木村友祐のレビュー一覧
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ともに第33回すばる文学賞をきっかけにデビューした二人の作家の、およそ1年6ヵ月にわたる往復書簡。2019-2020年の東京オリンピック狂騒曲から新型コロナウィルス禍の時間と社会の空気が書き込まれているという意味で、歴史の証言として読むこともできる。
木村氏と温氏は木村氏のほうが10歳年長だが、木村氏の(いい意味で)青くさくて痛々しいほどまっすぐな思索と問いかけを、温氏がまるで姉のような包容力で受け止めたり、ふっと身をかわしながら別の文脈につなげていったり、という対話のキャッチボールが繰り返される。深い信頼がなければ書けない率直さと、そんな相手に甘えきってはいけないという気遣いと覚悟とがそれぞれの言葉からにじみ出ている様子は、じつに羨ましく感じられた。結論。友人は大切である。年齢を重ねれば重なるほど。 -
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めちゃくちゃ良かったなあ。
表題作の「幼な子の聖戦」は中年弱者男性の臆病な怒りが炸裂している物語。なんか主人公の感情の揺れ動き方が突飛な感じがするけど、そこに至るまでの過程は納得できる。
「天空の絵描きたち」は途中までは普通のお仕事小説みたいな感じで、「このまま進むわけないよなあ…」と思いながら読んだ。世の中のどうしようもなさと、それを呑み込んで生きていくしかない自分のちっぽけさを感じで、久しぶりに腹にずどんと来た。でも、何で思い詰めてからのセクハラなんだろうってところがちょっとノイズになったかも。まあ確かに、高校生の恋愛じゃあるまいし手を繋ぐとかだったら逆に変なんだけどさ。
青森に旅行に行った際、新郷村のキリストっぷで購入しました。勧めてくれた店員のおばちゃんに圧倒的感謝。 -
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P56より抜粋
〃大切なのは、「命として同じ」という感覚を心に持って、意識を人間以外の外側にもいつも開いておくことなのだと思う。〃
「この命は重要で、この命は重要じゃない」という命の線引きを、気づかないうちに人ってしてるよね?をやさしい口調で問いかける本。
ペット、野生、家畜(経済動)など、または哺乳類・魚類・昆虫類といった分類で動物の扱われ方が違う、つまり命を区別・差別している現状がある。でもだからといってヴィーガンになろうとか畜産業はひどいダメだとか短絡的に思うのは違和感があること(従事している人の大変やさ有り難さや、消費している自分の状況を見て見ぬふりするのはよそう)、要は動物に対する矛盾について気づくきっかけをくれます。 -
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タイトルに惹かれて手にとった。
優劣や価値、それらを勝手に決めているのは
人間だけなんだと強く感じた。
人間の傲慢さ。欲。矛盾。
動物や自然のことをおもうと、人間の悪い部分が浮き出てきて嫌になる。
でも自分を含め周りも人間だらけで、
その社会・世界で生きていかねばならず…
生きるためには多少なりともお金や資本主義に染まるしかない。
↑この暮らしを続けるのか…とウンザリもする。
大きく変化させるのはとてもとても難しい。
経済が絡むので余計に……。
だからといって、このまま何も救済しないのは罪だと思う。
自己意識を変えること、動物の置かれている状況(畜産やペット産業など)を疑うことから変化が始まると思いたい。
著者のような心の人間がいてくれるだけで
私としては気持ち的にちょっと救われる。
考え、思いやりのある人間が増えたら
もっと自然も動物たちも人間も
穏やかに "生きる" のではないかと。
こんな考えは甘ちゃんだろうか? -
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【目次】
第1章 猫はぼくの先生
クロスケとチャシロの「育ち」のちがい
猫は笑わない
猫には「ブサイク」という考えがない
猫は自分を責めない
第2章 まったくちがう世界を見ている存在=他者
身近な生きもののスケッチ――ハト・スズメ・カエル・クモ
電線を歩くハクビシンと、電線にぶら下がったネズミの話
同じ時間に多種多様な生きものが生きている
第3章 動物のことをホントに理解できる?
人は擬人化することでしか他者を理解できない
だけど、擬人化された動物は尊重されてる?
「わからない」という余地を保つ
使えなくなった言葉――「馬鹿」「ケダモノのように」
言葉が通じなくても一緒にいるのがうれしい
第4章 ぼくや君の知らない世界
被爆した牛を生かす牧場
河川敷で暮らすおっちゃんと猫
第5章 利用される動物たち
殺されるために生れる命
見えない場所で動物たちに何が行なわれているのか
肉を食べる資格?
動物から奪わないことを選んだ人たち
第6章 命ってなんだろね
命には身分とか優劣がある?
