尾崎真理子のレビュー一覧

  • 1945年に生まれて 池澤夏樹 語る自伝

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    前半は、伝記的な内容が非常に興味深かった。福永武彦との関係性が特に。
     後半は、現実をどのようにとらえたら良いのか。そんなことを考える手がかりとなる。生き方としては、あまりに破天荒なので。
     「戦後」というものを考える時に、本当にコンパスになるような。

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    2025年11月06日
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)

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    石井桃子さんのお話は大好きだったが、評伝を読んで人となりを知り、より好きになった。筆者の関係者への細やかな取材、調査が素晴らしかった。出てきた本を順に読んでみたくなった。

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    2025年08月08日
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)

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    石井桃子(1907-2008)、編集者・翻訳家・作家としていくつもの時代を駆け抜け、101歳で亡くなった。本書は、1994年以降の取材(とくに2002年の5日間にわたる集中インタビュー)をもとにした充実の評伝。読んでゆくと、その人脈の凄さ・豊かさに圧倒される。
    くまのプーさんとの出会いのくだりは、何度読んでも感動的だ。24歳の時、石井は和漢書の整理の手伝いのため犬養家に出入りするようになる。犬養毅は彼女を気に入った。しかし首相になり、そして暗殺。石井はクリスマスに失意の犬養家に行き、そこでプーの絵本を発見し、子どもたちにそれを読んであげるのだ。犬養毅や5・15事件がプーさんに関係しているとは!

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    2025年05月07日
  • 詩人なんて呼ばれて(新潮文庫)

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    谷川俊太郎という詩人を理解するには、格好の書となっています。
    文中に、「谷川俊太郎に日本の現実はいつも遅れてついてきた」とありましたが、まさしくその通りの詩人だったと思われました。
    ご冥福を心から祈ります。

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    2025年02月03日
  • 詩人なんて呼ばれて(新潮文庫)

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    圧巻の600ページ超え。
    谷川俊太郎という物語。
    父子関係、
    佐野洋子さんとの別れの真相、
    老いと死への想い。
    小説や物語について否定的な詩もあったけど、
    人生そのものが物語だった。

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    2025年01月16日
  • 詩人なんて呼ばれて(新潮文庫)

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    ネタバレ

    島崎和歌子さんが出てきませんが、というか島崎和歌子さんが出てくる本は滅多にないのですが、なんてことを言い出したらもう終わりなのですが、もう終わってもいいくらいに面白い本と出会えて幸せです。

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    2025年01月14日
  • 大江健三郎 作家自身を語る

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     2006年に行われ、テレビ放映もされた連続インタビューを再構成し編集・追補された「推敲された」インタビュー。尾崎氏が大江のことばを引き出す役に徹したことで、細密に描き込まれた作家・大江健三郎の自画像ができあがっている。文庫版には「後期の仕事」三部作を書きおえたあと、2013年の対話も収録されている。
     全体を読み終えて、あらためて大江の勤勉な読書家であり勉強家であることが印象に残った。谷崎潤一郎にも似たようなことが言えるが、研究対象が自分よりもどう考えても知識教養に優れている場合、研究者はいったい何をすればよいのだろうか。
     強靭な記憶力、とくに自身に対する批判をよく覚えていることにも驚かさ

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    2023年08月07日
  • 大江健三郎全小説全解説

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    大江作品が凄いのは勿論だが、全小説(「夜よゆるやかに歩め」は未収録だけど)を網羅・総覧できる、素晴らしい一冊本。
    しかも必要にして十分なあらすじと、時代の説明、同時代のリアクションから、2020年の今だからこその評まで。
    巨大な山脈の、微細なミニチュア模型。

    目次
    ◆はじめに
    ■第01章 よろしい、僕は地獄に行こう!
    奇妙な仕事/他人の足/死者の奢り/石膏マスク/偽証の時/動物倉庫/飼育/人間の羊/運搬/鳩/芽むしり仔撃ち/見るまえに跳べ/暗い川 おもい櫂/鳥/不意の唖/喝采/戦いの今日/部屋/われらの時代
    ──初期作品群その1
    ■第02章 惨憺たる青年たち
    ここより他の場所/共同生活/上機

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    2023年05月28日
  • 大江健三郎の「義」

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    これは今まで読んだ大江健三郎論の中で一番納得できた一冊。なんか本人のインタビューでは洋モノの思想が出てくるし、仏文科だし、後期の小説で主人公が読んでるのはダンテとかブレイクとかな割に、物語にはもの凄い日本らしい湿気と土臭さがあるのが気になっていたのだが、そのよってきたるものをこの本を読んで得心しました。世代的には全然大江の衝撃などはなく、文庫に作品がいっぱい入っているので遅れて読みだしたのだが、結果、『同時代ゲーム』と長江古義人シリーズだけですね、私に面白く読めるのは。日本人の作家でこれほど時期によって作風の違う作家も珍しい気がする。

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    2023年04月17日
  • 大江健三郎 作家自身を語る

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    大江健三郎氏の創作の秘密、作品に込められたものが解る。
    聞き手の尾崎真理子女史の作品への深い読みに舌を巻く。
    また、尾崎真理子女史の読みが確かなものであるので、大江健三郎氏の応えと合致し、巧みに大江健三郎さんの応えを引き出している。

