    なぜか励まされた。いまのタイミングで読めて良かった。まだ終わってない原発問題。改めて自分は何にも知らないのだ
    なぁと思う。
    猫の描写が詳しい。知らない猫の仕草が沢山書かれてあって猫好きになっちゃいそうだ。
  • 海猫ツリーハウス
    「おれ」がヘリコプターで吊り下げられてる部分が 最後で何か あーこういうことか、、、とつながるかと思っていたのに
    ドカーンとくるものもなく 終わってしまった。
    そこが ちょっと物足りなかった。

    ただ 文章のところどころに うーーむ と考えさせられる箇所が
    たくさんあったのは よかった。

    長男と次...続きを読む
  • 海猫ツリーハウス
    太宰チックっていわれてる本。第33回すばる文学賞受賞作。

    世間を上手く渡る兄と淡々と過ごしたい主人公である弟と共通の知人等々がどうしたかっていうと、嫉妬じゃないのようざいのよ何でほっといてくれないのあぁもうキィィー。

    彼のちょっと自分本位だけど十分気遣いしてるのに周りからバカにされる、舐められる...続きを読む
  • 海猫ツリーハウス
    残酷で可愛い。この短さで主人公の心的混乱とかがうまく伝わってきた。ただ物語の中軸にならないような登場人物とか邪魔かなとは思った。細かいけど、カモメを助けるシーンが好き。カモメが「へさー」って飛んでく。可愛い。次作も読みたいな。残酷で可愛い小説。
  • 海猫ツリーハウス
    南部弁、懐かしかった。
    幼稚園・小学校と、この小説の舞台の八戸に近いとこに暮らしてたから。

    なんというかすごい閉塞感と、虚無感と言うか。
    南部の曇天を思いだした。
  • 幼な子の聖戦
    「幼な子の聖戦」――人妻との逢瀬を楽しみながら、親元で暮している「おれ」は青森県の小さな村で村議をしている。「おれ」は県議に人妻の件で決定的な弱みを握られ、立候補した同級生への選挙妨害を強いられる。疲弊した村の現実と、地元を愛する同級生の熱い演説。小さな村の選挙戦は、思いもかけぬ方向へと――。

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  • 幼な子の聖戦
    幼な子の聖戦

    キリストの墓があることで有名な?新郷村が舞台の話。前々から行きたいと思っていたところだが、ここが舞台となっている小説を先に読むとは思わなかった。

    主人公の「おれ」気持ちの変化が激しいかつ唐突過ぎて、もう少し丁寧に書いてほしかった。また、「おれ」と仁吾を対比させるためなのかもしれない...続きを読む
  • 海猫ツリーハウス
     八戸出身の著者が、八戸を舞台に、登場人物たちに八戸弁で語らせた八戸フリークな物語だ。第33回すばる文学賞を受賞している。

     全体を通して八戸弁で語られているためか、とても感情移入した。ツリーハウス以外の周りの景色などは、実在の八戸そのままであり、読みながら実際の映像が脳裏に浮かんできた。

     自...続きを読む