命を区別・差別すると何が起こるか
水俣病事件と生きものたち
第7章 命の世界を心の真ん中に
猫をなでるときの心得――心を外に向けて相手を感じる
生きものたちとつながる自分
自分も生きもの、もっと楽に生きていいのだ
次に読んでほしい本 -
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2昔前に出た小説を今更読む。
ずっと視界に入るところにあって、引っ越してもそれは変わらなくて、もうこれは読むしかないだろと。
青森の海の近くの実家暮らしの25歳の亮介。頻繁に見る、ヘリコプターに吊るされぶらんぶらんと揺れている自分の姿の妄想に悩まされている。高校のあと弘前の服飾専門学校に入ったが卒業を待たずに中退して以来、ずっと中途半端な状態。いつかは洋服づくりで身を立てたいと思うものの具体的な行動を起こさぬままに祖父母の農業と地元の先輩のツリーハウスづくりや雑用に紛れる日々。そんなとき、兄の慎平が帰ってきて。
兄弟の関係、地元のみんなとの関係、家族との関係などなど、丁寧に描いているのに重たくない。全編、会話は殆ど青森弁(八戸辺りだから南部弁?)でそれが唯一読み難い要素ではあるが、作品の味になっている。
驚いたのが、創作物の描写の巧みさ、再現性。ツリーハウスもそうなのだけれど、香子のミニチュアール、亮介が香子のために作るワンピースなどなどが、文章から目の前に立ち上がってくる。それらは魅力的で、実物を見てみたいと思わせる。この作家自身、文章以外にも何か作ったりしている人なのだろうか。こんな作品、もっと読んでみたい。亮介、頑張れ。
ちょっと検索してみると今も作品を少ないながらも出し続けており、この後出た作品では芥川賞候補にもなったことを今更ながらに知った。他の作品もちびちびと読んでみよう。 -
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心に残る話だった。
表題作は主人公が性格的に救えなくて共感できず中々話に入り込めなかったが、社会への怒りの部分は全く共感でき、男性優位社会において弱者である主人公が暴発するところは不思議とスカッとした。現状維持や保身しか考えない「オヤジ」は、日本の諸悪の根源と言ってもいい気がする。
もう一つの収録作品、ガラス拭きの話も面白かった。こちらも社会への課題認識は表題作と同じで、さらに職人から仕事をする尊厳も奪い取ってる点も深刻に描かれていてリアリティがあった。クマさんが居酒屋で語る、人は生まれ死に今目の前の人と一緒にいることは流れの中では奇跡的に居合わせてるだけということを意識すれば人への見方が変わる、というのが至言だとも思った。 -
購入済み
地方舞台の青春小説の傑作
八戸を舞台に、南部弁丸出しで、青春まっただ中の若者の苦悩を描いています。
そうそう、こんな鬱屈を抱えながら、田舎でくすぶっている若者っているよなあ、自分もそうだったなあ、と共感することしきり。
家族の中でも居心地悪いし、兄弟で比べられるし、田舎の人間関係もけっこう複雑で、悩みは深まるばかり。
ここではないどこかへ行きたいんだけど、どこへ行ったらいいのかわからない。そんな悩みを一人で抱え込んでいる若い人にお勧めしたいと思います。 -
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読み進めていくうちに息苦しく怖くなってきた。今の日本も着実にこのようになっていくんではないかと予感させるフィクションであるのにノンフィクションのような小説。昔から格差を作り上にいる人達は下のやつらを蔑み搾りとり優越感に浸る。そういう事は行われてきたけど、平等を謳う今のこの世もまたそこに戻っていくのだろうか?不気味でならない。私もホームレスを見れば社会の落伍者って見てしまっている所があるけれどいつ自分がそうなるかもわからない。この本を読んでホームレスも柳さんみたいにルールを守りながら猫と共存していっている人達もいるんだってわかったし、何とかそういう人達の居場所を私達も作ってあげないといけないのに一方的に排除しようとするなんて酷すぎる。私はこの本の中のムスビのいく末が気になる。柳さんと再会して気ままなホームレス生活を新たな地で送れている事を深く願うばかりだ。読んで良かった
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Posted by ブクログ
「天空の絵描きたち」を職場の人におすすめされて読みました。一言でいうと私好みのお話!
ビルの窓拭きのお話で、仕事の緊張感だったり職場での人間関係のあり方が印象的。ほんの少し恋愛要素があり、最後あの結末になったのが悲しすぎる。。
次の段階にいけたと思い気が緩んでしまったんだろうな、仕事っていうのはどんなことがあろうと過信してはいけない、、。
そして表題作の「幼な子の聖戦」は青森県の田舎村で村長選が舞台。主人公がしたある行為を権力者に脅され翻弄されていく中で自分の存在意義を見出そうとしてもがく中年男性がテーマ。
人はいきすぎるとその考えにいってしまうのか、と共感はしないけど世の中にはこういった人が潜んでいるんだと思わされた。
でも実際に政治の世界でこんな人はたくさんいると思う。 -
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この本を読んで可哀そうな人たちだと思える人は、曇りなく自分の人生を歩んでいる人々なんだろう。僕はこれを読んでいて不安で不安で仕方が無かった。住む所も家族も居るけれど、持ち家とはいえ借金は払っていかなければいけないし、日々の生活で掛かるお金はびっくりするほど掛かっている。昔よりも明らかに贅沢な生活をしている自覚が有ります。
いつでも無一文からやり直せるつもりで生きていたけれど、だんだんと年を取ってきて再就職もそんなに簡単には出来ないと思います。
日本は次第に力を失っていき、豊かな生活を送れる人も一握りになって来ています。綱渡りのような生活をして、病気や怪我をする事で一気に急坂を滑り落ちるように路上に放り出される事も有るかもしれません。
そう思って読むと非常に辛い。「野良ビト」という造語もとても気持ち悪いですが、では自分の心の中に、路上生活の人々を同じ人間だと見ているのか。そう問いかけた時、後ろ暗い気持ちになります。どこか違う次元で生きている人たちのように思っている自分がいるからです。
「野良ビト」になってしまう事が怖いのか、野良ビトを人ではないと思ってしまう事が怖いのか・・・。