    この本により、偉大な芸術家の内面を初めて知ったという感慨を持った。
    私生活の事は、身近な人間でないので、わからないけれども、大江健三郎氏の芸術家としての人生は幸せであったと思う。

    とにかく、大江健三郎ファンにはおすすめです。

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    2020年10月14日
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)

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    この夏読んだ「働くわたし」の中にブックガイドがあって、そこで紹介されていた石井桃子、いや幼い日の記憶にある、いしいももこの評伝です。かなり厚めの文庫でしたが圧倒的な面白さ。ご本人の山荘のある軽井沢でのロングインタビューをベースに新聞記者ならでは取材力と推論の組み立て、要点を明確にする簡潔な文章で、「くまのプーさん」「小さなおうち」「ピーター・ラビット」などの翻訳、あるいは「ノンちゃん雲に乗る」などの著作で児童文学の巨大な最高峰である石井桃子の101年の人生を大きく描き出しています。「しゃべりすぎた」「聞きすぎた」「生きている間は書かないように」というように本人の中だけの箱をあける作業も含めて、

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    2020年08月30日
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)

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    石井桃子といえば、私にとっては『くまのプーさん』の本に載っている名前という印象。そういえば『ちいさいおうち』にもその名前が載っていたかなあという印象。「ももこ」という響きから何の根拠もなくおっとりとした人物を想像していたけど、実像はむしろ頑なな人だったよう。
    戦前から児童文学の世界では名を上げつつあり、それだけに戦時中は国策に協力するようなこともあったようだが、そのときの反省がその後のひとつの原動力になったのだろうと思う。その一方で、戦後は東北に移り仲間と開墾に励むなど、児童文学にとどまらず新しいことに臆せず飛び込むような感じもある。それはある意味、独立した人間ならではの勝手さのようなところも

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    2018年08月12日
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    面白かった。とても読み応えのある一冊。
    石井桃子の評伝としてはもちろん、戦前〜戦後の女性史、出版史、児童文学史にとっても貴重な本だと思う。

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    2018年05月30日
  • 大江健三郎 作家自身を語る

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    ネタバレ

    初読。作品の時間軸に沿ってインタビューが構成されているが、作品そのものよりタイトル通り作家・大江健三郎さんについて知ることができる。話がどんどん多方面に伸びていき、大江さんの人生をたどることができる。いろんな箇所で涙をこらえながら読んだ。もう一度、すべての作品を最初から順番に読み直したいと切実に思った。大仕事ですが。

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    2014年08月18日
  • 大江健三郎 作家自身を語る

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    インタビューの内容を、とても分かりやすい文体で書いてあるので、大江健三郎作品自体はとっつきにくいと思っている方にもオススメ。
    「この作品はこんな意図だったんだ」だとか、いろいろな発見があると思います。

    インタビューを実録したDVDも数年前に発売していますが、インタビュー自体はそのときのもの+直近のもの、です。
    DVDでは、独特の話し言葉で、かつ断片的な収録なので話の前後関係が分かりにくかった感がありますが、本当に同じインタビューかと思えるぐらい分かりやすく書籍化がしてあります。

    大江文学を読み解く上で、必須の一冊ではないでしょうか?

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    2014年01月18日
  • 詩人なんて呼ばれて(新潮文庫)

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    谷川さんのことをまとめて記録に残してくれてよかったと思います。
    彼が詩壇でアウトサイダーだったとは知りませんでした。沢山の詩を読んできたわけではないけれど、一番身近に感じる詩人だったから。
    桂冠詩人が日本にいるとしたら谷川さんだろう、との筆者の評価に同意します。そして誰に引き継ぐのでしょうか、その代弁者の地位を。

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    2024年08月13日
  • 詩人なんて呼ばれて(新潮文庫)

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    面白い構成 自分には早いなと思ったのでもう少し谷川さんの詩集を読み直してからリベンジしようと思います

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    2024年08月07日
  • 大江健三郎 作家自身を語る

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     各章は時系列に分割した複数の作品をテーマにしている。私は彼の作品を全て読んでいるわけではなく、特に万永元年のフットボール以降の作品はほとんど読んでいないので、読んでいない本がテーマになっている章は読み飛ばした。
     尾崎真理子さんという聞き手もとても力を持っている人物である。彼女の質問によって彼が気づくと言うシーンが見られた。

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    2023年09月03日
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)

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    子どものために児童書を購入したり、最近では出版不況でも児童書が伸びているとのことで、自分が子どもの頃に読んだ数々の本の訳者の自伝として読んだ。
    分厚く、少し読むと難しい、昔の話でイメージできそうかなと思ったが、案外サクサク読めた。自分にない価値観を得られた。

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    2019年08月19日
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)

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    長大で、濃く、
    実直であられる新聞記者である著者の
    引用、インタビューの書きおこし、手紙、説明、想像がわけられた記載ゆえ、ひと筋縄ではいかない。

    お名前を見るだけでうれしくなってしまう、安心の石井桃子さんが生きた大正から平成の乱世。
    戦争をはさんだあの時代に女性ながら働き、翻訳をなさり、百歳まで生きたその道筋。
    あのやさしいことばづかいを、守り抜いた精神。強さ。

    くまのプーさんの最初の読者だった、犬養道子さんの「石井さんという人は、もっともっと面白い人だったのよ」ということばが残っている。

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    2019年07月21日